なんでクリスピークリーム!?『パワーレンジャー』監督に単独インタビュー!【ネタバレ注意】

2017年7月20日更新

2017年7月15日(土)より全国公開される映画『パワーレンジャー』。ciatr編集部に所属するライター、ANAISがこの度映画のプロモーションとして日本に訪れていた今作の監督ディーン・イズラライト氏に単独インタビューをしてきました!

『パワーレンジャー』監督に単独インタビュー!

「イッツ モーフィン・タイム!(変身だ!)」 海外ではこの文句で親しまれ、愛され続けているアクションシリーズ、「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」。1993年の初回放送から、およそ24年もの年月を経て“現代版”としてアレンジされた映画最新作『パワーレンジャー』がついに2017年7月15日(土)に公開されます。 今作では現代の田舎町に暮らす、互いをあまり知らない高校生5人が出会い、「パワーレンジャー」として地球を救うという運命を受け止め、ヒーローになっていく過程がより濃く描かれています。 勿論、白熱したバトルシーンや印象的なカメラワークで映されるアクションなども盛りだくさんですが、そういったヒューマンドラマが特徴的な作品。監督のディーン・イズラライトはどのような思惑で撮影に臨んだのでしょう? 映画の中で印象的だったトピックを中心に、今回ciatr編集部に所属するライターANAISが単独インタビューを以て監督に直接伺ってきました!

今回が監督2作目!『パワーレンジャー』の監督に抜擢された気持ちは?

パワーレンジャー

ANAIS:今作がディーン・イズラライト監督にとっては、2作目となる監督作品でしたね。1作目と比べて予算も大幅に変わったでしょう、決まったときの心境はいかがでしたか? ディーン・イズラライト監督:凄くエキサイティングな気持ちだったよ。何故なら、僕が撮った最初の映画と関係しているんだ。僕にとっての長編映画デビュー作である『プロジェクト・アルマナック』はティーンエイジャーが成長していく事を描いたもので、面白い一方で少し感傷的な作品なんだ。あの作品から僕はとても多くを学んだ気がしていて、それを今回『パワーレンジャー』をどんなトーンの映画にすべきかという事に役立てた。だからこそ、僕が『パワーレンジャー』に対してどうすべきかがわかる、自信が持てたんだよ。

幼少期は“ごっこ遊び”をしていた!?

ANAIS:監督は南アフリカ出身だと伺っていますが、幼少期は南アフリカでもパワーレンジャーブームが起きていましたか? ディーン・イズラライト監督:そうだよ!毎日学校から帰ってくると、TVで「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」がやっていて、カートゥーンネットワーク(アニメ専門チャンネル)で観ることが出来た。カートゥーンネットワークといっても、本国とは少し違ったものだけどね。だから僕は「パワーレンジャー」は勿論、「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」にもハマっていたよ! ANAIS:そうだったんですね!子供ってアニメにハマると“ごっこ遊び”をよくしますが、監督はされましたか? ディーン・イズラライト監督:もちろんさ。僕と兄弟は空手をその時やっていて、「パワーレンジャー」だけでなく「忍者タートル」ごっこもしていたよ。

ディーン・イズラライト監督が一番好きなキャラクターは?

ANAIS:ごっこ遊びもしてたという事で、ズバリ一番好きなキャラクターは誰でしたか? ディーン・イズラライト監督:幼い頃は、レッドレンジャーが好きだったな。彼は空手を凄いやっているキャラで、僕も空手をしていたからさ。だけど、今作『パワーレンジャー』においてはザック(ブラック)が一番好きだな。 リーダー格のキャラクターについてのドラマが描かれている事はよくあるけど、ザックのようなサポート側で登場する子自身の問題や、モーメントがよく描かれていて、それを観るのが面白いよね。

『パワーレンジャー』レンジャーキャストの国籍がバラバラな理由

『パワーレンジャー』
(c)2016 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.

ANAIS:先ほど気に入っているとおっしゃっていたザックですが、彼を演じたルーディ・リンは中国系カナダ人ですし、主人公を演じるデイカー・モンゴメリーもオーストラリア出身、ナオミ・スコットもイギリス人です。ここまで国籍がバラバラとなったキャスティングは意図的なものだったのですか? ディーン・イズラライト監督:僕たちは、ただ個々のキャラクターに一番合う人を選んだんだ。それがたまたま、世界的なキャスティングになったんだよ。偶然ではあったけど、僕らはそれがクールな結果になったと思った。何故なら、「パワーレンジャー」はもともとワールドワイドなアニメだからね。世界中のファンにとって、映画の中のレンジャーが“代表”となるんだよ。 それにアフリカ系アメリカ人やアジア系、ラテン系をキャスティングしたいという気持ちをずっと持っていたよ。でも、僕らは誰がどんな人種になるかはわからなかったんだ。ビリーがアフリカ系アメリカ人ではなく、ザックがそうなっていた可能性もある。彼らが彼らのキャラクターになったのは、オーディションの際にその役がパーフェクトに合ったからなんだよ。

何故、障害を持つ子供をレンジャーとして登場させたのか

ANAIS:今作ではレンジャー内に人種が混じっていること、更にビリーのような自閉症スペクトラムであるメンバーがいる事を特徴的に感じました。さらにビリーはチームにおいて重要なキーマンの役割を担っていましたね。その設定に、とてもインスパイアされました。今回、どうしてこのような“多様性”をレンジャーに持たせたのですか? ディーン・イズラライト監督:僕らはいつも多様性をもってキャスティングしたいんだ。僕たちにとって映画を製作するうえで重要だったのは、現代の2017年におけるアメリカがあらゆる人種の子供達で形成されている事実。 アメリカに多様な人種が混在している事は、誰が見ても歴然としているだろう?それに、色んな問題を抱えている子供達がいる。それらの多様性をキャラクターに投影することが重要だったんだ。 さらに重要だったことは、彼らが「揺れてぐらついている」ところだ。様々な問題を抱えた人にとっての代表であることなんだよ。例を挙げれば、トリニーだ。彼女は自分自身のアイデンティティを映画の中で自問している。この過程をどのようにドラマにしていくかが、我々にとって映画を製作するうえで大切な事だったね。

長いプロセスで試行錯誤された、劇中に登場する“ナウい”挿入歌

ANAIS:今作では劇中に使用されている楽曲も非常に特徴的でした。例えば、トゥエンティ・ワン・パイロッツの「We don't believe what's on TV」のようにタイトルからティーンエイジャーの思惑を感じられそうなものから、トーヴ・ローの「Vibes」、そしてカニエ・ウェストの「Power」といったミレニアル世代に欠かせないようなサウンドも多く登場しました。一方で、ベン・E・キングの「Stand By Me」といったクラシックな名曲も混在していますね。これらの楽曲チョイスの過程や意図をお聞かせください。 ディーン・イズラライト監督:映画を製作する前に、僕と音楽のスーパーバイザーで考えを共有していて、「今作にはどんな音楽が含まれているべきか」というプレイリストを作ったんだ。そして映画を編集していく過程で、毎日そのシーンに対して沢山の種類の音楽を合わせて、映画と組み合わせた時にどうなるか検証していった。 例えば、トゥエンティ・ワン・パイロッツの中でもどの楽曲が一番良いのかって、彼らの全ての曲を合わせて確かめていくんだよ。 完璧な楽曲をそのシーンにいれても、そのシーンや映画自体が完璧になるとはわからないからね。だから僕たちは、そういったとても長いプロセスを経て、何百もの歌の中から一番良いものを選んでいったよ。

まるで自分がその視点に立っているようなカメラワーク

パワーレンジャー

ANAIS:冒頭でジェイソンが事故を起こしたシーンで、車内から撮影されている事で観客も事故に遭っているような、鬼気迫る感覚になりました。今作におけるカメラワークについてお聞かせください。 ディーン・イズラライト監督:僕はこの映画を他のスーパーヒーロー映画と比べて、映像面で非常に異なったものにしたかった。そこで、映像視点に強い“親しみ”を持たせたかったんだ。 例えば先ほど例に挙げてくれたカーチェイスのシーンは、沢山の異なるアングルを持っている。しかし特に意識的に作りたかったのは、少し変わっていて、観客が予期していなかった出来事がおきてもそれを理解できるという点だね。観客が意識的にも、無意識的にも、これから観る映画は大きな規模感であると感じつつ、彼らがいつもキャラクターと同じ視点に立てるものだと理解できる、そんなものを作ったつもりだよ。

オリジナルの『パワーレンジャー』ファンに対するアプローチ

ANAIS:どのように、また映画のどのような場面でオリジナルのファンに対してアプローチをしましたか? ディーン・イズラライト監督:アメリカの放送で使われていたオリジナル楽曲を使用したり、オリジナルだけでなく「スーパー戦隊」に影響を受けた怪獣キャラクター、さらにとても初期の「スーパー戦隊」のアクションシーンの要素を取り込んだね。そうする事でオリジナルに対して敬意を払ったんだ。 ANAIS:レンジャーがついに変身した直後に荒れ地で敵と闘うシーンなんて、まさにそうですよね! ディーン・イズラライト監督:そうそう、まさにそこなんだよ!砂漠っぽいヴィジュアルであったり、岩がごろついているような荒れ地で闘うシーンは、意図的に撮ったんだ。何故ならオリジナルにおけるアクションの中でも、とても代表的なシーンだからさ。

何故、クリスピークリームドーナツだった!?【ここよりネタバレ注意】

ANAIS:この質問は個人的に非常に監督ご自身に聞きたかったのですが……何故クリスタルの隠し場所がクリスピークリームドーナツだったのでしょう!?(笑) ディーン・イズラライト監督:まず、脚本家と一緒にこの映画をつくるって時に、まだクリスタルがどこにあるべきかわかっていなかったんだ。その時に沢山のアイデアを出し合ってね。例えば大きな岩の中にあるとか、天使の形をしていて、だから彼らの住む街は「エンジェル・グローヴ」という名前なんだとか。地形的なアイデアが沢山出て来たんだけど、どれもこれもなんだかよくある話で、使い古されている気がしてね。 しかし、ある晩僕らが街を歩いている時に、脚本家のジョン・ゲイティンズが「金のアーチの中に埋め込んじゃおうよ!」とマクドナルドを指して言ったんだ。僕はそれに対して「なんて賢いんだ!」って思ったよ。だって、紀元前からその辺に埋まっているとしたら、恐らくその上には何かが建設されているだろう?偏在的にそこにあるのだから。

パワーレンジャー ディーン・イズラライト監督

そこで僕は「マクドナルドはなんかちょっと違うな。スターバックス的なものが良い」と言ったんだ。何故ならアメリカでは、スターバックスなんか本当その辺に沢山あるからね!(笑)そこで、スターバックスを念頭に起きながら僕らは街中で見かけやすいお店のリストをじっくり眺めていた。その中にクリスピークリームドーナツがあったんだ。 クリスピークリームドーナツの下に、全ての生命の源力となるクリスタルが埋まっているなんて爆笑ものだと思ったよ。 ANAIS:レンジャーの皆が、シリアスなシーンで「クリスピークリーム」と連呼しているのは笑ってしまいました(笑) ディーン・イズラライト監督:でしょ?この笑いが映画のトーンを少しあげてくれるんだ。しかも、クリスピークリームドーナツはティーンエイジャーに凄くフィットしている店だし、彼らが放課後集まるような憩いの場だ。彼らのカルチャーを代表しているお店の一つだよね。 それに何が面白いって、もともとクリスピークリームドーナツとは協賛関係になかったんだ!ただ、僕らが勝手にクリスピークリームドーナツを登場させただけなんだよ(笑)

「この映画は特に僕のような人間に見てほしい」

パワーレンジャー

ANAIS:先ほどからティーンエイジャーに焦点を当てた映画作りのエピソードをいくつかお話いただきましたが、やはり今作はティーンエイジャー向けに作ったのでしょうか?それとも、オリジナルのファン世代に? ディーン・イズラライト監督:本当のゴールとしては、この映画は特に僕のような「パワーレンジャー」を観て育った世代の人たちに観てほしい。20年以上も今作に触れる事がなかったけど、作品に関する知識は少しばかりある層だ。そんな彼らが今作の予告編をみて「自分があんなに好きだった作品だ」という事を思い出して、新たなバージョンの映画を観に行ってみようと思ってくれるのが本望。

監督から『パワーレンジャー』鑑賞者へのメッセージ!

ANAIS:ciatrユーザーの皆様、ならびに『パワーレンジャー』を観に行く観客にメッセージをお願いします! ディーン・イズラライト監督:この映画はとても面白いし、アクション要素も非常に高い。でもそれだけでなく、キャラクター描写もしっかりしていて、とてもリアルでエモーショナルです。若い世代の人も、親世代の人も間違いなく楽しめる作品となっています。