あの頃みんな若かった!今は大ベテランの女優たちの青春時代
主演では圧倒的な存在感を放ち、脇役で作品に深みを与える女優たち。近年の作品では円熟した個性や安定感のあるお芝居を見ることができますが、彼女たちの若い頃には現在とは違った魅力があります。 そんな魅力を堪能できる映画を5つ選びました。
加賀まりこ『月曜日のユカ』
『やすらぎの郷』の水谷マヤ役や『花より男子』の道明寺司の母親役でおなじみの加賀まりこ。最近では物語のキーパーソンや、主人公の母親や祖母として物語にメリハリを生む役どころの印象が強いでしょうか。 そんな加賀まりこの初期の代表作が1964年公開の『月曜日のユカ』です。『月曜日のユカ』は、1960年代の異国情緒あふれる横浜を舞台に、キスはさせないけれど誰にでも身体を許すという18歳の女の子・ユカのドライな青春を描いた作品。この作品で加賀はコケティッシュな主人公のユカを演じています。 純真さとセクシーさを兼ね備えたキュートすぎるルックスを全編にわたって堪能できるだけではなく、常人とは少しズレた感覚を持つユカを巧みに演じた様子も見ることができます。そのルックスと演技力でブレイクしました。
浅丘ルリ子『銀座の恋の物語』
最近では『やすらぎの郷』のレギュラー出演し、『おんな城主直虎』の寿桂尼役で圧倒的な存在感を見せつけた浅丘ルリ子。今でも美しいだけではなく、迫力のある演技で物語に深みを与えてくれる女優さんです。 1962年公開の『銀座の恋の物語』に浅丘ルリ子は出演しています。同名の石原裕次郎のヒット曲を元に作られたこの映画は銀座で夢を追う貧しい芸術家たち青春を描いた作品で、「銀恋」の愛称で親しまれました。 浅丘ルリ子が演じるのは石原裕次郎演じる主人公の恋人チャコです。ナチュラルメイクでも十分に可愛らしい表情だけではなく、途中から記憶喪失になるという難しい役を見事にこなしています。 この作品のメガホンを取った蔵原惟繕監督に見出され、男性スターの相手役女優から主演女優へとステップアップしていきました。浅丘ルリ子自身もこの作品がキャリアのターニングポイントとなったと語っています。
八千草薫『宮本武蔵』
戦後間もない頃から活躍し、90歳を目前にした現在でもなお現役の女優としてドラマや舞台に出演する大ベテラン女優の八千草薫。主人公の祖母役としてのキャリアも長い彼女は気品ある女優としてのイメージが強いのではないでしょうか。 宝塚歌劇団で娘役として活躍していた頃の八千草薫は1954年公開の『宮本武蔵』に出演しました。吉川英治の同名小説を原作としたこの作品で八千草はヒロインのお通を演じています。 劇中で次第に惹かれていった宮本武蔵を3部作に渡って一途に慕う姿と可憐な容姿を味わうことができます。 この作品に加えて娘役の印象と相まって清純派女優として人気になり、当時のお嫁さんにしたい有名人ランキングの上位常連でした。
松坂慶子『事件』
2018年2月24日公開予定の『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』や、大河ドラマ『西郷どん』に出演中の松坂慶子。最近では主婦やお母さんを演じることが多いですが、子役としてデビューした松坂慶子は当初おてんば娘や美しいヒロインを演じる女優でした。 その松坂慶子のイメージを覆した映画が1978年の『事件』です。この作品は大岡昇平の同名小説を原作とした法廷ドラマで、松坂慶子は物語の軸となる殺人事件の被害者坂井ハツ子を演じています。 汚れ役と一言で言い切れない複雑な心情を抱えたキャラクターに体当たりで挑み、脇役ながらも強い印象を残した松坂慶子は、見事に清純派からの脱却に成功し、演技派女優としての地位を築きました。
吉永小百合『潮騒』
近年になっても主演映画が続き、数々のテレビCMでもおなじみの吉永小百合。歳を重ねても変わらない健康的な美しさを保ったまま、お年を重ねられたといったイメージでしょうか。 吉永小百合が1964年に出演したのが三島由紀夫の原作も有名な『潮騒』。離島の漁師と海女の青春ラブストーリーです。ヒロインの宮田初江を演じた吉永小百合の海女らしく日に焼けた笑顔や三重の方言で快活に話す姿を見ることができます。 この作品を含めた浜田光夫との日活純愛路線で人気を博しました。その人気はブロマイドの売り切れが続出するほどで、サユリストと称する多くのファンを生み出しました。
映画の中で生き続ける当時の輝き
これらの作品はいずれもDVDや動画配信サービスなどで今でも気軽に見ることができます。 また、映画が製作された頃は、映画制作が盛んだったため、他にも当時の魅力を楽しめる作品は数多くあります。 ベテラン女優の魅力だけでなく、往年のスターやレトロなファッション、かつての日本の空気も味わうことができる昭和の映画たちを堪能してみてはいかがでしょうか。