【ドロ沼】不倫ドラマおすすめランキングTOP15!定期的にブームになる理由とは?

タップできる目次
- ドロドロの不倫ドラマおすすめランキングTOP15!人気の秘密とは?
- 15位:『それを愛とまちがえるから』(2019年)
- 14位:『美しき罠〜残花繚乱〜』(2015年)
- 13位:『毒島ゆり子のせきらら日記』(2016年)12票
- 12位:『あなたには帰る家がある』(2018年)
- 11位:『せいせいするほど、愛してる』(2016年)
- 10位:『セカンドバージン』(2010年)
- 9位:『不機嫌な果実』(2016年)
- 8位:『真珠夫人』(2002年)
- 7位:『金曜日の妻たちへ』(1983年)
- 6位:『僕のヤバイ妻』(2016年)
- 5位:『奪い愛、冬』(2017年)
- 4位:『ホリデイラブ』(2018年)
- 3位:『あなたのことはそれほど』(2017年)
- 2位:『失楽園』(1997年)
- 1位:『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(2014年)
- 【解説】「昼顔」が流れを変えた!日本の不倫ドラマ事情を振り返ろう
- はじまりは「よろめき妻」の誕生から
- 「第1次不倫ドラマブーム」のおこり
- 「第2次不倫ドラマブーム」のきっかけとなった「昼顔」
- 前代未聞!その後は不倫ドラマ戦国時代に突入へ
- 【考察】たびたび不倫ドラマがブームになって流行するわけ
- 人間の本能的な欲求を描く!不倫ドラマでハラハラドキドキしよう
ドロドロの不倫ドラマおすすめランキングTOP15!人気の秘密とは?
実生活では遠ざけたいものとして扱われ、なかなか人前で言葉にすることができない「不倫」。しかしドラマや映画では、たびたびメインテーマとして描かれています。「不倫」が定期的にブームになるのは、いったいなぜなのでしょうか? この記事では、国内ファン300人を対象にアンケートを実施し、おすすめ不倫ドラマTOP15をランキング形式で紹介していきます!こっそり深夜のお供に、ドロドロの恋愛を楽しんでみませんか?
15位:『それを愛とまちがえるから』(2019年)
不倫をテーマにした「大人のラブコメディ」?
■得票数:2票
直木賞受賞作家である井上荒野原作の『それを愛とまちがえるから』は、2019年にWOWOWで放送されたドラマです。 専業主婦として15年、夫の匡(鈴木浩介)とともに平穏な生活を送っていた伽耶(稲森いずみ)。しかし彼女は長年のセックスレスに悩み、大学時代の恋人である星野誠一郎(安藤政信)と不倫していました。そんなある時、夫も不倫していることが発覚します。 その後、とあるきっかけで伽耶と匡はお互いの恋人を紹介することに。その日を境に、全員の心に変化が訪れ、カップルの関係性も変わっていきます。 これまで社会派ドラマを多く製作してきたWOWOWですが、本作は一癖も二癖もあるキャラクターたちが巻き起こすドタバタラブコメディになっています。
すごい設定ですが、夫婦間の問題に共感できる部分もあって、腹が立ったり感動したり面白かったです。これを観て、自分は旦那さんを大事に出来ているかな?と考えさせられました。
14位:『美しき罠〜残花繚乱〜』(2015年)
これぞドロドロ不倫ドラマの代名詞!
■得票数:7票
岡部えつによる小説『残花繚乱』を原作として、2015年にTBS系にて放送された『美しき罠〜残花繚乱〜』。不倫がきっかけで生まれる女性たちの闘いを描いたサスペンスドラマです。 仕事がうまくいっているものの、3年に及ぶ不倫の恋に頭を悩ませていた西田りか(田中麗奈)。不倫相手である柏木荘太(村上弘明)の妻は2人の関係に気づき、りかへの罠を次々と仕掛けていきます。罠に翻弄される彼女は、ほかの女たちとの闘いにも巻き込まれていき……。 不倫によって生まれる嫉妬や、ドロドロとした感情が渦巻く本作。原作となった小説は、当初からドラマ化を視野に書かれたこともあって、映像に負けない表現を楽しめます。
夫の愛人に男をあてがう妻……。ドロドロだけど、ツッコミどころもあって面白かった!
13位:『毒島ゆり子のせきらら日記』(2016年)12票
不倫ドラマなのにサクッと気軽に楽しめる!?
■得票数:12票
矢島弘一によるオリジナル脚本で、2016年にTBS系にて放送された『毒島ゆり子のせきらら日記』。超恋愛体質な女性の、奇想天外な半生を描いたラブコメディです。 新聞社に勤める毒島ゆり子(前田敦子)は、2股3股も気にしない超恋愛体質。念願の政治部への異動が決まったゆり子は、仕事で知り合った小津翔太(新井浩文)に惹かれていきます。 恋愛体質でありながらも「不倫はしない」というルールを持っていたゆり子でしたが、既婚者の小津への想いを止めることはできませんでした。 主演を務めた前田敦子が歌う主題歌を、秋元康が作詞・プロデュースしたことでも話題になりました。1話30分のためサクッと気軽に楽しむことができるドラマです。
前田敦子がかわいくて演技も上手い!ラブシーンにはかなりドキドキした……。男はクズだけどラストは清々しい。
12位:『あなたには帰る家がある』(2018年)
現代のリアルな夫婦問題を追求した意欲作
■得票数:22票
山本文緒の同名小説を原作として、2018年にTBS系にて放送された『あなたには帰る家がある』。夫婦間にある小さな亀裂が、不倫によって広がっていく様を描いたヒューマンドラマです。 子育てがひと段落し、家計のために仕事への復帰を決めた佐藤真弓(中谷美紀)。家族のために奮闘する真弓でしたが、そんな彼女のいる家庭に窮屈さを覚えはじめた夫の秀明(玉木宏)は、偶然知り合った人妻と不倫関係になってしまいます。2組の夫婦の小さな亀裂は少しずつ広がっていき……。 原作の良さを残しつつ、オリジナルストーリーを交え現代版として製作された本作。100人超の女性にインタビューを行いリアルさを追求するなど、こだわりが垣間見える内容には共感すること間違いなしです。
不倫ドラマですが笑えるシーンもあり、展開も面白かったです。ラストもスッキリ!
11位:『せいせいするほど、愛してる』(2016年)
ドロドロかつ純粋な恋
■得票数:23票
北川みゆきによる同名コミックを原作とした『せいせいするほど、愛してる』は、限りなく純粋で禁断な大人の恋愛ドラマです。 ティファニージャパン広報部に勤める栗原未亜(武井咲)は、恋人の山下陽太(高橋光臣)からプロポーズされたものの、仕事にやりがいを感じ結婚に踏み切れずにいました。 そんな彼女はあるとき偶然知り合った男性が、ティファニージャパンの副社長である三好海里(滝沢秀明)だと知って驚きます。 その後、仕事で関わるうち海里に惹かれていく未亜でしたが、彼は既婚者であることが発覚。さらにプロポーズを断られた陽太がストーカーと化してしまい……。 連続ドラマとしてはじめて、ティファニーやジミーチュウとコラボレーションしたことでも話題になりました。
キャストのイメージと漫画のイメージが合っており、どちらも楽しめた!
10位:『セカンドバージン』(2010年)
鈴木京香と長谷川博己の重厚なラブストーリー
■得票数:24票
大石静によるオリジナル脚本で、2010年にNHKにて放送された『セカンドバージン』。仕事一筋で生きてきたキャリアウーマンが、17歳年下の男性と出会うことで生きがいを取り戻していくラブストーリーです。 若い頃に結婚で失敗をして以来、仕事一筋で生きてきた出版業界の有名プロデューサー・中村るい(鈴木京香)。 ある日、金融庁のキャリア官僚・鈴木行(長谷川博己)と出会った彼女は、彼に妻がいることを知りながらも惹かれている自分に気づきます。夫婦生活に不満を抱いていた行も、るいに魅力を感じ、2人は危険な道を選択することになるのです。 主演の鈴木京香や長谷川博己をはじめ、布施明や草笛光子などのベテランが脇を固める本作。重厚な大人のラブストーリーを楽しめます。
主人公の激しく切ない想いに見入ってしまいました。三角関係もドキドキでしたが、行が失脚したあと、まりえとるいが強かに生きていく姿にちょっと憧れました。
9位:『不機嫌な果実』(2016年)
林真理子による問題作の現代版!
■得票数:25票
林真理子による同名小説を原作として、2016年にテレビ朝日系にて放送された『不機嫌な果実』。倫理観に悩まされながらも、衝動を抑えられず不倫に陥っていく男女の姿を描いたラブストーリーです。 結婚生活5年目を迎えながらも、夫とうまくいっていない麻也子(栗山千明)。彼女は昔の不倫相手との関係に悩みながらも、新たに出会った通彦(市原隼人)に惹かれはじめます。不倫がバレてしまい夫に束縛される麻也子でしたが、通彦への想いは募るばかりで……。 林真理子作品のなかでも問題作といわれる作品をドラマ化した本作。1997年にもドラマ化されているほか同年に映画化もされているため、時代による違いを楽しみながら観るのもいいかもしれません。
コメント:コメディっぽい感じで、最初のドラマや原作とは全然雰囲気が違うらしい。でもそれが面白くて、なんだかんだハッピーエンドでよかった。
8位:『真珠夫人』(2002年)
昼ドラ=不倫ドラマのイメージを作った代表作
■得票数:29票
菊池寛による同名小説を原作として、2002年にフジテレビ系にて放送された『真珠夫人』。時代や社会に翻弄されながらも愛を貫いた男女のラブストーリーです。 造船会社の子息である杉野直也(葛山信吾)と相思相愛でありながらも、家を救うために政略結婚をした荘田瑠璃子(横山めぐみ)。互いに別の相手と結婚をした瑠璃子と直也でしたが、2人は愛を貫きます。しかし周囲の人間がそれを許すはずもなく……。 これまでに何度も映画化やドラマ化され、昼ドラとして新たに生まれ変わった本作。“家同士のもの”でもある結婚と、普遍的な男女の愛情を深く掘り下げて描いています。
不倫ドラマといっても、主人公のふたりは最後までプラトニックな関係でしたので、純愛ドラマでもあるところが魅力のひとつです。
7位:『金曜日の妻たちへ』(1983年)
新たな不倫ドラマの幕開け!社会現象を巻き起こした“金妻”
■得票数:34票
1983年にTBS系にて放送され、その後シリーズ化もされた『金曜日の妻たちへ』。東京郊外のニュータウンを舞台に、3組の夫婦が不倫によってバラバラになっていく様を描いたヒューマンドラマです。 中原宏(古谷一行) ・久子(いしだあゆみ)夫妻を中心に、近所付き合いを続けながら楽しい生活を送っていた3組の夫妻。しかしその内の1人である村越隆正(竜雷太)の不倫をきっかけに、6人の関係性は徐々に変わっていきます。 やがて、中原夫妻にも不倫問題が起きてしまうのでした。 社会現象となり、「金妻」という流行語も生み出した本作。核家族が増えはじめた時代背景も描かれており、新たな不倫ドラマの幕開けともいえるドラマになっています。
元祖不倫物といえばこれかな、と真っ先に浮かびました。子供心に観てはいけないものをみるような大人のドラマだなと思ったのが印象的です。
6位:『僕のヤバイ妻』(2016年)
トルコでもリメイクされたサスペンス不倫ドラマ
■得票数:39票
黒岩勉によるオリジナル脚本で、2016年にフジテレビ系にて放送された『僕のヤバイ妻』。妻の誘拐事件をきっかけに、夫婦が抱える問題や妻の本性があぶり出されていくサスペンスドラマです。 周囲がうらやむような結婚生活を送りながらも、実際には妻の望月真理亜(木村佳乃)への愛情を失っていた幸平(伊藤英明)。彼は不倫相手とともに真理亜の殺害を計画していましたが、その矢先、何者かによって妻が誘拐されてしまいます。 改心して真理亜への愛情を取り戻す幸平ですが、事件には想像を超えた真相が隠されていました。 謎の多い妻を演じた木村佳乃の怪演や、先の読めない展開が話題となった本作。トルコでリメイクもされているため、観比べてみるのもおすすめです。
ジェットコースター的なお話で、途中下車できない!「これは最後まで観るしかない」という力のあるドラマでした。
5位:『奪い愛、冬』(2017年)
奪い、奪われ、まさにドロドロの不倫劇!
■得票数:48票
デザイン会社「アッパーワークス」に勤める池内光(倉科カナ)は、仕事は順調、婚約者の奥川康太(三浦翔平)もおり、公私ともに順調な生活を送っていました。しかしそんな彼女の前に、3年前に突然失踪した元恋人の森山信(大谷亮平)が現れます。 結婚を目前に、康太を愛そうという気持ちとは裏腹に信への気持ちを止められなくなっていく光。一方で、信はすでに結婚していることが発覚するのでした。 鈴木おさむによるオリジナル脚本の本作。主人公たちのほかにも元カレ・元カノ・片想い中のキャラクターたちが入り乱れ、まさにドロドロでまさかの展開がくり広げられます。
サスペンス要素も入っていて、ラストも非常に気になる終わり方だった!
4位:『ホリデイラブ』(2018年)
仲里依紗が浮気をされる妻=サレ妻を熱演!
■得票数:56票
こやまゆかり、草壁エリザによる漫画『ホリデイラブ 〜夫婦間恋愛〜』を原作として、2018年にテレビ朝日系で放送された『ホリデイラブ』。浮気をされてもなお夫のことを忘れられない女性の運命を描いたヒューマンドラマです。 自宅でネイルサロンを経営しながら、夫と娘とともに幸せな生活を送っていた高森杏寿(仲里依紗)。しかし、単身赴任中の夫・純平(塚本高史)が不倫していることを知ってしまい、幸せな生活は一瞬で崩れてしまいます。 傷つきながらも最愛の夫を忘れられない杏寿は、純平の不倫相手からの嫉妬にも悩まされるのでした。 実生活では2013年に結婚した仲里依紗が主演の本作。『あなたのことはそれほど』に続き、2作連続で浮気をされる妻を演じたことで話題になりました。
松本まりかさんの狂気な演技に背筋が寒くなり、色んな意味でゾクゾクしました。
3位:『あなたのことはそれほど』(2017年)
いくえみ綾の人気漫画を実写ドラマ化
■得票数:62票
いくえみ綾の同名漫画を原作として、2017年にTBS系にて放送された『あなたのことはそれほど』。主人公が、運命の人だと信じる初恋相手とW不倫の関係になる姿を描いたラブストーリーです。 優しく真面目な渡辺涼太(東出昌大)と結婚するものの、初恋相手を忘れられないままでいる美都(波瑠)。幸せな生活には妥協も必要だと割り切っていた彼女ですが、ある日偶然にも初恋相手と再会してしまいます。 惹かれあい一線を越えてしまった2人は、互いの家族を巻き込んだ破滅の道に進んでいくことに。 人間の欲や狂気がジワジワと侵食していくストーリーが印象的な本作。いくえみ作品のなかでも人気が高く、原作ファンも納得のドラマに仕上がっています。
東出昌大さんの演技が怖かったです。主要キャストのほとんどに共感できませんでしたが、つい続きが気になってしまう面白いドラマでした。
2位:『失楽園』(1997年)
文芸界、映画界にも歴史を残した伝説的ドラマ
■得票数:68票
渡辺淳一による同名小説を原作に、1997年に日本テレビ系にて放送された『失楽園』。平穏な生活を捨てるほど1人の女性にのめり込んでいく男性の姿を描いたラブストーリーです。 妻と娘とともに平穏な生活を送っていた新聞社社員の久木祥一郎(古谷一行)。娘の結婚を間近に控えたある日、彼女は婚約者から婚約破棄を申し出され、祥一郎は原因を探ることに。 人妻の松原凛子(川島なお美)が原因であることを知った祥一郎は彼女に会いに行きますが、自分自身が彼女に惹かれてしまいます。 原作も映画版もヒットを記録し、同じくドラマ版となる本作も高視聴率を獲得しました。男女の感情の機微や、そこから生まれる情事を真っすぐに描いた稀有な作品になっています。
もともとが文学作品として確立している上、映画版とドラマ版それぞれの配役や展開など違いを楽しめたので。
1位:『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(2014年)
流行語にもノミネートされた“昼顔妻”がテーマ!
■得票数:143票
井上由美子によるオリジナル脚本で、2014年にフジテレビ系にて放送された『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』。平凡な主婦と高校教師が不倫関係に陥っていく姿を描いたラブストーリーです。 平凡な夫婦生活を送りながら、パートとしてスーパーで働く笹本紗和(上戸彩)。ある日、紗和はパート先で知り合った人妻が不倫を楽しんでいることを知ります。 自分には関係のないことだと考える紗和でしたが、やがて高校教師・北野裕一郎(斎藤工)と出会った彼女は彼への想いを抑えることができず……。 流行語大賞にノミネートされるほどの社会現象となった“昼顔妻”をテーマとした本作。映画化されるほどの人気を獲得するだけでなく、現代の問題に切り込んだ内容も高い評価を得ました。
ハラハラするストーリーについ夢中になってしまうし、上戸彩と斎藤工の切ない関係を見ていると胸がドキドキします。
出演者がみんな良かった。ドロドロしていて救いのないラストにも、考えさせられるものがあった。そして背徳感のあるシーンなのにも関わらずすべてが綺麗。
【解説】「昼顔」が流れを変えた!日本の不倫ドラマ事情を振り返ろう
2014年に放送され、社会現象となった大ヒットドラマ『昼顔』。 結婚5年目で、昼はスーパーでパートをしている主婦の笹本紗和が、偶然知り合いとなった高校の生物教師の北野祐一郎と惹かれ合い、不倫関係に陥っていく様を切なく激しく描き、大変な話題となりました。 『昼顔』は2017年に続編として映画化され、再び話題に。『昼顔』の放送以降、数多くのドラマで題材として取り上げられている不倫。 不倫ドラマは昔から現代にいたるまで常にありましたが、この一大ブームを起こした『昼顔』を境に、日本の不倫ドラマは少しずつ変化してきているのです。 ここからは最初にブームとなった1980年代から現代にいたるまでの不倫ドラマの変化を、代表作品を紹介しながら解説します。
はじまりは「よろめき妻」の誕生から
1960年代から製作されていた「不倫」をテーマにした作品たち
不倫ドラマは1960年代頃から製作されており、その多くが昼の時間帯に放送されていました。 もちろん不倫以外のテーマを扱った昼ドラマもありましたが、初恋の相手を想い続ける未亡人の姿を描いた『真珠婦人』(1974年)はよく知られています。不倫のみならず、ドロドロした人間模様を描くサスペンスも放送されていました。 昼ドラ以外でも不倫ドラマは製作されていました。ミステリー要素も含まれた『黒の斜面』(1971年)は2016年にリメイク版が放送。また妻の不倫をきっかけのひとつとして崩壊し、そして再生する家族の姿を描いた『岸辺のアルバム』(1977年)は名作として現在も知られています。 これらが放送されていた当時、不倫ドラマは「よろめきドラマ」と呼ばれていました。 かつて想いを寄せていた相手との再会をきっかけに、不倫に走り苦悩する女性を主人公にした三島由紀夫の小説『美徳のよろめき』が由来です。ここから派生して「よろめき妻」という言葉も流行しました。
現在の不倫ドラマの元祖『金曜日の妻たちへ』
そんな中、大きなブームを巻き起こしたドラマが1983年に放送された『金曜日の妻たちへ』です。 罪悪感に苛まれながらも不倫から抜け出せずにいるヒロインを描いたそれまでの不倫ドラマと違い、自らの人生を積極的に楽しみ、自由に不倫に走る女性たちの姿を描いた今作は新しい時代を感じさせ、当時の女性たちの間で大人気を博しました。 東京郊外に住む仲の良い3組の夫婦に突如降りかかる、不倫や離婚という問題。6人でいつも家族のように仲良く過ごしていたはずなのに、1組の夫婦の不倫問題から、6人の関係性は崩れ始め、複雑に絡み合います。 これをきっかけにかつて流行した「よろめき」は忘れられていき、不倫ドラマの新しい潮流が生まれたのです。
「第1次不倫ドラマブーム」のおこり
『不機嫌な果実』が大ヒット!
林真里子の小説『不機嫌な果実』は、1997年にドラマ化され大ヒットしました。 結婚生活に不満を募らせている主人公が、かつての恋人と再会、再び惹かれあっていくも、さらに年下の男性との恋を経験するという、夫のある身ながら揺れ動く女性の心情を過激に描いた作品です。 一見普通に見える主婦が「夫以外の男とのセックスは、どうしてこんなに楽しいのだろうか。」という言葉とともに、悪びれもなく不倫を楽しむ様子は衝撃を与えました。 3人の男の間で揺れる主人公の主婦・水越麻也子は石田ゆり子が演じ、その演技は高く評価されました。夫の航一を渡辺いっけい、麻也子のかつての恋人・野村を内藤剛志、年下の音楽青年・通彦を岡本健一が演じました。 本作のヒットをきっかけに起きたのが「第1次不倫ドラマブーム」です。 翌1998年には、罪悪感に苦しみながらも不倫相手との子を妊娠してしまう女性の姿を描いた『Sweet Season』などの不倫ドラマが製作され、本作と同年の『失楽園』や1996年の『Age,35恋しくて』も大ヒットを記録しました。
「第2次不倫ドラマブーム」のきっかけとなった「昼顔」
ドラマの爆発的ヒットが社会現象にまで
第1次不倫ドラマブームが去り、「不倫」というコンテンツが下火になっていた2014年に放送されたのが『昼顔』でした。これはその年の流行語に「昼顔」がノミネートされるなど、社会現象を巻き起こした爆発的ヒット作に。 ドラマの放送と同じくして、世間では、夫が仕事に出ている昼間に不倫の恋の花を咲かせる女性「昼顔妻」が増えている、とニュースや情報番組でも取り上げられていました。 ドラマ『昼顔』の主人公である紗和とその友人である利佳子もまた、昼間に思いを寄せる男性と逢瀬を重ねています。 世の中の動きとシンクロするようなストーリーが多くの女性の心を捉え、本作は爆発的ヒットドラマとなりました。そして本作は「第2次不倫ドラマブーム」の起爆剤となったのです。
いったいなぜ?ドラマ「昼顔」がヒットしたわけ
道ならぬ恋であり、許されない関係である不倫。その不倫を描いたドラマ『昼顔』がここまでヒットしたのはなぜなのでしょうか? 「昼顔」では、平凡で幸せな生活に寂しさと物足りなさを感じている主人公・紗和が、北野との出会いや恋によって少しずつ本来の姿を取り戻していく姿が切なく丁寧に描かれています。 夫婦仲が悪いわけではなく、大きな不満があるわけでもない、でもその毎日に紗和は消耗していました。 そんな紗和に女性視聴者たちは共感し、自分の姿を重ね合わせ、北野との不倫の恋にのめり込んでいく紗和の姿に胸をときめかせたのでしょう。 これまでは、男性側のみが既婚者であったり、男性側の視点で描かれることも多かった不倫ドラマです。平凡で幸せなはずの主婦が、寂しさと葛藤を抱え、不倫の恋に苦悩する姿は、リアリティあふれる生々しいドラマとして、世の女性たちの心を掴んだのです。
『不機嫌な果実』がリメイク版として蘇る
「昼顔」のヒットをきっかけに不倫ドラマブームの起こりが見られはじめ、その中で1997年に放送され大変な話題と注目を集めた不倫ドラマ『不機嫌な果実』が、2016年に蘇りました。「第2次不倫ドラマブーム」の象徴ともいえます。 2016年放送のドラマ『不機嫌な果実』は、設定やストーリー展開はそのままに、それぞれのキャラクターが濃く過激にパワーアップ。冷え切った関係の夫・航一がヒステリックでマザコン気質だったりと、思わず麻也子に共感できてしまった女性も多いのではないでしょうか。
前代未聞!その後は不倫ドラマ戦国時代に突入へ
ドラマ『昼顔』のヒットを受け、その後のドラマが不倫を描いたものが増えたことは、言うまでもありません。 2015年には田中麗奈主演の『美しき罠~残花繚乱~』、2016年には、『毒島ゆり子のせきらら日記』、『不機嫌な果実』と連続ドラマで多数の不倫ドラマが話題と注目を集めました。 2017年には『奪い愛、冬』、『あなたのことはそれほど』と不倫を題材にした過激なストーリーのドラマが人気を博しています。だいたい1クールには1本、不倫ドラマがあるという状態だったのです。まさに不倫ドラマ戦国時代といえるでしょう。
「第2次不倫ドラマブーム」のテーマとは?
「昼顔」を境に起きたこの「第2次不倫ドラマブーム」での大きな潮流が「復活愛」だといえます。それは忘れられない過去の恋人、または好きな人との再会によって始まってしまった不倫のことで、その「復活愛」を描いた作品がこの時期は多かったのです。 2017年4月より放送された『あなたのことはそれほど』では波瑠が不倫にはまってしまう妻を演じました。彼女の演じる美都は初恋の相手である有島(鈴木伸之)と再会してしまい、「2番目に好きな人」である夫(東出昌大)をよそに有島と不倫関係になります。 これはいわゆる「ダブル不倫」を描いたもので、この時期社会でも注目を集めていた不倫スキャンダルとも関係する作品となりました。 また本作の特徴として、“透明感のある”作品と評されたことがあります。演技派ながら清純なイメージを持つ波瑠が主演を務めたことが関係しているのでしょうか。
また2018年1月に放送された『ホリデイラブ』も、ほかの不倫ドラマとは一線を画するものとなりました。不倫をする立場の人物ではなく、不倫をされる妻・通称「サレ妻」を主人公にした本作は、ほかの不倫ドラマと比べると身近なストーリーとして感じやすい作品となりました。 近年恋愛ドラマは多様化しています。さまざまな愛の形を認めようとする社会の流れに従ってのことかもしれませんが、それによって恋愛ドラマの在り方が拡張されているのも事実です。 「あなそれ」の透明感の正体は、「恋愛のひとつの形」として不倫を描こうとしたことが関係しているのでしょう。 今後「不倫ドラマ」は昼、深夜の時間帯にのみ放送される大人向けの所謂「ドロドロドラマ」のみならず、ほかの恋愛ドラマと同じような位置づけで語られることになるのかもしれません。
多様な愛のかたちを肯定する時代へ
これまでは「結婚し、1人の相手と一生を添い遂げる」という価値観が強い世の中でしたが、それも変わってきています。女性も男性も「結婚後も自分の幸せを追求していい」という価値観に変わってきているのです。 2020年に放送された『恋する母たち』では、子供を育てながらそれぞれの恋に悩む3人の女性が描かれました。これまでであれば「子供がいるのに……」と言われるような内容ですが、1人の人間として幸せを追い求める姿に、共感の声も集まりました。 離婚は決して否定的に捉えられるものではなく、前に進むための第1歩と考えることもできるのです。
【考察】たびたび不倫ドラマがブームになって流行するわけ
不倫を描いたドラマは数多くあれど、それが流行になるのはどうしてなのでしょうか。 ドラマや映画の中で繰り広げられる恋愛や人間関係は、どれだけリアリティがあってもフィクションの世界の話です。実際にはできない不倫のような背徳の恋は、フィクションのドラマ内でしか楽しむことができないものだからこそ、需要があるのかもしれません。 また系譜を振り返ってもわかるように、女性の社会進出や独立とともに、多様な恋愛のあり方を描く機会が増えていったともいえそうです。 不倫ドラマの視聴者は主婦が多いといわれていますが、その視聴者の多くが不倫願望を持っていたり、影響を受けているわけではないでしょう。 道ならぬ恋、許されぬ背徳的な恋は、日常とは相反するものなので、刺激が強く、心を打たれるのではないでしょうか。 実際に願望を持つ女性が増えた、ということもあるかもしれませんが、日頃は家事をがんばり、家族を大切にしているからこその、その裏返しなのでしょう。
人間の本能的な欲求を描く!不倫ドラマでハラハラドキドキしよう
実生活では遠ざけたいものとして扱われながらも、定期的にブームになる不倫ドラマ。その理由は、人間の本能的な欲求があるからではないでしょうか。 「今の生活に不満はあるけどリスクは冒したくない」「満たされない欲求をドラマで補いたい」といった、普段は出せない思いが視聴率やSNS上での流行などとして表れている気がします。 さまざまな視点で楽しめる不倫ドラマ!観たことがない人はぜひ1度お楽しみください。