2018年7月5日更新

やれやれ、村上春樹原作の映画は思いのほかたくさんあった。見てみるといい。悪くない選択だ

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日本を代表する小説家・村上春樹の映画化された作品とは?

『海辺のカフカ』、『ノルウェイの森』、『1Q84』などの大ヒット作品を世に生みだしてきた村上春樹。男性を中心に人気を博し、「ハルキスト」と呼ばれる熱狂的なファンも存在するほど、現代の日本を代表する小説家の一人です。 村上春樹の作品は、これまでに幾度も映画化されてきました。どのような作品が映画化されてきたのか。今回は、村上春樹原作の映画を7本、ご紹介していきます。

そもそも、村上春樹とはどんな人物なのか

村上春樹
©︎THIEL CHRISTIAN/SIPA/Newscom/Zeta Image

村上春樹は1949年1月12日生まれ、京都市の伏見区出身で、小説家であり文学翻訳家でもあります。両親共に国語の教師であったために、読書や文学に触れながら育ちました。 1968年、一年の浪人を経て早稲田大学へ進学し、映画演劇科を専攻します。映画脚本などを読んで学生時代を過ごしますが、大学へはほとんど通わず、アルバイトで貯めたお金と両親や銀行から借金をしてジャズ喫茶を開業します。 その喫茶店のキッチンにて執筆活動を開始し、1979年「群像」に応募した作品『風の歌を聴け』が、第22回群像新人文学賞を受賞し、作家としてデビューすることになります。

1. 村上春樹デビュー作『風の歌を聴け』を映画化!【1981年公開】

村上春樹の作家デビュー作品である『風の歌を聴け』を大森一樹監督が映画化。原作の小説は1979年に発表され、「群像」で新人文学賞を受賞しました。 村上春樹は、自身のエッセイ集で「この小説を書いたとき、もしこの本を映画化するなら、タイトルバックには『ムーンライト・セレナーデ』がいいだろうな」と語ったことを明かしています。また、執筆を思いつき、書き始めた当初は「冒頭部分だけの執筆で満足した」とも語っています。 二十代最後の夏、故郷で友人の鼠と音楽や文学に没頭して過ごした18日間。小林薫主演で描かれた「僕」の物語です。

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2. 短編小説を映画化した作品『森の向こう側』【1988年公開】

村上春樹初の短編集『中国行きのスロウ・ボート』に収録されている、『土の中の彼女の小さな犬』を基にした、映画『森の向こう側』。 野村恵一が初めて監督をした本作。主人公・J役には、精神科医、臨床心理学者、ミュージシャン、作詞家など多彩なジャンルで活躍する、きたやまおさむが配役されました。 消息のわからない友人を探しにリゾートホテルへやってきたJは、食堂で知り合った若い女性と親しくなり、心理ゲームを通して彼女の過去を言い当てていきます。そうして心を開いた彼女は、今まで誰にも話さなかった、幼い頃に亡くした子犬の話を始めます……。

3. ロカルノ国際映画祭・コンペ部門審査員特別賞受賞『トニー滝谷』【2005年公開】

村上春樹の大ファンだという監督の市川準は、以前から村上作品を撮ることを夢にしてきました。今作で念願叶い、映画化するにあたって『午後の最後の芝生』や『蜂蜜パイ』なども候補としていましたが、『トニー滝谷』が選ばれました。主演のイッセー尾形もまた、ハルキストであることを公言しています。 ジャズのトロンボーン奏者として成功を収めていた父、衣服に対する異常な執着故に死に追いやられてしまう妻、トニー滝谷の抱える孤独を描いた本作。サンダンス映画祭ではノミネート、第57回ロカルノ国際映画祭コンペ部門で審査員特別賞などを受賞した作品となっています。

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4. 異色の逆輸入作品『神の子どもたちはみな踊る』【2010年公開】

村上春樹の同名小説を、2008年にアメリカで映画化した本作。原作の物語は日本を舞台に日本人のみの登場人物となっていますが、映画化にあたり、舞台をロサンゼルスに移し、中国系アメリカ人を主人公としたストーリーに変更されました。 自分の息子を“神の子”と呼び育ててきた母と二人で暮らす青年ケンゴ。ある日、顔も名前も知らない父親の特徴と似た、耳たぶのない男を見つけ、後を追いかけます。彼から漂う欠落感の背景には、父親がいないことが根源になっていたのです。 監督のロバート・ログバルと恋人役を務めたソニア・キンスキーそれぞれのデビュー作ともなり、注目を集めました。

5. 超有名小説『ノルウェイの森』が松山ケンイチ主演で映画化!【2010年公開】

村上春樹5本目となる長編小説『ノルウェイの森』。2010年にベトナム出身のトラン・アン・ユン監督の手により映画化されました。主演には松山ケンイチが配役され、菊地凛子、水原希子らもメインキャストとして出演しています。 37歳のワタナベはビートルズの「ノルウェーの森」を聴きながら、大学生時代に出会った直子のことを思い出していました。精神の病を抱え、若くして自ら命を絶ってしまった彼女。その不思議な魅力に惹かれ、恋人のように関係を深めた日々を振り返ります。 原作が完成したときのタイトルは、「雨の中の庭」となっていましたが、担当編集者に手渡す直前、タイトルに迷っていた村上は妻の勧めで、作中にも登場するビートルズの曲のタイトルをそのまま使いました。

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6. ハワイの大自然が圧巻!『ハナレイ・ベイ』【2018年10月19日公開】

原作は『東京奇譚集』に収録された短編小説で、村上春樹作品の映画としては前回の『ノルウェイの森』以来8年ぶりとなります。 ハワイのカウアイ島にあるハナレイ湾でサーフィンをしていた最中、鮫に襲われて息子を亡くしたシングルマザーの姿を描いています。息子役を演じた佐野玲於は、本作について「ハナレイ・ベイの“奇跡の物語”」と語っています。 撮影はハワイで行われ、監督の松永大司は「俳優たちがハワイの自然と対峙してくれたお蔭で力強い作品になった」とインタビューに答え、その雄大な自然も見どころの一つとなっています。 映画は2018年10月19日、吉田羊主演で公開です。

7. カンヌで絶賛!韓国で映画化された『Burning』【2018年カンヌ国際映画祭上映作品】

村上春樹の短編小説『納屋を焼く』は1983年と古い作品ですが、『オアシス』や『シークレット・サンシャイン』で知られるイ・チャンドン監督が映画化し、2018年のカンヌ国際映画祭で出品された韓国の映画です。 主人公のジョンスは運送会社でアルバイトをしていますが、あるとき幼馴染のヘミと再会します。ヘミは旅行から戻ると謎の男、ベンを紹介します。そしてジョンスは「納屋を焼くことがある」というベンの告白を聞かされ……。 カンヌ国際映画祭の執行委員長のティエリー・フレモーは本作に賛辞を送り、話題となりました。2018年7月現在、日本での公開は未定とのことです。

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村上春樹作品に注目!

独特の世界観から、ハルキストと呼ばれるファンが定着し、最もノーベル賞受賞が期待される文学者・村上春樹。 その人気ぶりから、日本国内に限らず世界各国で村上作品は映像化されてきました。スイスのロカルノ国際映画祭や、カンヌ国際映画祭などで受賞するほど、その仕上がりは称賛されています。 小説ファンも納得の作品ばかりですので、ぜひ注目してみてください。