2018年10月12日更新

第31回東京国際映画祭正式出品作16本を一挙ご紹介!

2018年10月25日から11月3日まで、東京の六本木ヒルズを中心に開催される第31回東京国際映画祭。本映画祭に世界各国から集められた話題の正式出品作16本を紹介します。

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日本で唯一の国際映画祭が開幕!

2018年10月25日から11月3日まで、第31回東京国際映画祭が開催されます。 東京の六本木ヒルズを中心に、日本で開催される唯一の国際映画祭。コンペティション部門には、日本からも阪本順治監督や今泉力哉監督の作品が出品されているほか、世界各地から話題作が集まっています。 今回、審査員長を務めるのは『ローサは密告された』でカンヌ国際映画祭などでも話題を呼んだ、フィリピンの映画監督・ブリランテ・メンドーサ。 本映画祭での公開がワールドプレミアとなる作品も多い、国際色豊かな正式出品作品16本をご紹介します。

1. ミカエル・アース監督描く注目のコンビ!『アマンダ』

本作が長編6本目となる注目の監督、ミカエル・アースの作品です。美しいパリの街を舞台に、激動する世界の影響を受けて揺れ動く、青年と少女の姿を描きます。 主人公で自由な暮らしを楽しむ青年ダヴィッド役を演じるのは、ヴァンサン・コラスト。今年フランスでは、本作を含め3本の主演映画が公開された人気スターです。 彼の姉はシングルマザーのため、ダヴィッドは姪にあたる少女アマンダの世話をしています。アマンダを演じるイゾール・ミュルトゥリエは、今回が演技初挑戦の新人子役。 今が旬の若手俳優と、愛くるしい少女のタッグが織りなすドラマに注目したいですね。

2. 阪本順治監督のオリジナルストーリー!『半世界』

『亡国のイージス』や『北のカナリアたち』等で知られる阪本順治監督が、完全オリジナル脚本で挑む一本。 舞台はある美しい日本の地方都市。かつて共に時を過ごし、いまはみんな39歳と言う3人の男たち。そのうちの1人で、地方を離れていた人物が突如田舎に帰ってくるところから物語がスタートします。 仕事を辞め、家族と別れて帰ってきた1人によって、他の2人もまた、自分のこれからの人生を考えることになります。 主人公を演じるのは稲垣吾郎、その友人に長谷川博巳と渋川清彦と言う実力派が揃ったキャスティングにも注目です。

3. 19世紀の格差社会をリアルに描く!マイケル・ノアー監督の『氷の季節』

デンマークから様々な話題作を発表し、世界の映画界に衝撃を与えている注目の監督マイケル・ノアーの新作です。 本作の舞台は、19世紀の農村。極貧生活を送っている農家の主人は、娘を裕福な地主と結婚させて貧しさからの脱出を図ります。しかし、彼の思惑は残酷な運命に阻まれることになってしまい……。 今までは、作品を通して現代社会を容赦無く描いてきたマイケル・ノアー監督。今回は時代物ですが、その緻密さは健在で、当時の格差社会をリアルに表現した硬質なドラマになっています。

4. ファイト・ヘルマー監督得意のファンタジー・コメディ!『ブラ物語』

デビュー作『ツバル』の独自でファンタジックな世界観が評価されたファイト・ヘルマー監督。本作ではブラジャーを巡り、ちょっとエロチックな大人のおとぎ話を描きます。 一人の列車の機関士がある日、車体に引っかかっていた洗濯物のブラジャーを見つけます。これはいけないと持ち主を探しだすのですが、その過程で様々な人に出会います。 本作にはほとんどセリフがなく、映像と音楽の世界にどっぷり浸ることができる作品です。 しかも本作のワールドプレミアが東京国際映画祭ということで、盛り上がりも期待できそうです。

5. メキシコ発のホラー・ヒューマンドラマ!ガブリエラ・アマラウ・アウメイダ監督の『翳りゆく父』

昨今、ホラーやスピリチュアルなジャンルとアートが融合した作品を多く生み出しているメキシコ発の本作。長編監督としては今回が2作目となるガブリエラ・アマラウ・アウメイダが、次第におかしくなっていく父娘を描きます。 少女は母を亡くし、おまじないに没頭しています。一方の父は悲しみに打ちひしがれているうちに、リストラの危機にも直面、憔悴して行きます。そして二人の運命は不思議な方向へと進んでいくのです……。 ホラーの要素を保ちつつも、繊細でアート映画風のタッチが見事に融合した作品となっています。

6. マキシム・ジルー監督が挑む不条理スリラー!『大いなる闇の日々』

2014年にユダヤ系女性とフランス系コミュニティーの男性の“禁じられた愛”を描いた作品『Felix and Meira』で注目されたマキシム・ジルー監督の作品です。 ラブストーリーだった前作と打って変わって、本作で監督が選んだジャンルはダークな不条理スリラー。第二次世界大戦の時代、アメリカで仕事を終えたチャップリンのモノマネ芸人がカナダに帰ろうとするのですが、荒野の真ん中に取り残されてしまいます。そこに親切な男性が現れて手を貸してくれるのですが、実はそれは悪夢の始まりでした……。 主演を務めるマルタン・デュブロイユは、『Felix and Meira』にも出演しているケベック出身の俳優です。地元では有名な存在だという彼が、抜群の演技力で不条理な事態に巻き込まれる男性の混乱した様子を表現します。

7. ハンガリーを代表する奇才!パールフィ・ジョルジ監督の『ヒズ・マスターズ・ヴォイス』

『タクシデルミア ある剥製師の遺言』など、奇想天外な着想で作品作りをすることから奇才の異名を持つハンガリーの監督パールフィ・ジョルジの新作です。 本作は幼い頃に失踪した父親を探す兄弟が、その裏に米軍の陰謀の可能性を発見していくというストーリー。やがて兄弟は家族だけでなく、宇宙や生命の起源などにも通じる壮大なスケールの問題に直面して行きます。 映画は『惑星ソラリス』で知られるSF作家、スタニスワフ・レムの小説を下敷きとしているそうです。しかし原作の設定はそのままですが、パールフィ・ジョルジの視点で完全に彼流のアレンジが施されている作品です。

8. マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス監督が描く女の友情『ヒストリー・レッスン』

メキシコ出身の監督、マルセリーノ ・イスラス・エルナンデスが描く感動の物語です。 主人公は60歳の歴史教師のベロ。体調もすぐれず引退を考えている彼女の元に、エヴァという転校生が現れます。反抗的な態度の彼女に面食らうベロですが、次第に打ち解けて行き、二人の間には友情が生まれて行きます。 監督にとっては本作が3本目の長編映画。1作目では自殺を考える70歳の女性を、2作目では30年連れ添った夫婦の危機を描きました。本作を含むそれら3本を、監督は“単調さ、老い、運命、死に関する三部作”と呼んでいます。 三部作の締めくくりとなる本作は、見る人にどんな“レッスン”を与えてくれるのでしょうか。

9. 角田光代の小説を今泉力哉監督が映画化!『愛がなんだ』

直木賞作家角田光代が2003年に発表した小説を、「ダメ恋愛映画の旗手」と呼ばれる今泉力哉監督が映画化した作品です。 主人公は28歳のOL山田テルコ。5ヶ月前に一目惚れしたマモルに夢中で、彼のためならば仕事も友人もそっちのけにしてしまいます。 しかしマモルにとってテルコは、ただの都合のいい女でしかありませんでした。“完全なる一方通行の恋”に溺れるテルコが、やがて下す思いがけない決断を描きます。 テルコを演じるのは、2009年に女優デビューし、東京ガスのCMで注目を浴びた岸井ゆきの。マモル役はMEN’S NON-NOの専属モデル出身の俳優・成田凌です。

10. 激動の時代を迎える中国を描く!リウ・ハオ監督の『詩人』

経済大国になろうと激動の時代を迎える中国を舞台にした作品です。 物語の中心にいるのは、とある夫婦。夫は昼間は炭鉱で働き、夜は詩を書いています。そんな夫を妻は深く愛し、毎日昼には鉱山に弁当を届け、甲斐甲斐しく尽くしています。 一方の夫は詩が評価され、鉱山の宣伝部に昇格。その鉱山にある日現れた有名な詩人により、夫婦関係に変化が生じます。 物語の面白さだけでなく、巨大な鉱山をはじめとする大自然を捉えた美しい映像にも注目です。

11. 注目のカザフスタン映画界発!エミール・バイガジン監督の『ザ・リバー』

昨今、カンヌ国際映画祭でも多くの作品が評価され、注目されているカザフスタン映画界。本作のエミール・バイガジン監督もカザフスタン出身です。彼女は2013年の処女作『ハーモニー・レッスン』がベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞するという快挙を成し遂げています。 舞台は、地の果てを思わせる僻地。美しい川がある土地に、五人の兄弟と父が暮らしていました。何もない場所で、父に命じられた仕事をこなし、休みには川で遊ぶ五人。そこに、都会から親戚の少年が現れたことにより、それまでの調和が崩れて行きます。 計算し尽くされた構図による、美しい映像の数々が見どころの作品です。

12. 大都会脱出をテーマにしたブラックコメディ!ラミン・マタン監督の『シレンズ・コール』

ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の映画に見られるように、トルコ映画といえば、大自然を背景にしたものが目立っています。しかし、本作がフィーチャーするのは昨今再開発が活発な大都会のイスタンブールです。 建設会社勤務の男は、そんなやかましいイスタンブールの環境にうんざりしていました。そんな中、南部でオーガニックな暮らしをしている友人シレンから連絡が入ります。それに触発された男は、すぐさま荷物をまとめて彼女と合流するべく街を出ようとします。しかし、なぜか様々な障害に阻まれ町から出ることができません……。 現代社会への風刺が見事に聞いた、ブラックユーモアとなっています。

13. 楽しくも為になる秀作!サメフ・ゾアビ監督の『テルアビブ・オン・ファイア』

本作を手がけたサメフ・ゾアビ監督は、パレスチナ系イスラエル人。テルアビブとニューヨークで映画制作を学んだ彼が、中東の複雑な政治状況をコメディで表現した秀逸な作品です。 舞台は現代のイスラエル。60年代の中東戦争前夜を舞台にしたメロドラマ『テルアビブ・オン・ファイア』が流行っているという設定です。 ドラマの制作現場で働くパレスチナ人の青年は、毎日チェックポイントを通らなければなりません。ある日、そこでイスラエル軍の係官から尋問を受けた彼は、思わずドラマの脚本家だと嘘をついてしまうのですが……。 エンターテイメントとして楽しみながら、中東の現状についても理解を深められるという一石二鳥な映画です。

14. 香港インディペンデント映画の鬼才!フルーツ・チャン監督の『三人の夫』

1997年に公開されたインディペンデント映画『メイド・イン・ホンコン』で有名な、フルーツ・チャン監督の新作です。 香港のとある港に停泊している船の上で商売をしている娼婦の女性が主人公です。その港には半人半魚の伝説が残っていますが、彼女はまるで人間とは思えないような性欲を抱えていました。そんな彼女をある青年が愛し、結婚を申し込みます。 主演女優のツアン・メイホイツは、監督の要望で本作に出演するにあたり18キロ増量したそうです。そんな彼女の体当たりな演技は必見です。

15. ダークでファンタジックな世界観に注目!エドアルド・デ・アンジェリス監督の『堕ちた希望』

2016年に結合双生児の姉妹を描いた『切り離せない二人』で評価されたイタリア人監督エドアルド・デ・アンジェリス。残酷な環境を背景にしつつも不思議と美しさを感じさせる作品が特徴です。 そんな監督が今回テーマに選んだのは、人身売買。若いヒロインは人身売買組織の一員として、妊娠した娼婦を引き渡す仕事をしていました。しかし、自らの妊娠を機にそんな生活からの脱却を試みます。 映画の撮影が行われたのは、ナポリ北西にある海沿いの街。イタリアでも特に治安が悪い場所だそうですが、そんな土地を不思議と魅力的に表現してしまう監督の力量を感じる作品です。

16. 名優レイフ・ファインズが伝説のバレエダンサーを描く『ホワイト・クロウ(原題)』

「ハリー・ポッター」シリーズで闇の魔法使いヴォルデモートを演じた俳優レイフ・ファインズが監督として挑む3作品目です。 1作目ではシェイクスピア、2作目はディケンズと作家をテーマに選んできたレイフ・ファインズ。本作では伝説のバレエダンサー、ルドルフ・ヌレエフにスポットを当てました。 貧しい家庭で生またルドルフ・ヌレエフは、通常よりも遅い年齢でアカデミーに入学するも、天性の才能を開花させます。そんな彼の成長物語を描きつつ、映画はスリルある亡命劇へと向かって行きます。 主役を演じたのはバレエダンサーのオレグ・イヴェンコ。それまで演技経験はなかったそうですが、名優であるレイフ・ファインズの指導の賜物か、見事な演技を披露しています。

注目の話題作は、ぜひ東京国際映画祭で鑑賞を!

第31回東京国際映画祭では、日本はもちろん中華圏からの作品も出品されています。その他にも、ハンガリーやイスラエル、メキシコ、カザフスタンといった昨今映画界から注目されている国々の作品も目白押し! 東京国際映画祭は、そんな話題作を日本国内で鑑賞できるチャンスでもあります。ぜひ機会があれば気になる作品を鑑賞してみてください。