2018年1月21日更新

古典映画だからって避けてない?面白いから語り継がれているんです!

羅生門 デジタル完全版 [DVD]

新作映画をより楽しむなら、古い映画の知識も欠かせません。この記事では、個性豊かな古典映画の名作をピックアップして解説。新たな世界への入り口を見つけてみましょう!

目次

古典を知れば、映画がもっと楽しくなる!

新作のチェックも映画ファンの楽しみですが、現代は古典と呼ばれるような昔の作品も簡単に観られる、便利でありがたい時代です。 名作が次々とリマスター化される中、古典映画に興味が湧いてきた人も沢山いるでしょう。しかし、膨大な量の作品の中から、何を観れば良いのか分からないという意見もあります。 そこで今回は、古典映画の中でも選りすぐりの名作をチョイスしてご紹介!ストーリーなどの基本情報から、現代から観ても楽しめるポイントなどをまとめました。 過去の名作に触れることで、また映画の見方が変わるかもしれませんよ!

日本映画を世界に知らしめた!黒澤明の傑作サスペンス 『羅生門』

ある殺人事件を巡って集められた、3人の事件の関係者。彼らの証言はそれぞれ大きく食い違うものでしたが、その裏には浅ましい人間の醜さが隠されていて…… 1950年に公開された『羅生門』は、監督である黒澤明だけでなく、日本映画そのものが世界的に評価されるきっかけとなった作品です。 アカデミー名誉賞などをはじめとした数多くの賞を獲得し、後の映画監督にも非常に大きな影響を与えました。 作品自体は古いものの、殺人事件を題材にしたストーリーは、現代のサスペンス作品と比べても全く劣りません。また、当時の常識を打ち破った本作の撮影技法にも注目です。

ある夫婦の破局を芸術的に描いた『軽蔑』

数多くの歴史に残る傑作を作り上げた巨匠、ジャン=リュック・ゴダールの1963年の人気作。 ある女優と脚本家の夫婦関係が、些細な出来事をきっかけに急速に終焉へと向かう様子を、映画産業への批判なども絡めて描き出しました。 難解な作品が多いゴダールですが、本作には当時の彼の心境が強く表れており、比較的理解しやすい内容です。メロドラマ的な展開や衝撃的な結末は必見! また、中盤以降の舞台であるイタリアのカプリ島の風景や、フランスの大女優ブリジット・バルドーの美貌など、ストーリーのみならず映像も見応えのあるものになっています。

サイコ・スリラーの元祖にして金字塔! 『サイコ』

映画や小説は勿論、アニメにも数多くのサイコスリラー作品がありますが、アルフレッド・ヒッチコックが1960年に発表した『サイコ』は、その原点と言えるでしょう。 不動産会社に勤めるマリオンは、恋人の為に客が支払った金を持ち逃げしてしまいます。犯行が表沙汰にならないうちに恋人の元へ向かう道中で、ノーマンという男が経営するモーテルへ立ち寄る彼女でしたが…… 犯人の異常性を強く押し出した展開やスリリングな演出と音楽は、公開からどれだけ経っても圧倒的な影響力を持ち続けています。多くのパロディーの元ネタとしても楽しめる古典映画です。

映画史に燦然と輝く大傑作SF 『2001年宇宙の旅』

映画ファン以外にもその名を知られている本作は、鬼才スタンリー・キューブリックを、そしてSF映画を代表する傑作! 人工知能と人間の戦い、そして人類の成り立ちと新たな進化を壮大なスケールで描いた一大ドラマです。 難解でありながらエンターテインメント性に優れた内容と、芸術的な映像表現は絶賛され、あらゆる分野に多大な衝撃を与えました。 哲学的なテーマを含んだストーリー、CGの無い時代だからこその表現は、技術が発展した現代から見ても斬新です。古典映画への入り口に最適な作品の1つでしょう。

SF映画の原点にして頂点『メトロポリス』

2026年、高度な文明により平和と繁栄がもたらされたかのように見える未来都市メトロポリスは、実は限られた支配階級と地下で過酷な労働に耐える労働者階級の極端に二極化された社会でした。権力者の息子フレーダーは労働者の女性マリアと出会い、初めてその社会の実態を知ります。 マリアを中心に労働者たちの間でストライキの機運が高まった時、それを知ったフレーダーの父は、ロードヴァングが造ったロボットの顔をマリアそっくりにさせて、本物のマリアを誘拐し、その偽物であるロボットを労働者に向かわせます。それを使って、労働者たちの団結を崩そうと画策するのでした。 ドイツのフリッツ・ラング監督による1927年のモノクロ無声映画です。SF映画黎明期の傑作と言われ、以降数多くの作品に影響を与えています。

アガサ・クリスティーの原作を豪華キャストで映画化『情婦』

金持ちの未亡人殺害容疑をかけられたレナードは、高齢の敏腕弁護士ロバーツに弁護を依頼。レナードの妻クリスチーネは夫のアリバイを証言できるというものの、信用できないと判断したロバーツは夫人の証言なしで裁判に挑みます。そこで検察側の証人としてレナードに不利な証言をしたのは、なんと妻のクリスチーネでした。 アガサ・クリスティが自身の小説を戯曲化した『検察側の証人』を原作とし、容疑者の夫人役にマレーネ・デートリッヒを迎えたサスペンス映画です。主人公の老弁護士ロバーツをチャールズ・ロートンが、その付き添いの看護婦をロートンの妻エルザ・ランチェスターが演じ、それぞれアカデミー賞主演男優賞と助演女優賞にノミネートされました。

ヒッチコックが手がけるサスペンスミステリー『めまい』

過去のトラウマから高所恐怖症に苦しむ元刑事ジョン。ある日彼の元に旧友ゲビンが現れ、様子がおかしい妻マドレイヌの調査を依頼されます。彼女を尾行し始めて数日、目の前で海に身を投げたマドレイヌをジョンは救出し、自宅で介抱しました。 アルフレッド・ヒッチコック監督のサスペンス映画で、フランスの作家ボワロー=ナルスジャックの小説『死者の中から』を原作としています。ヒロイン2人を演じ分けたキム・ノバクの妖艶な魅力に注目です。

巨匠が若干25歳にして作り上げた傑作サスペンス『死刑台のエレベーター』

未開地開拓会社の技師ジュリアンと社長夫人のフロランス、密かに愛し合うふたりは邪魔なシモン社長を殺害しようと完全犯罪の計画を立てます。社長を殺害したジュリアンは、忘れ物に気づき殺害現場に戻ろうとしてエレベーターに閉じ込められてしまいます。 『地下鉄のザジ』(1960)や『鬼火』(1963)で知られるフランスの映画監督ルイ・マルが25歳のときに製作した監督デビュー作です。

アメリカン・スピリットを感動的に描いた傑作『スミス都へ行く』

田舎で青年団のリーダーをしていたスミスは、死亡した上院議員の空席を埋めるため政界に担ぎ出されます。議会の目論見をよそに必要以上に熱心に仕事に当たる彼は、やがて議員の汚職問題にたったひとりで立ち向かうことに。 ルイス・R・フォスターの『ミネソタから来た紳士』を原作とした1939年のこの作品は、腐敗した政治の世界に、立ち向かう1人の男を通してアメリカン・スピリットを感動的に描き、第12回アカデミー賞で作品賞を含む11部門にノミネートされ、原案賞を受賞しています。

アカデミー賞外国語映画賞を受賞した感動作『道』

怪力の大道芸人ザンパノと彼のアシスタントをするために買われた女性ジェルソミーナは、ふたりで旅芸人をしていました。乱暴なザンパノに嫌気がさし街へ逃げたジェルソミーナは、そこで綱渡り芸人と出会います。その後、ザンパノがジェルソミーナを連れ戻しに来ますが、彼女はザンパノとともに旅芸人のいるサーカス団と行動をともにすることになります。 イタリアを代表する巨匠、フェデリコ・フェリーニの代表作のひとつ。野卑な男がわずかに残っていた人間性を蘇らせるまでを描いた感動作で、1954年に製作・公開され、1956年のアカデミー賞で外国語映画賞を受賞しました。

鋭く戦争を批判した反戦映画『大いなる幻影』

第一次世界大戦のドイツとフランスの戦いを背景に、ドイツ軍に捕まったフランス人の収容所生活と、ドイツ人将校との友情を描いた反戦映画です。 ジャン・ルノワールが監督を手がけ1937年に製作・公開されたこの映画は、高い評価を得て数多くの映画賞を受賞し、第11回アカデミー賞作品賞にも輝きました。

数々の名場面に彩られた問題作『第七の封印』

スウェーデンの巨匠、イングマール・ベルイマンが1957年に製作した『第七の封印』は、“神の不在”という実存主義的なテーマについて描いた問題作です。 ペストが流行し混乱した中世の北欧。十字軍遠征から帰還した騎士アントーニウスは、目の前に現れた死神と自らの命をかけてチェスの勝負をします。勝負を続けながら故郷の城を目指すアントーニウスは、道中で様々な人々と出会います。

フランスの喜劇俳優ジャック・タチの代表作『ぼくの伯父さん』

プラスティック工場のオーナーの息子ジェラールは、自分の住むモダンな邸宅が気に入らず、たびたび下町に住むユロ伯父さんのもとを訪れていました。息子を取られたようで気に入らない工場のオーナーは、この独身の兄を結婚させようとしたり自分の工場で働かせてみたりと策を講じますが、陽気で常識にとらわれないユロ伯父さんは、無意識に弟の計画を台無しにしてしまいます。 フランスの国民的スター、ジャック・タチが監督・主演を務めた長編映画第3作目で、アカデミー賞外国語映画賞、カンヌ映画祭審査員賞を受賞した名作です。

鬼才2人がタッグを組んだシュールレアリズムの怪作『アンダルシアの犬』

ルイス・ブニュエルが監督し、シュールレアリズムの画家として知られるサルバドール・ダリが脚本に携わった1929年の実験映画です。 大筋で男女の情のもつれが描かれていますが明確なストーリーは特になく、冒頭の女性の眼球をカミソリで切り裂く有名なシーンをはじめ、衝撃的なイメージ映像が脈略なく映し出されます。 初めて上映された時ブニュエルは観客の抗議を予想していましたが、パブロ・ピカソやジャン・コクトー、ル・コルビジェら当時の著名な芸術家を含む観客には拍手喝采で迎えられました。

「真のアメリカ」を求めて旅する若者たち『イージー・ライダー』

マリファナ密売で儲けた大金をバイクのタンクに隠し、ワイアットとビリーはカリフォルニアをスタート地点とし、ニューオーリンズを目指して旅に出ます。行き当たりばったりの旅を続ける2人でしたが、途中、許可なくお祭りのパレードに参加したことから留置所に入れられてしまいました。そこで出会った弁護士ハンセンと意気投合し、彼の口利きで釈放された2人はハンセンと旅を続けます。 衝撃的な結末で知られる、アメリカン・ニューシネマの代表作です。俳優のデニス・ホッパーの監督デビュー作で、脚本にも携わったピーター・フォンダとの主演コンビや、弁護士役のジャック・ニコルソンの演技も必見です。

ひとりの男によって崩壊に導かれるブルジョワ家庭『テオレマ』

ミラノ郊外に邸宅を構える工場経営者とその家族のもとに、見知らぬ男が訪れ、そのまま家に住み着いてしまいます。男の謎めいた魅力に家族全員が虜になりますが、男が去ると動揺した家族は奇妙な行動を取り始め、家庭は崩壊してしまいます。 前作『アポロンの地獄』(1967)で高い評価を得たピエル・パオロ・パゾリーニ監督が、寓話的な語りの中に現代への鋭いメッセージと未来への啓示を込めた作品です。

荒れた炭鉱町に住む少年少女を描いた青春ドラマの傑作『動くな、死ね、甦れ!』

第二次世界大戦後、収容所地帯と化した炭鉱町に住む12歳のワレルカとがリーヤ。盗まれたスケートを取り返したワレルカでしたが、いたずらが原因で学校を退学になってしまいます。母親と愛人との関係に不満を募らせる彼は、いたずらで列車を横転させてしまいます。 映画学校在学中に無実の罪で投獄されたヴィターリー・カネフスキー監督が、54歳でカンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)を受賞した作品です。

不運から全てを失ってしまう青年を描いた映画『ラルジャン』

不運にも偽札をつかまされたことから失職し、仕方なく強盗の運び屋となり逮捕されてしまったイヴォン。刑務所にいる間に娘は病死し、妻も彼に愛想を尽かしてしまいます。 知らないうちに偽札を使ってしまい、全てを失っていく青年をドキュメンタリータッチで描いた、ロベール・ブレッソン監督の遺作。カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しました。

『マトリックス』などに先駆けて多層現実の世界を描く『あやつり糸の世界』

未来研究所のシュティラー博士は、仮想現実から未来を正確に予測する”シミュラクロン”の開発主任を任されていました。そんなある日、保安課長のラウゼが突然姿を消し、別の人物が保安課長になっていることに気がつきます。実験のために自ら仮想現実に入ったシュティラー博士は、そこでラウゼを見かけますが……。 ジャーマン・ニューシネマの旗手となったライナー・ヴェルナー・ファスビンダーによるSFサスペンスです。バーチャルリアリティによる多層現実を、鏡を多用した画面や電子音により作り出した映像・音楽に注目。

死を決意した男の最後の48時間『鬼火』

アルコール依存症で入院療養中のアランは、「死」に憑りつかれていました。ある日、パリに出たアランは旧友を訪ねますが、彼らの安定した生活もアランには退屈にうつり、ますます生きることへの希望を失っていきます。 エリック・サティの印象的な旋律を背景に、ピエール・ドリュ=ラ=ロシュの小説『ゆらめく炎』を映画化したルイ・マル監督の作品です。

イタリアの巨匠による傑作サスペンス『サスペリア PART2』

ある女性予言者が殺害されたことをきっかけに連続殺人事件が発生。事件に巻き込まれたピアニストが謎の犯人像に迫ります。 のちに「魔女三部作」などで知られることになるダリオ・アルジェント監督によるサスペンス映画です。同監督のホラー映画『サスペリア』が日本で大ヒットしたため続編のような邦題になっていますが、実際は本作の方が先に製作されており、無関係の作品となっています。

貧しいながらもたくましく生きる姿を描いた感動作『木靴の樹』

19世紀末の北イタリア。ベルガモという農村に住む農民たちは、家畜や農具から農地、住居など全てを領主に借りて生活していました。ある日、バティスティー家の幼い息子の木靴が壊れてしまいます。学校まで長い道のりを通う息子のために、父親は川沿いのポプラの樹から靴を作ることにします。 イタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督がカンヌ映画祭でパルムドールと受賞し、世界から注目を集めるきっかけとなった感動作。出演者は全てベルガモに住む農民たちを起用しています。

日本の著名人も絶賛したガーリー・カルチャーの源流『ひなぎく』

マリエ1とマリエ2は、姉妹と偽り、男たちを騙して食事をおごらせ、おかしないたずらを仕掛けては嘘泣きのあと笑って逃げ出します。明確なストーリーはなく、ただ若い女の子2人がめちゃくちゃに暴れ回る様子をハイセンスな衣装や音楽、美術とありとあらゆる映画的技法を使って描き出したチェコ・ヌーヴェルヴァーグの傑作。 漫画家の岡崎京子や女優の小泉今日子、シンガーの野宮真貴やカヒミ・カリィら90年代渋谷系を代表する著名人が絶賛し、「60年代ガールズムービーの決定版」として日本で高い人気を誇っています。

予言的な描写が話題となった傑作SF『ストーカー』

謎の立ち入り禁止区域”ゾーン”。その奥にはどんな願いも叶う部屋があると言われ、厳重な警備をかいくぐってゾーンを案内する”ストーカー”と呼ばれる人々がいました。ある日ストーカーのもとに「科学者」と「作家」と名乗る2人の男が現れ、その部屋に連れて行ってくれと依頼します。 『惑星ソラリス』で知られるアンドレイ・タルコフスキー監督によるSF映画ですが、未来的な描写や派手な演出は全くない異色作です。人間の本能と欲望、愛や信仰を通じての魂の救済を描いています。また、”ゾーン”の描写が映画製作後に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故に似ていることも話題となりました。

ヌーヴェルヴァーグを代表する作品のひとつ『気狂いピエロ』

退屈な結婚生活から逃れたいと思っていたフェルディナンは、たまたま再会した昔の恋人・マリアンヌと共に一夜を過ごします。翌朝、知らない男の死体を見つけ、逃避行に出るふたり。しかしマリアンヌは、フェルディナンに愛想を尽かし始めます。 映画的文法に基づいたストーリーはなく、光、色、音などを組み合わせて引用で組み立てられた、ヌーヴェルヴァーグの代表的作品です。『勝手にしやがれ』(1959)と並ぶゴダールの代表作となりました。

名監督ビリー・ワイルダーの傑作コメディ『アパートの鍵貸します』

しがないサラリーマンが、出世のために自分のアパートを上役の逢い引きの場に提供するという、悲哀たっぷりなコメディで、作品賞、監督賞などを含むアカデミー賞の5部門を受賞しました。 主人公役のジャック・レモンの好演ぶりや、シャーリー・マクレーンのコケティッシュな魅力も必見です。

いい映画は時代を超える!

いかがだったでしょうか?今回は数多くの名作の中から、それぞれ違った個性を持つ映画をピックアップしました。 好みに合うかもしれないと思った人は、是非一度観てみることをお勧めします。画質は現代の映画ほど綺麗じゃなくても、ストーリーや映像表現では決して負けていない。 むしろ、映画、映像表現という枠の中で、クリエイティブかつ偉大な仕事をしてきた先人たちに圧倒されるでしょう。 古い名作を観ていないと気付かないような細かいネタなどが分かると、新しい作品もより深く理解することが出来ます。 たまには、家でゆっくりと古典映画を楽しんでみてはいかがでしょうか。