2020年3月29日更新

明治・大正を舞台としたおすすめ映画 浪漫の風を感じたい!

明治・大正が舞台の映画

長かった江戸時代が終わりを告げ、日本に外国文化がなだれ込んできた明治時代。新たな価値観が生まれるようになった大正時代。そんな時代を知る人はもはや多くはありません。そこで今回は、そんな明治・大正の浪漫を感じさせるおすすめ作品を紹介します

目次

明治・大正浪漫を感じさせるおすすめの映画を紹介

今や時代は令和、すでに平成すら古くなってしまい、昭和時代の懐かしさも30歳から40歳代以降の人しか共有できなくなってきました。昭和よりもさらに古い時代、大正や明治を知る人も少なくなり、その時代を視覚的に知る手立ては当時の映像や写真、明治・大正を舞台にした映画などを観るほかありません。 日本が太平洋戦争に突き進む以前の古き良き時代だった、どこか浪漫を感じさせる明治・大正の時代。ここでは、そんな浪漫を味わうことができる明治・大正を舞台にしたおすすめの映画を紹介していきます。

明治時代を舞台にしたおすすめ映画

まずは、明治時代を舞台としたおすすめ作品を紹介します。 江戸時代の終わりとともに、文明開化が起こった明治時代。依然として古い慣習はのこるものの、新しい時代の訪れを誰もが感じていたようです。そんななかで激動の時代に翻弄される、さまざまな人々の物語を集めてみました。

『北の零年』(2005年)

明治維新後の北海道開墾を描いた歴史大作

行定勲が監督、吉永小百合が主演を務めた明治初期の北海道を舞台にした歴史群像劇。明治政府に北海道への移住を命じられた徳島藩・稲田家の人々の、極寒の地での命をかけた国作りを描いています。 淡路島の徳島藩から北海道移住を命じられた稲田家は、先遣隊を北海道・静内に派遣。先遣隊にいた夫の小松原英明(渡辺謙)を追って、妻の志乃(吉永小百合)は稲田家家臣とともに静内へ向かいました。しかしそこは極寒の地。厳しい冬に苦しむ彼らに手を差し伸べたのは、アイヌのアシリカ(豊川悦司)でした。 本作の時代背景には、明治維新後に起きた徳島藩の内紛「庚午(こうご)事変」があり、稲田家は処分として北海道移住を命じられたのです。初めは静内を開墾すれば自分たちの領地になると信じていた家臣たちですが、明治4年の廃藩置県によってその約束も反故にされます。明治維新直後の激動の時代と北海道開墾を描いた歴史大作です。

『劒岳 点の記』(2009年)

日本地図完成のために危険な山岳測量に挑んだ測量士たち

日本映画界随一のカメラマンである木村大作が、新田次郎の同名小説を映画化した初監督作。明治時代末期に陸軍の測量部が挑んだ劒岳登頂と測量を、史実に基づいて描いたドラマです。 明治39年、陸軍参謀本部陸地測量部の測量官・柴崎芳太郎は、劒岳の登頂と測量の命を受けます。そこは未踏峰の日本地図上で最後の空白地帯。仲間たちと測量に挑みますが、地元住民の反発や厳しい自然との闘いが待ち構えていました。 劒岳測量のリーダーを務めた柴崎芳太郎は実在の人物。劒岳登頂と測量に成功した後は、台湾や満州、シベリアなどの測量にも従事したそう。映画では浅野忠信が責任感の強い寡黙な男として演じています。

『八甲田山』(1977年)

「死の行軍」と呼ばれた陸軍連隊の八甲田山演習を描く

『日本沈没』の森谷司郎監督が、新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」を基に極限状態での人間ドラマを描いた作品。明治末期に起こった近代登山史最大の遭難事故「八甲田雪中行軍遭難事件」を題材にしています。 日露戦争開戦前夜の明治34年、陸軍は対露戦を見据えて寒地訓練を実施しようとしていました。白羽の矢が立ったのは、青森歩兵第五連隊の神田中隊長(北大路欣也)と弘前歩兵第三十一連隊の徳島中隊長(高倉健)。二人は雪の八甲田山で再会を誓います。 大部隊を組んで自然と闘おうとした神田と、少数精鋭で自然と折り合いをつける道を選んだ徳島。それぞれの行軍計画によって命運が分かれていくことになります。本作では『北の零年』の木村大作が撮影を担当し、実際に真冬の八甲田山でロケを敢行しています。

『許されざる者』(2013年)

クリント・イーストウッド監督作を明治初期の北海道を舞台にリメイク

クリント・イーストウッド監督のアカデミー賞受賞作『許されざる者』(1992年)を、李相日監督がリメイクした作品。オリジナルの西部劇の要素を、倒幕後の北海道開拓時代を舞台とした時代劇に置き換えています。 かつては「人斬り十兵衛」と呼ばれ、幕府の命で倒幕の志士を幾人も暗殺していた釜田十兵衛(渡辺謙)。倒幕後は幕府側の残党として追われ、人里離れた蝦夷地でひっそり暮らしていました。しかし貧困の中、昔の相棒の金吾(柄本明)に誘われ、賞金稼ぎとして再び刀を握ることになります。 舞台をオリジナルと同じ1880年、明治13年に設定し、アメリカと日本の同時代の様子を比較できるもの興味深いところ。アイヌと和人の血が流れる沢田五郎を柳楽優弥が演じ、当時のアイヌ差別をサブテーマとしている点はリメイク版ならではの見どころです。

『るろうに剣心』(2012年)

明治が舞台の剣客浪漫譚!最終章二部作も2020年夏公開

和月伸宏の人気漫画「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」の初の実写映画化作品。これまでシリーズ3作が製作され、2020年夏には最終章二部作も公開されます。明治維新後を舞台に、剣客・緋村剣心の流浪の旅を描いています。 伝説の剣客「人斬り抜刀斎」と恐れられ、幕府側の暗殺者として暗躍した緋村剣心(佐藤健)。明治維新後は「不殺の誓い」を立て、人を斬ることのない「逆刃刀」を持って流浪の旅を続けていました。そんな中、東京にたどり着いた剣心は神谷活心流の師範代を務める少女・薫(武井咲)と出会います。 主人公は創造のキャラクターながら、明治政府とのつながりも描かれるため、山県有朋や斎藤一など歴史上の実在の人物も登場。維新後の混迷した時代背景を取り込みつつ、明治初期ならではの和洋折衷な雰囲気も作品に活かされています。

大正時代を舞台にしたおすすめ映画

大正時代に入るとさらに日本の近代化/西洋化は進み、人々の生活様式も変わっていきます。また民主主義の台頭なか、とくに若者たちのあいだでは、新しいことに挑戦しようという機運が高まっていたようです。 ここでは、古い慣習を打ち破ろうと奮闘する若者たちの物語を紹介。あわせて、大正ロマンを代表する芸術家の伝記など、幻想的な作品もピックアップしてみました。

『カツベン!』(2019年)

大正時代の人気職業「活動弁士」を目指す青年のハートフルコメディ

『Shall we ダンス?』の周防正行監督が、無声映画時代に活躍した「活動弁士」を描いたハートフルコメディ。一流の活動弁士を目指す主人公の俊太郎を演じたのは、本作が映画初主演となる成田凌です。 無声映画が最盛期を迎えていた大正時代。活動弁士を夢見る俊太郎は泥棒と組んで偽弁士を演じ、危ない橋を渡っていました。逃げ出した先で行き着いたのは寂れた映画館「靑木館」。そこでクセの強い館主や弁士たちに揉まれながら、一人前の弁士として成長していきます。 映画がまだ「活動写真」と呼ばれ、声も音も入っていないモノクロ映像だった大正時代では、楽士が音楽を奏で、活動弁士が登場人物すべての声を担当していました。活弁が花形職業だった当時の雰囲気を再現したレトロ感漂う映像が素敵。無声映画も活弁も知らない世代にこそ、ぜひその魅力を体験してほしい作品です。

『菊とギロチン』(2018年)

女相撲×アナキスト集団!大正末期が舞台の青春群像劇

『64-ロクヨン-』の瀬々敬久監督が構想30年をかけたオリジナル企画で、脚本も手がけた大正末期の青春群像劇。大正時代に実在した女力士とアナキスト集団がもし出会っていたら、という史実とフィクションを織り交ぜた作品です。 関東大震災直後、混乱と貧困で社会に不穏な空気が漂っていた時代。東京に興行にやって来た女相撲の一座「玉岩興行」のワケあり女力士たちと、アナキスト集団「ギロチン社」の若者たちが出会い、互いに影響を受けてともに行動するようになります。 女力士たちもアナキスト青年たちも、強くなって自分の力で生きていきたい、社会を変えたいという想いは同じ。そんな彼らが閉塞感で押し潰されそうな時代に、格差のない平等な社会を目指して闘う姿を熱く描いています。

『この道』(2019年)

時代を超えた童謡を残した北原白秋×山田耕筰の友情と生きた時代を描く

「あめふり」や「この道」などの名曲を後世に残した北原白秋と山田耕筰の友情を描いた作品。『半落ち』の佐々部清が監督を務め、大森南朋が破天荒な天才詩人・北原白秋、EXILE AKIRAが生真面目な作曲家・山田耕筰を演じました。 児童雑誌「赤い鳥」を創刊した児童文学者・鈴木三重吉は、子どもたちのために優良な唱歌を創ろうと北原白秋と山田耕筰に白羽の矢を立てます。真逆な性格の二人でしたが、関東大震災で心身ともに打ちひしがれた子どもたちのためにも数々の名曲を共作していきます。 作中には大正末期のモダンな風潮も投影され、当時の文化や服装などをうかがい知ることができます。その一方で関東大震災で破壊された街や戦時下に突入する様子も描かれ、二人が軍歌を作ることを強いられる場面も。自らの歌が子どもたちを戦場へ誘うことにどれほどの葛藤があったのか、深く考えさせられます。

『春の雪』(2005年)

貴族階級制度を背景に描かれる禁断の愛

2005年に公開された映画『春の雪』。夢と転生の物語を描いた三島由紀夫の4巻からなる長編小説の第1巻・春の雪を原作とした作品です。監督を行定勲が、主演を妻夫木聡が務めました。 幼馴染として育った侯爵家の息子・松枝清顕と、伯爵家の娘・綾倉聡子は、両思いながらもその気持ちを伝えられないまま過ごしました。やがて時が過ぎ、聡子は宮家の子息との縁談が進められてから清顕は、聡子を心から愛していることに気付きます。2人は、禁断の愛と知りながらも激しく求め合ってしまいました。 映画の舞台は、大正時代初期。華族や貴族といった血統による階級が色濃く残る時代で、階級による縁談の重さや、それぞれの家族の様子などが描かれました。大正ならではの時代背景からも感じられる浪漫作品のひとつです。

『ツィゴイネルワイゼン』(1980年)

現実と幻想の狭間をさまよう怪奇映画

ヴァイオリン独奏曲「ツィゴネルワイゼン」が録音されたレコードが生み出す、妖艶で不思議な出来事に4人の男女が巻き込まれていく『ツィゴイネルワイゼン』。監督を鈴木清順が、主演を原田芳雄が務めています。 友人の青地豊二郎と旅に出た主人公・中砂糺は、旅の途中で弟を亡くした芸者・小稲と出会います。それから1年、中砂から結婚の報告を受けた青地は、小稲とうり二つの園という妻を紹介され驚愕。 そして、3人ですき焼き鍋を囲むことになりますが、酒を酌み交わす中砂と青地をよそに、園はこんにゃくを千切り続けるといった不思議な行動をみせます。さらに食後には書斎で演奏中に聞き取れない呟きが吹き込まれた「ツィゴイネルワイゼン」のレコードが流れます。 本作は、“浪漫3部作”の第1弾として公開されました。装いや家の外観など様々な場面から時代を感じさせることはもちろん、妖しいストーリーから違和感無く大正の時代に入り込んでいるような錯覚も味わえます。

『陽炎座』(1981年)

偶然の出会いから不思議な世界に飲み込まれる幻惑的な作品

1981年に公開された映画『陽炎座』。新派の劇作家が謎めいた女性と出会うことから翻弄される姿を描いた作品で、監督を鈴木清順が、主演を松田優作が務めています。 主人公の劇作家・松崎春狐は、品子という女性と偶然の出会いを重ねたことから一夜を共にします。しかし、その部屋が自分のパトロンである玉脇という男性の家とソックリだったことから、松崎は品子は玉脇の妻ではないかという恐怖を覚えました。しかし、数日後に品子とうり二つの女性・イネが現れるなど、次々と襲われる不気味な出来事から逃げ出した松崎は、祭囃子に導かれてしまい芝居小屋・陽炎座に辿り着きます。 本作は、“浪漫3部作”の第2弾。1926年の東京を舞台に物語が始まります。映画『ツィゴイネルワイゼン』に続き、時代背景もさることながら、夢と現実の境が分からない不思議な世界に観るものを誘います。

『夢二』(1991年)

美人画の名手の半生を独特の雰囲気で描く

1991年に公開された映画『夢二』。数多くの美人画を残したことでもしられる画家で詩人の竹久夢二の半生を題材にした作品で、監督を鈴木清順が、主演を沢田研二が務めています。 主人公・竹久夢二は、駆け落ちを約束した恋人を待っている途中に、隣町で妻とその愛人を殺したという男が逃げたという噂を聞きます。その後、恋人に約束を破られたことや、自身の立場に悩む夢二は、湖上で人妻の女性と出会い逢瀬を重ねていき――。 “浪漫3部作”の第3弾で1917年の金沢が舞台の物語。幻想的な映像によって、難解で妖しげな世界が描かれます。

古き良きとはいえど、激動の時代だった明治・大正

幕末から明治維新、そして大正デモクラシーと呼ばれたモガ・モボが闊歩する大正時代へ。漫画「はいからさんが通る」にも描かれた古き良きハイカラで粋な時代の雰囲気は、体験したことがないからこそ憧れます。 しかし古き良きとはいえ、明治維新や関東大震災、日清・日露戦争を経験するなど激動の時代でもありました。そういった時代背景も含めて明治・大正時代を舞台とした作品に触れてみると、また違った見方ができるかもしれませんね。