2017年7月6日更新
人はなんの為に生まれてきたのだろう。樹木希林が現代社会に疑問を投げかける感動作『あん』
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老舗和菓子屋を舞台に、どら焼きをめぐって人々の心の交差を描く
【あらすじ】
どら焼き屋「どら春」で店長として働く、千太郎。これといって目的もなく淡々と働く日々のなかで「どら春」の求人の貼り紙を見た一人の老女が働きたいと懇願してきます。
その老女、徳江を雇い、どら焼きの餡作りを任せるとその美味しさが瞬く間に評判となり、店に人の行列ができるまでになりました。
しかし、幸せな日々も長くは続きませんでした。徳江がハンセン病ではないかという心無い噂が、彼らの未来を大きく変えてゆき...。
原作となった、「あん」を書いたドリアン助川とは?
叫ぶ詩人の会をご存知の方はどれくらいいっしゃるでしょうか?ドリアン助川は、この叫ぶ詩人の会というロックバンドのボーカルです。
しかし、だたのロックバンドではなく、現代詩の朗読とパンクロックを融合させた独特のパフォーマンスをする集団です。ヒット曲こそ恵まれることはなかったのですが、音楽と詩、演劇や文学が共鳴しあったステージは熱狂的なファンを作り、高い評価を得ていました。
また、いつでもそのパフォーマンスは全力で、ライブではアンコールに応えたことはありませんでした。しかし、人気絶頂の最中仲間の覚せい剤所持が発覚し、バンドは解散。その後単身渡米し、帰国後は執筆とライブ活動を行っています。
主人公、徳江を好演した樹木希林
河瀬直美監督作品『朱花の月』にも出演している樹木希林は、本作への出演に際して「70を過ぎて、50年も役者をやってきて“感性”というものを要求されました。」としみじみと語りました。
それは、河瀬監督が、餡作りの過程をつぶさに観察し、丁寧に作品へと昇華させていく様子を見たからだといいます。
樹木希林は、撮影が進む中で河瀬監督との作品作りは樹木の心の襞に触れ、「役者であったら一度は河瀬監督の作品をやったらいい。」と感じたからだそうです。
役作りも含め、一人でハンセン病患者の施設にも足を運んだという彼女が実感した閉塞感や孤独感を、どのように作品で表現しているのか期待に胸が高まります。
カンヌ最年少受賞監督河瀬直美のストイックな姿勢とキャストたちの生み出した傑作
今作でもストイックな姿勢での撮影へ望んだ河瀬は、作品の、もう一つの主役となるどら焼きの餡作りにとても慎重になってとのこと。
わざわざ地方の畑へお邪魔して、小豆作りから小豆を干して餡になっていくまでの過程をしっかりと観察し「小豆の声を聴く」と話していたと樹木希林が明かしているほどの真剣さ。その丁寧で、抜かりのない徹底した作品作りが俳優陣やスタッフを突き動かす言動力となっているようです。
また彼女自身は「キャストが自分たちの「生」を注いでくれました。観客のみなさんが、この作品を大切に育ててくれると信じています。」とメッセージを残しています。