「第71回カンヌ国際映画祭」ノミネート作品18本を徹底紹介!
タップできる目次
- 世界で最も有名な国際映画祭
- コンペティション部門とは?
- ペネロペ・クルス主演!アスガー・ファルハディ監督の『Everybody Knows』
- 現代社会の問題を浮き彫りにしたステファヌ・ブリゼ監督の『At War』
- 現代の西部劇?マッテオ・ガローネ監督の『Dogman』
- フランス映画界の巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督の『The Image Book』
- 日本人もノミネート!濱口竜介監督の『寝ても覚めても』
- ゲイの恋愛を描いたクリストフ・オノレ監督の『Sorry Angel』
- フランス出身の女性監督エバ・ユッソン監督の『バハールの涙』
- 中国出身の新進気鋭!ジャ・ジャンクー監督の『Ash Is Purest White』
- 日本を代表する監督!是枝裕和監督の『万引き家族』
- もっともパワフルなアラブ人100人にも選ばれたナディーン・ラバキー監督の『存在のない子供たち』
- 村上春樹の小説が原作!イ・チャンドン監督の『Burning』
- 話題作を多く手掛けるスパイク・リー監督の『BlacKkKlansman』
- 活躍に期待がかかる!デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『アンダー・ザ・シルバー・レイク』
- 不屈の精神の持ち主ジャファル・パナヒ監督の『ある女優の不在』
- アカデミー賞受賞経験を持つパヴェウ・パヴリコフスキ監督の『Cold War』
- ドキュメンタリー出身アリーチェ・ロルバケル監督の『Happy as Lazzaro』
- 実在の人物を描いたA・B・ショウキー監督の『Yomeddine』
- ロックミュージック満載!キリル・セレブレニンコフ監督の『Summer』
- 2018年のカンヌ国際映画祭は5月8日開幕
世界で最も有名な国際映画祭
OFFICIAL RELEASE: The poster for the Festival de Cannes 2018... features a woman and a man engaged in a passionate kiss. #Cannes2018
— Festival de Cannes (@Festival_Cannes) April 11, 2018
Design: © Flore Maquin / Photo: Anna Karina and Jean-Paul Belmondo in Pierrot le fou © Georges Pierre
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毎年5月にフランスの南に位置する、フランスを代表する観光地コート・ダジュール沿いの都市カンヌで開催されるカンヌ国際映画祭。世界で最も有名な映画祭であり、映画に携わる人々にとって本映画祭に招待されること、また賞を受賞することはとても名誉なことと言われています。 同じく映画に携わる人の最高峰としてアメリカで開催されるアカデミー賞があります。アカデミー賞にノミネート、賞を受賞をすることももちろんとても名誉なコトです。しかしアカデミー賞は前年度に公開された作品が対象となるため、商業的な成功も賞を受けられるかどうかに関わってきます。 それに比べ、公開前の作品をノミネートしているため、純粋に映画の内容や演技の質が重視されるカンヌ国際映画祭。 つまり本映画祭で賞を受賞することが、実力派と呼ばれるかどうかに影響するのです。本映画祭が実力は監督、演技派俳優や女優への道の登竜門と言っても過言ではないのです。
コンペティション部門とは?
OFFICIAL RELEASE: This 71st Festival de Cannes will open on Tuesday, May 8 with the screening in Competition of Asghar Farhadi's new film: Everybody Knows (Todos Lo Saben)! #Cannes2018 @mementofilms
— Festival de Cannes (@Festival_Cannes) April 5, 2018
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カンヌ国際映画祭にノミネートと言われる場合、一般的にはコンペティション部門へのノミネートを意味します。 コンペティション部門とはカンヌ国際映画祭の中心となる部門で、メイン会場であるシアターリュミエールで上映されます。 そしてコンペティション部門はパルム・ドール(最高賞)、グランプリ(パルム・ドールに次ぐ賞)、監督賞、男優賞、女優賞、脚本賞、審査員賞から構成されています。 なお、日本映画もカンヌ国際映画祭で数多くの受賞をしており、今までにパルム・ドールに今村昌平監督、グランプリに市川崑監督、主演男優賞に柳楽優弥などが選ばれています。
ペネロペ・クルス主演!アスガー・ファルハディ監督の『Everybody Knows』
Have a look at the trailer for Everybody Knows by Asghar Farhadi, starring Penelope Cruz, Javier Bardem and Ricardo Darín. The film will open the 71st edition of the Festival de Cannes and will be presented in Competition! #Cannes2018 ????
— Festival de Cannes (@Festival_Cannes) April 5, 2018
Coming soon in theaters. pic.twitter.com/ujO23txo6V
ではここからコンペティション部門ノミネート作品を紹介していきます。 イラン出身の監督アスガー・ファルハディ監督の『Everybody Knows』。 アスガー・ファルハディ監督は今までにベルリン国際映画祭、カンヌ映画祭、アカデミー賞での受賞経験を持つ実力派監督です。 『Everybody Knows』はスペイン出身でハリウッドでも活躍するペネロペ・クルス主演で、ブエノスアイレスに住むスペイン人女性が家族ともにマドリッドに帰郷する際に予想もしていなかった事態に巻き込まれる様子を描いたサイコスリラーです。 最近では政治的な理由によりアカデミー賞受賞を辞退した経験もあるアスガー・ファルハディ監督が描く本作は観客を監督独特の映画の世界に巻き込むこと間違いないでしょう。
現代社会の問題を浮き彫りにしたステファヌ・ブリゼ監督の『At War』
俳優や脚本家としても活躍するフランス出身の監督ステファヌ・ブリゼ監督の『At War』。 キャリア30年以上を誇るフランスを代表する俳優ヴァンサン・ランドンが主役を演じる、工場閉鎖に戸惑う従業員たちが自分たちの権利、仕事を求めて戦う、ドラマ映画です。 数々の賞の受賞経験のあるステファヌ・ブリゼ監督とフランスの名優ヴァンサン・ランドンがタッグを組んだ映画は見応えたっぷりの作品と言えます。
現代の西部劇?マッテオ・ガローネ監督の『Dogman』
イタリアを代表する監督のひとり、マッテオ・ガローネ監督。彼の新作である『Dogman』は殺人事件に巻き込まれる犬のトリマーを描いた作品です。 監督自身がリベンジ映画でないと言いつつも、アメリカ映画の西部劇を彷彿させるものがあり、監督自身も都市の西部劇と語っているほどの作品『Dogman』。 イタリア映画というと『ニュー・シネマ・パラダイス』などのほのぼのとした作品を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、イタリア映画は実はクライム映画も得意としています。ぜひイタリア映画界の十八番であるクライム映画、本作で初体験してみてください。
フランス映画界の巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督の『The Image Book』
フランス映画の新時代、ヌーヴェル・ヴァーグを築き上げたジャン=リュック・ゴダール監督。1950年代から活動始め、現在もなお現役として活躍する監督で、映画にあまり興味がない人でも監督の名前や監督の代表作『勝手にしやがれ』や『気狂いピエロ』『ゴダールの探偵』などのタイトルは一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? 名監督の最新作『The Image Book』は監督が撮影に2年以上を費やした力作と言われています。 俳優陣の出演は一切なく、語り手だけでストーリーが進む本作の詳細はあまり明らかにされていませんが、見応えたっぷりの映画であることは間違いないでしょう。
日本人もノミネート!濱口竜介監督の『寝ても覚めても』
今回のカンヌ映画国際映画祭コンペティション部門には日本人監督の作品も2作品ノミネートされています。 二人の同じ顔をした男性の間で揺れ動く女性を描いた、同名の小説が原作となっている本作。 監督したのは東京大学、東京芸術大学大学院出身で、現在日本で注目の集まる濱口竜介監督です。本作が商業映画デビュー作という濱口竜介監督の才能に世界からの注目が集まります。
ゲイの恋愛を描いたクリストフ・オノレ監督の『Sorry Angel』
フランス出身のクリストフ・オノレ監督の『Sorry Angel』。 パリに住む作家の男性とブルターニュに住む男子学生。2人の男性の友情と恋愛を描いた人間ドラマです。 クリストフ・オノレ監督は監督業のほか、作家や俳優としても活躍しており、また今までに様々な映画際にノミネート、また受賞経験を持つ実力派監督です。 なお、本作は男性同士の恋愛を描いた映画ですが、クリストフ・オノレ監督自身もゲイであることを公表しています。
フランス出身の女性監督エバ・ユッソン監督の『バハールの涙』
GIRLS OF THE SUN by Eva Husson will compete for the Palme d'Or at #Cannes2018 #competition #officialselection@evahusson @manekifilm @Golshifteh @EmmBercot pic.twitter.com/2qxj0kPjRG
— Elle Driver (@elledriverfilms) April 12, 2018
フランス出身の女性監督エバ・ユッソン。2015年公開の『青い欲動』で知られる監督です。最新作『バハールの涙』は、ダーイシュに襲撃されたイラクのクルド人女性たちが、女性だけの戦闘部隊を結成し闘うストーリーです。 突然夫を殺され、息子を売り飛ばされ、自身もダーイシュ戦闘員の性奴隷にされた彼女たち。そのような壮絶な状況下で奮闘する姿は観る人の心を打つに違いありません。
中国出身の新進気鋭!ジャ・ジャンクー監督の『Ash Is Purest White』
中国出身のジャ・ジャンクー監督。北京電影学院の卒業制作で監督した作品がベルリン国際映画祭の最優秀新人監督賞など、各映画祭でグランプリを獲得するなど、現在世界中から注目を集める新進気鋭の監督の一人と言っても過言ではありません。 そのジャ・ジャンクー監督の手がける『Ash Is Purest White』は経済的な急成長を遂げる中国の裏社会の様子を自分の恋した相手を守るために犯罪を犯した女性を中心に描いたドラマで、見応えたっぷりの映画に仕上がっています。
日本を代表する監督!是枝裕和監督の『万引き家族』
日本を代表する是枝裕和監督。これまでにも『誰も知らない』主演の柳楽優弥がカンヌ国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞、また『そして父になる』がカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞するなど、世界的に高い評価を受けています。 その是枝裕和監督の最新作『万引き家族』は実際に日本で起きた犯罪をベースにした映画で、祖母の年金と万引き稼業で生計を立てている家族を描いたストーリーです。 世界的には知られていない日本の実情をうまく描き出した作品は監督が構想に10年をかけたと言われています。また樹木希林や柄本明、池脇千鶴、リリー・フランキーなど現在の日本の映画界で活躍する俳優、女優陣の共演で、見応えのある作品であることは間違いありません。
もっともパワフルなアラブ人100人にも選ばれたナディーン・ラバキー監督の『存在のない子供たち』
Just finished our jury deliberation for the world dramatic competition.Stay tuned to know all about who won what! pic.twitter.com/GnV6eBTU
— Nadine Labaki (@NadineLabaki) January 26, 2013
レバノン出身の女性映画監督ナディーン・ラバキー。2007年公開の『キャラメル』で監督そして主役を演じ、注目を集めた新進気鋭の監督です。 世界で最もパワフルなアラブ人100人にも選ばれた経験を持つナディーン・ラバキー監督の最新作『存在のない子供たち』。自分を産んだ罪で自らの両親を告訴する少年のストーリーは、観る者の心にずっしりと重く響きます。
村上春樹の小説が原作!イ・チャンドン監督の『Burning』
韓国出身のイ・チャンドン監督。大学卒業後は教師をしていたという異例の経歴の持ち主で、教師時代に小説家としても活動をし、韓国国内で賞を受賞、そして映画界に脚本家として進出を果たします。 その後監督として映画作りにも携わるようになり、脚本家として監督として、国際的な映画祭の様々な賞を受賞しています。 そのイ・チャンドン監督の最新作『Burning』は村上春樹の小説『納屋を焼く』が原作となっており、人気俳優ユ・イアンが主役を演じました。 3人の若者たちの間で起こるミステリアスな事件を描いた本作品。観客を釘付けにすることは間違いないでしょう。
話題作を多く手掛けるスパイク・リー監督の『BlacKkKlansman』
アメリカ出身の映画監督スパイク・リー。テーマに政治的、社会的問題を取り込み、度々論争を巻き起こさせることでも有名な監督です。 元アメリカンフットボールの選手である俳優ジョン・デヴィッド・ワシントンが主役を演じる『BlacKkKlansman』はコロラド州に住む黒人探偵が地元の秘密結社のメンバー募集に応募したことからストーリーが始まります。 本作でもアメリカに今でも根付く黒人差別問題を扱っており、様々な議論を巻き起こすことは容易に予測が可能です。
活躍に期待がかかる!デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『アンダー・ザ・シルバー・レイク』
アメリカ出身の映画監督デヴィッド・ロバート・ミッチェル。2014年には商業的な成功を収める可能性がある有望な監督10人のひとりにも選ばれており、現在その活躍が期待されている監督です。 そのデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の最新作『アンダー・ザ・シルバー・レイク』は人気若手俳優アンドリュー・ガーフィールドが主役を務めています。 作品の詳細は明らかにはされていませんが、ロサンゼルスを舞台にしたスリラー映画と言われています。 ホラー映画『イット・フォローズ』で観客を震え上がらせた監督が観客を新たな恐怖の世界に導く作品であると言えるでしょう。
不屈の精神の持ち主ジャファル・パナヒ監督の『ある女優の不在』
イラン出身のジャファル・パナヒ監督。1995年公開の監督初作品『白い風船』がカンヌ国際映画祭カメラ・ドール賞を受賞し、その後も次々と各国の映画祭で高い評価を得ている監督です。 そのジャファル・パナヒ監督の最新作『ある女優の不在』の詳細は明らかにされていませんが、イラン政府から20年間の映画製作禁止令を通達され、現在もその期間でありながら不屈の精神で映画を作り続ける監督の自信作であることは間違いないでしょう。
アカデミー賞受賞経験を持つパヴェウ・パヴリコフスキ監督の『Cold War』
パヴェウ・パブリコフスキ監督はポーランド出身の映画監督です。ポーランド出身でありながら、多くの作品はポーランド以外で撮り続けていることでも知られています。 初めてポーランドで撮影した2013年公開の『イーダ』が代表作であり、その年の各国の映画祭で賞を受賞、また2015年のアカデミー賞で、外国語映画賞を受賞しました。 そのパヴェウ・パヴリコフスキ監督の最新作である『Cold War』は1950年代のヨーロッパが舞台の恋愛映画です。 愛し合う音楽家の2人が主人公の本作はアガタ・クレシャやヨアンナ・クリグ、トマシュ・コトなどポーランドを代表する俳優陣が登場しています。
ドキュメンタリー出身アリーチェ・ロルバケル監督の『Happy as Lazzaro』
イタリア出身の女性映画監督アリーチェ・ロルバケル。大学で哲学と文学を専攻した彼女はドキュメンタリー作品の監督としてデビューを果たします。 その後もドキュメンタリー映画を中心に数多くの作品を手がけ、2011年に制作した『ヘヴンリー・ボディ』でカンヌ国際映画祭にノミネートされました。 そんな彼女の新作『Happy as Lazzaro』は純粋な心の持ち主の若者ラザロとお坊ちゃん貴族のタンクレディとの友情を描いた映画です。 ラザロの純粋さが観客の心を和ませてくれること間違いないでしょう。
実在の人物を描いたA・B・ショウキー監督の『Yomeddine』
— A.B. Shawky - أبوبكر شوقي (@abshawky) April 17, 2018
A・B・ショウキー監督はエジプト系オーストラリア人の監督で、代表作に『シングズ・アイ・ハード・オン・ウエンズデイズ』があります。 手がけた映画の数は少ないものの実力派の監督であるA・B・ショウキー監督の新作は『Yomeddine』です。『Yomeddine』は監督がドキュメンタリー作品を撮影中に出会った実在の人物を描いたコメディタッチの作品です。 新進気鋭の監督の本作は観客に新しい息吹を吹き込むことでしょう。
ロックミュージック満載!キリル・セレブレニンコフ監督の『Summer』
キリル・セレブレニンコフ監督はロシア出身の監督です。同監督の作品に馴染みはなくとも2017年に詐欺容疑で逮捕されたというニュースで監督の名前を耳にしたことがある人もいるかもしれません。 そんな少しお騒がせな監督の新作『Summer』はレッド・ゼッペリンやデヴィッド・ボウイなどのロックに影響を多大に受けた1981年のレニングラードが舞台の映画です。80年代のロックミュージック満載の本作は、映画ファンのみならず、ロックファンも楽しめる一作となっています。
2018年のカンヌ国際映画祭は5月8日開幕
FR : Nous vous attendons nombreux derrière vos écrans, demain à 11h, pour le LiveTweet de l’annonce de la Sélection officielle!
— Festival de Cannes (@Festival_Cannes) April 11, 2018
EN : We’re waiting for you all tomorrow at 11AM, for our LiveTweet of the Official Selection’s announcement! #Cannes2018 pic.twitter.com/53wSFwJyLQ
2018年のカンヌ国際映画祭は5月8日に開催されます。上記で紹介したコンペティション部門以外にある視点部門や短編部門、シネファウンデーション、カメラ・ドールなどの部門が設定されています。 上記以外にも独立選出と言って、独立賞というものが設定されており、その中には撮影監督や美術監督に送られるバルカン賞、また優秀な演技をした犬に贈られるパルム・ドック賞などもあります。 映画ファンのみならず、世界中が注目するカンヌ映画祭。もちろんどの作品が受賞するのかも興味深いところですが、レッドカーペットを彩る俳優、女優陣たちにも関心が高まります。 まもなく幕開けの2018年カンヌ国際映画祭。開催が待ち遠しいですね。