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【小谷実由の】見れば見るほど味が出る?映画を見ながらあなただけの宝探しを

2017年9月26日更新

昭和好き、純喫茶好きで知られるモデルの「おみゆ」こと小谷実由さん。ライターとしても活躍する彼女に心がきらきらするような映画体験について語っていただく連載がスタート。読後、あなたもきっと映画が観たくなってしまうはずです。

はじめまして。小谷実由です。

はじめまして。小谷実由です。26歳です。よろしくお願いします。 映画館でアルバイトをしていたことがあります。チケット販売からフード販売、劇場の掃除も。なんとなく友達に誘われて始めた映画館勤務でしたが、今ではすごく貴重な経験でとても楽しい日々だったと思います。惜しくもその映画館は閉館してしまいましたが、その映画館がアジア映画に力を入れていたせいか、アジア映画をよく観るようになり、映画が好きになり、いまこうして文章を綴っているような気がします。楽しかったなぁ、映画館勤務。未だに映画館で働いている夢を見ます。

ヴィジュアル的に映画を見てしまう。

花様年華
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映画を選ぶとき、その映画を好きになるとき、どんなところに胸をうたれるでしょうか。私は断然ヴィジュアルです。もうヴィジュアルが良ければストーリーが好みじゃなくたって理解できなくたってなんだっていいわけです。だってそのシーンのそれが好きなんだもの。もうそれだけで良い、そんな愛すべき魅力的な何かが潜んでいるかもしれない。宝探しのような感覚で映画を見ています。 今回紹介したいのは、ウォン・カーウァイ監督作品『花様年華』。おしゃれアジア映画といえばこの人。ウォン・カーウァイ監督自身のなんだかマフィアみたいな悪そうでダンディな雰囲気が私は好き。

動くチャイナドレスカタログ

花様年華
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アイドルが歌番組で着ていた衣装とか、雑誌で見ていた憧れのブランドの服とか、子供の頃からそういうものがたくさんありました。映画の中にもそんな憧れの服たちがあります。 この映画もそんな憧れの服が登場する作品のひとつ。舞台は1962年から66年の香港。ヒロインであるマギー・チャン演じるチャン夫人が着こなすたくさんのチャイナドレスたち。 めまぐるしくシーンが変わるなか、素敵なドレスがどんどん出てくる…!大ぶりの花柄やボーダーからチェック柄まで、なんでもありますよ、みなさんはどれがお好きでしょう、勝手にどれにしようかなぁなんてカタログを見ている気分になります。私はダークトーンのチェック柄にブルーの縁取りがついたデザインのドレスと玉虫色のシンプルなドレスが好き。 そんな憧れからか、それ以来チャイナ風の服を見つけては集めるようになりました。でもチャイナドレスは未だ手にしたことがない。香港でいつかオーダーメイドで作ってみたいなぁという願望があります。一寸の狂いもない自分だけのサイジングで、世界に1つだけのチャイナドレス。もうそれだけでガラスの靴のようなロマンチックさでいっぱい。 現実的なことを考えたら一寸も太れない自分の戦いでいっぱいになりそうですが、それもまた良しとしましょう。チャイナドレスで中華をたらふく食べたいなぁなんて夢は実現しなさそう。いやジャージ素材ならいけるかな、、でもおなかぽっこりが隠せないですね、やっぱりおしゃれに我慢は付き物!

良い女って、大人の女って、こういうこと

花様年華場面写真
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華やかなチャイナドレスたちも素敵ですがそれを着こなすチャン夫人が本当に良い女。可憐すぎず、強すぎず、どうしてあんなにキャットアイラインが品良く見えるのか。 あと声が良いんだ、ちょっと低くてハスキーで。仕事は社長秘書。社長の奥様や浮気相手との間を取り持つ電話業務もあの声で対応。なんとも秘書っぽいのよ、出来る女という感じです。そういえば電話に出る声ってなんで話し声と少し変わっちゃうんでしょう、お母さんとか電話に出る声がいつも1トーン高かった。それを聞いてふふふと笑っていましたが、私も最近それを指摘されました。大人になったら自然とやってしまうことなのかしら。電話という電波が被らせる猫。 そして劇中でキーになっているものとしてバックがあります。しかしそのバッグなのですが、とても薄い。思わず「うっす…!」と言ってしまったほど。バックがキーになり、ある事実に気づいたチャン夫人、そしてもう一人の主人公であるトニー・レオン演じるチャウは、ウソの芝居のような真実を確かめたいが為のシュミレーションを繰り返します。それも相まってこの薄っぺらなバックもウソみたいでかわいいです。 あのバックの中には何が入っているんだろうなぁ、あの薄さだと多分ハンカチと鏡と口紅、小銭入れくらいしか入ってないよね、良い女の持ち物はそれで十分なのかな…私だったらあの大きさに身を任せパンパンに物を詰め込みそうです。

食事だって気が気でない

小谷実由さんランチボックス

そしてヴィジュアルが良いのはファッションだけではない。劇中では屋台のシーンとダイナーでの食事のシーンがよく出てきます。屋台ではお持ち帰りが定番のチャン夫人。いつも家から水筒のようなものを持参していきます。(某コーヒーチェーン店のマイタンブラー制度みたい) なんてことない薄いブルーの水筒なのですが、どのドレスにもばっちり合っています。ちなみにこの時はお財布片手にふらっとラフなスタイル。「屋台に行くにもおしゃれを?」なんて近所の人に嫌味を言われちゃいますが、別に良いじゃない、屋台に行くだけでも絵になる女!!! 「水筒持ってふらっと屋台」に憧れて、シンガポールで見つけたプラナカン雑貨のランチボックスを買ったのですが未だ出番なし。劇中のものとは全く別物ですがふらっと屋台に行くチャン夫人が浮かんでしまい勢いで購入しました。これにおにぎりとおかずを詰めて公園でピクニックする予定。(なんかもう全然違う) ダイナーではチャウとチャン夫人がステーキを食べます。水餃子とかスープとか黒胡麻汁粉とかそんなものばかりが出てくる中で突然のステーキ。ファイヤーキングの薄いグリーンの食器の上のステーキ。 二人のステーキを切る様子が交互に寄りで映される…このおしゃれな食べ物の寄りのシーンはなんでしょうかと目が釘付け。チャウがステーキにマスタードをつけることをチャン夫人に勧め、「辛くていい?」と問いかける、なんだかそのセリフがむず痒くて好きです。 辛くていい?ってなんなのよ、私はマスタードが好きです。ステーキ屋さんで真似したくなるシーン、もちろん辛くていい?を言いたい側です。

宝探しはまだまだ続く

見れば見るほどいろんなものが気になるウォーリーを探せ的な作品『花様年華』。これからもきっと新しい発見がまだありそうです。みなさんにもそんな映画ありますか?お気に入りの映画は何度だって繰り返し見てしまうよね。だって好きなんだもの。

小谷実由プロフィール

小谷実由さんプロフィール写真

ファッション誌やカタログ・広告を中心にモデルや執筆業で活躍。 一方で、様々な作家やクリエイターたちとの企画にも取り組む。 昭和と純喫茶をこよなく愛する。愛称はおみゆ。