2018年8月2日更新

パクリ上等!サメ大量!B級映画会社アサイラムの魅力とは?【ツッコミどころ満載】

『シャークネード ラスト・チェーンソー 4DX』
『シャークネード ラスト・チェーンソー 4DX』

『シン・ジョーズ』に『グリム・アベンジャーズ』などなど、レンタル店やテレビで何やら怪しげなタイトルの映画を見たことはありませんか?それらは、B級映画会社アサイラムの作品である可能性大!そんなツッコミどころ満載なアサイラム映画の魅力とは?

B級ならぬZ級パクリ映画専門の製作会社、アサイラムとは?

アサイラム社は、映画プロデューサーのデヴィッド・マイケル・ラットが中心となり1997年に設立。当初はオリジナルのアート系作品などを手がけていたものの、2005年に『宇宙戦争』が公開された際、アサイラム独自で『H.G.ウェルズ 宇宙戦争ーウォー・オブ・ザ・ワールドー』 を製作したのを機にシフトチェンジ。以降は、世界で大ヒットした映画を臆面もなくパクった「モックバスター」(模倣作品)を手がけるようになりました。 基本的にテレビ用映画として製作するため、上映時間も90分程度に収めるのも特徴。一方でドラマシリーズにも着手しており、Netflix向けのゾンビホラー『Zネーション』をヒットさせています。

訴えられても怖くない!身もフタもないが、タフさはある作品づくり

『PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星』

『トランスモーファー』、『パイレーツ・オブ・トレジャーアイランド』、『エクスペンダブル・レディズ 』と、タイトルだけでも元ネタが分かってしまうアサイラム映画。さらには、猿をサメに置き換えた『PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星』といった、パクリを何重にも重ねたハイブリッドな作品も難なく作ってしまいます。 ただ、当然ながら何度となくトラブルにも。『アメリカン・バトルシップ』は、ネタ元の『バトルシップ』を製作したユニバーサルの抗議を受ければ、「ホビット」シリーズをパクった『Age of the Hobbits』では、ワーナーから訴訟を起こされ敗訴しています(最終的に『リトル・キングダム~《小さき者》たちの大きな冒険~』とタイトル変更してリリース)。 それでもなお、アサイラムは作品づくりを止めません。それどころか元訴訟相手のワーナーとは、後年にドラマ『Zネーション』でタッグを組んでしまうなど、転んでもタダでは起きない不屈の精神力を持つ会社なのです。

ファンなら感涙必至!かつての人気スターやアイドルが出演

もう一つ、見逃せないアサイラム映画の特徴に、かつて人気を博した俳優やアイドルをキャスティングすることが挙げられます。イジワルな見方をすれば、「低予算パクリ映画に出なければならないほどキャリアが停滞したのか……」となるかもしれません。しかし、単に出演するだけでない“ひねり”を加えているのがポイントです。 たとえば、巨大ヘビ&ワニが暴れるパニック映画『メガ・パイソンVSギガント・ゲイター』には、1980年代に揃ってアイドル歌手として人気を博したティファニーとデビー(デボラ)・ギブソンが主演。当時からライバル関係にあった2人が、劇中でも取っ組み合いのキャットファイトをする敵対者として描かれており、夢の共演が実現したと往年のファンを喜ばせました。 「最近あのスター見なくなったな……」と思ったそこのあなた。もしかしたらアサイラム映画で活躍しているかもしれませんよ。

最もアサイラム映画ファンがいる国は日本だった?

次々とパクリ映画を生むアサイラム社ですが、はたして本当にニーズはあるのでしょうか? 社長のデヴィッド・マイケル・ラットによると、海外でアサイラム映画が一番ウケているのは、実は日本とのこと。しかも、日本の配給会社からストーリーのアイデアをもらい、それを作品づくりに活かしているというから驚きです。 巨大サメ&タコの死闘を描いた『メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス』も、日本の配給会社ニューセレクトのアイデアによって生まれたのだとか。つまり無作為どころか、むしろ需要と供給のバランスがうまく取れた理想的な製作体制なのです。

テレビ東京「午後ロー」では定番プログラム!

また、テレビ東京で月~金曜日のお昼に放送される、通称“午後ロー”こと「午後のロードショー」では、毎月一本はアサイラム映画が放映されています。元々テレビ用作品だけあってストーリーも単純で、時間も90分前後のアサイラム映画は、放映時間的にも相性バツグン。 一時期の夏シーズンには、サメが出る映画を特集した番組編成をしており、『ダブルヘッド・ジョーズ』といったアサイラム映画が必ず放映されたりもしていました。知らず知らずのうちに、アサイラム映画は日本のお茶の間に浸食していたわけです。

これは抑えとけ!注目アサイラム映画

『ファイブヘッド・ジョーズ』

ある意味アサイラムの看板となっている「サメ映画」ですが、その代表的な一本がこれ。頭が2つある『ダブルヘッド・ジョーズ』、頭3つの『トリプルヘッド・ジョーズ』と、頭数がドンドンと増えるサメパニック映画を製作してきて、ついに5つ頭のサメが登場。5つ頭で人間を食いまくるその暴れっぷりに、バカバカしさと同時にある種の爽快感も感じてくる、不思議な一作です。 今後も、6つ頭のジョーズが登場する新作『6-Headed Shark Attack』(原題)が待機していることからも、アサイラムザメの進化はとどまることを知りません。

「シャークネード」シリーズ

期せずしてサメハンターとなった男フィン・シェパードが、サメを内包した竜巻「シャークネード」と闘う、モンスター&ディザスター映画。勇猛果敢なヒーローのフィンはもちろん、サイボーグ化した妻エイプリルに代表されるキャラ設定の荒唐無稽さがウケて、ヒットシリーズとなりました。 1990年代のヒットドラマ『ビバリーヒルズ高校/青春白書』でのスティ-ブ役で知られるアイアン・ジーリングがフィンを演じ、彼のもう一つの当たり役に。日本語吹き替えも、『ビバヒル』でスティ-ブの声を吹き替えていた堀内賢雄が担当しています。 そして完結編となる『シャークネード ラスト・チェーンソー 4DX』では、シャークネード発生の根源を断つべく、フィンが過去にタイムスリップ!日本では2018年11月に4DXでの初の劇場公開となりました。

『エンディング・ワールド』

地磁気が異常事態となったことで、世界は壊滅状態に。この危機を食い止めるべく、陽子加速装置なる物を使って地球の磁気を回復させる計画が立ち上がり、科学者のジョシュは、研究基地のあるフランスを目指す航海の旅へと出ます。 モンスターパニック物と並ぶ、アサイラムお得意のディザスター物で、『ウォーターワールド』と『ジオストーム』を足して2で割ったような内容。とにかく科学的考証などの細かいことは気にせず、天変地異の地獄絵図をこれでもかと詰め込んだ、分かりにくそうで分かりやすいポップコーン・ムービーに仕上がっています。

ツッコミながら楽しく観た者勝ち!なアサイラム映画

以上、アサイラム映画の魅力について紹介してきました。確かに、パクリだらけのストーリーや、稚拙なCG映像が目立つアサイラム映画を好まない人もいるでしょう。 ただ、乱暴な言い方をしてしまうと、「アサイラム映画は楽しんだ者勝ち」的な要素があります。おそらく製作側にも、「オイオイそりゃないだろ」とツッコミを入れつつ、楽しく鑑賞して欲しいという狙いがあるとみられます。そういう意味では、アサイラム映画は昨今流行りの、絶叫応援上映向きといえるかもしれません。 噛めば噛むほど味の出るスルメのようなアサイラム・ワールドに、あなたも一度足を踏み入れてはいかがでしょうか。