ハーレイ・クイン単独映画「バーズ・オブ・プレイ」魅力解説 意外な形でDCキャラが登場していた【ネタバレ注意】
映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』の魅力をネタバレありで解説
2016年DCコミックの実写化映画『スーサイド・スクワッド』に登場し大人気となったのが、マーゴット・ロビー演じるハーレイ・クイン。彼女を主役に据えたスピンオフ映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』が公開されました。 人気キャラクターであるハーレイ・クインが主人公となる本作について、あらすじと魅力、隠されたトリビアをネタバレありで紹介します。
【あらすじ】DC映画ユニバースにおける本作の立ち位置を整理
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』のあらすじが気になる
『スーサイド・スクワッド』での出来事の後、ジョーカーと破局し傷心のハーレイ・クイン。同時にバットマンが消えたゴッサム・シティでは、犯罪が横行していました。 そんなある日、ハーレイはカサンドラ・ケインと名乗る少女と出会います。なんと彼女は、大物犯罪者として知られるブラックマスクことローマン・シオニスに命を狙われていました。 カサンドラを守るため、ハーレイは自分と同じように自由を愛する女性たちと手を組み、ブラックマスクに立ち向かいます。
「スースク」リブートとは別作品!
前述した『スーサイド・スクワッド』の人気を受け、同作はジェームズ・ガン監督によるリブートの制作が決定しています。しかし、「バーズ・オブ・プレイ」は同作とはまったく別の作品。時系列はおそらく「スースク」の後と思われますが、続編ではなくスピンオフという位置づけです。 「バーズ・オブ・プレイ」の制作を自身ら提案したマーゴット・ロビーが重要としたキーワードは、"R指定"と"女ギャング"でした。 その理由として、彼女は米サイトColliderへのインタビューで以下のように語っています。 「ハーレイ・クインには友達が必要なんです。彼女はおしゃべりが大好きだから、単独の映画よりも、誰かと組むような女ギャング映画であるべきだと思っています。そういったアクション映画は劇場であまり観たことがないので、重要な要素のひとつとして持ちたいですね」 サディスティックに狂ったキャラクターであるハーレイ・クインを中心とした、「女ギャングが暴れまわる映画」というのが大枠としてのコンセプトとなっています。
ジョーカーと別れたハーレイが大暴れ!【ネタバレ注意】
ついにジョーカーと破局したハーレイ・クイン。しかし彼女はそのことを秘密にしていました。何故ならジョーカーの恋人という“特権”があれば、誰もが彼を恐れてハーレイに手を出すことができないからです。 ジョーカーを笠に着て好き勝手に過ごしていたハーレイは多くの人間から恨みを買っていました。一際彼女を嫌っていたのが、ゴッサムの裏社会に君臨するブラックマスク。夜な夜な彼のナイトクラブで酒に溺れては問題を起こすハーレイに手を焼いていました。 ある日ハーレイは自分の別れた噂が出回っており、女性たちから陰口を叩かれているのを耳にします。彼女はジョーカーから吹っ切れることを決意し、思い出の地であるエース・ケミカル工場を爆破するのでした。 一転して大勢の人間から狙われるようになったハーレイ。ブラックマスクもその例外ではありませんが、ハーレイを探す一方で彼はあるものを追い求めていました。 それは昔マフィアに一家を惨殺されたバーティネリー家のダイヤモンド。宝石の内部には秘密口座の暗号が記されており、ブラックマスクはその隠された大金を手に入れようとしていたのです。
しかしやっと手に入れたダイヤモンドは、そんなことは露とも知らないスリ常習犯のカサンドラ・ケインという少女の手に。ブラックマスクに捕まったハーレイは自分が彼女を捕まえると約束し、50万ドルの賞金を懸けられたカサンドラを他の悪党どもから守ろうとします。 ハーレイはカサンドラと過ごすうちに情が移っていきますが、自分の身の安全のために彼女を引き渡すことを決断。取引場所に向かうも、そこにそれぞれの思惑を持った女性たちが集まって来ます。 まずブラックマスクから逃れようとすブラックキャナリーことダイナ・ランス。そして家族の復讐を誓うハントレスことヘレナ・バーティネリ。最後はブラックマスク逮捕に燃える刑事のレニー・モントーヤ。 一行は一触即発の状態となりますが、取引場所をブラックマスクと彼の兵隊たちが包囲します。生き残るためにも、彼女たちは協力することとなるのでした。 襲い来る兵隊たちを退け、何とかブラックマスクも撃破します。そしてすっかり意気投合した彼女たちはタコスで打ち上げを行いますが、ハーレイはカサンドラを連れてそのまま逃走。その後、残された3人はチーム「バーズ・オブ・プレイ」を結成しました。 秘密口座の金はハントレスへ返したハーレイは、ダイヤモンドを売った金を元手に、カサンドラと新たな事業「バッドアス・マザーファッカー」を立ち上げるのでした。
「バーズ・オブ・プレイ」の魅力をネタバレありで解説
約2時間ずっとハーレイ・クインづくし
本作最大の見どころは何と言ってもハーレイ・クイン。兎にも角にもハーレイ・クインと言った具合で、全編余すところなく彼女の魅力を味わえます。『スーサイド・スクワッド』ではメインキャラクターといってもあくまでチームの一員だったため、彼女自身がピックアップされることはほとんどありませんでした。 しかし本作はハーレイ・クインによるハーレイ・クインのための映画。と言うのも、「バーズ・オブ・プレイ」ではハーレイを演じるマーゴット・ロビーが製作から携わっており、映画の方向性は彼女によって形作られました。 結果、ハーレイ自身の魅力がそのまま映画全体に表れたかのような作品に仕上がっています。 まず本作はハーレイが語り手を務めており、彼女のペースで物語や解説が進むのです。ご存じの通り破天荒な彼女にかかれば、何が本当かもわからなくなるし、とにかく話が往ったり来たりします。 そんなハチャメチャな雰囲気ながらも、ジョーカーと別れた彼女の内面が掘り下げられていたため、これまでにない彼女の人間的な部分を知ることができました。 ハーレイ視点で描かれた本作は、彼女のように笑えて危険で、さらに暴力的で不謹慎な破壊的世界が広がっています。
インパクト抜群の個性的な衣装
本作で目を引くのがハーレイ・クインの衣装。作中では様々な服装を披露していますが、中でも印象的なのがコーションテープ(立ち入り禁止のテープ)をフリンジのように両袖にあしらったもの。 実は現実の2020年でも、70年代調のフリンジはファッショントレンドのひとつ。歩く度に跳ねる様子は、吹っ切れたハーレイの心の内を表しているようです。テープの様々な色は多様性の象徴でもあるマルチカラーを意味しているのかもしれません。 さらに目立たないながらもPVC素材(ビニール)が使われているのも特徴的です。 この服以外にも、いくつかの衣装を披露したハーレイ。衣装を担当したエレナ・ベナッチによると、服は自由に動き回れるよう機能性に優れた素材で作られたと言います。どの衣装も服のスタイルを混ぜるのが好きな、ハーレイらしい着こなしとなっています。
アクションには「ジョン・ウィック」の監督が参加
スプリンクラーの水が飛び散る中で、ハーレイが脱獄した悪党たちと戦うこのシーン。マーゴット・ロビーのキレのあるアクションが印象的ですが、実は本作には「ジョン・ウィック」シリーズの監督で知られるチャド・スタエルスキが演出で参加しているため、アクションについては折り紙付きと言えます。 この他にも警察署内の押収品を保管している部屋でも戦闘となり、ハーレイはそこにある武器や道具で応戦。ジョン・ウィックさながらのアクションを堪能できます。 本作ではリアルで生々しい描写も大切にしているため、監督のキャシー・ヤンはアクションに現実的で戦術的なものを求めました。そこで90年代風アクションを参考に、なるべくCGやスタントに頼らなかったと言います。 爽快感溢れるアクションは、マーゴット・ロビーたちキャスト陣のトレーニングの賜物と言えるでしょう。
新たなヴィラン、ブラックマスクはナルシストの変態?
本作のメインヴィラン(悪役)はユアン・マクレガー演じるブラックマスクことローマン・シオニス。元々は化粧品会社ヤヌス・コープの重役でしたが、今ではナイトクラブを経営する裏社会の重鎮です。自室に少数民族の仮面を飾っていたり、他人の顔の皮を剥ぐのを好んだりと、「仮面」に執着する変態でもあります。 彼は裏社会でのし上がろうとする野心家であると同時に、とてつもないナルシスト。自分がバカにされることを決して許さず、突然怒り狂う非合理的な一面を持っています。女嫌いらしく、ハーレイへの怒りは相当のものでした。 ユアン・マクレガーの演技によって、恐ろしさと弱さを持った今までにないヴィランとなりました。
「バーズ・オブ・プレイ」がより楽しめるトリビアを紹介【ネタバレ注意】
ポイズン・アイビーが登場していた?
映画の冒頭でハーレイがこれまでの人生を振り返り、その様子がコミカルなアニメで描かれました。そしてハーレイはジョーカーの前にもいくつかの別れを経験したとして、その相手を思い返します。 男性2人と女性1人がいましたが、その女の子がアニメ『バットマン』のポイズン・アイビーにそっくり。アイビーと言えば「バットマン」の植物を操る女性ヴィランとして有名で、ハーレイと仲がいいことでも知られています。 実はコミックでは恋仲だったこともあるため、もしかすると映画でも過去にそんな出来事があったのかもしれませんね。
ハイエナのブルースはバットマンの本名が由来
ジョーカーと別れたハーレイはその寂しさを埋めるためか、1匹のハイエナを飼い始めます。名前はブルース。バットマンことブルース・ウェインにちなんでいるのですが、ハーレイはバットマンの正体を知らない可能性が高いため、愛するペットに憎き相手の名前を付けるというおかしな状態になっています。 コミックではバドとロウという2匹のハイエナを買っていましたが、本作では1匹に。 実際のハイエナは凶暴で撮影には不向きだったので、大きな犬にCGを施してブルースに変えているそうです。
キャプテン・ブーメランって覚えてる?
警察署である男の手配書を見たハーレイは、「この男知ってる」と言ってその場を立ち去りました。映っていたのは、『スーサイド・スクワッド』に登場したキャプテン・ブーメランことディガー・ハークネスでした。 ブーメランを巧みに操るクズで、ピンクのユニコーン好きというエキセントリックな人物。すでにブーメラン役のジェイ・コートニーによって、リブート版の『ザ・スーサイド・スクワッド(原題)』への出演が明言されています。 もしかすると続投を示唆する演出だったのかもしれませんね。
幻覚はマリリン・モンローのオマージュ
ブラックマスクに捕まったハーレイは幻覚を見ます。その中で彼女は歌とダンスを披露するのですが、これは1953年のミュージカル映画『紳士は金髪がお好き』のオマージュ。 ハーレイはマリリン・モンロー演じるローレライ・リーにそっくりな髪型とドレスに身を包み、代表的な楽曲「ダイアモンドは女の親友」を演じました。 ブラックマスクとその手下たちと共にパフォーマンスしている姿は、奇妙で印象的なシーンとなっています。
ハーレイ・クイン役はもちろんマーゴット・ロビー!キャスト&キャラをチェック
マーゴット・ロビー:ハーレイ・クイン役
『スーサイド・スクワッド』で大人気となったハーレイ・クイン。もちろん本作でもマーゴット・ロビーが演じます。 ゴッサムの精神異常犯罪者を収容するアーカム・アサイラムの精神科医だったハーリーン・クィンゼル博士は、担当患者として出会ったジョーカーと恋に落ち、次第に彼に洗脳されていきました。ジョーカーの脱獄に協力した彼女は、医師免許を剥奪され自身も精神異常犯罪者に。 愛するジョーカーのためならなんでもするハーレイ・クインでしたが、本作では彼と別れ、女性キャラクターたちと共闘することになります。
ジャーニー・スモレット=ベル:ブラックキャナリー/ダイナ・ローレル・ランス役
コミックのダイナ・ローレル・ランスは警察官の父の背中を見て育ち、常に「街と市民を守る」ことを使命だと考えています。警官になることはできなかった彼女ですが、黒いマスクと衣装を着けて自警団活動を行っています。 武道も得意としていますが、彼女のもっとも強力な必殺技は、超音波で叫び周囲の物を破壊する“キャナリー・クライ”。彼女は基本的にヒーローですが、今回は犯罪者に立ち向かうハーレイ・クインに協力するようです。 ブラックキャナリーを演じるのは、アメリカでテレビシリーズを中心に活躍してきたジャーニー・スモレット=ベルです。
メアリー・エリザベス・ウィンステッド:ハントレス/ヘレナ・バーティネリー役
コミックではバットマンを中心とするバットファミリーの一員であり、バーズ・オブ・プレイのリーダーでもあるハントレスことヘレナ・バーティネリー。 マフィアのベルティネリ家に生まれたヘレナは、両親が殺されたことで暗黒街の犯罪者達への復讐を誓いました。バットマンは殺しもやむなしとする彼女をが認めないことも多くありますが、ゴッサムのヴィジランテの一人として広く認められています。 本作では、『10 クローバーフィールド・レーン』(2016)や『スコット・ピルグリムと邪悪な元カレ軍団』(2010)に出演していたメアリー・エリザベス・ウィンステッドがハントレスを演じます。
ロージー・ペレス:レニー・モントーヤ役
ドミニカ共和国出身で敬虔なカトリック信者である両親のもとで育ったレニー・モントーヤは、警察学校をトップの成績で卒業し、ゴッサム市警重犯罪課の刑事となった人物。ゴッサム市警では珍しく、バットマンに対して好意的な刑事です。 ゴッサム市警きっての敏腕刑事であるハーヴィー・ブロックの相棒で、非常に正義感が強いレニー。本作で彼女を演じるロージー・ペレスは、主にテレビシリーズを中心に活躍しています。
エラ・ジェイ・バスコ:カサンドラ・ケイン役
本作のキーパーソンになるカサンドラ・ケインは、あるダイヤモンドを盗んだことでブラックマスクから命を狙われることになったようです。 コミックでのカサンドラは、暗殺者の両親のもとに生まれ、幼いころから暗殺術を教え込まれました。そのため非常に高い戦闘能力の持ち主ですが、話し方は教わっていません。また、彼女はのちにバットガールとなる存在ですが、「バーズ・オブ・プレイ」の劇中でなにか変化があるのかにも注目ですね。 カサンドラ・ケインを演じるのは、2006年生まれのエラ・ジェイ・バスコ。これまで『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』などのドラマにゲスト出演しており、本作が長編映画デビューとなります。
ユアン・マクレガー:ブラックマスク/ローマン・シオニス役
ゴッサム・シティ犯罪界のボスであるローマン・シオニス=ブラックマスクは、バットマンの敵として知られています。 コミックのローマン・シオニスはゴッサムシティ有数の大富豪の両親のもとに生まれたものの、両親を焼き殺して以降、ブラックマスクとして犯罪者の道を進みます。母親の墓石から作ったマスクに異常なほどの執着心をもつ彼は、サディスティックで残忍な行動で人気を集めています。 ブラックマスクは犯罪を影で操ることや、拷問、狙撃、変装などを得意とし、戦闘スキルにも長けた強敵です。 「バーズ・オブ・プレイ」でメイン・ヴィランであるブラックマスクを演じるのは、「スター・ウォーズ」シリーズや『ムーラン・ルージュ』(2001)、「トレインスポッティング」シリーズなどで知られるユアン・マクレガーです。
原作のバーズ・オブ・プレイを紹介
「猛禽類」を意味する「バーズ・オブ・プレイ」は、DCの女性キャラクターが集合したヒーローチーム。彼女たちはゴッサムでもっとも警備が厳重な時計台を本拠地にして、危険な任務があればすぐに出動する勇敢な女性たちです。 オラクル(バットガール/バーバラ・ゴードン)とブラックキャナリー(ダイナ・ランス)が設立したこのチームには、多くのメンバーがおり、キャット・ウーマン(セリーナ・カイル)やカタナ(ヤマシロ タツ)、ポイズン・アイビー(パメラ・アイズリー)など、普段はヴィランとして登場しているキャラクターも参加するようになりました。 コミックでは、ハーレイ・クインは一度もこのチームに参加したことがありません。
注目の監督・スタッフが集結
新星女性監督キャシー・ヤンがメガホンを取る
ハーレイ・クインを中心とした女ギャングが暴れまわるR指定のスピンオフ映画、これを描くために不可欠なのは女性監督の存在ではないでしょうか。 本作は「女の子は特定のわかりやすいものばかりが好き」というようなステレオタイプを払拭するようなコンセプトを持っています。そのためには、実際にその作品をつくる側の固定観念を取り除く必要があるのです。 つまり、“女ギャングが暴れまわるR指定"の作品を、それをつくるイメージのない監督がつくる、ということが大切。そこで白羽の矢が立ったのが、キャシー・ヤンです。 サンダンス映画祭でも上映された監督作『Dead Pigs (原題)』で注目と絶賛を浴びたヤン。もともと香港のウォールストリートジャーナルのジャーナリストとして活躍していたという経歴が“硬派”なイメージを持たせますが、そんな彼女がギャング映画を手がけるとなると意外性ありますね。 ちなみにこの起用によって、本作は「初のアジア人女性監督によるヒーロー映画」となります。
脚本は『バンブルビー』のクリスティナ・ホドソン
「バーズ・オブ・プレイ」の脚本を執筆したのは、『バンブルビー』(2018年)などで知られるクリスティーナ・ホドソンです。 ホドソンいわく、本作には“大量のサプライズ”が用意されているとのこと。DC映画初のR指定作品となる本作は、いったいどんなストーリーになっているのか期待したいですね!
ハーレイ・クインのスピンオフ映画「バーズ・オブ・プレイ」は2020年3月20日公開!
大人気キャラクター、ハーレイ・クインが主役のスピンオフとして注目の「バーズ・オブ・プレイ」。ハーレイならではのハチャメチャっぷりで、キュートさとユーモアに溢れた映画となりました。 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』は2020年3月20日から絶賛公開中です。