2019年3月14日更新

映画『決算!忠臣蔵』を見る前に知っておきたい9のこと【豪華キャスト一覧から忠臣蔵の魅力まで】

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『決算!忠臣蔵』
(C)2019「決算!忠臣蔵」製作委員会

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映画『決算!忠臣蔵』を観る前に知っておきたい“忠臣蔵”

これまで数えきれないほどの作品が生み出されてきた「忠臣蔵(ちゅうしんぐら)」作品。2019年冬に公開予定の映画『決算!忠臣蔵』もその一つです。主演に堤真一を迎え、岡村隆史が共演する本作は、今までとは少し違った視点から忠臣蔵を描くよう。一体どんな物語になるのか、気になりますね! ここでは『決算!忠臣蔵』の最新情報とともに、忠臣蔵の題材となった江戸時代の「赤穂事件(あこうじけん)」をはじめその基本的な前知識に触れ、これまで製作されてきた忠臣蔵の映像作品も紹介していきます。 『決算!忠臣蔵』を楽しみにしている人も、忠臣蔵を全然知らない世代も、昔からの忠臣蔵ファンも、ぜひこの機会に改めて忠臣蔵の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

1.「忠臣蔵」とは?赤穂事件を描いた歌舞伎の演目

「忠臣蔵」とは、江戸時代に起こった「赤穂事件」を基にして創作された物語で、もともとは人形浄瑠璃・歌舞伎の演目のひとつ。江戸時代の1748年に初演された時の題名は『仮名手本忠臣蔵』でした。 赤穂事件は江戸時代の元禄期に起こった史実で、播磨赤穂藩(はりまあこうはん)の藩主・浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)が江戸城内で高家旗本の吉良上野介(きらこうずけのすけ)に斬りかかったことに端を発します。当時の武士社会では「喧嘩両成敗」が当たり前だったため、加害者の浅野も被害者の吉良も双方切腹となるべきでした。しかし吉良はお咎めなしとなり、それに納得いかない家臣たちが後に吉良邸に討ち入った事件です。 この史実が脚色されて『仮名手本忠臣蔵』として世に知られて以降、さまざまなジャンルでこの物語が語られています。20世紀に入ると映画界にも忠臣蔵作品が登場し、テレビ放送が始まった戦後には数多くのドラマ作品も作られ、年末には定番の題材として人気を誇りました。

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2.『決算!忠臣蔵』のあらすじと原作

『決算!忠臣蔵』原作/「忠臣蔵」の決算書
(C)2019「決算!忠臣蔵」製作委員会

時は江戸時代・元禄14年(1701年)、事件が起こったのは3月14日。江戸城の松の廊下で、清廉な赤穂藩藩主の浅野内匠頭が賄賂まみれの上役・吉良上野介に切りかかりました。 喧嘩両成敗となるはずの一件でしたが、幕府は浅野内匠頭だけに切腹と浅野家のお取り潰しを命じます。お家は断絶、赤穂藩士たちは浪人となってしまいます。 浅野家筆頭家老の大石内蔵助(おおいしくらのすけ/堤真一)は、勘定方の矢頭長助(やとうちょうすけ/岡村隆史)とともに取り潰しとなった赤穂藩の後処理に追われる日々でしたが、世論は吉良への仇討ちに傾く一方。しかしなんと、仇討ちに莫大な予算が必要なことが発覚!果たして赤穂浪士たちは予算内に討ち入りすることができるのでしょうか? 原作は山本博文の『「忠臣蔵」の決算書』で、大石内蔵助が遺した討ち入り費用の会計帳簿から赤穂事件を読み解く歴史解説書。武器購入や会議費など、かかったとされる費用総額は700両(約8400万円)。大石内蔵助は藩財政の余りなどを工面し、予算を捻出しました。『決算!忠臣蔵』は忠臣蔵を経済面から描いた稀有な作品となりそうです。

3.主演キャストは堤真一、史実の大石内蔵助との違いは?

大石内蔵助(おおいしくらのすけ)/堤真一

堤真一、岡村隆史(『決算!忠臣蔵』)
(C)2019「決算!忠臣蔵」製作委員会

映画『決算!忠臣蔵』で主人公となる大石内蔵助を演じるのは、映画・ドラマ・舞台で幅広く活躍する堤真一。忠臣蔵映画は初めてで、関西弁で挑むようです。堤自身も兵庫県西宮市出身で、共演する岡村隆史との関西弁のやり取りもスムーズそう。

では、史実上の大石内蔵助はどんな人物だったのでしょうか。本名は大石良雄(おおいしよしお)といい、19歳で大石家の1500石と内蔵助の名を受け継ぎ、21歳で正式な浅野家の筆頭家老に。平時には“昼行燈(ひるあんどん)”と呼ばれる凡庸な人物だったそうですが、主人の浅野内匠頭が切腹となってからは、お家再興運動や家中分裂の危機回避など、大事を収拾する才能を発揮しました。 堤真一演じる『決算!忠臣蔵』での大石内蔵助は、決算書から読み解いた“金欠に悩まされるリーダー”という人物像を新たに作り上げています。現代で例えるなら、お家断絶の浅野家は不良債権を抱えて突然倒産した優良企業、大石内蔵助はその残務処理を任された中間管理職といったところでしょうか。

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4.『決算!忠臣蔵』に出演する豪華キャスト一覧

矢頭長助(やとうちょうすけ)/岡村隆史

大石内蔵助を支えた勘定方の矢頭長助を演じるのは、ナインティナインの岡村隆史。映画出演は2014年の『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』以来で、主演を務めた2010年の『てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡〜』以来のメインキャストとなります。 矢頭長助は名を教照(のりてる)といい、赤穂藩が取り潰しになった際は大石内蔵助とともに赤穂に残って残務処理を行いました。すべてを終えて大阪に移った後に病に侵され、赤穂事件の翌年に病死。息子の教兼(のりかね)が父に代わって吉良邸へ討ち入ったそうです。

大高源吾(おおたかげんご)/濱田岳

吉良邸の情報収集を担った大高源吾を演じるのは濱田岳です。近年ではドラマ『釣りバカ日誌〜新入社員 浜崎伝助〜』で新人時代のハマちゃんを演じて好評を得ていますが、映画・CM出演やナレーションなど幅広く活躍中です。 大高源吾は名を忠雄といい、子葉という雅号を持った著名な俳人でもあり、茶道にも通じた人物。大石からの信頼も厚く、重要な局面では度々使者として送り出されています。

菅谷半之丞(すがやはんのじょう)/妻夫木聡

大石内蔵助の参謀を務めた菅谷半之丞を演じるのは妻夫木聡です。『悪人』や『怒り』での演技が映画界で高評価を得ており、主演を務めたドラマ『イノセント・デイズ』では初めて自ら映像化を企画するなど多方面で才能を発揮しています。 菅谷半之丞は名を政利(まさとし)といい、山鹿流兵学の免許皆伝を受けた人物。赤穂藩では100万石の馬廻役として仕えました。討ち入りのため大石に従って江戸へ下り、作戦参謀として補佐を務めたといいます。

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堀部安兵衛(ほりべやすべえ)/荒川良々

討ち入りを推進する剣豪の堀部安兵衛を演じるのは荒川良々。劇団「大人計画」所属の荒川良々は映画やドラマ、CMにもひっぱりだこの人気バイプレイヤーです。 堀部安兵衛は名を武庸(たけつね)といい、赤穂浪士の中でも随一の剣客。吉良への仇討ちを強く望む“江戸急進派”のリーダー格で、度々大石内蔵助に討ち入りを詰め寄っています。

りく/竹内結子

大石内蔵助の妻・りくを演じるのは竹内結子です。数々のドラマや映画で主演やヒロイン役を務め、2018年にはHulu×HBOアジアのドラマ『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』で海外進出も果たしています。 大石の妻・りくは、実家が豊岡藩京極家の家老を務める石束家という名門の出。内蔵助との間に三男二女の五人の子をもうけています。討ち入り前に、内蔵助はりくと子に配慮して絶縁し、りくは残された子たちを育てた後、出家して香林院となりました。

瑤泉院(ようぜんいん)/石原さとみ

浅野内匠頭の妻、瑤泉院を演じるのは石原さとみです。映画・ドラマを中心に活躍し、2016年の映画『シン・ゴジラ』や2018年のドラマ『アンナチュラル』など様々なジャンルで強い印象を残しています。 瑤泉院は名を阿久里(あぐり)といい、夫の切腹後は実家の三次藩主浅野家に引き取られ、出家して瑤泉院となりました。大石たちの討ち入り決行が決まると、討ち入り費用を工面して陰ながら支えていたようです。

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5.実力派勢ぞろい!サブキャストも豪華

『決算!忠臣蔵』
(C)2019「決算!忠臣蔵」製作委員会

メインキャストも豪華なら、脇を固めるサブキャストも豪華です。若手俳優から実力派まで、錚々たる顔ぶれ!一挙に発表されたサブキャストも紹介します。 大石内蔵助の副将を務めた吉田忠左衛門を西村まさ彦、大目付の間瀬久太夫(まぜきゅうだゆう)を寺脇康文、大垣藩の藩主・戸田采女正(とだうねめのしょう)を滝藤賢一、瑤泉院の用人・落合与左衛門を笹野高史といったベテラン勢が演じています。 元赤穂藩士の早川惣介をダチョウ倶楽部の上島竜兵が演じているのも見どころ。また、堀部圭亮がそば屋「いづみや」主人の長次役、山口良一が広島藩・浅野家本家の用人である井上団右衛門役で出演しています。 若手では、内蔵助の息子・大石主税(おおいしちから)を鈴木福が演じるほか、浅野内匠頭の切腹の介錯人・磯田武太夫(いそだたけだゆう)役で千葉雄大が出演しています。

6.浅野内匠頭と吉良上野介を演じるキャストは未定

赤穂事件の発端となった浅野内匠頭と吉良上野介。映画『決算!忠臣蔵』で2人を演じるキャストは2019年3月現在発表されていませんが、「忠臣蔵」を語る上では重要な人物です。 播磨赤穂藩の藩主・浅野内匠頭は本名を長矩(ながのり)と言い、2代目藩主・長友の長男として生まれます。寛文11年に父・長友が藩主に就任しますがその3年後に他界。わずか9歳の時に、赤穂浅野家の家督を継ぐこととなります。文禄14年、幕府より勅使供応役(ちょくしきょうおうやく)を命じられ、吉良上野介に接待の教示を受けます。しかし吉良に不親切にされたことから、「この間の遺恨覚えたるか」と言って吉良を切りつけ同日に処罰を受け切腹。赤穂藩は失脚となりました。 対する吉良上野介は、本名を義央(よしなか/よしひさ)と言います。もともと足利将軍の一族として名門の家柄でしたが、没落したことがきっかけで高家の旗本となりました。赤穂事件で浅野長矩に切りつけられるも致命傷とはならず、義央はお咎めなしとされ、後日職を辞しています。本来なら双方が罰せられる時代であった当時、義央は、失脚した赤穂浪士たちの不満の矛先となり、彼らに襲撃され吉良家は断絶となりました。

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7.一般的に知られている忠臣蔵・赤穂事件のストーリー

忠臣蔵作品の元となる赤穂事件は、江戸時代の元禄期に当たる1703年12月14日、大石内蔵助たち赤穂浪士47人が吉良邸に討ち入りしたことが主要な事柄。しかし事の発端となった松の廊下事件から、討ち入りを決行するまでの過程も詳細に語られるのが、忠臣蔵作品の特徴です。 浅野内匠頭が吉良上野介に切りかかった松の廊下の事件から切腹とお家断絶を言い渡され、赤穂浪士たちが主人の無念を晴らすべく仇討ちに立ち上がる様子を描くのが、一般的な王道ストーリー。 なぜ浅野内匠頭が吉良上野介に松の廊下で切りつけたのか、史実では明らかになっていません。忠臣蔵で語られる理由は、江戸城の接待役を任された内匠頭が古いしきたりをよく知る吉良に教えを請うたものの、賄賂が少なく機嫌を損ね、度々嫌味な仕打ちを受けたことによる遺恨とのこと。まるでパワハラや陰湿ないじめのようですね。

8.なぜ語り継がれる名作なのか?

なんといっても忠臣蔵の魅力は、武士道と主人・藩への忠義心、これに尽きるのではないでしょうか。現代日本のサラリーマン社会などでも、会社への忠誠心などに形を変え現存している感覚と思われます。 江戸時代の庶民も夢中になった忠臣蔵には、武士の意地と自己犠牲、そして勧善懲悪のストーリーと日本人の好む“散りゆくものの美学”が表れています。特に武士としての名誉を守るという大名目が、赤穂浪士たちを突き動かし、当時の庶民の喝采を勝ち得た理由なのでしょう。 現代でも“侍ジャパン”などスポーツ界で“サムライ”と冠する通称があるのも、おそらく日本人が古くから持つ侍魂を突き動かす何かがそこにあるからです。人々は忠臣蔵の物語を通して、自らの侍魂を奮い立たせてきたのかもしれません。

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9.忠臣蔵を題材にした代表的な映像化作品

赤穂事件・忠臣蔵を題材にした最初の劇映画は1910年の『実演・忠臣蔵』で、大石内蔵助を歌舞伎役者の尾上松之助が演じました。戦前では尾上松之助、戦後では八代目松本幸四郎が一番多く大石内蔵助を演じた役者です。 戦前・戦後の映画では歌舞伎役者や、片岡千恵蔵や阪東妻三郎といった時代劇スターが大石内蔵助を演じることが多かったようです。テレビの時代になるとドラマで三船敏郎や北大路欣也など、大物俳優がキャスティングされました。

映画『忠臣蔵』(1958年)

大映で製作された渡辺邦男監督による1958年の『忠臣蔵』では、大石内蔵助を長谷川一夫、吉良上野介を滝沢修が演じました。当時大人気だった若手スターの市川雷蔵が浅野内匠頭を演じ、他のキャストも勝新太郎や鶴田浩二、京マチ子や山本富士子など大映の人気俳優たちが総出演した作品でした。 戦後に製作された忠臣蔵映画の中でもエンタメ性の高い人気作で、忠臣蔵作品の初心者にはエントリーに最適な作品。史実に忠実にするよりも、脚色された伝説的で派手な部分に評価が集まったことが人気の所以のようです。

ドラマ『忠臣蔵』(1985年)

1985年のドラマ『忠臣蔵』では、里見浩太朗が大石内蔵助役、森繁久弥が吉良上野介役で出演しました。浅野内匠頭を風間杜夫、堀部安兵衛を勝野洋、大高源吾を峰竜太、大石主税を坂上忍が演じています。 本作は、日本テレビで毎年年末に放送された時代劇スペシャルの第1作。時代劇が時代遅れになりつつあった当時としてはヒットし、これ以降2夜連続の同枠番組は9年間続きました。

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映画『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1994年)

深作欣二監督作で、赤穂事件と同じ元禄期に起こった実際の事件を題材にした『東海道四谷怪談』との関連を描いた作品。“お岩さん”で有名な四谷怪談の主人公・民谷伊右衛門が赤穂浪士だった繋がりを活かして、両作品をミックスしたホラー映画となっています。 民谷伊右衛門を佐藤浩市、お岩を高岡早紀が演じ、津川雅彦が大石内蔵助役で出演しました。特別出演として、吉良上野介を田村高廣、浅野内匠頭を真田広之が演じています。

NHK大河ドラマ『元禄繚乱』(1999年)

1999年に放送されたNHK大河ドラマ『元禄繚乱』では、大石内蔵助を五代目中村勘九郎、吉良上野介を石坂浩二が演じました。大河ドラマで忠臣蔵作品が製作されたのは1982年の『峠の群像』以来で、4作目の作品です。 テレビドラマで大石内蔵助役を歌舞伎役者が演じるのも、1989年の『大忠臣蔵』の九代目松本幸四郎以来10年ぶり。大河ドラマにメインキャストとして出演した経験のあるスターや、歌舞伎界の俳優たちが多く起用されています。

映画『最後の忠臣蔵』(2010年)

杉田成道監督による映画で、大石内蔵助を片岡仁左衛門、吉良上野介を福本清三が演じました。ワーナー・ブラザースが配給し、アメリカでも翌年に公開されています。 原作は『四十七人の刺客』の池宮彰一郎による同名小説で、赤穂四十七士の中で一人生き残った寺坂吉右衛門を主人公に、忠臣蔵の後日談が語られます。もう一人の主人公である討ち入り前夜に逃亡した瀬尾孫左衛門を役所広司、寺坂吉右衛門を佐藤浩市が演じています。

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映画『決算!忠臣蔵』は2019年11月22日公開!忠臣蔵作品に新たな風が吹くか

江戸時代に起きた赤穂事件を基に、これまで数多くの忠臣蔵作品が生みだされてきましたが、尽きることのない創造の源としていまだ様々な作品が作られ続けています。 その中でも『決算!忠臣蔵』は史料を基にした歴史解説書の映画化という、これまでにもあまり見たことのないような特異な作品になりそうです。このように様々な角度から物語を描くことができる“忠臣蔵”は、やはり今も魅力ある題材といえますね。