「MOZU」全シリーズのあらすじ・ネタバレまとめ【ドラマ・映画・スピンオフまで】
「MOZU」シリーズのあらすじを詳しく紹介!【ネタバレ注意】
「MOZU」シリーズは逢坂剛原作の『百舌の叫ぶ夜』、『幻の翼』を、TBSとWOWOWが2014年に共同制作した刑事ドラマです。 「ハヤニエ」という奇妙な行動をする百舌(もず)になぞらえて、「モズ」と呼ばれる殺人犯を軸に、公安警察と国民監視システムの陰謀、「ダルマ」と呼ばれる都市伝説にもなっている奇妙な人物の噂などが描かれます。 『Season1〜百舌の叫ぶ夜〜』、『Season2〜幻の翼〜』、『劇場版 MOZU』(2015)といったハードボイルドなシリーズ、元刑事の大杉を主人公に据えた『大杉探偵事務所』というスピンオフ作品の、あらすじをネタバレありで紹介していきます。
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ドラマ「MOZU Season1 百舌の叫ぶ夜」あらすじ
爆破事故
都内の繁華街で爆発事故が起こります。死亡したのは筧俊三(田中要次)と倉木千尋(石田ゆり子)。筧俊三は実はサイバーテロ組織の幹部で、倉木千尋は警視庁公安部、倉木尚武(西島秀俊)警部の妻でした。 倉木千尋は結婚前には公安の捜査官だったのです。倉木警部は爆発事故と妻の死の真相を探ります。 公安部の明星美希(真木よう子)は、プロの殺し屋・新谷和彦(池松壮亮)を追って、爆発事故の現場に居合わせていました。新谷は筧を尾行していたのです。
事件のキーパーソン・新谷和彦
筧は警察内部の暗号化された機密が入ったICチップを所持しており、サルドニア共和国大統領暗殺を企んでいたことが判明してきました。 倉木警部、明星、そして所轄署の刑事・大杉良太(香川照之)は、一連の事件が関連していると断定し、協力して新谷和彦を追います。 筧暗殺を新谷に依頼していた、アテナセキュリティ社の東(長谷川博己)も、ICチップを新谷和彦が持っていると見て、彼の行方を追うのです。
爆発事故の真相
ついに爆発事故の真相が明らかになります。公安部部長の室井玄(生瀬勝久)は、筧のサルドニア大統領暗殺計画を知り、それを阻止するように見せかけながら、裏では暗殺が成功するように仕向けていたのでした。 大統領が日本国内で暗殺されるようなことがあれば、現在の警察幹部は失脚を免れず、そうなると、組織のトップに立つのは室井という筋書きができていたのです。 室井は、機密データに見せかけたICチップを筧に送りつけ、それと交換で爆弾とサルドニア大統領来日の警備計画書を渡すと偽っていました。その交換に利用されたのが倉木警部の妻・千尋でした。
新谷和彦の正体
同時に室井は、アテナセキュリティに筧の暗殺を依頼。新谷和彦は、強い殺人衝動を抑えきれない弟の宏美を満たすために、「百舌(もず)」という名で殺人を請け負っていたのでした。 実は、新谷和彦はアテナセキュリティによって殺害されてしまっていたのですが、弟の新谷宏美は崖から転落して記憶を失っていたために、自分を和彦だと思い込んでいたのです。 真相を知った新谷宏美は、兄の敵を討つために室井をつけ狙います。室井によって瀕死の重傷を負わされながらも、新谷宏美は室井を刺殺しますが、力尽きて倒れるのです。
ドラマ「MOZU Season2 幻の翼」あらすじ
グラークα作戦
サルドニア大統領暗殺未遂事件の半年後、倉木警部は死んだ妻・千尋が公安捜査官時代に関わっていたグラークα作戦の真相を追っていました。 それは極秘潜入捜査で、参加した6名の捜査員のうち5名が死亡。千尋のみが生き残りました。指揮をとっていたのは、半年前に死んだ室井です。作戦の目的は、乗っ取られた国民監視システムを奪い返すこと。
夢に現れる不気味なダルマ
その頃、様々な人の夢の中で「ダルマ」と呼ばれる不気味な人物が多数現れていて、都市伝説化されていました。実はその裏にはこの国民監視システムがあったのです。これは公安警察が情報収集のために開発した、ネットワークシステムでした。 グラークα作戦において、なぜ倉木千尋だけが唯一生還できたのか。その謎を解く鍵は、ロシアから送られたスパイ、イワン・タイラーが持っていると思われました。倉木警部は、ロシア情勢に詳しいジャーナリスト、名波汐里(蒼井優)に接触します。
生きていた新谷和彦
その頃、明星美希は、北海道にあるエネルギー施設がロシアの武装グループに襲撃された事件を捜査していました。明星の父親は彼女の高校時代に突如行方を断ち、その頃から自宅に頻繁にかかってくる無言電話が、父からのものではないかと明星は信じていたのです。 襲撃された施設の防犯カメラに、殺されたはずの新谷和彦の映像が確認されました。新谷和彦は生きていて、武装工作員として暗躍してたのです。
作戦の真相とイワン・タイラーの正体
ついにグラークα作戦の全貌が明らかになります。旧ソ連時代、スパイ活動中に日本の領海で座礁したソ連の潜水艦がありました。ソ連はアメリカに潜水艦を回収されることを恐れ、また、日本はソ連との外交を有利にするため、潜水艦の存在を隠蔽。 ソ連が崩壊し、ロシアはこの潜水艦から日本の公安の国民監視システムを乗っ取ったのです。グラークα作戦の真の目的は、公安を裏切った明星の父親である明星洋人(篠田三郎)の抹殺でした。ロシア人スパイ、イワン・タイラーの正体は明星洋人だったのです。 また、倉木千尋は夫を守るためなら真実を話さないと判断され、グラークα作戦の生き証人として、イワン・タイラーによって生かされることに……。公安の幹部、津城警視正(小日向文世)はすべてを「ダルマ」によって隠蔽するように指示します。 都市伝説になっている「夢に現れるダルマ」という不気味な人物は、どうやら国民監視システムに関連があるかのように示唆されて、物語は終わります。
映画『劇場版 MOZU』あらすじ
ダルマとテロ事件
倉木、大杉、明星らは「ダルマ」が実在するかもしれないと思い始めます。多くの人の夢に「ダルマ」が登場することから都市伝説となり、「大きな事件にはダルマが関わっている」と囁かれるようになるのです。 白昼、都内のビルでテロ事件が起きます。主犯格・権藤剛(松坂桃李)は散弾銃を手にビルのワンフロアを占拠すると、人質をとって5億ドルを政府に要求。同時刻、テロの別働隊が、ペナム共和国の大使館の車を襲い、16歳の少女、エレナを誘拐しようとしました。たまたま通りがかった倉木がテロリストたちを撃退します。 大杉はエレナを保護して、自分の探偵事務所に連れて行きますが、エレナには知的障害があり、言葉が話せません。権藤は新谷宏美のように女装して大杉探偵事務所を襲撃しエレナを奪還しようとします。しかし、大杉がエレナを連れ出していたため、偶然そこにいた大杉の娘・めぐみ(杉咲花)を拉致するのです。 津城俊輔警視正は倉木に「これ以上関わるな。自分はダルマに辿り着いてしまった。」と電話で告げました。津城のもとに行った倉木は、津城が自殺を偽装して殺されているのを発見します。
ペナム共和国とダルマの正体
明星美希も拉致されてしまいました。テロ集団のブレーンの高柳隆市(伊勢谷友介)が電話をかけてきます。高柳は倉木に、大杉の娘・めぐみと明星美希2人とエレナを交換条件に、ペナム共和国へ来ることを要求しました。 アジアの途上国ペナム共和国で、高柳は倉木に「ダルマ」の正体は吉田駒夫(ビートたけし)であると教えます。 吉田駒夫は戦時中は武器商人として巨億の富を手にし、終戦時にアメリカとコネを作り、戦後、右翼・ヤクザなど裏の人間を利用して政治家たちを操っていました。日本の首相を決めるほどの大物にのぼりつめた人物です。過去の多くの経済事件の裏には、常に吉田駒夫の存在が囁かれていました。 倉木はテロリストたちに拷問されそうになったところを、元アテナセキュリティの東和夫らに救われます。一方、大杉は娘のめぐみとエレナを交換するために、権藤と接触しました。大杉が絶体絶命のピンチに追い込まれているところ、自分の模倣犯である権藤を快く思わない新谷和彦が現れ、権藤を百舌のハヤニエのように串刺しにして殺します。
ダルマの復活
吉田駒夫は生きながらえるために、臓器移植が可能な自分の子どもを大量にストックしていました。エレナもその1人で、一番の適合者は彼女だったのです。 倉木らが日本へ帰国後、ペナム共和国大使館でまたもやテロ事件が起こり、多数の負傷者が出ました。倉木は現場に駆け付けますがエレナは行方不明。東が「化け物が復活した」と倉木に告げます。化け物とは吉田駒夫のことで、どうやらエレナは拉致され、エレナの臓器を使って吉田駒夫は復活を果たしたようです。 倉木はとあるビルの屋上で高柳と対決します。倉木は高柳に、妻・千尋と娘・雫の死の真相を確認したかったのです。千尋を「ダルマの忠実な内通者」として機能させるために、深い絶望、つまり娘の死を目撃させられました。高柳が千尋の目の前で娘を殺したのです。 倉木はそれを聞くと高柳を殺します。吉田駒夫はヘリで逃亡しますが、ヘリを操縦していたのは東でした。翌日、墜落したヘリが発見され、身元不明の遺体が3体収容されました。 遺体は吉田駒夫とその手下2名ではないかと、倉木は推測するのです。最後に倉木は東らしき人物と電話で話して物語は終わりを迎えます。
スピンオフドラマ『大杉探偵事務所』あらすじ
美しき標的編
大杉は警察を辞めて探偵事務所を開いていました。大杉と妻(堀内敬子)は離婚調停中です。 大杉探偵事務所に有名女優の白石百合(飯島直子)とマネージャーの植田(片桐はいり)が現れ、百合のボディーガードを依頼します。大杉が付き人のふりをして百合の身辺警護をしていると、さっそくスタジオで爆発事件が発生。 交番勤務の鳴宮啓介(伊藤淳史)に防犯カメラの映像を解析させます。分析の結果、爆弾を仕掛けたのは森井組のチンピラ・三谷と判明。嫌がらせの発端は、植田による、事務所を移籍しようとしている自分への嫌がらせだったと、百合は大杉に語ります。 どうやら嫌がらせで始めた脅迫でしたが、一回依頼したことで多額の金を森井組から要求されていたようです。三谷は金を払わない植田に業を煮やし、白石百合を誘拐してしまいます。 鳴宮の機転と元女優だった植田の演技で、百合を無事に奪還し、大杉にとって仕事は大成功でしたが、最後に白石百合と抱き合っているところを娘に見られてしまいます。
砕かれた過去編〜お天気お姉さんの依頼
大杉が相談もせずに警察を辞めてしまったことで妻と離婚に至ったのですが、大杉は理由を誰にも語っていませんでした。 大杉探偵事務所に、お天気お姉さんの小池リサ(早見あかり)が依頼を持ち込みます。双子の妹、リナの行方を探してほしいというのです。姉妹の両親は心理学者として知られていました。18年前に連続女児殺害事件が発生し、これにリナも巻き込まれて死亡したと、リサは両親から聞かされていました。 しかし、1年前に小池夫妻が謎の不審死を遂げました。遺体は心臓をえぐり取られていたのです。事件の数日後に、自分そっくりの女性が映っている映像がリサのもとに送られてきたことから、リサは妹が生きていると確信したわけです。
砕かれた過去編〜三島刑事と百舌の模倣犯
依頼を引き受けた大杉の脳裏に、自身が刑事を辞職する原因となった事件の記憶が甦ります。それは後輩の三島刑事(桐谷健太)の事件でした。 三島には妻・結衣と4歳になる娘・雪菜がいました。結衣はストーカー被害に遭っていましたが、引越しを繰り返して解決したはずでした。ところがある日、三島と飲んでいた大杉が三島宅を訪れたところ、結衣と雪菜がアイスピックで惨殺された遺体で発見されます。 この容疑者として佐藤(浦井健治)という男が逮捕されました。しかし、アリバイが成立し釈放されてしまったのです。ショックを受けた三島は、休職を余儀なくされてしまいます。 しばらくして三島が復職するとほぼ同時に、百舌の模倣犯が現れました。模倣犯の犠牲者はいずれも、証拠不十分で釈放された犯罪者たち。大杉と三島はこの捜査を担当します。その一方で、大杉は三島の犯行を疑い始めたのです。
砕かれた過去編〜心臓博士の廃病院
回想から我に返った大杉は、鳴宮に小池リサの両親の遺体が発見された犯行現場を調べるよう依頼します。そこは「足を踏み入れた者は、心臓博士に襲われる」という噂がある廃病院でした。鳴宮はそこで管理人を名乗る男性(堀部圭亮)と出会います。 一方でリサの両親が犯罪者を使って、人体実験を行っていたことが判明。大杉は自ら調査するために、廃病院へと赴きます。地下の隠し部屋にリナを発見。驚く大杉に、隠れていた管理人が真相を語るのです。 リナは、満月を直視すると動物や人間を噛み殺したくなる衝動にかられます。両親はこれを治療しようとしていたのです。管理人は小池夫妻の人体実験の唯一の成功例でした。 ところが、1年前にリナが満月を直視してしまい、小池夫妻を殺害してしまいました。夫妻はリナを庇うために、自分たちの心臓をえぐり取って、心臓博士の噂を利用するように管理人に命じて死亡します。
砕かれた過去編〜百舌の模倣犯の正体
「もう2度とリナから目を離さない」と訴える管理人に、大杉は三島の事件を再び思い起こすのです。佐藤のアリバイが偽証によるものだったことが判明します。 大杉が佐藤逮捕に向かうと、三島は佐藤をアイスピックで刺そうとしていました。大杉は三島に向けて発砲し手錠をかけます。途端、背後から鈍い一撃を受けて昏倒。佐藤が大杉を襲ったのです。 佐藤は大杉から拳銃を奪うと、大杉をその銃で撃ちます。佐藤は三島へ向かって真相を語り出すのです。佐藤こそが三島の妻のストーカーでした。三島の妻が逃げたので娘とともに殺害したと言います。 また、百舌の模倣犯も佐藤でした。三島に模倣犯の罪を着せようとしていたのです。佐藤は、抵抗できない三島をアイスピックで刺殺しました。
砕かれた過去編〜人を信じること
大杉はリサに真相を伝えます。小池夫妻の人体実験、彼らがリナに殺害されてしまったこと、18年前の幼児連続殺害事件がリナの犯行であること、管理人がリナを守り、2度とリナに罪を犯させないと言っていることなどを。大杉はリサに「彼らを信じてほしい」と頼みます。 三島を信じることができずに、三島を死に追いやってしまった大杉。その後、百舌の模倣犯を憎む新谷和彦によって、佐藤は殺されました。大杉は一命を取り留めましたが、刑事を辞職。 今度こそ信じたいと強く願う大杉に、感謝し抱き着くリサ……。またもやそれを娘のめぐみに目撃されてしまいます。