イヤミスの定番から隠れた名作まで。「後味の悪さ」を体験してみませんか??

2017年9月14日更新

ミステリーやサスペンスの中でもイヤ~な気分になったり、鑑賞後の後味が悪い作品がたまにありますよね?そんな作品をイヤミスといいます。普通のミステリーよりもクセになる、ハマる人急増中のイヤミス作品をいくつかご紹介していきます。

そもそも「イヤミス」とは?

近年よく目にするようになった言葉「イヤミス」。鑑賞後にイヤな気分になる、後味の悪いミステリーのことです。 後味が悪いというと、ひたすらグロくて気持ち悪いホラー作品を想像する方も居ると思いますがそうではありません。イヤミスとは主に感情を揺さぶる、心理的にゾッとする話が多いのが特徴で、お化けやチェーンソーを持った男などは一切出てこないのです。 観ているとだんだん嫌な気分になるがそれがクセになる……。そんなおすすめのイヤミス作品をいくつかご紹介していきます。

イヤミスの傑作がついに映画化!清水富美加主演作『暗黒女子』

この中の誰かが彼女を殺した――。セレブ名門校に通う女子高生・白石いつみ(飯豊まりえ)が屋上から落下するという謎の死を遂げてしまい、仲間内にいる犯人が小説によって暴かれていく物語です。 女子生徒から憧れの的だったいつみの衝撃的な死。疑いの目をかけられたのは、澄川小百合(清水富美加)を始めとするいつみが会長を務める文学サークルのメンバーでした。副会長の小百合は、第61回定例会のテーマを「いつみの死」に設定。各々が犯人だと告発するような内容の自作小説の朗読会が始まっていきます。 イヤミス界の新時代を築いたと言われた秋吉理香子の小説が、2017年についに映画化されました。女性だらけの世界に蔓延る、美しくも残酷な展開は誰も予測できない最悪なラストを迎えます。女性特有の二面性やリアルな世界観をよりダークに後味悪く描かれている作品で、女子高生を演じる女優陣の怪演は鳥肌モノです。

イヤミスといったらコレ!驚愕の復讐劇『告白』

本屋大賞も受賞したイヤミスの代表作。シングルマザーの女教師の一人娘が校内で亡くなり、生徒の中に居る犯人を教師が身の毛もよだつ方法で追い詰めていく復讐劇です。 とある中学校で1年B組の担任を務める森口悠子(松たか子)は、終業式後のホームルームで“娘はこの中の生徒に殺された”と発言。教室内は静寂に包まれますが、次第に事件に関わった者たちの告白で事件の真相が明らかになっていきます。そして遂に明らかになった犯人には、想像を絶する罰が与えられ……。 湊かなえのベストセラー小説を、独創的演出を誇る中島哲也監督が映画化しました。女教師の行う冷酷な復讐と生徒たちの異常なほどまでの狂気さは、過激すぎてR15指定を受けるほど。鑑賞後は不快感が残る戦慄のエンタテインメントです。

映像化不可能といわれてきた衝撃作!真梨幸子の『フジコ』

一家惨殺事件でただ1人生き残った少女・フジコ(尾野真千子)が、なぜか十数人を殺害した殺人鬼と化してしまいます。謎と狂気に満ち溢れたフジコの半生を描いた衝撃ミステリーです。 少なくとも15人を殺し、死刑となった伝説の女「殺人鬼フジコ」。しかしフジコは10歳の頃に起きた、高津区一家惨殺事件の唯一の生き残りでした。事件後は叔母に引き取られ悲惨な過去を乗り越えようとするも、やがて次々と殺人を犯す殺人鬼へと変貌を遂げてしまう……。悲劇の少女はどうして殺人鬼となってしまったのか?映像化不可能とされてきた衝撃作が連続ドラマとして実写化しました。 50万部を超えた、イヤミスの名手・真梨幸子のベストセラー小説『殺人鬼フジコの衝動』の実写版です。救いのないような衝撃的な展開とダークで猟奇的な演出が特徴で、気分が悪くなりそうな話ですが先の読めない展開に結末が気になっていくこと間違いなし。

沼田まほかる原作の衝撃イヤミス作品『ユリゴコロ』

ある日突然見つかった一冊のノート「ユリゴコロ」。そこには殺人に取り憑かれたひとりの女性の、切ない半生と衝撃的な事実が綴られていました。 父親が余命僅かと診断され、婚約者もこつ然と姿を消してしまった事実を受け止めきれずにいた亮介(松坂桃李)。そんな中、実家の押入れで美紗子(吉高由里子)という女性の殺人告白が綴られた「ユリゴコロ」と書かれたノートに出会います。創作とも思えないそのノートの秘密に迫っていく亮介は、ある驚愕の事実を知る事になり……。 本屋大賞ノミネート、大藪春彦賞受賞など数々のミステリー大賞を獲得した沼田まほかるの究極の恋愛ミステリーが映画化されました。全体的に世界観が暗く悲しい物語で、原作ファンからは読むのに体力と精神力を有する作品という声も。そのノートの内容は生々しいほどの狂気の沙汰で、ラストには驚愕の結末と重苦しい非情な運命が待ち受けています。

後味の悪さは天下一品!リチャード・ギア主演作『真実の行方』

シカゴの協会で大司教を務めるラシュマンが、ある日全身をナイフに刺され死亡。犯人として挙がったのは、事件現場から血まみれで逃亡したアリも殺せなさそうな内気でおとなしい性格の少年・アーロン(エドワード・ノートン)でした。 アーロンの弁護を務めることとなった弁護士のマーティン(リチャード・ギア)は、アーロンの性格と動機がないという事から無実を訴え続けます。しかし検事によって次々と出される物的証拠になす術はなく、露骨な圧力をもかけられる始末。アーロンの犯行は決定的かと思われたその時、精神分析医のモリー(フランシス・マクドーマンド)によってアーロンの意外な事実が判明します。 1996年に公開されたアメリカ映画。二転三転する展開とそれを活かした演出、俳優陣の演技が魅力的です。特に物語は目が離せない波乱のストーリーとなっています。最後の最後に待っている驚愕の真実の行方に、観た人誰しもが後味の悪さを感じる事でしょう。

身の毛もよだつサスペンス!全米で大ヒットした『プリズナーズ』

ペンシルベニア州のとある田舎町で、感謝祭を迎えていたドーヴァー家。何気なく過ごしていた幸せな日常は、6歳になる最愛の娘が突如行方不明になってしまった事で一変してしまいます。 すぐさま警察は目撃情報から一人の青年アレックス(ポール・ダノ)を拘束するも、何の証拠や証言も得られず釈放。生ぬるい捜査に痺れを切らした父・ケラー(ヒュー・ジャックマン)は、アレックスが犯人だと決めつけ自ら口を割らせようと、拉致監禁してしまいます。娘を想うあまり、次第に暴走していくケラー。しかし最後に待ち受けるのは、誰も予想し得ない最悪な結末でした。 2014年に公開され、全米で問題作と言われた大ヒットサスペンス。実際に起こりえるような事件をテーマにしている事から、子を持つ親なら少なからず共感出来る作品です。ですが、主人公の決して正しいとはいえない行動や物語の結末には賛否両論あり、問題作と言われるのも頷けます。

まさにイヤミス!謎のギフトの結末とは……?『ザ・ギフト(2016)』

本来なら貰ったら嬉しく、善意の証でもあるギフト(贈り物)。しかしそれが何度も何度も、しかも知らない人から届いたとなるともはや恐怖でしかありません。 新生活をスタートさせようと郊外に越してきた夫婦、サイモン(ジェイソン・ベイトマン)とロビン(レベッカ・ホール)。ある日、サイモンの同級生だと名乗るゴード(ジョエル・エドガートン)と会うも、サイモンはゴードの事など全く覚えていませんでした。そんな事はお構いなしに、次々と贈り物を届けてくるゴードの好意は次第にエスカレートしていき……。 日本では2016年に公開されたサスペンス・スリラー映画です。監督・脚本・製作を務めたジョエル ・エドガートンがゴード役も演じており、謎に満ちた不穏な空気を漂わせています。ギフトが届く度に恐怖度が増していき、最後に届いたギフトにはサイモンの精神を崩壊させるようなとんでもない物が入っているのです。

謎に始まり謎に終わる!癒しがテーマの殺人事件『CURE(1997)』

被害者を殺害後、首元をX字型に切り裂くという奇妙な連続殺人事件が発生。連続的に起こる犯人は皆別人物ですが共通点はなく、犯人はすぐ逮捕されるも殺害理由は全く覚えていませんでした。 犯人を取り調べた高部刑事(役所広司)は、催眠術が関係しているのではと疑うも捜査は難攻。進展しない捜査と病気の妻の介護で次第に疲弊していきます。やがて犯人達は犯行前に、間宮(萩原聖人)という人物に会っていた事が判明。高部は間宮を拘留し尋問するも、謎めいた間宮の言動に翻弄されると同時に、疲弊した心が癒やされていくのも感じていきます。 黒沢清が監督・脚本を務めたサイコ・サスペンス。緊迫感が高まる淡々とした描写に、俳優陣の高い演技力が加わりゾッとするような怖さを感じさせます。間宮がやったのは殺戮か癒しか……。謎が謎を呼ぶ展開で、見終わった後もなお考えさせられるストーリーです。

見れば見るほどクセになるイヤミス作品

様々なタイプのイヤミス作品をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。 女性ファンが多いと言われてきたイヤミスですが、近年では全対象の新たなミステリーのジャンルとして確立しつつあります。見ながらイヤな汗をかいたり、鑑賞後思い出すだけで鳥肌が立ってしまう作品はどんどんクセになっていくものです。 ハッピーエンドを見たらバッドエンドも見たくなりませんか?そんな時にイヤミスをぜひ手に取ってみて下さい。一つ見れば次もまた、同系統の作品に手を伸ばしてしまうことでしょう。