『夫のちんぽが入らない』だけじゃない!性の悩みを描いた映画5選
他人事じゃない?!性の悩みを描いた映画たち
衝撃的なタイトルの私小説『夫のちんぽが入らない』が話題ですが、人生の中で、誰もが一度や二度は抱えるであろう性に関する悩み……。人によっては極めて特殊な例もありますが、時代によって変わりつつも、決して他人事だとは言えないでしょう。 これまで、映画の中でもさまざまな形の性の悩みがテーマとして取り上げられ、描かれてきました。ここではそんな映画からバリエーションのある5作品を選りすぐり、詳しくご紹介したいと思います。 その前にまず、実写ドラマ化された『夫のちんぽが入らない』について簡単にご紹介しましょう!
話題のベストセラー『夫のちんぽが入らない』について
2014年に開催された「文学フリマ」で同人誌として発表されて即日完売し、日を追うごとに反響を増していったこだまの自伝的私小説が『夫のちんぽが入らない』です。 学生のときに出会い結婚に至った2人の深刻な悩みは、タイトルずばり、彼の性器が入らず性行為ができないということ……。その悩みを乗り越え、精神的に結びついていく葛藤の20年を赤裸々かつ真摯に綴ったものです。 加筆修正されて2017年に書籍として刊行されたほか、2018年5月からスタートした漫画、さらに実写ドラマ化もされるなど未だ熱が冷めやりません。ドラマ版は石橋菜津美と中村蒼が主演し、2019年にNetflixやFODで配信されました。
1.セックス依存症の男の苦悩とは?【2012年】
ニューヨークに暮らすセックス依存症の男の持つ心の深い闇を描いた官能人間ドラマです。主人公を演じたマイケル・ファスベンダーがヴァネツィア国際映画祭で主演男優賞を受賞するなど、各国の映画祭で非常に高い評価を得ました。 中毒のように刹那のセックスと自慰にふける日常を送るビジネスマンのブランドン。ある日、クラブ歌手をしている自傷癖のある妹シシーがアパートに転がり込んできたことで、事態は思わぬ方向へと向かいます。 『ハンガー』や『それでも夜は明ける』のイギリス人監督スティーヴ・マックィーンがメガホンをとり、妹シシーにはキャリー・マリガンが扮しました。ほのかに暗示させる兄妹の過去が、不穏な謎を残す秀作です。
2.セックスレスに悩む妻が出会った一人の女【2015年】
倦怠期でセックスレスに悩む主婦のとったある行動が、家族と周囲に思ってもみなかった波紋を巻き起こす様子を描いた大人のシリアス・コメディです。女流監督ジル・ソロウェイがサンダンス映画祭で監督賞を受賞し、クエンティン・タランティーノが絶賛したことでも大きな話題になりました。 子育ても一段落してしまい、優しいがどことなく物足りない夫とのセックスレスに悩む主婦レイチェルがストリップクラブで出会ったマッケナ。レイチェルはストリッパーどころか娼婦もしている奔放なマッケナを家に居候させることで、自身の女性的魅力を取り戻そうとするのですが……。 悩める人妻のレイチェルをキャスリン・ハーン、危ういマッケナを『マレフィセント』のジュノー・テンプルが魅力的に演じています。
3.乱交パーティーに集う男女それぞれの悩みを描く三浦大輔監督作【2014年】
人気劇作家・演出家の三浦大輔が岸田國士戯曲賞を受賞した舞台劇を自ら映画化しました。乱交パーティーに集ったさまざまな男女が、自身の抱える欲望や性の悩みを赤裸々に曝け出していく姿をリアルに描きます。 六本木にある高級マンションの一室で開催されたとある乱交パーティー。サラリーマン、ニート、保母、女子大生などさまざまな立場の男女が満たされぬ性欲を処理する目的で集まってきますが、中には実は童貞だったり刺激を求めるカップルだったり、それぞれ固有の悩みがあり、本音をぶつけ合います。 池松壮亮、門脇麦、新井浩文、滝藤賢一らが参加者の男女をほとんど全編半裸で熱演し、窪塚洋介、田中哲司が運営者側を演じています。人間存在の滑稽さや愚かさが深いテーマとして流れています。
4.童貞の中年親父の奮闘を描く爆笑コメディ!【2006年】
40歳にして未だ童貞に悩むオタク男が、童貞を克服して幸せをつかむまでを描いた爆笑コメディです。スティーヴ・カレルが脚本と主演を兼ね、キャサリン・キーナー、ポール・ラッド、セス・ローゲンら個性派が脇を飾っています。 家電量販店で働く40歳のアンディは、フィギュアやゲームに囲まれていれば幸せなオタクですが、実はまだ童貞だったことが同僚にばれてしまいます。童貞喪失に向けて行動し始めた矢先、一人の女性トリシュと出会うのですが……。 過激な下ネタとドタバタギャグ満載ながら、爽快ともいえる味わいと展開が見どころとなっています。スティーヴ・カレルのドジで可愛い中年親父ぶりも魅力的です。
5.性同一性障害に苦しんだ実在の人物の物語【2016年】
1930年に世界で初めて性別適合手術を受けたデンマークの画家リリー・エルベ、そして妻ゲルダとの関係を描いた実話の映画化です。『英国王のスピーチ』のトム・フーパーがメガホンをとり、主人公をエディ・レッドメイン、妻をアリシア・ヴィキャンデルが演じました。 風景画家のアイナーは同じく画家の妻ゲルダから女性モデルの代役を頼まれたことを契機に、自身の内なる女性に目覚めてしまいます。やがて心と体の不一致に悩み、リリーという女性として生きようと手術を受ける決心に至ります。 アカデミー賞では主演男優賞含む4部門でノミネートされ、戸惑いつつも夫を温かく見守るゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルが見事助演女優賞に輝きました。
性の悩みは生き方の悩み!
セックス依存症、セックスレス、童貞あるいは処女、LGBT関連など性に関する悩みは人それぞれで、中には極めて特殊なものがあるのは確かです。それでも突き詰めて考えれば、すべては生き方の悩みだとは言えないでしょうか? いかに自分らしく生きるか、いかに自分自身の真の姿に真正面から向き合うかであり、誰にとっても決して他人事とは言えないのはその点にあります。 時代や場所が変わったとしても性の悩みは普遍です。これらの作品で描かれた自分とは一見無関係に思えるテーマから、実はたくさんのことが学べるはずです!