【魚喃キリコ】女の子の張り裂けそうな痛みを描く、彼女の作品の魅力とは

2017年8月18日更新

シンプルな線で描かれるクールな作画と、余白を大切にした独特の空気感のストーリー展開、読むものの心にじんわりと染み入るリアルさと切なさがクセになる魚喃キリコの世界。続々実写映画化されている彼女の代表作についてご紹介します。

魚喃キリコとは

魚喃キリコは日本の女性漫画家で、繊細さと力強さを併せ持つ、独特のタッチで描かれるクールな絵柄は、一度目にしたら忘れられないほどの存在感を放っています。リアルな痛々しさを放つ繊細なストーリーには、登場人物の心情がときに優しく、ときに鋭くえぐるように描かれているのです。 作者の実体験を元に描かれたというストーリーは、読者の心にそっと染み入り、自身の経験と溶け合うかのように強い共感を呼びます。大人の女性にこそおすすめの、リアルで切なく、そして美しい魚喃キリコの代表作をご紹介します。

4人の女性を通して描かれる、日常『strawberry shortcakes』

4人の女性を軸に等身大の、恋・仕事・友情そして日常が、魚喃キリコ独特のヒリヒリとした質感で描かれる『strawberry shortcakes』。性格も職業もまったく違う女性たちの日常が穏やかに交差していく様子が、繊細に切なく描かれています。 失恋したばかりの里子は、デリヘルの電話番という怪しい仕事に就くことになってしまいましたが、そこで不思議な女性・秋代に出会います。彼女はデリヘル嬢として生計を立てながら、墓場の近くに住んでいます。 一方、イラストレーター塔子は、OLのちひろと二人暮らし。創作に息詰まる自分を過食嘔吐でごまかすことしかできないやるせない日々を送る塔子とは違い、恋に夢中なちひろ。表面的には仲の良い同居人である二人は、互いに言葉にできないわだかまりを抱えており……。 実写映画では、池脇千鶴を主演に、実力派が脇を固めています。『3月のライオン』の監督を務めたことでも有名な矢崎仁司がメガホンをとっています。 等身大の女性が描かれた本作に共感する人も多いはず。

思春期の女の子のすべてがここに『blue』 

周囲と馴染めず常に孤独を感じている少女・桐島カヤ子は、留年したために自分と同級生となった遠藤雅美と親しくなります。彼女もまたカヤ子と同じように不安と孤独を抱えていましたが、彼女にはカヤ子がこれまで知らなかった、彼女だけの世界がありました。 親しくなったミステリアスな少女から、これまで体験したことのなかった世界を教えてもらい、自分の知らなかった自分と出会う。『blue』には、思春期の女の子だけが持つ、繊細で美しく、それでいて激しさを秘めた感情がていねいに描かれます。 憧れの存在・遠藤雅美によって本当の自分を見つけたカヤ子。その思いはいつしか淡く切ない恋心へと変わってゆくのでした。 映画では、はっきりと同性愛ともいえぬような思春期の少女を市川実日子と小西真奈美が演じています。 のどかな景色と、女子校という空間で生きる少女たちの姿をしっかりと描いた佳作です。

名作『南瓜とマヨネーズ』も公開予定

2017年11月に実写映画が公開予定となっており、早くも話題を集めている『南瓜とマヨネーズ』。ミュージシャンをめざす恋人を支えながらも、迷い多き日々を送る主人公の土田。恋人・せいいちとの暮らしのために夜の仕事を始めた土田でしたが、いつしか客と関係を持ってしまっていたのでした。 日常と現実にやんわりと引き裂かれていく女性の心情を切なく描いた今作でヒロインを務めるのは、臼田あさみです。ミュージシャンを目指しながらも日常に消耗していく恋人・せいいちを演じるのは太賀。土田の過去の恋人で偶然の再会を果たすハギオにオダギリジョーが扮します。