2019年7月12日更新

リメイク版『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』どう進化を遂げた?ポケモン映画の原点にして最高峰【ネタバレあり】

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ミュウツーの逆襲
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku   (C)Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

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リメイク版映画『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』がついに公開!どんな進化を遂げたか解説

1998年に公開された、シリーズ初の映画作品『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』が2019年に『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』として生まれ変わります。 2019年現在まで21作のポケモン映画が公開されてきましたが、初のリメイク作品に選ばれたのが伝説的な1作目でした。何故、「ミュウツーの逆襲」なのか。そのわけを考察しながら、『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の実際の見どころを紹介します。

「ミュウツーの逆襲」のあらすじ

ミュウツーの逆襲 ミュウ
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku   (C)Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

とある科学者が、幻のポケモン・ミュウのまつげの化石を入手。彼はその化石の成分を元に、最強のポケモンを生み出そうとします。そしてミュウのコピーポケモン、ミュウツーが誕生。しかし、ミュウツーは「自分が何者か」、「何故生まれてきたのか」わからず、自問し続けるのです。 ミュウツーは最終的に、身勝手な理由で自分を生み出した人類に対して憎悪の念を募らせ、人間に逆襲を誓います。

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION、ポケモン
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku   (C)Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

ある日、サトシたちの元に届いた一枚の招待状。それは最強のポケモントレーナーが、有望なトレーナーたちを招くパーティーへの招待でした。開催地であるポケモン城に嵐の中、たどり着いたサトシたちと他のトレーナーたち。そこで彼らを待ち受けていたのは、ミュウツーでした――。 リメイク版『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』も、オリジナル版と同じストーリーになっています。

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なぜシリーズ初のリメイク作に選ばれた?神作である理由

哲学的で深みのあるテーマ性

ミュウツーの逆襲
©️WARNER BROS./NINTENDO

ポケモン映画初のリメイクが製作された「ミュウツーの逆襲」は、“原点にして最高峰”と言われ、ファンから長きに渡って愛されてきました。その理由の一つは、深みのあるテーマ性です。 本作では、クローン(コピー)として生まれたミュウツーの悲しい背景や、他のコピーポケモンとオリジナルポケモンの戦いなどが描かれています。 それぞれのポケモンが、「本物はどちらか」という動機でお互いが倒れるまでバトルをする姿には、思わず涙が出てしまいます。どちらも、今を生きる生き物である。そんな物語を描いた本作は、劇場版1作目にして深いメッセージ性のある作品となったのです。 人間に置き換えてみても、「もし自分が誰かのクローンだったら……」と考えると、自分の存在意義を見出すことが難しいですよね。そんな深いテーマをポケモンたちが訴えかけてきます。

日本はもちろん、世界で記録した圧倒的興行収入

本作は制作費3.5億円なのに対し、国内の観客動員数は650万人、興行収入は76億円と大ヒットを記録しました。そしてこの興行収入を上回る他のシリーズ作品は、2019年現在まで登場していません。 また「ポケモン」シリーズといえば、海外でも熱狂的なファンがいる作品。国内だけでなく、アメリカでも記録的なヒットを打ち出しました。現地では『Pokémon: The First Movie』というタイトルで、(その後のシリーズも2や3というタイトルが続く)全米約3000館の映画館で公開される盛況ぶりを見せたのです。 興行収入は8000万ドルを記録しました。初日だけ(1010万ドル)で見ても、アメリカでヒットした日本映画『Shall we ダンス?』(950万ドル)の興行収入を更新。 加えて、「ミュウツーの逆襲」は日本映画初の週間興行ランキング初登場1位という偉業も達成しているのです。これらの世界的な人気ぶりを加味すると、やはり最初のリメイク作に「ミュウツーの逆襲」がふさわしいのが理解できます。

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『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』は何が進化したのか? 見どころを紹介

3DCGとして生まれ変わり、生き生きと動くキャラクターたち

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION,ポケモン
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku   (C)Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

リメイク版「ミュウツーの逆襲」のストーリーやキャラクター設定は、オリジナル版から引き継がれています。ミュウツーとサトシたちがバトルを繰り広げる舞台・ポケモン城や、ミュウツーが生まれた研究室などの建築物デザイン。さらに城に集まる他のトレーナーも同じです。 本作はオリジナル版をかなり忠実に再現しながらも、最も大きな違いは、ヴィジュアル。オリジナル版「ミュウツーの逆襲」は通常のアニメ作品でしたが、今作は全編リアルで立体的な3DCGに変化しています。 それに伴って、キャラクターデザインも丸みを帯びたものに。人間の目が少し縦長でシャープだった1999年当時のアニメ版に比べ、本作はより大きくて丸いデフォルメスタイルに変化しているのです。 パペット(人形)・アニメーションのような立体感がありながらも、CGならではの滑らかな動きは、キャラクターや作中の世界を、よりリアルにみせてくれます。

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION,ポケモン
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku   (C)Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

正直、2Dアニメ版の「ポケモン」に親しんでいる人は違和感があるとは思いますが、スクリーンで観るとその臨場感に驚くこと間違いなし。ポケモンやキャラクターたちの可愛らしいイメージを全く壊すことなく、作中の世界に入り込んだかのような感覚を与えてくれます。 監督を務めた湯山邦彦と榊原幹典は、「2Dに慣れ親しんだお客さんにも納得してもらえるサトシを作ることができた」、「ポケモンたちを可愛く見せるのに苦労したが、フル3DCGで生き生きとした表情を作ることができた」と語っています。 その言葉通り、「ポケモン」ファンにとって新たな映像体験をすることが出来る作品です。

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オリジナル版の名言は引き継がれた?【ネタバレ】

オリジナル版と同じ物語展開を繰り広げる『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』。オリジナル版で飛び出した屈指の名言は、今作にも登場するのでしょうか。

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』で登場人物たちのセリフは、多少の変更はあるものの、ほぼオリジナル版と同じ内容になっています。 序盤でのミュウツーの「私は私を生んだすべてを恨む。だからこれは攻撃でもなく宣戦布告でもなく、私を生んだお前たちへの……、逆襲だ」というセリフも完璧に再現。初めて観た人も、オリジナル版を観たことのある人も、鳥肌モノの臨場感あるシーンになっています。 他にも、クローンとオリジナルのポケモンたちが戦うシーンを見守るカスミとジョーイの会話、「本物だってコピーだって、今は生きている」などの名言も登場。 初めて聞く人にとっても哲学的で印象的なセリフが多く登場しますが、「ミュウツーの逆襲」を観たことのある人にとっても、ある種のノスタルジーを感じさせてくれるのではないでしょうか。

主要キャラクター&声優陣を紹介 ミュウツー役の市村正親はどうだった?

サトシ/松本梨香

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku   (C)Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

サトシは、言わずと知れた「ポケモン」シリーズの主人公。ポケモンマスターになることを夢見る、10歳のポケモントレーナーです。彼は仲間のトレーナー、カスミとタケシと共に旅を続けています。 今作ではミュウツーに招待されたポケモン城で、ポケモン同士の戦いに巻き込まれてしまうことに。トレーナーたちからポケモンを奪うミュウツーに対して、憤りを感じ、愛する相棒のピカチュウを救うために体をはって戦います。 演じたのは、声優・松本梨香。初代「ポケットモンスター」の主題歌としても有名な「めざせポケモンマスター」は、彼女が歌を担当してます。本作のオープニングでもこの曲が流れ、思わず口ずさんでしまうようなワクワク感を与えてくれました。

ピカチュウ/大谷育江

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION,ポケモン,ピカチュウ
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku   (C)Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

ピカチュウは、サトシの相棒のポケモン。元々は生意気な性格で、モンスターボールに入りたくないことが理由でサトシに反抗していました。しかし今やサトシの一番の友達として、シリーズを通して活躍しています。

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION,ポケモン
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku   (C)Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

本作でピカチュウの名シーンと言えば、コピー版ピカチュウと戦うシーン。容赦なくぶつかってくるコピー版のピカチュウに対して、彼は手を出すことなく、悲しげ表情を浮かべるだけ。やるせない感情が伝わってきて、とても切ないシーンです。 また、ミュウとミュウツーの戦いを止めようとして、サトシが石化してしまうシーンも必見。「ピカピ」と悲しそうな声でサトシに呼びかけ、涙ながらに彼を起こそうとします。 本作で描かれるピカチュウの優しさ、そしてサトシとの絆は、涙なしには観ることが出来ません。

ピカチュウを演じるのは、声優・大谷育江。『ONE PIECE(ワンピース)』チョッパー役や、『名探偵コナン』円谷光彦役としても有名で、可愛らしい声が特徴的です。

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ミュウツー/市村正親

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ミュウツーは本作でヴィランとなるポケモン。ロケット団に所属する科学者の私欲によって、人工的に生み出されました。 彼を造るもとになったポケモン・ミュウよりも強く作られており、強力なテレパシー能力によって人間とコミュニケーションを取ることができます。 人間を憎んでおり、人間に従うポケモンも排除しようという考えから、サトシたちと対立することに。また自身の存在理由を脅かすミュウに対しても、激しい敵意を持っています。 演じたのはオリジナル版「ミュウツーの逆襲」と同じく、市村正親(いちむらまさちか)。今作でも、渋みがかった声で、ミュウツーのキャラ像にマッチした見事な演技をみせました。前作から全く衰えを感じさせません。

ミュウ/山寺宏一

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION,ポケモン
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku   (C)Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

ミュウは、「全てのポケモンの“始まり”」と言われる幻のポケモン。過去の遺跡にその姿が印され、現在でも目撃情報はあるものの、その存在がハッキリとは確認されていません。 ミュウといえば、ハイトーンの鳴き声が特徴的。「ミュミュミュ……」と体を揺らして笑う姿はとても愛らしいですよね。 オリジナル版と同じく今作でも、声優・山寺宏一がミュウの声を演じています。山寺は「まだあのミュウの声が出るか心配ですが、ハイトーンボイスで頑張ります」とコメントしていました。その心配は無用なほどの綺麗な声で、ミュウのかわいらしさを見事に表現しています。

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主題歌「風といっしょに」は小林幸子と中川翔子が歌いあげる

本作の主題歌は、オリジナル版と同じく「風といっしょに」です。今作では、オリジナルを歌った小林幸子と共に、何作にも渡ってポケモン映画で声優を務めてきた中川翔子が、コラボ歌唱しました。また、楽曲のアレンジを亀田誠治(東京事変)が手がけます。 原曲では、歌いだしや最後のサビを歌いあげる子供の声が印象的でしたが、今回も子供たちが歌を担当しているパートがあります。子どもたちにしか出せない曲の味わい深さや、小林幸子と中川翔子の歌唱力、亀田誠治によるアレンジによって、よりドラマティックな楽曲に進化しました。 重厚なストーリーを見終えた後にこの曲が流れると、懐かしさやピュアな気持ちに心が洗い流されるような、カタルシスが感じられます。

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』進化したポケモン映画に刮目せよ

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION,ポケモン
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku   (C)Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

今回は、ポケモン映画の最新作『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』について、見どころを紹介しました。 オリジナル版はミュウツーの自問自答を含め、語りが作品の中で印象的でした。そういう意味でも「声」は重要です。 今回は、多くの声優陣がオリジナル版「ミュウツーの逆襲」と同じキャラクターを演じています。全てが作り変えられるのではなく、オリジナルで大切にしていたものを全て引き継いでいる点もリメイク版の良いところではないでしょうか。 また「ポケットモンスター」史上初となる試みだったフル3DCGによる作画も、成功していると言ってよいのでは。ポケモンたちやキャラクターに違和感がないのはもちろん、すばらしい臨場感を味わうことができ、「ポケモン」の世界に引き込まれます。