記念すべきシリーズ40作目『動物戦隊ジュウオウジャー』
『秘密戦隊ゴレンジャー』から続くスーパー戦隊シリーズの第40作のモチーフは「動物」。子供に人気のモチーフであり、何度も用いられてきたテーマを今作では、「ジューマン」という人間でも動物でもない生き物を登場させることによって、動物が物語に深みを持たせるための要素として使われました。 また40作目の記念作品であり、かつ放送中にシリーズ累計2000回目を迎えたことから、アニバーサリー作品としての要素も踏まえています。地球を守るヒーローとして成長を描く王道のストーリ―は子供だけではなく、大人の視聴者からも好評でした。
『動物戦隊ジュウオウジャー』のあらすじ
駆け出しの動物学者・風切大和(かざぎりやまと)は、ある日の仕事中にひょんなことから異世界に飛ばされてしまいます。そこは人間と同じような二足歩行の体型や服装をしながらも、外見上は動物の特徴を持つ生命体である「ジューマン」が生活している「ジューランド」でした。 大和はジューランドの門番、セラ、レオ、タスク、アムの4人に誤解から泥棒として捕らえられましたが、隙を見て元の場所に戻ります。すると、宇宙の無法者デスガリアンが地球に無差別攻撃をしているところでした。門番の4人と大和はジュウオウジャーに変身して無法者を倒しますが、無法者に門が壊されて門番たちは元の世界に帰ることができなくなりました。 門番の4人は人間である大和と一緒に地球を攻撃するデスガリアンと戦いながら、家に帰る方法を探すことになりました。
『動物戦隊ジュウオウジャー』のメインキャスト
ジュウオウイーグル/風切大和役:中尾暢樹
風切大和(かざぎりやまと)は駆け出しの動物学者。個性が強いうえに人間界での風習に慣れていないジューマンに振り回されます。幼少期から動物好きで、とても面倒見の良い性格をしています。 演じる中尾暢樹は本作が本格的な俳優デビューでした。本作終了後には、TVドラマ『あいの結婚相談所』などにレギュラー出演したり、映画『一礼して、キス』で主演を飾るなど活躍の場を広げています。
ジュウオウシャーク/セラ役:柳美稀
セラはサメのジューマンです。とても負けず嫌いで、気が強く、弱さを他人に見せまいとして常にクールな自分を装っています。 演じる柳美稀は名古屋を拠点に活動していたモデル兼女優で、全国放送のドラマへの出演は本作が初めてでした。本作終了後はファッション雑誌のモデル、CM、TVドラマと幅広く出演し、Webドラマ『ふたりモノローグ』では福原遥とW主演を果たしました。
ジュウオウライオン/レオ役:南羽翔平
レオはライオンのジューマン。お調子者で女好き。気の短さや短絡的な行動のせいでしばしば失敗してしまうことはあるものの、正義感は強く、できるまで諦めない熱血漢でもあります。 演じる南羽翔平は、舞台を中心に活躍して来た実力派若手俳優。「ミュージカル忍たま乱太郎」シリーズ等への出演を経て、2015年の『モリのアサガオ』の初舞台化作品では前内孝文とW主演を務めました。本作終了後は映画『9~ナイン~』などに出演しています。
ジュウオウエレファント/タスク役:渡邉剣
タスクはゾウのジューマン。洞察力が強い知性派で生真面目な一方、融通のきかない不器用な性格が直らないことを気にしています。 演じる渡邉剣は本作が初の連続ドラマレギュラー出演でした。本作終了後はドラマ『明日の約束』等に出演し、2018年2月公開の映画『花は咲くか』では主役の水川蓉一を演じています。
ジュウオウタイガー/アム役:立石晴香
アムはホワイトタイガーのジューマン。マイペースで自由奔放な言動が目立つ一方、場の空気を読むのも上手く、他人の心の機微にも鋭い女の子です。 演じるのは本作で芸能界に復帰した元モデルの立石晴香。モデル時代には「ニコラ」や「Sventeen」で専属モデルを務めていました。本作終了後にはTVドラマ『悦ちゃん〜昭和駄目パパ恋物語〜』などに出演し、2018年夏公開の映画『40万分の1』ではヒロインの東山真美を演じます。
ジュウオウザワールド/門藤操役:國島直希
途中で仲間に加わる門藤操(もんどうみさお)は人間の青年です。デスガリアンによってジュウオウジャーの能力を与えられた彼は、当初敵として登場します。自信がなく卑屈な性格をしていますが、おだてられると調子が上がり、戦力としてとても心強くなります。 演じる國島直希は2013年のジュノン・スーパーボーイ・コンテストのグランプリ受賞者です。本作がテレビドラマ初出演でした。本作終了後はドラマ、舞台、映画などに出演しています。
キューブ型の合体ロボ
ジュウオウジャーが搭乗する合体ロボはいずれも、各メンバーのパートナーである動物型のマシンを組み合わせたものです。基本的に普段は動物の形をしていますが、合体するときにはキューブ型になって積み重なり、人のような形になります。 本作以前のスーパー戦隊シリーズの合体ロボがおもちゃになると、動物や恐竜の形のおもちゃをパーツごとにバラして組み立てなければなりませんでした。しかし、本作の合体ロボのおもちゃはキャーブを重ねて剣で固定するだけというとても簡単なもので、小さいお子さんでも気軽に遊ぶことができました。
レッドの3つ目の変身形態!「ジュウオウホエール」
本作ではジューマンであるメンバーがジューマン→人間の姿→ジュウオウジャーへと3段階の変身をします。また、追加メンバーであるジュウオウザワールドは最初から基本のライノスフォームから、ウルフフォーム、クロコダイルフォームへとそれぞれ違った能力を持つ形態に変身する能力を持っていました。 レッドことジュウオウイーグルは当初他の形態に変身できませんでしたが、序盤で出会ったゴリラのジューマンであるラリー(声・石塚運昇)から力をもらってジュウオウゴリラに、中盤で古代のジューマンの力を受け継ぎ、ジュウオウホエールに変身できるようになり、新たな力を手に入れました。
「ジュウオウジャー」放送中にシリーズ2000回達成!
ついに発表!スーパー戦隊シリーズ放送通算2000回記念SP!!
— 動物戦隊ジュウオウジャー (@zyuohger_toei) August 22, 2016
9/4 第28話(1999回)
「帰ってきた宇宙海賊」
9/11 第29話(2000回)
「王者の中の王者」
ゲストは…なんと!
海賊戦隊ゴーカイジャー!! pic.twitter.com/DFQbcp7dv3
2017年9月11日に放送された第29話「王者の中の王者」にて、スーパー戦隊シリーズの放送は通算2000回を迎えました。その記念として第28話と第29話には、第35番目の戦隊「海賊戦隊ゴーカイジャー」のメインキャスト6名が当時の衣装でゲスト出演し、ファンを沸かせました。 また、2000回を達成した当日は同シリーズに出演経験のある俳優や歴代のスタッフや多くのファンが祝福の声を寄せました。
「ニンニンジャー」と全面戦争?
テレビシリーズ本編も終盤にさしかかった頃の2017年1月14日に映画『劇場版 動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ from スーパー戦隊』が公開されました。これはスーパー戦隊シリーズでは定番の戦隊同士の共闘を描く「VSシリーズ」の1つであり、ジュウオウジャーは39番目の戦隊「手裏剣戦隊ニンニンジャー」と共演しました。 VSシリーズでは序盤で戦隊同士で多少の小競り合いはあるものの、すぐに打ち解けて共通の敵と戦うというストーリー展開が多く見られました。しかし、ジュウオウジャーとニンニンジャーは中盤まで両戦隊が本格的に戦うという、新たな描かれ方をしています。 また、この映画では1988年の『超獣戦隊ライブマン』でレッドファルコンを演じた嶋大輔が15年ぶりに同シリーズに声の出演をしたことも話題になりました。
『動物戦隊ジュウオウジャー』最終回の衝撃的な展開【ネタバレあり】
デスガリアンのボスであるジニスを倒した後は、地球に平和が訪れ、ジューランドへの門も修復されました。ジューマンたちは故郷に帰ることになりました。しかし、いざ扉を開こうとすると門が光り、人間界とジューランドが融合してしまいました。 この結末については、放送中にアメリカ合衆国大統領に就任したドナルド・トランプへの批判ではないかとも言われましたが、脚本を担当した香村純子はその説を否定。融合した世界での登場人物の行動が、子供たちが小学校進学など知らない世界に飛び込む際の手本になることを意識したと、インタビューで答えています。 融合してしまった世界で人間とジューマンがどうやって共存していったかは、最終話のエンディングと後日談のVシネマ『帰ってきた動物戦隊ジュウオウジャー お命頂戴!地球王者決定戦』で見ることができます。