2018年1月27日更新

アカデミー目前!世界の有名な映画賞レースとその影響力を知りたい!

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アカデミー賞

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興行成績に影響大!古今東西の映画賞レースについて徹底的に解説してみた

映画の宣伝コピーに「○○賞受賞!」、「○○映画祭○○賞!」などのフレーズを目にすることがよくあります。 映画賞というものはそれほど興行成績にも影響があるのだと推測できます。映画スタッフ、俳優、映画会社宣伝部は、喉から手が出るほど映画賞がほしいのでしょう。 ところが、案外知られていないのが映画賞の実体や、違い、その選考方法です。米アカデミー賞に関してさえ、メジャーな賞という認識があっても、その詳細については知らない人が多いのではないでしょうか。 本記事では古今東西の映画賞について、徹底的に解説!あなたの映画を選ぶ目も少し変わっちゃうかも。

そもそも映画賞とは?大きく3種類に分けられます!

映画賞は大きく3種類に分けることができます。 まず、観客やマスメディア、批評家が選出して授与する映画賞。これは主に監督や俳優に与えられます。 2つ目は、映画製作関係者が投票する映画賞です。こちらは対象が、撮影、音楽、美術など映画スタッフ全般になります。アカデミー賞がその代表格と言えるでしょう。 最後に、映画祭に設けられている賞があります。これは作品を一般公募し、審査するというものが多く、作品や監督に与えられる賞がほとんどです。

世界最古にして最高峰の映画賞、アカデミー賞

アカデミー賞は最も有名な映画賞であり、第1回は1929年に開催された最古の映画賞です。受賞するかしないかで、興行成績にもかなり影響があります。 贈られる人物像にちなんでオスカーと呼ばれることもあり、映画賞の代名詞的存在です。 ノミネートの基準は、「ロサンゼルス郡内の映画館で連続7日以上、有料で公開された40分以上の作品」というもの。投票するのは映画芸術科学アカデミー会員、つまりハリウッドの業界関係者です。 授賞式は盛大に行われ、世界中でリアルタイム配信されます。リムジンを降りて、レッドカーペットを歩く男優、女優、監督たちを待ち構えたメディアがインタビューする様子を見たことのある人も多いでしょう。

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アカデミー賞の前哨戦として注目が集まる、ゴールデングローブ賞

1月1日から12月31日の期間内にロサンゼルス地区で上映された映画、およびプライムタイムで放映されたテレビドラマを対象とするのが、ゴールデングローブ賞。 ハリウッド外国人映画記者協会の会員、つまりヨーロッパ、アジア、オーストラリア、ラテンアメリカの新聞・雑誌記者から成る会員によって選定されます。 毎年1月に発表されるので、アカデミー賞の前哨戦的な意味合いがあり、アカデミー賞の行方を予想する人々にとって注目の的です。 2012年から、YOSHIKIが作曲した『ゴールデングローブのテーマ』をテーマ曲としています。

インディペンデント系作品が対象、インディペンデント・スピリット賞

1984年に「フィルム・インディペンデント」というNPOによって創設された、所謂インディペンデント系作品に対する映画賞です。 賞の対象となるには、制作費が2000万ドル以下で、上映時間が70分以上、1週間以上公開されたか、ロサンゼルス映画祭、ニューヨーク映画祭、サンダンス映画祭などで上映されたという条件があります。 インディペンデント映画の父とも呼ばれる監督、俳優ジョン・カサヴェテスの名を冠した賞もあるのです。毎年、アカデミー賞授賞式の前日に開催されます。 第33回には、寺島しのぶが『Oh Lucy!』(2018)で、主演女優賞にノミネートされました。

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批評家が選ぶ映画賞の代表格、ニューヨーク映画批評家協会賞

アメリカには多くの批評家協会賞がありますが、その中でも最古の1935年に設立されたのがニューヨーク映画批評家協会賞です。批評家が投票するので、娯楽映画よりも芸術映画が選ばれる傾向にあります。 その年のアメリカの世相を反映した受賞作も多く、また12月に発表ということもあり、アカデミー賞にも影響を与えるとされています。 過去には『映画に愛をこめて アメリカの夜』(1973)、『フェリーニのアマルコルド』(1974)など、アメリカ産以外の映画が作品賞を獲ったことが。 ハリウッドとはひと味違った、ニューヨークならではの感性が感じられますね。

アニメーション映画賞の最高峰、アニー賞

アニー賞は1972年に創設された、アニメーション映画のための賞。国際アニメーション協会(ASIFA)が主催し、同協会のハリウッド支部の会員が投票します。 もともとはアニメーションに貢献した人物へ授与する功労賞としての意味合いが強かったのですが、1992年に現在の形になりました。アカデミー賞にアニメ部門が新設されたこともあり、開催が1月に変更されたのです。 アニメーション界において再興の権威をもつ賞であり、宮崎駿、高畑勲、押井守など日本人も受賞しています。特に宮崎駿の『千と千尋の神隠し』(2002)が長編アニメ映画の全4部門を制覇したのは、伝説的です。

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「最低」の映画に授与される、ゴールデンラズベリー賞

1981年に映画製作者ジョン・ウィルソンによって創設された、「最低」映画に授与される映画賞ゴールデンラズベリー賞。別名ラジー賞とも呼ばれ、アカデミー賞の前日に開催されます。 選考するのは「ゴールデンラズベリー賞財団」の会員ですが、一般の映画ファンも会員になることが可能となっています。 当初はB級作品が受賞を独占していましたが、大作なのに前評判とのギャップが大きい映画、一般受けしづらい異色作なども受賞するケースが近年増えています。 授賞式に本人が出席することは滅多にありませんが、ポール・バーホーベン監督が『ショーガール』(1995)で、ハル・ベリーが『キャットウーマン』(2004)で、サンドラ・ブロックが『ウルトラI LOVE YOU!』(2009)で出席したときは、その懐の深さに大喝采を浴びました。

日本映画の関係者全員が注目する、日本アカデミー賞

映画評論家の水野晴郎の発案で1978年に設立されたのが、日本アカデミー賞。選考は、国内の映画関係者から構成される日本アカデミー賞協会会員です。 業界関係者が投票するだけあって、スタッフに贈られる賞があることが米アカデミー賞と共通します。また、授賞式はテレビやラジオで放送され、その放映権料が運営費の一部となるのです。 受賞会場は高輪のグランドプリンスホテル新高輪で開催されますが、受賞作にちなんだフランス料理コースが提供され、一般客が入場チケットを買うことが可能。 受賞作は興行成績や評価の高いものに集中しやすく、1996年の『Shall we ダンス?』が13冠という最多記録を残しています。

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中華文化圏3大映画賞

金鶏百花映画祭

金鶏百花映画祭は1992年に創立の中国最大の映画賞です。主催は中国映画家協会。金鶏奨とは「芸術映画」、百花とは「大衆映画」のことで、その両者を評価する賞なのです。 『おくりびと』(2008)、『孤高のメス』(2010)、『ツレがうつになりまして。』(2011)などの日本映画も受賞しています。

香港電影金像奨

香港のアカデミー賞とも呼ばれる式典・香港電影金像奨は、1982年に創設されました。知名度としては、1つ目で紹介した金鶏百花映画祭よりもこちらの方が上かもしれません。 主に中国、台湾出身の監督、俳優、スタッフに授与される賞なのですが、1999年に『風雲 ストームライダーズ』(1998)で助演した千葉真一が、外国人としては初めてノミネートされました。

台湾金馬賞

1962年、中華民国政府が映画制作事業促進のために創設されたのが台湾金馬賞。中華文化に貢献した映画人に与えられる賞です。 2000年以前は、中国本土との政治的な対立から、受賞作は圧倒的に台湾と香港の作品に偏っていました。しかし、近年は中国映画がかなり進出しています。 大衆映画よりも芸術映画が受賞するケースが多くなっています。

歴史が古い、世界三大映画祭

三大映画祭とは、国際映画製作者連盟(FIAPF)が公認する国際映画祭です。

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カンヌ国際映画祭

カンヌ国際映画祭は、1946年にフランス共和国政府が開催した映画祭です。1930年代後半に、ファシスト政府介入により、政治色が強くなっヴェネツィア国際映画祭に対抗するために創設されましたが、第二次世界大戦勃発のため、開催は戦後にずれ込みました。 メインはコンペティション部門で、著名な映画人や文化人を審査員に迎えて選考します。最高賞は「パルム・ドール」です。 国際見本市が併設されているため、世界中から映画関係者、マスメディアが集まります。

ベルリン国際映画祭

1951年、映画史家のアルフレッド・バウアーをディレクターとして創立されたのがベルリン国際映画祭。別名ベルリナーレ。当時は冷戦時代であり、西側の芸術をアピールするという政治的意図があったようです。 そのためか、他の映画祭に比して、社会派の作品が集中する傾向があります。最高賞は金熊賞です。

ヴェネツィア国際映画祭

当初は美術展、ヴェネツィア・ビエンナーレの映画部門として1932年に開始した、世界最古の国際映画祭がヴェネツィア国際映画祭です。 戦時中は参加作品が激減して低迷しましたが、1950年代に黒澤明、溝口健二など日本映画を欧米に紹介して注目されました。 その成り立ちに応じて芸術映画中心でしたが、近年は商業映画の比重も増加しています。

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タランティーノを世に知らしめた、サンダンス映画祭

俳優のロバート・レッドフォードが開催した映画祭。名称はロバート・レッドフォードが『明日に向かって撃て!』(1969)で演じたサンダンス・キッドに由来します。 対象は主にインディペンデント映画で、アメリカのユタ州で行われます。ロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノ、ジム・ジャームッシュなどを世界に送り出した功績を持っています。 1989年から観客賞が設立され、ソダーバーグ監督の『セックスと嘘とビデオテープ』(1989)は、観客賞に選ばれて注目されました。近年は第2のタランティーノを求めて、映画のバイヤーが集まるようです。

まだまだあります、映画賞や映画祭!

いかかでしたか? 今回紹介した映画賞・映画祭は、ほんの一部に過ぎません。 アメリカには主要都市ごとに映画祭があると言っても過言ではありませんし、ヨーロッパには国ごとに映画祭があると言ってもいいでしょう。 カナダのトロント国際映画祭も有名ですし、日本にも東京国際映画祭やゆうばり国際ファンタスティック映画祭があります。国際アニメーション映画協会が公認する映画祭も近年増えているようです。 しかし、どの映画賞・映画祭にも共通して言えることは、運営側が映画に対する愛に満ちあふれていることではないでしょうか?