2017年7月6日更新

宮崎駿は本当に引退してしまうの?日本アニメ界の巨匠の引退発言まとめ

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宮崎駿
©︎Orban Thierry/MCT/Newscom/Zeta Image

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なぜ宮崎駿は引退と復帰を繰り返すのか?その真意とは

『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』、『ハウルの動く城』など日本人なら誰しも一度は観た事があるであろうスタジオジブリ作品。そんな数々の大作を創りあげてきた日本アニメ界の巨匠・宮崎駿は、これまで何度も引退宣言をしてきていることをご存知ですか? 長編アニメ映画はもう作らない等の発言をし惜しまれながら引退したと思いきや、数年後復帰し新作を発表してきた宮崎。ここではそんな宮崎の引退に関する発言をまとめ、それでもなお新作を手掛けていく宮崎の真意についても考察していますのでご覧ください。

『もののけ姫』完成後、「これを最後にしたい」と発言

もののけ姫
©Miramax Films/Photofest

1985年にスタジオジブリが設立されて以来、過去最高の約20億円という製作費をかけてつくられた『もののけ姫』。興行収入は193億円を超え、当時の日本の興行記録の第1位を15年ぶりに塗り替えた名作です。 しかし『もののけ姫』の完成後の打ち上げで、「これが最後の作品となる」と発言したことから世間は大きな衝撃を受けました。宮崎は製作中も度々引退をほのめかしていたといい、公開後のインタビューでも「とにかく死に物狂いでやった」「これを最後にしたい」「他のこともやりたい」と発言しています。 宮崎のこういった発言がメディアでも大きく報じられ、1998年6月にスタジオジブリを退社。個人事務所・二馬力のオフィス兼アトリエである「豚屋」を建設し、そこで新作アニメの制作に取り組んでいました。しかしそれはジブリでの活動ではなかった為、実質的引退とされています。スタジオジブリ以外から作品を発表し驚かせたかった、等との噂もありますが本当かどうかは定かではありません。

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引退発表後、わずか1年で復帰!

世間を賑わせた「宮崎駿の引退」から1年後の1999年、宮崎はスタジオジブリに所長として復帰します。 高畑勲監督による同年公開の映画『ホーホケキョ となりの山田くん』の制作を担当。さらに宮崎の友人の娘の為につくったという『千と千尋の神隠し』の企画構想を同時期から練り始めた事から、監督としても本格的に再始動することとなりました。

『千と千尋の神隠し』の完成披露試写会では「長編はもう無理」と発言

『千と千尋の神隠し』
© 2001 Studio Ghibli・NDDTM

企画開始から約2年後の2001年の夏休みが始まる頃、大ヒット作となる『千と千尋の神隠し』が公開されました。興行収入は300億円を超え、この日本歴代興行収入トップを誇り、これは2017年6月現在も塗り替えられていません。 本作の公開にあたって、完成披露試写会が2001年7月10日に行われました。登壇した宮崎は、質問者からの「今後のご予定は?」という問いに、「長編はもう本当に無理ですね。体力的に。」と返答。長編アニメーションからは引退するととれる発言をしています。 しかし2002年10月、当初細田守が監督として制作が進められていた『ハウルの動く城』の後任として宮崎が監督に就任。ジブリ史上第2位となった、興行収入196億円という大ヒットを記録する長編映画を見事生み出しました。

『ポニョ』制作中、「最後の長編になる」と引退をほのめかしていた

『崖の上のポニョ』
© 2008 Studio Ghibli・NDHDMT

2008年7月19日に公開された『崖の上のポニョ』は、宮崎駿が制作中に体力的にも最後の長編になるだろうといいながら制作し終えた作品でした。公開当時67歳だった宮崎は体力的な衰えを感じており、『ポニョ』も週3回のマッサージに通いながら制作し終えたといいます。 そんな宮崎の引退発言の効果もあってか、『崖の上のポニョ』は公開1ヶ月で興行収入100億円を突破。なかなかの売れ行きになると思われていました。しかししばらくすると本作よりも『ハウルの動く城』の方が観客動員数・興行収入ともに多くなっている事がわかり、その事に宮崎はひどく落胆したといいます。 自身が初めから手掛けた『ポニョ』よりも、途中から監督を引き継いだ『ハウル』の方がヒットしていることがよほど悔しかったのか、公開後には「もう一本作る」とやる気を露わにしました。

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「今回は本気です」と断言した『風立ちぬ』

『風立ちぬ』
© 2013 Studio Ghibli・NDHDMTK

『崖の上のポニョ』の制作を終えた宮崎は『風立ちぬ』の漫画連載を始めていました。本人曰くこれは「趣味として描いていたもの」で映画化するつもりは全くありませんでしたが、鈴木プロデューサーが映画化を提案し、それに押し切られる形で映画化の話が進んでいったそうです。 本作はイタリア・ベネチア国際映画祭にも出品され、世界中から好評価を得ることに成功しました。しかしその映画祭の公式会見において、これを最後に宮崎は長編映画から引退するという旨が、スタジオジブリの星野社長の口から発表されたのです。 その後東京では急遽引退会見が行われました。会見では宮崎本人が「今回は本気です」「僕の長編アニメーションの時代ははっきり終わった」と発言しており、長編アニメから撤退する旨を公言しています。

宮崎駿、2017年に引退撤回し新作長編アニメを制作中だと発表!

『風立ちぬ』を最後に長編アニメーションから退き、以後は短編アニメ『毛虫のボロ』を制作中だった宮崎。しかし2017年2月24日、宮崎が新作長編の制作に取り掛かっていると鈴木プロデューサーの口から発表され、実質的引退撤回となりました。 2016年11月にNHKで放送された宮崎のドキュメンタリー番組では、「2019年新作長編公開」と示唆されていましたが、プロデューサの鈴木氏はこれを否定。「そんなことできるわけない」と、公開にはまだ程遠い進捗状況だということを報告しました。 次回作についてまだ詳細な情報は公開されていませんが、公式HPで新スタッフの募集を開始し新しいチームでの長編制作をスタートさせています。長年宮崎と共に仕事してきた鈴木プロデューサーや、2017年現在76歳となっている宮崎自身も「年齢的に本当に最後の作品になるだろう」と語っており、次回作が本当の本当に最後になってしまうかもしれません。

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引退・撤回を繰り返す宮崎駿の真意とは?

いかがだったでしょうか。確かに宮崎はこれまでに度々引退宣言をしては撤回し、新しい長編アニメーションを作り続けていました。しかしそれは一つ一つの作品にいつも全力を注いでおり、引退したくなるほど身を削っているという事なのではないでしょうか。 実際の所は本人以外知りえない事ですが、あれだけ大々的に引退会見したものの数年後にそれを覆すというのは、並々ならぬ思いがないと簡単に出来る事ではありません。 「アニメ映画は子どもの為にあるもの」という理念から、これまで一貫して子どもたちの為に映画を作り続けてきた宮崎。ジブリ作品とともに成長してきた、という子どもも少なくないでしょう。現在とこれからの子どもたちの為にも可能な限り作品を創り続け、日本を代表するアニメ監督としてさらに世界に名を轟かせていってほしいですね。