2018年5月29日更新

村上春樹原作の韓国映画『Burning』とは?【カンヌで最も評価された映画!?】

韓国映画といえば一昔前に流行った、と先入観を持っている方もいるのでは?でも、韓国映画が最近アツいのです。この度、イ・チャンドン監督が村上春樹の短編小説を原作に映画化した作品が、カンヌ国際映画祭で高評価を得られたそう。一体どんな作品なのか紹介していきます!

村上春樹の短編小説を映画化した『Burning』

『オアシス』などの作品で知られるイ・チャンドン監督の『Burning』という作品が、カンヌ国際映画祭で記者たちから高い評価を得られたとのこと。本作は村上春樹の短編小説『納屋を焼く』を映画化したもの。この短編小説は30年以上も前の作品ですが、なぜ今頃映画化されたのか気になるところです。 さらに、村上春樹やイ・チャンドン監督には根強いファンがいます。一体、『Burning』とはどんな作品なのでしょうか?

幼なじみが連れてきた不思議な男……【あらすじ】

『Burning』は、それぞれ別の人生を歩んできた3人の男女に降りかかるミステリアスな事件を描いた作品。 運送会社のアルバイトをしているジョンス。彼が配達に出ると、子供の頃に近所に住んでいたヘミという女性に出くわします。彼女はジョンスに「私がアフリカ旅行に行くあいだ飼い猫の世話をしてほしい」と頼み、旅に出ます。 ヘミは旅から戻ってきましたが、旅先のアフリカで出会ったベンという正体不明の男性と帰国しており、彼をジョンスに紹介します。 ある日、ベンとヘミはジョンスの家を訪れます。そこでベンは自身の密かな趣味を明かします。それは納屋を焼くこと。それを聞いてから、ジョンスは不安にかられることに……。

監督イ・チャンドンとは?

イ・チャンドン監督は1954年韓国・大邱生まれ。『グリーンフィッシュ』(1997年)、『ペパーミント・キャンディー』(1999年)、『オアシス』(2002年)などの作品の監督として知られています。

ペパーミント・キャンディー (1999年)

『ペパーミント・キャンディー』は、韓流ブームが起こる前にNHKと韓国が共同制作した映画。 主人公のヨンホ(ソル・ギョング)が自ら命を絶つまでに至った経緯を、年代をさかのぼりながら5つの場面で描いています。この作品で、ソル・ギョングは20代から40代までの主人公を演じ分けました。

オアシス (2002年)

『オアシス』はイ・チャンドン監督の2002年の作品。 ひき逃げの罪で刑務所に入っていて、やっと出所した青年ジョンドゥと、ひき逃げの被害者の親族であるコンジュとの恋愛を描いたものです。コンジュは脳性まひで体が不自由、そしてジョンドゥは出所したてという社会から見放された二人が、ふれあいを重ねるうちに恋愛に発展していくのです。 『オアシス』はヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞しました。

シークレット・サンシャイン (2007)

田舎町・密陽(ミリャン)市に引っ越したシングルマザーのシネ。死んだ夫の故郷で穏やかに暮らそうとした矢先、最愛の息子を誘拐されてしまいます。やがて、息子は死体となって発見。絶望したシネは、信仰に救いを求めるようになりますが...... 家族を失い、絶望の果てに静かに崩壊する女性を演じたチョン・ドヨンは、本作の演技が高い評価を受け、カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞しました。

ポエトリー アグネスの詩 (2010)

生活保護を受けながら中学生の孫・チョンウクと二人で暮らすミジャは、町内のカルチャーセンターで詩の講座を受けます。詩を書くことに没頭してゆくミジャでしたが、そんな中、アルツハイマーを発症してしまいます。 ある時、チョンウクの同級生がチョンウクらによって輪姦され、自殺したというおぞましい事実が発覚。関係者らは示談で解決しようとするのですが...... 韓国で実際に起こった事件をもとに制作された本作で、イ・チャンドンはカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞しました。

気になるキャストは?

ユ・アイン【ジョンス役】

ユ・アインは1986年韓国・大邱生まれの俳優。芸歴はいつの間にか10年以上にもなっています。 彼が出演した映画で有名なものは『Antique〜西洋骨董洋菓子店』(2008年)や『ベテラン』(2015年)。ドラマだと、『トキメキ☆成均館スキャンダル』(2010年)などです。 『Burning』では、運送会社のアルバイト・ジョンスを演じています。

スティーヴン・ユァン【ベン役】

スティーヴン・ユァンは1983年韓国生まれアメリカ育ちの俳優。主な活動拠点はアメリカです。 彼の出演ドラマで有名なものは『ウォーキング・デッド』(シーズン1〜7)。 『Burning』では、ヘミ(チョン・ジョンソ)がアフリカから連れてきた男性・ベンを演じています。ベンはとある趣味を持っていますが、それが物語にどう影響するのでしょうか?

原作は村上春樹の短編小説【ややネタバレあり】

『Burning』の原作は、村上春樹が1983年に発表した作品『納屋を焼く』です。 原作と映画の設定は大きく異なっています。原作だと主人公の「僕」は「彼女」と結婚パーティーで出会い、そこで「彼女」の「ボーイフレンド」とも知り合います。ある日「僕」は「ボーイフレンド」と食事をし、その時に「ボーイフレンド」が密かな趣味を告白します。それは「納屋にガソリンを撒き火をつけること」だと。 「僕」はそれを聞き妙な胸騒ぎを覚え、近所の納屋を見回るようになりますが、焼かれた納屋を見つけることはありませんでした。ただし、「ボーイフレンド」から密かな趣味を告白されてからしばらく「彼女」の姿を目にしていないことに気づき…… 原作と映画は、果たして同じような結末になるのでしょうか?

カンヌ国際映画祭での評価は?

『Burning』はカンヌ国際映画祭を取材した記者からの評価が高かったそう。 老舗のアメリカの芸能業界誌の記者は、「イ・チャンドン監督の初期作品のお決まりの型にはまらない、著しく自由な形式で描かれたスリラー物」であり、「この作品が成功したのは、下流社会で生きる主人公の嫉妬や欲求不満がひしひしと伝わってくるからだ」など、高い評価で本作をたたえています。 また、イギリスのとある新聞の記者は、「素晴らしい場面と、感性に訴えてそれが観ている者の心に刻まれるような映画だ」とも賞賛しています。

カンヌでは『万引き家族』といい勝負だった『Burning』

第71回カンヌ国際映画祭では是枝裕和監督の『万引き家族』がパルムドールを獲得したのが記憶に新しいところ。 しかし、実はイ・チャンドン監督の『Burning』もかなり好感触だったのです。カンヌ開催中、各国の有力ジャーナリスト10名による4点満点の星取表が公開されました。それによると、会期途中までのトップが『万引き家族』で、平均点が3.0でした。 しかし、後で上映された『Burning』は、なんと平均点3.8という驚異の高評価を叩き出してトップに。カンヌ国際映画祭でも、今までになく高い評価を得た作品の一つに挙げられていたそう。パルムドール受賞は果たせなかったものの、カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を獲得しています。

気になる日本での公開日などは?

残念ながら、日本ではまだいつ公開になるかわかっていません。 韓国ではすでに5月18日から公開されているようです。もし字幕無しで韓国語が理解できる方なら、韓国旅行ついでに映画を観る価値は十分にあると思います。しかし、なかなか字幕無しで外国語を理解するのは難しいところ。日本での公開日などの情報を待ちましょう!