初めての鉄道モチーフ戦隊『烈車戦隊トッキュウジャー』
スーパー戦隊シリーズ第38作目として制作された本作『烈車戦隊トッキュウジャー』のモチーフに選ばれたのは「鉄道」。既に鉄道型のロボットは登場しているものの、作品の世界観を作る題材としては初めて採用されました。 当初、本作のメイン脚本が電車がモチーフとなった『仮面ライダー電王』と同じ小林靖子であったことから、「電王」との類似性が懸念されました。しかし、どこでも好きな場所に降りることができる「電王」とは異なり、本作では各地で駅に停車するといった描写をすることで、電王とは明確に区別されました。
『烈車戦隊トッキュウジャー』のあらすじ
人々を絶望に陥れる力を持つ悪の帝国シャドーラインが地下から進行し、地上に「ステーション」と呼ばれる拠点を次々と設置し、闇の勢力を拡大させていました。光の路線レインボーラインは、この危機的状況に対抗するために、闇の力に対抗できる豊かな想像力=イマジネーションを持つ5人の若者をトッキュウジャーに任命しました。 5人の若者たちは全員記憶をほとんど失っていたものの、自分たちがお互いに幼なじみであることは覚えていました。彼らはトッキュウジャーとして戦いながら、失った記憶と自分たちの故郷を探すことにしました。
『烈車戦隊トッキュウジャー』のメインキャスト
トッキュウ1号/ライト役:志尊淳
ライトは無邪気で熱い心を持つ青年。いつでも自分の置かれた境遇を前向きに楽しむポジティブさでトッキュウジャーを引っ張るリーダー的存在です。 志尊淳は俳優集団D-BOYSのメンバーで、舞台『ミュージカルテニスの王子様2ndシーズン』の向日岳人役でデビューしました。本作終了後は、映画・舞台・ドラマでジャンルを問わず主役から脇役まで幅広く活躍しています。
トッキュウ2号/トカッチ役:平牧仁
メガネが特徴的なトカッチは知的で真面目な青年です。頭の回転は速いものの、非常に慎重な性格ゆえに優柔不断な一面もあります。また、ドジを踏むことも度々あり、そのせいか自分自身に厳しいところもあります。 平牧仁は本作以前から舞台を中心に活躍しています。また、ミュージシャンとして音楽活動も積極的で、ユニットでの活動や本作において自分自身のキャラクターソングの作曲を行うほか、舞台音楽の制作も行っています。
トッキュウ3号/ミオ役:梨里杏(現・小島梨里杏)
ミオは運動好きでしっかり者。警察官である父親ゆずりの武術に長けているだけではなく、家事全般もこなすことのできる頼れる存在です。しかし、トカッチからの恋心に気づかないなど、他人の気持ちに鈍い面もあります。 小島梨里杏は子役時代からテレビドラマや情報番組に出演しています。本作終了後もテレビドラマや舞台、教育・バラエティ番組の「天才てれびくんYOU」など幅広く活動しています。
トッキュウ4号/ヒカリ役:横浜流星
ヒカリは気分屋でちょっとわがままな青年。クールな現実主義者で容赦ない物言いをよくしてしまいますが、根は仲間思いです。腕力に優れ、武術の心得もあるトッキュウジャーの大事な戦闘力です。 横浜流星は雑誌「nicola」の人気メンズモデルで、モデル活動の傍ら俳優デビューしました。本作終了後はドラマ・映画で出演作が続き、2018年公開予定の映画『兄友』、『虹色デイズ』では単独主演を務めます。
トッキュウ5号/カグラ役:森高愛
ツインテールが特徴的なカグラは天真爛漫な女性です。戦闘能力は低いもののイマジネーションの豊かさで時に大きな力を発揮することもあります。 森高愛は子役として本作以前からテレビドラマに出演し、「ニコ☆プチ」や「ピチレモン」では専属モデルを務めていました。本作終了後はドラマや映画、スーパー戦隊シリーズのOB・OGが出演する舞台「俺たち賞金稼ぎ団」シリーズなどに出演しています。
トッキュウ6号/虹野明役:長濱慎
虹野明はレインボーラインの保線作業員。思い込みの激しい一匹狼であり、途中でトッキュウジャー に加入した当初、他のメンバーは彼の言動を理解することができませんでした。年長者である明は次第に5人のお兄さん的存在になっていきます。 長濱慎は本作以前からモデルとして活動しながらテレビドラマに出演していました。本作終了後もドラマ・舞台・CMなどに出演し、2018年のテレビドラマ『モブサイコ100』では30代で中学生を演じることが話題なりました。
新たな仲間となったトッキュウ6号
虹野明ことトッキュウ6号が初めてトッキュウジャー たちと出会った時、彼は保線作業員ではなく、シャドーラインの怪人ザラムでした。 自分の意に関係なく雨を降らせる力を持っていたザラムは、数々のイベントを雨天中止にしてしまったことを非常に気に病んでおり、過剰なまでの罪悪感を抱いていました。しかし、ある日見かけた虹の美しさに心を打たれ、「虹を守って消える」ことを望んでシャドーラインを抜けました。 そんなザラムの思い込みの激しさから彼の想像力の豊かさを見込んだライトがトッキュウジャーに誘い、加入後にみんなから「虹野明」という名前を与えられました。
列車が人になる? 斬新なロボット
本作の巨大ロボは、トッキュウジャーの移動手段でもある「烈車」を人型に編成させたものです。ロボットを構成する烈車は蒸気機関車型や新幹線型など多くのバリエーションがあり、どうやって編成するかも比較的自由度が高いものとなっています。 また、本作の特徴としては敵であるシャドーラインも鉄道を移動手段とし、自分たちの車両で巨大ロボを編成させることもあります。これは敵の幹部が簡単に撤退してしまわないための仕掛けでしたが、ロボット同士の戦いという本作ならではの見所が生まれました。
敵の内部にもドラマあり
中世や近代ヨーロッパの貴族のような出で立ちをしているシャドーラインの幹部たちは、地上を制圧するという目標は共有しているものの、それぞれの思惑が異なっているので、幹部同士でしばしば対立しています。 シャドーラインのトップである皇帝に忠実に仕えている者と、自分の娘を皇帝と結婚させ支配者を交代させようと目論む者の権力闘争。想い人がいるのに好きでもない人と結婚させられそうになっている娘と、娘の将来を思うあまり娘の意思を無視してしまっている母の愛憎劇。唯一の理解者がトッキュウジャーになってしまった者の孤独な戦い。 本作ではこれらの敵同士の人間ドラマを、トッキュウジャーたちの成長を描く一方でしっかりと描いていました。
【ネタバレ】トッキュウジャーは史上初の子供戦隊だった
中盤でトッキュウジャーに選ばれた5人の正体が判明します。なんと5人はシャドーラインに飲み込まれた町に住んでいた小学生でした。シャドーラインによって無理矢理大人の身体に変えられたショックで記憶を失っていたのです。 終盤では、まだ戦いが終わっていないにもかかわらず、これ以上大人の姿でいると元の姿には戻れないことが判明し、故郷に帰ることと敵を倒すことの間で板挟みになりました。結果的には敵を倒しても子供の姿に戻ることができ、家族の元に帰ることができました。 また、子供の姿でもトッキュウジャー に変身することができ、本作の後日談にあたるVシネマ『行って帰ってきた烈車戦隊トッキュウジャー 夢の超トッキュウ7号』では小さなトッキュウジャーとしてシャドーラインの残党と戦っています。
【ネタバレ】トッキュウ1号/ライトの正体
敵のボスである皇帝ゼットは、トッキュウジャーの故郷である昴ヶ浜をシャドーラインの支配下に収めたときに、闇の中でキラキラと光るものを見つけて以来、その「キラキラ」に執着し、探し求めていました。 終盤では、ライトがその「キラキラ」の正体であることが判明し、実はライトはゼットの闇の力に汚染されていることも明らかになりました。そのため、ライトは闇に飲まれてしまいますが、その力を逆に利用して、最終決戦に臨みました。
『烈車戦隊トッキュウジャー』は賞をとった特撮ドラマ!
本作は、劇中に電車の乗車マナーがさりげなく盛り込まれ、番組のエンディングで日本各地の鉄道の紹介することで、親子で鉄道について考えるいい機会を作っていると評価され、第13回日本鉄道賞の特別賞を受賞しています。 日本鉄道賞とは、「鉄道の日」創設の趣旨である鉄道に対する理解と関心を深め、支持を得るとともに、鉄道の一層の発展を期することを目的として、平成14年に創設された賞で、鉄道事業者や団体の取り組みに対して贈られるものです。 「鉄道」という初めて扱うテーマを十分に生かした本作。車掌役の関根勤の演技も光る本作を見て鉄道に思いを馳せてみませんか?