激しく脆い日々。思春期の痛みと葛藤を描いた青春映画5選 【「レディ・バード」他】

2018年6月16日更新

時には甘く、時には苦々しい、誰もが経験する思春期の日々。そんな青春時代特有の痛みや葛藤を描いたおすすめの映画5選をご紹介していきます。

友情、家族、夢、不安。思春期の移ろいゆく感情

レディ・バード (プレス)
©Merie Wallace, courtesy of A24

渦中に立っている頃は苦しさと荒々しさが目立ち、過ぎ去ったあとに振り返れば眩しく思える青春の日々。2018年6月日本公開の『レディ・バード』を始め、誰もが通る多感で繊細な思春期をテーマにした映画は、近年でもたびたび人気を集めてきました。そこで今回は、思春期特有の痛みや葛藤を描いたおすすめの青春5選をご紹介します。

田舎町から都会へ羽ばたく。ゴールデン・グローブ賞受賞の話題作『レディ・バード』

ゴールデン・グローブ賞では作品賞と主演女優賞を受賞し、アカデミー賞では5部門にノミネートされるなど、各映画賞を席巻し話題を呼んだ映画『レディ・バード』。大学進学を機に、生まれ育った町から都会への旅立ちを夢見る女子高校生レディ・バードの、いとおしい友情や恋愛、そして不器用な家族との関係が描かれており、多くの人の心を震わせ共感を誘う青春映画となっています。 主演は映画『つぐない』や『ブルックリン』などに出演し、演技派女優として活躍するシアーシャ・ローナン、共演に『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のルーカス・ヘッジズや『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメ、『20センチュリー・ウーマン』などの作品で知られるグレタ・ガーウィグが監督および脚本を務めました。

孤独とトラウマを抱えた少年の成長記『ウォールフラワー』

友人の自殺を経験し、精神不安定気味で孤独とトラウマを抱えたまま高校に進学した主人公・チャーリーが、変わり者の上級生・パトリックと、その義理の妹のサムとの出会いをきっかけに成長していく姿を描いた今作。新しい友人や音楽、恋愛や文学との交流を通して、硬く閉ざされていたチャーリーの心が解けていく様子から、10代の頃の鮮やかで繊細な感情を鑑賞者に呼び起こします。 監督は今作の原作者であり、映画監督としても活躍するスティーブン・チョボスキーが務め、主演は『バタフライ・エフェクト』出演の俳優・ローガン・ラーマン、共演に『ハリーポッター』シリーズでお馴染みのエマ・ワトソン、『少年は残酷な弓を射る』や『ファンタスティック・ビースト』などで注目を集めるエズラ・ミラーといった豪華キャスト陣が軒を連ねました。

他者と過去に向き合うこと『聲の形』

「週刊少年マガジン」で連載され、多くの賞を獲得した大今良時による同名漫画を原作とした今作。退屈なことが嫌いで好奇心旺盛な主人公・石田将也のクラスに耳の不自由な少女・西宮硝子が転入してくるが、将也が硝子起こしたある出来事が波紋を呼び、周囲から孤立するようになってしまい…。 自分が犯した無邪気さゆえの過ちから心に傷を負った主人公が、過去と向き合い他者を受け入れていく様子が、京都アニメーション独自の柔らかで色彩豊かな映像表現と、鋭く激しい心情描写を伴って描かれています。

母と息子の痛烈な感情風景『マイ・マザー』

映画監督および俳優として活躍し、作品が連続でカンヌ国際映画祭で賞を獲得するなど、若き鬼才として注目を集めているグザヴィエ・ドラン。彼の監督・脚本デビュー作である今作では、主人公・ユベールの母親への強い愛情とそれに比例するように出現する激しい憎悪の衝突が描かれています。 また10代後半特有の反抗と自立心、親子の感情がぶつかり合う姿が、随所に取り入れられるスローモーションやアップなどの印象的な映像表現を特徴とする、監督独特の作風で表現されています。さらに主演を監督であるグザヴィエ・ドランが務めており、その才能の多彩さからも話題を攫いました。

こじらせてきた私たちに捧ぐ『スウィート17モンスター』

全米映画批評ナンバー1サイトのロッテントマトでは驚愕の95パーセントを記録し、ゴールデングローブ賞へのノミネートやニューヨーク映画批評家協会賞での作品賞の受賞など、高い注目を浴びた今作。 イケてない日常を嘆く主人公・ネイディーンの初恋や揺らぐ友情、思春期から大人になる過程で味わう苦みや戸惑い、どうにもならない自己否定と自尊心の高ぶりが見事に表現されており、愛すべきこじらせ映画として多くの批評家ならびに観客の心を鷲掴みにしました。 『トゥルー・グリット』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた注目の若手女優ヘイリー・スタインフェルドが主演を務め、監督と脚本を担当したケリー・フレモン・クレイグにとって今作が監督デビュー作となっています。

胸を刺すあの頃の風景

2018年6月現在公開中の『レディ・バード』を始め、10代後半の過敏で脆い感情を描く青春映画は、鑑賞者の心を揺さぶり、共感を呼ぶことで人気を誇ってきました。今回紹介してきた作品も思春期に体験してきた痛みを見事に体現しており、そのリアルさに胸を刺される人も多いはず。あの頃の思い出と懐かしく愛おしい感情を胸に、青春映画の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。