【『そして父になる』他】“新生児取り違え”を題材にした作品まとめ

2017年9月16日更新

産まれて間もない赤ちゃん同士が入れ替わってしまうという“新生児取り違え事件”。そんな不幸な事件は世界各国で起こっており、本当にあった事件を題材にした作品はこれまでいくつも制作されています。今回はそんな作品をご紹介していきましょう。

愛する我が子が他人の子だと知ったとき、あなたならどうする?

自分のお腹を痛めて産んだ子が、これまで手塩にかけて育ててきた子が、実は他人の子だったら……。言葉では言い表せないほどの感情が、母親はもちろんのこと周りの家族にも押し寄せてくる事でしょう。 しかし信じられないことに、新生児取り違え事件は昭和40年頃から全国で多発した実際に起こった話です。少なくともこれまで32件、計64名もの人が被害にあっていることが分かっています。 血縁関係か、それまでの時間か……。あなたがこの問題に直面したとき、どちらを選び、どんな決断をしますか?もし自分だったら、と考えながらご覧ください。

『そして父になる』で話題を呼んだ新生児取り違え事件とは

生後間もない赤ちゃんが、何らかのかたちで他の赤ちゃんと入れ替わってしまう「新生児取り違え事件」。この事件は1957年~71年の間だけで全国で計32件もの数が報告されていますが、発覚していないケースや1957年以前も含めると実に64名以上の新生児が本件の被害に遭っている事が推測されます。 主な原因としては自宅出産がほとんどだった終戦直後から、1955年以降は病院など施設での出産が急増しさらに当時のベビーブームも相まって、助産師や看護婦の数が急激に不足していたという事。対策として、新生児4人に対して看護師1人という法律が定められたほか、親子識別の為のプラスチックバンドの装着が義務付けられています。 それ以降このような事件は減少しました。しかし2013 年、生後直後取り違えられた男性が60歳になってからこの事実を知り、病院側に倍賞請求したという事例が発表され世間を大きく賑わせました。さらに同年に公開された映画『そして父になる』で、事件について知った人も多いようです。 意外にも身近な存在にある新生児取り違え事件。そんな悲惨な事件を題材にした作品をいくつか紹介していきます。

新生児取り違え事件のリアルを追ったドキュメンタリー『ねじれた絆』

当時週刊誌の記者だった奥野修司が、実際にあった新生児取り違え事件を25年間取材し続け1995年に出版したドキュメンタリー作品。福山雅治主演の2013年公開の映画『そして父になる』の参考文献としても使用され、これまで2004年、2013年の2回テレビドラマ化がされています。 小学校の就学時健診で血液型を検査した宇野家の長女・里美。しかしその結果は、両親の血液型からは絶対ありえない血液型だったのです。これによって病院のミスによる新生児取り違えが判明してしまいます。6歳になる里美とその両親の悲劇的な人生をリアルに描いたノンフィクションドラマです。 TBS系列で放送された2004年版では、賀来千香子、辰巳琢郎が夫婦役を、その夫婦の娘役を美山加恋が演じています。フジテレビ系列 で放送された2013年版は、当事者たちが実名と顔を初めて公表したドキュメンタリードラマ構成となっており、板谷由夏や滝藤賢一、西田尚美らが出演しました。

赤いシリーズの『赤い運命』

1976年にTBS系列で放送された連続ドラマ。山口百恵と宇津井健がシリーズの顔を務める赤いシリーズの第3弾で、2005年には同系列で綾瀬はるか主演のリメイク版も放送されました。 伊勢湾台風で大きな被害を受けた東海地方。そこで生まれたばかりのいずみが行方不明になってしまいます。母親である世津子は事件後から記憶喪失に、父親である信人は行方不明となった妻子を心に秘めつつ検事という仕事に多忙を極めていました。そんなある日、実の親子が偶然出会うことになりますが、名前が変わっているいずみに父は全く気づかず……。 いずみ役を山口百恵、父・信人役を宇津井健、入れ替わってしまったもう一人の娘役を秋野暢子が熱演しました。山口百恵はこの赤いシリーズの演技が評価され、第9回テレビ大賞優秀個人賞を受賞しています。

伊坂幸太郎の小説が原作の映画『ポテチ』

2007年刊行の伊坂幸太郎の短編集『フィッシュストーリー』に収録された『ポテチ』が、2012年に映画化されました。『アヒルと鴨のコインロッカー』、『ゴールデンスランバー』と同様、中村義洋が監督を務め撮影はすべて仙台市内で行われた作品です。 空き巣を生業としていた今村は、ひょんな事から付き合う事となった彼女・若葉と、ある有名人の家に忍び込みます。それは今村が運命を感じているというプロ野球選手・尾崎の部屋でした。必要以上に尾崎に執着する今村に違和感を覚える若葉でしたが、今村の出生の秘密を知ったとき、ある1つの結論に辿り着きます。 主人公・今村役は中村作品の常連、濱田岳が好演。若葉役は木村文乃、今村が尊敬する空き巣のプロ・黒澤役は大森南朋が演じ、そのほか通行人役で竹内結子やブレイク前の松岡茉優など、豪華キャストが名を連ねています。

福山雅治が初めて父親役に挑戦した『そして父になる』

2013年に公開した是枝裕和監督の映画。主演を務めた福山雅治が初めて父親役に挑戦したことでも注目を集め、第66回カンヌ国際映画祭では審査員賞を受賞した作品です。 ある日、高級マンションで暮らす良多とみどり夫妻のもとに、病院から息子・慶多の出産時取り違えがあったという連絡が入ります。6歳の息子が実は他人の子で、実子は小さな電気屋を営む斎木家で暮らしているというのです。息子の出来の悪さに不満を抱いていた良多は交換に積極的。一方妻のみどり、斎木家はこれまで育ててきた子に情があり、良多と対立していきます。 実話である『ねじれた絆』を参考に制作されただけあって、非常にリアルで個人個人の心情が細かく表現されています。累計興行収入は32億円を記録し、世界中で高く評価された作品となりました。アメリカでは本作に惚れ込んだというスティーヴン・スピルバーグ監督が、リメイク版の制作に意欲を示しています。

日本だけじゃない!韓国ドラマの『秋の童話』

2000年に放送された、『冬のソナタ』などの監督ユン・ソクホによる「四季シリーズ」の第1作。海や山など美しい自然の中で、叙情あふれる悲しくもゆったりとした童話のようなラブストーリーです。 裕福な家で幸せに暮らしていたウンソとジュンソの兄妹。しかし交通事故によって、ウンソとそのクラスメイトのシネが互いに入れ違っていた事が発覚してしまいます。交換の末に貧しい生活となってしまったウンソでしたが、慎ましく実直に暮らし10年の時が過ぎていきました。しかし、別々の道を歩んでいたウンソとジュンソが再会したとき、兄妹以上の感情が芽生えてしまい……。 今やトップスターとなったソン・スンホンやウォンビン、ソン・ヘギョの出世作です。韓国では 最高視聴 率42%を超え、日本や中国、タイなどアジア各国で放送され『冬のソナタ』などとともに一大ブームとなりました。日本の新生児入れ違い作品よりも家庭環境の差が激しく描かれており、さらに別の問題が派生していくのも特徴的です。

シーズン5まで制作されたアメリカのドラマ『スイッチ~運命のいたずら~』

2011年から放送が開始されている本シリーズは、2017年現在シーズン5まで放送されているアメリカの人気ヒューマンドラマです。主演を務めるケイティ・ルクレールとヴァネッサ・マラーノは、本作出演を機に人気女優としての位置を確立しました。 裕福な家庭で育ったベイと、シングルマザーのもとで質素に暮らし幼少期に聴力を失ったダフネ。2人は赤ちゃんの取り違えという不運な事故に遭遇し対照的な人生を送っていました。事故発覚後、そんな不運を乗り越えようと、お互いに歩み寄り距離を縮めようする両家でしたが、生活レベルも考え方も正反対な為幾度となく衝突を繰り返してしまいます。 今作は何気ない日常や子ども同士の心情、親同士の心情のリアルさを丁寧に描かれてるのが特徴です。日本の作品にはない、アメリカならではの斬新な展開が魅力的な作品となっています。

同じ問題にぶつかった時あなたならどうしますか?

新生児取り違えという、実際にあった事件を基に描かれた6作品をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。 様々な考え方があるので当然ですがすべての作品が異なる展開、異なる結末を見せています。実際には子どもが何歳であろうと、血の繋がった実の子を引きとるというケースが多いと言われていますが、そんなに簡単にもいかないのが現実。 自分の親や子どもが、実は血の繋がっていない他人だったら、あなたならどうするでしょうか。そんな事を考えながら作品を観ていくと、今一度自分の家族を見つめ直すいいきっかけとなる事でしょう。