サム・ライミの幼馴染、ブルース・キャンベル
ホラーカルト映画の傑作『死霊のはらわた』の主演を務めたブルース・キャンベルをご存知ですか?実は、彼がこの大ヒット映画の主役の座を獲得したのは、監督のサム・ライミと中学時代からの友人だったからなのです。そんな彼は以降もライミ監督の映画には必ず出演しています。
今ではすっかりドヤ顔の似合う渋いおじさんとなたキャンベル。今でも多くの有名映画に顔を出しています。そんなブルース・キャンベルについて、その生い立ちから出演作品、ちょっとしたトリビアまでご紹介します。
ブルース・キャンベルの生い立ち
ブルース・キャンベルはミシガン州のデトロイト郊外、ロイヤルオーク出身。1958年生まれの現在58歳(2016年現在)です。彼の父親はアマチュアの役者として活動しており、彼が演技に興味を持つきっかけを作りました。10代の頃から演技を始めます。
中学校時代、彼はサム・ライミと出会い親友となり、二人は8mmフィルムを使って共に映画を作るようになったそうです。
サム・ライミと共に作り上げた傑作『死霊のはらわた』
大学在学中、サム・ライミは全く新しいタイプのホラー映画のアイディアを思いつきます。それが『死霊のはらわた』。森の奥の一軒家で死者たちを蘇らせる呪文を唱えてしまった若者たちが、次々に悪霊に襲われるスプラッター映画です。ライミとブルース・キャンベルは共にこの作品の制作のために、大学を退学しています。
今作は低予算で作られたため、俳優も無名の人たちが使われました。そして主役アッシュの座はライミの幼馴染、キャンベルに渡ったのです。怪物と化した友人たちに果敢にも立ち向かうアッシュの役は、彼の代表作となりました。
ちなみに映画の終盤でアッシュが壁の後ろから悪霊の手に捕まれるシーン、実はあの手はライミ監督のもの!予算と配役の関係上、そのシーンの撮影には監督とキャンベル、そしてカメラマンの3人しか参加していなかったそうです。
数々のホラー映画に引っ張りだこ!
低予算で作られながらも大人気となった『死霊のはらわた』のおかげで、ブルース・キャンベルの名もホラー映画界に知れ渡ることになります。そうして彼は数々の映画に引っ張りだことなるのです。
『死霊のはらわた』の続編(『死霊のはらわたII』)はもちろん、『マニアック・コップ』、『処刑!血のしたたり』、『キャプテン・スーパーマーケット』、『怨霊の森』などなど、列挙すればキリがありません。
サム・ライミ監督映画の常連。あの『スパイダーマン』にも!
サム・ライミ監督のデビュー作を有名にするのに一役買ったブルース・キャンベルは、ライミが大物監督となった後も彼の映画に登場し続けます。1990年の『ダークマン』や、『死霊のはらわた』の続編的作品である『キャプテン・スーパーマーケット』などがその例です。
そして監督をさらに有名にしたアメコミシリーズ『スパイダーマン』の実写化にも、キャンベルは登場するのです!3作のスパイダーマンに、すべて違う役で出演しているキャンベル。どこか遊び心が感じられますね。彼はアメコミから飛び出してきたような顔立ちをしているので、ぴったりです。
コーエン兄弟とも仲良し!カメオ出演多数?
今となっては超がつくほど有名な監督であるコーエン兄弟ですが、80年代まだ無名だった時に、ジョエル・コーエンは『死霊のはらわた』に編集担当として参加しました。これがきっかけでキャンベルは二人と仲良くなり、今でも深い親交関係を保っています。
そしてもちろんコーエン兄弟の映画にもカメオ出演が多数。『ファーゴ』ではスティーブ・ブシェミが見ているテレビの中の俳優として、『レディ・キラーズ』には動物愛護団体の会長として、さらには『バーン・アフター・リーディング』にもどこかにいます。探してみてください!
顔の傷はどうしたの?
ブルース・キャンベルの顔を見ると、アゴ付近にL字型の傷があることに気づきます。これは一体どうしたものなのでしょうか。
数多くのスプラッター映画に出演し血まみれのアクションをこなす彼なので、映画の撮影の中で怪我をした…のかと思いきや、実は兄のドン・キャンベルと喧嘩した際に受けた傷なのだそう。喧嘩っ早い性格なのでしょうか。
このお兄さんのドン・キャンベルも実は『キャプテン・スーパーマーケット』などの映画にちょっとだけ出演しています。『死霊のはらわた』でも雑用をこなして映画製作を助けました。
キャンベルの人生哲学〜B級俳優であることをどう思っている?〜
出演作品数は多いものの、どれもマニアックな作品ばかりで、役もマイナーなものが多いブルース・キャンベルは、決して大物俳優とは言えません。そのことに対して彼自身はどう考えているのでしょうか?彼が語る人生・仕事の哲学をご紹介します。
僕の俳優人生は、小さな映画で大きな役をやるか、大きな映画で小さな役をやるか、の二択に運命付けられているようだね。引用:imdb.com
ハリウッドに行ったら、それは終わりを意味するような気がするね。ハリウッドに行くこと、それは「あそこに行かなきゃ映画が作れない」というのと同じことさ。全く馬鹿らしい!インディアナでもミシガンでも、どこでだって映画は作れるのに!そこでは、今何が流行っているかなんて議論はいらない。映画のためだけに映画を作るのさ。ハリウッドの製作者は脚本を受け取ると、それに俳優やら音楽やら、あれこれと詰め込むけれど、脚本だけじゃ映画が売れないと思っているみたいだね。そのせいで全てがおかしくなる。勝手に意味不明なキャスティングをされてしまうんだ。引用:imdb.com
さらに彼はB級スターである経験について語った本「Bruce Campbell on Being a B Movie Actor(原題)」も出版しているので、気になる人はチェックしてみましょう。
実は牧師の資格を持っている!
ホラー映画に出演する血まみれのイメージが強いブルース・キャンベルですが、実は意外なことに正式な牧師の資格を持つ聖職者でもあります。
もともと彼は厚いファン層を誇っており様々なホラーイベントに引っ張りだこなのですが、その中でも特にコアなファンのあるカップルは、2010年にキャンベルを牧師に迎えてゾンビテーマの結婚式を催しました。
「リバース・アクティング」の帝王!
「リバース・アクティング」とは、演技を逆向きに行うことであり、逆再生した時に正しい方向に動いているように見える演技のことです。例えば、後ろ向きに歩く様子を逆再生すると、前に歩いているように見えますよね。
普通の人がこれをやると、もちろんどこかに違和感が生じます。しかしブルース・キャンベルはこの「リバース・アクティング」が非常に得意で、史上最高のリバース俳優とも呼ばれるほどです。
「リバース・アクティング」はホラー映画の世界で非常によく使われる撮影手法なのですが、彼はこれがあまりにも上手すぎて、どこがそうなのか分からないほど。『死霊のはらわた』にも『キャプテン・スーパーマーケット』にもあるそうですが、あなたは見つけられますか?
「ブルース・キャンベル・ホラー映画祭」なるものが存在する
2014年以降、ブルース・キャンベルはシカゴにて「ブルース・キャンベル・ホラー映画祭」を開催しています。その規模は年々大きくなっており、2015年には俳優のトム・ホランドや若手ホラー監督のイーライ・ロスも参加したほどです。
俳優でありながら、ファンである視聴者との交流を忘れない庶民的な彼の姿が素敵ですね。また若いホラー映画製作者たちの登竜門ともなるこのような映画祭を催していることから、彼がいかにB級ホラー映画の世界を愛しているかが伝わってきます。