ドラマでわかる日本史〜幕末編〜【『西郷どん』ほか人気ドラマで歴史を解説】

2018年3月20日更新

日本史好きの間でもとりわけ人気のある時代のひとつが幕末です。ここでは、幕末をさまざまな視点から描いたドラマを史実に沿って10作品ご紹介します。幕末の日本史をドラマで学びましょう!

さまざまなドラマから知る激動の幕末

長い日本の歴史において、とりわけ熱いエネルギーに溢れ、個性あふれる志士たちが活躍した幕末。一般には1853年の黒船来航から1869年の戊辰戦争終結あたりまでを指すことが多いようですが、間違いなく日本が大きく変化した時代だといえるでしょう。 そんな激動の幕末を愛する人は多く、これまでさまざまなドラマでその時代が描かれてきました。 複数の人物が短い期間に入り混じり、多くは交流があって重なっていますから、単純な時系列というわけにはいきませんが、各作品の主人公が最も活躍した時期や事件、大きな転機となる出来事などを主軸に、史実に沿って10作品を並べて紹介します。

黒船来航による開国混乱期に台頭した男:『勝海舟』

1853年、ペリー率いる黒船が来航し、開国を要求されて混乱する幕府において重用されたのが勝海舟です。老中の阿部正弘に提出した海防意見書が目に留まって異国応接掛附蘭書翻訳御用の任に就き、以後は激動の中で変貌する日本のために尽力しました。 咸臨丸に乗って渡米するなど、広い視野を持った国際派として非常に人気の高い人物であり、さまざまな小説や映画・ドラマで取り上げられてきました。1974年にNHK大河ドラマとして放送された『勝海舟』は、その生涯を詳細に渡って描いています。 当初、渡哲也が主人公を演じていましたが病気により降板し、10話以降は松方弘樹に交代しました。最終回で江戸無血開城までを描き、勝海舟に影響を受けた坂本龍馬や西郷隆盛らも登場する総括的ともいえる作品です。

安政の大獄がヒロインの人生を変えた:『花燃ゆ』

混乱の中、日米修好通商条約締結に至る幕府が、1958年から翌年にかけて反対派の大名など100人あまりを処刑したのが安政の大獄でした。刑死した一人に松下村塾の吉田松陰がおり、松陰の妹・杉文(のちの楫取美和)をヒロインにした2015年の大河ドラマが『花燃ゆ』です。 志半ばで死に絶えた兄の遺志を継ぐ文の半生を軸に、松下村塾の塾生で文の夫となる久坂玄瑞、奇兵隊を結成する高杉晋作ら長州藩から倒幕運動に関わる男たちの雄姿が描かれました。 文を井上真央、久坂玄瑞には東出昌大、高杉晋作には高良健吾など、幕末の志士を人気の若手俳優がみずみずしい魅力で演じています。

池田屋事件を起こす、個性的な同志たちによる警備組織:『新選組!』

1864年、京都の旅館にいた長州藩や土佐藩など尊王攘夷の倒幕派を、公武合体派に立つ京都守護職配下の新選組が襲撃したのが池田屋事件でした。新選組は旧幕府軍として戦った戊辰戦争まで存続し、個性あふれるキャラもあって幕末の志士としては最も多数の作品で取り上げられてきた人気の組織です。 そんな中でも異彩を放つ作品が、2004年の大河ドラマとなった『新選組!』です。三谷幸喜が脚本を手掛け、史実とは異なる大胆な解釈を加えるなど意表を突く展開が賛否両論を巻き起こしました。 主人公の近藤勇を香取慎吾、土方歳三を山本耕史が演じたほか、オダギリジョーや藤原竜也、堺雅人などキャスティングにおいてもあまた溢れる他の新選組物とは趣を異にしています。

薩長同盟のため暗躍した土佐の浪士の物語:『龍馬伝』

それまで幕府側だった薩摩藩が倒幕派の長州藩と接近し、ついに新しい時代へと動き出す薩長同盟成立に至ったのが1866年でした。土佐に生まれた坂本龍馬はそうした密約の裏で暗躍し、大政奉還、明治維新へと向かう道のりのため尽力した孤高の志士です。 幕末随一の人気を誇る人物ゆえに何度も映像化や小説化がなされ、NHK大河ドラマだけでも1968年と2010年の2度、主人公に選ばれました。 ヒットメーカーの福田靖が脚本を務めた2010年の『龍馬伝』では、三菱財閥の岩崎弥太郎の視点を取り入れ、人気俳優の福山雅治がこれまでとは異なる龍馬像を演じて大きな話題をよびました。

大政奉還へと動いた江戸幕府最後の将軍:『徳川慶喜』

1867年、ついに江戸幕府から明治天皇への大政奉還が実現し、1603年から続いた江戸時代が終焉を迎えます。最後の将軍として、その任を担ったのが御三家である水戸徳川家に生まれた徳川慶喜でした。 司馬遼太郎の小説を原作とした、1998年の大河ドラマ『徳川慶喜』は本木雅弘を主演に迎え、その波乱の半生を描いています。 井伊直弼による安政の大獄により一度は蟄居謹慎の身分に甘んじながらも、井伊暗殺後は家茂の後見職となり、再び激動の荒波に飲み込まれていきます。薩長同盟による倒幕派が勢いを増す中で第15代将軍に就任し、大きな決断を迫られることになるのです。

幕末を逞しく生き抜き、明治新政府の中枢へと上り詰めた:『西郷どん』

薩摩藩の貧しい下級武士として生まれた西郷隆盛は、島津斉彬に重用されながら2度も流刑に遭うなど波乱の前半生を送ります。しかし見事に再起し、薩長同盟や戊辰戦争では中心人物として活躍しました。明治新政府においては、参議や陸軍大将の要職をまかされるところまで上り詰めています。 2018年現在放送中の大河ドラマ『西郷どん』は、まさにそんな西郷隆盛の激動の生涯を描いています。原作は林真理子で、脚本を担当しているのは中園ミホです。 主人公を鈴木亮平、そして同じく薩摩出身で新政府の中心人物となる大久保利通を瑛太が演じています。西郷と大久保、そして木戸孝允を加えた3人が「維新の三傑」とも呼ばれる立役者です。

西郷隆盛と同時代を生きた薩摩の女傑:『篤姫』

西郷隆盛と同じ薩摩藩出身で、やはり島津斉彬の命を受け、江戸幕府第13代将軍である徳川家定の正室として嫁いだのが天璋院篤姫です。公武合体政策で14代家茂に嫁いだ皇女・和宮との関係、15代慶喜との確執などを経て、江戸無血開城まで大奥を守り続けました。 宮尾登美子の小説を原作とした2008年の大河ドラマ『篤姫』でヒロインを演じたのが宮﨑あおいです。凛とした佇まいと筋の通った生き様が多くの共感を呼び、高視聴率を記録しました。 夫となる徳川家定には堺雅人、皇女和宮には堀北真希が扮しています。女性の視点から幕末を描いた点でも異色のドラマです。

明治新政府樹立後の戊辰戦争を描く:『五稜郭』

明治新政府が形式上樹立された後も、薩摩藩や長州・土佐藩などが中心の新政府軍と東北を中心にした旧幕府勢力の間で局地的な戦いが繰り広げられていました。1868年から69年に渡り、戊辰戦争と呼ばれる各地の戦いの最後となったのが函館戦争、別名・五稜郭の戦いです。 1988年に日本テレビの年末時代劇スペシャルドラマとして放送された『五稜郭』は、まさにその戦いを正面から描いた作品です。 旧幕府軍を導いて蝦夷を占領し、総裁として戦った榎本武揚の半生が主軸になっており、同役を里見浩太朗、その妻を浅野ゆう子が演じました。この戦いの終焉により、ようやく本格的な明治の新時代が幕を開けることになるのです。

五稜郭の戦いと並び称される、会津における戊辰戦争:『白虎隊』

函館での五稜郭の戦いに対し、そのわずか数ヶ月前には東北の会津で激しい戦いが勃発していました。一般には会津戦争と呼ばれ、藩が動員し組織した16歳から17歳の武家男子による白虎隊が有名です。 戦いは劣勢を余儀なくされ、とりわけ白虎隊の二番隊総勢20名が切腹を選び、わずか1人だけが一命をとりとめたという悲劇はよく知られています。 この逸話は多くの作品で取り上げられており、ドラマだけでも複数作品が存在しています。2007年にテレビ朝日の新春スペシャルドラマとして放送された『白虎隊』では、隊士の一人である酒井峰治が主人公となっており、山下智久が主演しました。

幕末の会津を生き抜き、京都で花開いた一人の女性偉人:『八重の桜』

幕末の会津藩で砲術師範の家に生まれ、会津戦争の折には自らスペンサー銃で抗戦したと言われている勇敢な女性が山本八重(のちの新島八重)です。その姿から「幕末のジャンヌダルク」との異名を持っています。 2013年に放送された大河ドラマ『八重の桜』はそんな八重の波乱の生涯を描いており、綾瀬はるかがヒロインを演じました。 会津戦争で大敗してからの後半生は京都に移って新島襄と結婚します。同志社大学創立など教育の面で大きな功績を残し、皇族以外の女性としては初となる勲六等宝冠章を受勲しました。幕末の動乱期から明治と大正を経て、今日に繋がる昭和初期まで生きた女性です。

幕末のドラマを鑑賞するもうひとつの楽しみは?

以上、NHK大河ドラマを中心に代表的な10作品をご紹介しましたが、これらドラマを鑑賞する楽しみのひとつに、特定の人物を新旧さまざまな役者たちが演じていることがあります。例えば、『篤姫』で宮﨑あおいが演じたヒロインを、『西郷どん』では北川景子がまた違う魅力と側面から演じています。 できれば複数のドラマをあわせて鑑賞し、歴史に刻まれる事件や出来事、偉人たちの活躍ぶりを多角的に見てみたいものです。 さらに、幕末に続くその後の歴史、つまり近代化する明治の日本について詳しく知りたければ、ドラマ『坂の上の雲』などがおすすめです。