2018年8月17日更新

【超豪華俳優陣が共演】同性愛矯正セラピー描く問題作『Boy Erased』が面白そう!

Adriana M. Barraza/WENN.com

2018年11月に本国アメリカでの公開が発表された映画『Boy Erased』。実際に同性愛矯正セラピーに参加したゲイ男性の体験談を基に制作された本作は、公開前から各国で大きな注目を集めています。

語られる同性愛矯正セラピーでの体験『Boy Erased』

本国アメリカでは各配給会社で争奪戦の対象となるなど、公開前から大きな話題を集めている映画『Boy Erased』。同性愛矯正セラピーを経験したゲイ男性の回顧録を基に制作された本作は、2018年11月に公開されることが決定し、キャスト情報が解禁となり日本でも期待の声が高まっています。 今記事ではそんな待望の本作のあらすじやキャスト、スタッフ情報を踏まえながら、アメリカで今でも実際に存在する同性愛矯正施設の実態について言及していきます。

彼が下した喪失の選択

敬虔なキリスト教の家に生まれながらも、ゲイであることを自覚した主人公。その事実を知った両親は、彼を同性愛矯正セラピーに通わせることに。しかしその先に待ち受けていたのは、元来の性格や癖への否定や、自己嫌悪感を抱かせるための身体的虐待など、矯正施設で日々行われる強制的で破滅的な苦痛の数々。 同性愛者としての自分を認めることで信仰や家族を失うか、一生本当の自分を偽りながら生きていくかの究極の二択の間で揺れ動く主人公。精神的に追い詰められていく彼が下した決断は、果たして。

実力派キャストが勢ぞろい

主演は若き逸材ルーカス・ヘッジズ

本作の主人公を演じたのは、若手実力派として呼び声の高い俳優ルーカス・ヘッジズ。学生時代から映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』での好演が話題となり、オスカー助演男優賞にノミネートされるなど、21歳という若さながらその確かな演技力で高い評価を獲得しています。 また過去には『グランド・ブタペスト・ホテル』や『スリー・ビルボード』、『レディ・バード』などの人気作へ主にキーパーソン的重要な役割で出演しており、今回の主演への抜擢には多くの人から熱い視線が注がれています。マイノリティーとしての苦悩と葛藤、自己の性的指向への認識の解放の狭間で行き交う青年役を彼がどう演じるか、期待が募ります。

名女優ニコール・キッドマン

ニコール・キッドマン
Adriana M. Barraza/WENN.com

本作で主人公の母親役を演じるのは、映画『ムーランルージュ』や『奥さまは魔女』、『パディトン』などの話題作に多数出演し、名女優として映画界にその名を長きに渡って残してきたニコール・キッドマン。アメリカのハワイ州出身のアメリカ系オーストラリア人で、4歳でバレエを始め15歳からテレビ番組やミュージックビデオに出演し、着実にキャリアを積み上げてきました。 ゴールデングローブ賞主演女優賞やベルリン国際映画祭銀熊賞、またオーストラリア人女優としては初のアカデミー賞主演女優賞を出演するなど、錚々たる経歴を持つ大女優です。

アカデミー賞俳優ラッセル・クロウ

ラッセル・クロウ
Dennis Van Tine/Future Image/WENN.com

主人公の父親役を演じたのは、映画『ビューティフル・マインド』や『シンデレラマン』、『ロビンフッド』などで知られるアカデミー賞俳優ラッセル・クロウ。出生地はニュージーランドで、6歳の頃よりテレビドラマなどへの出演を重ね、1990年に『ザ・クロッシング』で本格的に映画デビュー。そして同作では初主演も務めました。 2000年には『グラディエーター』でアカデミー主演男優賞を獲得し、2001年公開の映画『ビューティフル・マインド』ではゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞し、映画界のスターのひとりとしてその名を広め、現在に至るまで多数の人気作に出演しています。 また、俳優業のみならず映画監督やプロデューサーとしても活躍しています。

他にも多ジャンルの出演者が決定中

グザヴィエ・ドラン
© Picture Alliance/Photoshot

また他にも、『わたしはロランス』や『Mommy/マミー』の若きカリスマ映画監督で俳優のグザヴィエ・ドランや大人気バンドのレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー、シンガーソングライターのトロイ・シバンの出演が決定しており、多ジャンルの俊英たちが集結するとのこと。

監督は俳優のジョエル・エドガートン

ジョエル・エドガートン
©Dennis Van Tine/Future Image/WENN.com

待望の本作でメガフォンを取ったのは、大ヒットシリーズ『スターウォーズ』やレオナルド・ディカプリオ主演の映画『華麗なるギャツビー』などで知られる人気俳優ジョエル・エドガートン。2018年には『レッド・スパロー』にも出演しました。 監督としては2016年日本公開の映画『ザ・ギフト』で長編映画デビューを果たし、同作で大きな成功を収めました。俳優としても監督としても活躍し、脚本家としても確かな功績を残す彼が本作をどのように仕上げるのか、期待のまなざしが寄せられています。

舞台となるのは同性愛矯正施設

社会問題にもなっているセラピーの実態

本作の舞台となっているのは、アメリカの保守的な地域で現存する同性愛矯正施設。そこで行われるのはコンバージョン・セラピーと呼ばれるもので、性的指向及び性自認をヘテロセクシャルに変えるための「治療」とされています。 同セラピーを受ける、または受けさせる動機の多くは宗教的観点からくるものであり、そのため教会などを拠点に行われていますが、中には電話による遠隔的なものも。 しかしセラピーの内容は、同性愛者としての自分を否定し自己嫌悪を抱かせるために過激な暴力行為や身体への嫌がらせに加えて、罵声を浴びせるなど言葉による攻撃を与えるものであり、経験者のほとんどは肉体的にも精神的にも追い詰められてしまい、実際にセラピー後に自殺や自傷行為に陥る傾向にあるという結果が残されています。 あるゲイ男性が受けた「治療」方法の中には、女性的な喋り方を男性的なものに変えるために女友達はおろか母親や姉妹などの家族も含めたすべての女性との会話を禁止するという、異常かつ破滅的なものもあり、ゆえに家族との仲が引き裂かれ人間不信となってしまうケースも。 そのような人格破綻を引き起こす原因となる行為を疑問視する声も多く、矯正セラピーおよび施設の撲滅運動が各地で行われています。

同性愛を精神疾患として扱う不当さ

他にも同性愛矯正施設で行われる「治療」には、電気ショック療法や会話療法などの、精神疾患の治療のために施されるものも含まれています。しかし、アメリカ心理学会ならびに多くの医療専門機関が「同性愛は精神疾患ではない」と断言しており、強制的な「治療」の実行による弊害に警笛を鳴らしています。 愛する対象を他者が不当にコントロールすること、生まれ持った心の性別を認めず無理矢理作り変えてしまうこと、そのような差別的な行為を問題視し抗議の声が挙がる一方で、異性を愛することのみが正常であり身体の性別に性自認を合致させることは当然である、という意見も少なくありません。 日本でも時代の流れと共に多様化が進み、さまざまな性が誕生しつつありますが、理解を得ることに難しさを感じる場面はいまだ多く存在します。あまねく愛や性が自然として認められ、すべての人間が自己に誇りを持って生きることのできる世界の実現を、筆者は願わずにはいられません。

根強い社会問題に切り込む本作

同性愛矯正施設はアメリカの一部の州では違法となりつつありますが、それはまだほんの一部であり、これからもセラピー経験者は増え付続けると予想されています。映画『Boy Erased』は、そんな根深く続く社会問題に鋭く切り込む一作となり得るかもしれません。また、日本公開についての続報も熱望されています。