2023年日本アカデミー賞を大予想!ノミネート&受賞作の中で最優秀賞に輝くのは?
日本国内において一般の知名度が最も高い映画賞となった日本アカデミー賞。2023年の各部門優秀賞受賞作品が1月23日に発表されました。3月の授賞式ではその中から各部門の最優秀賞が決定します。 今回は2023年3月に開催される「第46回日本アカデミー賞」のノミネート&最優秀賞に選ばれる作品を徹底予想!自分のお気に入り作品が何賞に入りそうか、一緒に考えてみてください!
2023年日本アカデミー賞を大予想!
▷優秀作品賞 | 『流浪の月』 |
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▷アニメーション作品賞 | 『THE FIRST SLAM DUNK』 |
▷主演男優賞 | 松坂桃李 『流浪の月』 |
▷主演女優賞 | 岸井ゆきの 『ケイコ 目を澄ませて』 |
▷助演男優賞 | 柄本佑 『ハケンアニメ!』 |
▷助演女優賞 | 清野菜名 『キングダム2 遥かなる大地へ』 『ある男』 |
▷監督賞 | 石川慶 『ある男』 |
▷脚本賞 | 早川千絵 『PLAN 75』 |
2023年第46回日本アカデミー賞はいつ?
日時 | 3月10日よる9時から(日テレ系) |
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司会 | 羽鳥慎一 有村架純 |
審査基準 | 映画事業に3年以上従事した「日本アカデミー賞協会会員」による投票 |
第46回日本アカデミー賞の最終結果は2023年3月10日、東京・グランドプリンスホテル新高輪の国際館パミールで行われる授賞式にて発表されます。 司会は前回から引き続き羽鳥慎一と、前回最優秀主演女優賞を受賞した有村架純が務めます。受賞者たちの華やかな装いも楽しみですね。
日アカにノミネート&受賞される基準は?
日本アカデミー賞のノミネート作品は会員の投票によって選出されます。会員の多くは大手配給会社の関係者であるため大手配給会社の作品がノミネートされやすい傾向にあるのです。 そのためたびたび「おかしい」と物議を醸すことも。海外の著名な賞レースで高い評価を獲得していても、上映規模が小さいインディーズ映画は審査対象にすらならないこともあります。
【優秀作品賞】ノミネート&受賞5作
最優秀賞 予想1位 『流浪の月』 5月13日公開 | 凪良ゆうの2020年本屋大賞受賞作が待望の実写化。『怒り』『悪人』などの李相日監督が肉欲を伴わない新しい愛を描く。 |
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予想2位 『ある男』 11月18日公開 | 芥川賞作家・平野啓一郎のベストセラー小説を映像化。『蜜蜂と遠雷』(2019年)で第43回日本アカデミー賞優秀作品賞を受賞した石川慶がメガホンを握る。 |
予想3位 『ハケンアニメ!』 5月20日公開 | アニメ製作の現場で奮闘する人々の姿を描いた辻村深月の小説「ハケンアニメ!」の映画化。主人公の新人監督を吉岡里帆、天才監督を中村倫也が演じた。 |
予想4位 『月の満ち欠け』 12月2日公開 | 直木賞作家・佐藤正午による同名小説を、大泉洋主演、有村架純・目黒蓮・柴咲コウの共演で映画化。『母性』(2022年)の廣木隆一が監督を務める。 |
予想5位 『シン・ウルトラマン』 5月13日公開 | 日本を代表する特撮ヒーロー「ウルトラマン」の新たな映画化作品。『シン・ゴジラ』の庵野秀明が企画・脚本、樋口真嗣が監督を務めた。 |
最優秀賞予想1位:『流浪の月』
凪良ゆうの本屋大賞受賞作を、広瀬すずと松坂桃李のW主演で実写化。女児誘拐事件の犯人と被害者、世間に理解されない2人の関係を描く人間ドラマです。 監督は『怒り』(2016年)以来、約6年ぶりの実写長編映画となる李相日監督。日本アカデミー賞の常連監督で、『フラガール』(2006年)は最優秀作品賞を獲得しています。 韓国映画「パラサイト」(2019年)の撮影監督ホン・ギョンピョが初めて邦画に参加したことも注目され、第23回全州国際映画祭ワールドシネマ部門へ出品されました。キャスト陣の新たな一面も引き出されており、最優秀作品賞の可能性が高いです。
予想2位:『ある男』
芥川賞作家・平野啓一郎の同名小説を映像化。亡くなった夫が身元を偽って生きていたと知った妻が、彼の秘密に迫っていくヒューマンミステリーです。 監督を務める石川慶は恩田陸の小説『蜜蜂と遠雷』を映像化し、第43回日本アカデミー賞優秀作品賞を受賞した実績があります。 配給会社は松竹であり十分大手で、かつ第47回報知映画賞も受賞しています。作品の傾向としても、社会の闇に隠れた人々の物語はこれまでも多数受賞しているので、本作も最優秀賞獲得の可能性は十分あるのではないでしょうか。
予想3位:『ハケンアニメ!』
アニメ業界で奔走する人々を描いた辻村深月の同名小説を映像化。アニメ業界に飛び込んだ新人監督、斎藤瞳を吉岡里帆が熱演し熱気あふれる物語に命を吹き込みました。 劇中で製作されたアニメを『テルマエ・ロマエ』で知られる谷東や、「プリキュア」シリーズで知られる大塚隆史ら豪華メンバーが手掛けたことでも話題に。日刊スポーツ映画大賞の作品賞を受賞しています。 ハイクオリティーな実写・アニメを共存させる唯一無二の作品として、作品賞のダークホースとしても期待できそうです。
予想4位:『月の満ち欠け』
直木賞作家の佐藤正午による同名小説を、廣木隆一監督が映画化した作品。主人公の小山内役を大泉洋が務め、その妻役に柴咲コウ、共演に有村架純と目黒蓮が名を連ねました。 愛する妻と娘を失くした小山内の元に三角と名乗る男が現れ、かつて愛した女性について語り出します。その女性の名は、小山内の娘と同じ「瑠璃」。小山内と三角、そして瑠璃をめぐる不思議な愛の物語を描いています。 ファンタジックな設定と悲恋の物語がリンクし、感動をもたらす本作。豪華な共演者たちの感情こもる演技が見どころで、作品賞の他に監督賞・主演男優賞・助演男優/女優賞にもノミネートされています。
予想5位:『シン・ウルトラマン』
特撮ドラマ『ウルトラマン』(1996年)の現代版リブート。最優秀作品賞など7冠を達成した『シン・ゴジラ』(2016年)、「シン・エヴァ」のスタッフ陣による「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」の第3弾です。 本作は「メフィラス構文」と呼ばれる言い回しも話題になり、公開1週間後の時点で「ウルトラ」シリーズでは初の興収10億円を突破しました。日本の往年のファンだけでなく、ギレルモ・デル・トロなど海外の映画監督も絶賛!最優秀作品賞の可能性もあるかもしれません。
【アニメーション作品賞】ノミネート&受賞5作
最優秀賞 予想1位 『THE FIRST SLAM DUNK』 12月3日公開 | 日本にバスケブームを巻き起こした『SLAM DUNK』を作者の井上雄彦自身が監督を務め待望の映画化。原作ラストの山王戦を迫力たっぷりに描く。あらすじを読む |
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予想2位 『すずめの戸締まり』 11月11日公開 | 『君の名は。』(2016年)で世界を感動させた新海誠の最新作。東日本大震災を正面から描いた作品として社会的意義も大きい映画。あらすじを読む |
予想3位 『ONE PIECE FILM RED』 8月6日公開 | 国民に愛される大人気少年漫画『ONE PIECE』の映画最新作。オリジナルキャラクター・ウタの歌唱を、大人気歌手・Adoが務めたことでも大きな話題に。あらすじを読む |
予想4位 『かがみの孤城』 12月23日公開 | 辻村深月の同名小説を『河童のクゥと夏休み』の原恵一監督がアニメ映画化。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』の「A-1 Pictures」がアニメ制作を担当。あらすじを読む |
予想5位 『犬王』 5月28日公開 | 実在した能楽師・犬王をモデルに描かれたミュージカルアニメ。キャラクター原案を漫画家の松本大洋が務めるなど大きな話題に。第80回ゴールデン・グローブ賞のアニメ部門賞候補作にも選ばれている。 |
最優秀アニメーション作品賞に予想したのはレジェンド漫画を作者自らが監督した『THE FIRST SLAM DUNK』です。そのクオリティの高さで各SNS上で大きな話題になっています。 日本アニメ映画界をけん引する新海誠の最新作『すずめの戸締まり』、そして大人気歌手Adoとのタッグで大きな話題を呼んだ『ONE PIECE FILM RED』など2022年を代表するアニメ作品も最優秀賞獲得の可能性は十分あるでしょう。 辻村深月の名作をA-1 Picturesの制作で映画化した『かがみの孤城』、海外の映画祭にも多数出品された『犬王』の動向にも注目です!
【主演男優賞】ノミネート&受賞5名
阿部サダヲ | 『死刑にいたる病』 |
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大泉洋 | 『月の満ち欠け』 |
妻夫木聡 | 『ある男』 |
二宮和也 | 『ラーゲリより愛を込めて』 |
松坂桃李 | 『流浪の月』 |
有力候補:松坂桃李『流浪の月』
主演男優賞ノミネート予想の本命は『流浪の月』で繊細な青年を熱演した松坂桃李です。過酷な減量にも耐え、か細くて切ない魅力に満ちた主人公を見事演じ切っていました。 シベリアの収容所に勇気をもたらした、『ラーゲリより愛を込めて』の二宮和也の演技も見逃せません。『ある男』で謎の男の正体を追う弁護士を演じた妻夫木聡、『月の満ち欠け』で喪失感の中で生きる男を切なく体現した大泉洋、『死刑にいたる病』の怪演が光る阿部サダヲにも注目です。 誰が最優秀賞をとってもおかしくない豪華な顔ぶれ!発表を楽しみに待ちましょう。
【主演女優賞】ノミネート&受賞6名
岸井ゆきの | 『ケイコ 目を澄ませて』 |
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のん | 『さかなのこ』 |
倍賞千恵子 | 『PLAN 75』 |
広瀬すず | 『流浪の月』 |
吉岡里帆 | 『ハケンアニメ!』 |
有力候補:岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』
最優秀主演女優賞の予想、大本命は『ケイコ 目を澄ませて』で耳の聞こえない女性プロボクサーを演じた岸井ゆきのです。『ケイコ 目を澄ませて』は作品賞での受賞も期待されていましたがノミネートならず、ほかの大きな賞で実績を残すのではないかと予想します。 また同じく作品賞へのノミネートが期待されていた『PLAN 75』の主演を務めた倍賞千恵子も見逃せません。人生最後の選択をする78歳の女性を好演した彼女は、1981年の第4回日本アカデミー賞でも最優秀主演女優賞を受賞しています。 ほか、さかなクンの半生を描いた『さかなのこ』に主演したのんはジェンダーを超えた役柄を見事に体現。『流浪の月』の広瀬すずや『ハケンアニメ!』の吉岡里帆も有力候補といえるでしょう。
そのほかの賞ノミネート&受賞作一覧
助演男優賞
柄本佑 | 『ハケンアニメ!』 |
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窪田正孝 | 『ある男』 |
坂口健太郎 | 『ヘルドッグス』 |
目黒蓮 | 『月の満ち欠け』 |
横浜流星 | 『流浪の月』 |
助演女優賞
有村架純 | 『月の満ち欠け』 |
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安藤サクラ | 『ある男』 |
尾野真千子 | 『ハケンアニメ!』 |
清野菜名 | 『ある男』 『キングダム2 遥かなる大地へ』 |
永野芽郁 | 『母性』 |
松本穂香 | 『“それ”がいる森』 |
監督賞
石川慶 | 『ある男』 |
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小泉堯史 | 『峠 最後のサムライ』 |
樋口真嗣 | 『シン・ウルトラマン』 |
廣木隆一 | 『月の満ち欠け』 |
吉野耕平 | 『ハケンアニメ!』 |
脚本賞
小泉堯史 | 『峠 最後のサムライ』 |
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橋本裕志 | 『月の満ち欠け』 |
早川千絵 | 『PLAN 75』 |
政池洋佑 | 『ハケンアニメ!』 |
向井康介 | 『ある男』 |
撮影賞
市川修 鈴木啓造 | 『シン・ウルトラマン』 |
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上田正治 北澤弘之 | 『峠 最後のサムライ』 |
近藤龍人 | 『ある男』 |
佐光朗 | 『キングダム2 遥かなる大地へ』 |
ホン・ギョンピョ | 『流浪の月』 |
照明賞
吉角荘介 | 『シン・ウルトラマン』 |
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山川英明 | 『峠 最後のサムライ』 |
宗賢次郎 | 『ある男』 |
加瀬弘行 | 『キングダム2 遥かなる大地へ』 |
中村裕樹 | 『流浪の月』 |
美術賞
磯見俊裕 露木恵美子 | 『ラーゲリより愛を込めて』 |
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小澤秀高 | 『キングダム2 遥かなる大地へ』 |
神田諭 | 『ハケンアニメ!』 |
林田裕至 佐久嶋依里 | 『シン・ウルトラマン』 |
我妻弘之 | 『ある男』 |
録音賞
小川武 | 『ある男』 |
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田中博信(録音) 山田陽(整音) | 『シン・ウルトラマン』 |
深田晃 | 『月の満ち欠け』 |
矢野正人 | 『峠 最後のサムライ』 |
横野一氏工 | 『キングダム2 遥かなる大地へ』 |
編集賞
阿賀英登 | 『峠 最後のサムライ』 |
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石川慶 | 『ある男』 |
上野聡一 | 『ハケンアニメ!』 |
栗原洋平 庵野秀明 | 『シン・ウルトラマン』 |
野本稔 | 『月の満ち欠け』 |
外国作品賞
新人俳優賞
小野花梨 | 『ハケンアニメ!』 |
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菊池日菜子 | 『月の満ち欠け』 |
福本莉子 | 『今夜、世界からこの恋が消えても』 |
生見愛瑠 | 『モエカレはオレンジ色』 |
有岡大貴 | 『シン・ウルトラマン』 |
番家一路 | 『サバカン SABAKAN』 |
松村北斗 | 『ホリック xxxHOLiC』 |
目黒蓮 | 『月の満ち欠け』 |
作品賞ノミネートを逃した2022年の名作たち
公開順 注目映画一覧表
1/21 | 『さがす』 佐藤二朗主演、失踪した父を探す娘を描く衝撃スリラー |
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2/11 | 『ちょっと思い出しただけ』 池松壮亮×伊藤沙莉×松居大悟監督 |
3/4 | 『余命10年』 坂口健太郎×小松菜奈の泣ける恋愛映画 |
6/17 | 『PLAN 75』 倍賞千恵子主演、75歳から自らの生死を選択する制度がある社会の是非を問う |
7/15 | 『キングダム2 遥かなる大地へ』 人気漫画実写の第2弾 |
9/1 | 『さかなのこ』 のん主演、さかなクンの半生を描いた映画 |
9/9 | 『百花』 菅田将暉が認知症の母と向き合う |
9/16 | 『沈黙のパレード』 「ガリレオ」シリーズ最新作 |
11/23 | 『母性』 永野芽郁×戸田恵梨香×原作:湊かなえ |
12/9 | 『ラーゲリより愛を込めて』 二宮和也主演、シベリア強制収容所の捕虜を描く |
12/16 | 『ケイコ 目を澄ませて』 岸井ゆきのが耳の聞こえないプロボクサーを熱演 |
上記の表では今年の話題作を1月に公開されたものから振り返っています。年始に公開された作品の中には、忘れてしまっているものも多いのではないでしょうか。 以下では受賞の可能性が期待できる作品を、ciatr的に期待値が高い順に紹介していきます。
①『ケイコ 目を澄ませて』
聴覚障がいを持ちながらリングに立った実在のプロボクサー、小笠原恵子をモデルにしたヒューマンドラマ。すべての音が閉ざされた世界で、目を澄ませながら戦い続けるケイコの姿は多くの観客を勇気づけます。 ベルリン国際映画祭や釜山国際映画祭などをはじめ、数多くの映画祭に出展され世界中から絶賛された本作。こちらも配給は大手ではありませんが、国境を越え評価された映画として、作品賞ノミネートの可能性は十分あると思われます。
②『PLAN 75』
是枝裕和監督の総合監修によるオムニバス映画の一篇を、長編デビューとなる早川千絵監督自らキャストを一新し、再構築した人間ドラマです。 第75回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門へ正式出品され、カメラドール特別表彰(新人監督賞)を獲得するなど、国際映画祭への出品が相次ぐ本作。満75歳以上が自ら生死を選択できる制度「プラン75」は驚きをもって迎えられ、第95回アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表にも選ばれています。 配給会社はそこまで大きくありませんが、海外の著名な賞の受賞は日本アカデミー賞協会も無視できないのではないでしょうか。
③『ラーゲリより愛を込めて』
シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留されていた実在の人物、山本幡男を主人公に据えたヒューマンドラマ。幡男と彼の帰りを待つ妻の愛情、そして同じ収容所にいる仲間たちとの友情を描く感動的な作品です。 主人公を演じた二宮和也をはじめ、北川景子や松坂桃李など豪華俳優陣が出演。重厚な物語は観客の涙を誘い、12月9日からの公開にも関わらず多くの映画ファンから高評価を得ています。作品賞へのノミネートも十分ありうる作品です。
④『さかなのこ』
魚類の深い知識を活かしタレントとしても大学教授としても活躍する、さかなクンの半生をもとに作られたヒューマンドラマです。 さかなクンをイメージした主人公ミー坊をのんが演じ、大きな話題に。のんのはつらつとした演技と、爽やかで透明感のあるストーリーで多くの人を元気づける作品となりました。 ヘビーな作品が多いノミネート作のなか、明るい風を運ぶ異色な作品として作品賞ノミネートの可能性があると思われます。
⑤『さがす』
『岬の兄妹』(2018年)で業界を震撼させた片山慎三監督の商業デビュー作。懸賞金目当てに指名手配犯を追って失踪した父親と、その消息を追う娘を描くスリラーです。 SNSを中心に口コミが広がり、当初23館だった上映館数は90館に迫るまで拡大。異例のロングラン上映となり、6月には韓国・台湾でも公開されました。多数の海外映画祭に選出され、オランダのCinemAsia Film Festival 2022ではコンペティション審査員賞(最高賞)を受賞しています。 ただ最優秀作品賞を狙うには、国内の認知度や好みが分かれそうな作風がネックかもしれません。
⑥『百花』
映画プロデューサーであり、脚本家、小説家でもある川村元気が自著を映画化。認知症で記憶を失う母と、反対に思い出を取り戻していく息子の親子の物語です。 川村元気といえば、『君の名は。』(2016年)などをプロデュースしたヒットメーカー。長編監督デビューとなる本作は、スペイン最大の国際映画祭「サン・セバスティアン国際映画祭」で日本人初となる最優秀監督賞(コンペティション部門)を獲得しました。
⑦『余命10年』
SNSで大きな話題を呼んだ小坂流加の同名小説を映像化した恋愛映画。小松菜奈と坂口健太郎が主演をつとめ、余命10年を宣告され恋愛はしないと決めた女性が恋に落ちていく様子を感動的に描きました。 監督の藤井道人は第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞を獲得した『新聞記者』(2019年)の監督もしており、実績は十分。『余命10年』で再び最優秀作品賞を獲得することが期待されます。
⑧『母性』
『告白』で知られる湊かなえの同名小説を、戸田恵梨香と永野芽郁のW主演で実写化。愛されたい娘と愛せない母親の視点から、未解決事件の真実に迫るミステリーです。 湊かなえが「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた」と語った渾身の原作をどう映像化するのか、大きな期待が寄せられる本作。2022年9月時点では未公開ですが、『告白』(2010年)の4冠から約10年、『母性』が日本アカデミー賞を席巻するかもしれませんね。
⑨『キングダム2 遥かなる大地へ』
原泰久の同名漫画を山崎賢人主演で実写化した「キングダム」シリーズ2作目。5巻~7巻「蛇甘平原編」の内容が描かれ、清野菜名演じる羌カイに称賛が集まりました。 公開初日からロケットスタートを切り、9月21日には興収50億円を突破しています。 最優秀助演男優賞(吉沢亮)など4冠を達成した前作は、山崎がノミネートすらしない事態にネット上で疑問の声が上がりましたが、リベンジなるのか注目ですね。
⑩『ちょっと思い出しただけ』
尾崎世界観の楽曲「Night on the Planet」にインスパイアされたラブストーリー。元ダンサーの男とタクシードライバーの女、1組の男女が恋人だった頃の6年間を回想します。 監督の松居⼤悟が映画の公式サイトで触れたように、『花束みたいな恋をした』との類似が指摘される一方、普遍的な物語として評価された本作。2021年に第34回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、観客賞を受賞しています。
⑪『沈黙のパレード』
東野圭吾原作、福山雅治主演による実写ドラマ「ガリレオ」シリーズの劇場版3作目。女子学生殺害の容疑をかけられた男の不審死を巡る人間ドラマです。 シリーズとしては9年ぶりの新作で、湯川学×内海刑事の名コンビ復活が大きな話題に!公開初日は興収30億円が見込める好スタートを迎えました。4部門ノミネートの名作「容疑者Xの献身」(2008年)には及ばずとも、主要部門ノミネートを狙えるかもしれません。
2023年日本アカデミー賞最優秀賞は果たして……
2023年の日本アカデミー賞では、『ある男』が作品賞を含め最多12部門での優秀賞受賞となりました。各部門で最優秀賞に輝くのは、一体どの作品になるのでしょうか? 第46回日本アカデミー賞の授賞式は、2023年3月11日(金)です。それまでに受賞作の予習復習をして、予想しながら楽しみに待ちましょう!