2020年4月26日更新

日本史を学べるおすすめ映画15選 勉強嫌いでも歴史に興味が湧く良作をピックアップ

この世界の(さらにいくつもの)片隅に
(C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

戦国時代の乱世から太平洋戦争後の焼跡の時代まで、日本史の教科書に出てくるような題材をテーマにした映画を紹介。気軽に興味を持って、知られざる日本史を学べる作品をお勧めしていきます。

目次

きっと日本史に興味が湧く!映画で学ぶ日本の歴史

日本史が苦手な人も、教科書で習うような一辺倒な日本史の勉強はもうしたくない!という人にも、ぜひお勧めしたいのが歴史的な題材をテーマにした映画を観ること。知られざる歴史秘話や教科書では習わないような時代背景などを知ることができます。 ここでは日本史の中でも、戦国時代から太平洋戦争後の戦後の時代までを描いた作品を紹介していきます。乱世には常に、悲喜こもごも多くのドラマがあります。日本史に興味が湧く作品もきっとあるはず!

『武士の家計簿』(2010年)

古文書から紐解く幕末の武士の暮らし

磯田道史の教養書「武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新」をもとに、森田芳光監督、堺雅人主演で映画化された時代劇。江戸時代末期の幕末を舞台に、その当時の武士の暮らしぶりを描いた作品です。 加賀藩の「御算用者」を務めていた猪山家8代目・直之を主人公に、倹約生活で借金返済に奔走する猪山家の家族模様が描かれています。加賀藩は現在の石川県を中心とした地域にあり、御算用者とは今でいう経理係のこと。 原作は猪山家に残された約37年間もの文書をもとに、猪山家の家計簿から幕末期の武士の生活を明らかにした歴史教養書。映画では脚色も加えられていますが、当時の武士の日常生活や風習などがわかる作品です。

『のぼうの城』(2012年)

天下統一を目指す豊臣秀吉の小田原征伐を描いた戦国時代劇

和田竜の同名歴史小説の映画化作品で、犬童一心と樋口真嗣が共同監督を務めた戦国時代劇。野村萬斎が「のぼう様」と領民から親しみを込めて呼ばれる城代・成田長親を飄々と演じています。 成田家は忍城(おしじょう)と呼ばれる周囲を湖に囲まれた浮城の城主で、忍城は北条氏政の支城の一つ。北条家を討って天下統一を目指す豊臣秀吉に小田原征伐を命じられた石田三成の二万もの大軍を相手に、長親はわずか500人の兵と領民を合わせた3000人ほどで対抗しました。 木偶の坊を意味する「のぼう様」と呼ばれた長親ですが、民からの人気は高く、領民の協力を得て奇抜な籠城作戦を決行。石田三成の水攻めにもやり返し、小田原城が落ちる最後まで持ちこたえた支城は忍城だけだっとといいます。

『関ヶ原』(2017年)

徳川家康の天下統一の道を決定づけた天下分け目の決戦「関ヶ原の戦い」

司馬遼太郎の同名歴史小説を、原田眞人監督が映画化した大作時代劇。豊臣家への義を貫いた石田三成を岡田准一、天下統一を目指す徳川家康を役所広司が演じました。 豊臣秀吉の死後に勃発した豊臣政権の内紛から、美濃(現在の岐阜県)の関ヶ原で東軍と西軍の決戦が繰り広げられたのが「関ヶ原の戦い」。西軍は総大将・毛利輝元のもと石田三成を中心に豊臣派で結成され、東軍を率いた徳川家康は勝者となって江戸幕府を築くことになります。 敗戦の将となる石田三成を主人公に据え、天下分け目の決戦の行方を決した小早川秀秋の裏切りを別の解釈で描いた本作。教科書で習った「関ヶ原の戦い」とは違う側面が必ず見えてくるのでおすすめの一作です。

『利休にたずねよ』(2013年)

豊臣秀吉に切腹を命じられた茶人・千利休の人生と哲学

直木賞を受賞した山本兼一の同名小説を、歌舞伎俳優の市川海老蔵主演で映画化。豊臣秀吉の茶頭を務めた茶人・千利休の人生と茶道の美学を、彼と関わりを持った人々が語っていきます。 千利休は戦国時代から安土桃山時代を生きた茶人で、茶湯の天下三宗匠と呼ばれました。織田信長に召し抱えられ、天下人となった豊臣秀吉の側近となり名声と権力を誇った千利休でしたが、秀吉との不和によって最後は切腹を命じられました。 秀吉との不和の原因については、安い茶器を高額で売って私腹を肥やした疑いをもたれたという説や、茶道に対する考え方で対立したという説もありますが定まっていません。本作ではその謎を追うとともに、利休が追求した茶道の美学にも迫っています。

『清須会議』(2013年)

織田信長の後継者を決めた政治会議「清洲会議」

三谷幸喜が自身の同名小説を自ら脚色・監督した作品で、同監督の初の時代劇。織田信長の後継者を決める会議のため、清洲城に集まった有力者たちのパワーゲームがコミカルに描かれています。 清洲会議(清須会議)は、織田信長が本能寺の変で急死した後、1582年7月16日に尾張(現在の愛知県)にある清洲城で開かれた政治会議。評定を決したのは織田家家臣の柴田勝家、丹波長秀、羽柴秀吉、池田恒興の4人。織田家の後継者とその領地の再配分が話し合われました。 信長の三男・信孝を推す勝家と、次男・信雄を推す秀吉の二人の野心が、周りの人々を巻き込んでいきます。実直な柴田勝家を役所広司、狡猾な羽柴秀吉を大泉洋、秀吉に担がれるボンクラな信雄を妻夫木聡が演じています。

『火天の城』(2009年)

織田信長から「安土城」建築を命じられた宮大工・岡部又右衛

『利休にたずねよ』の田中光敏監督が山本兼一の同名歴史小説を、西田敏行主演で映画化。戦国時代に活躍した宮大工・岡部又右衛が、織田信長の居城「安土城」建築を任され、完成させるまでの物語です。 安土城は琵琶湖の東側にある安土山に造られた山城で、日本史上初の天守閣を持つ城として有名。しかもその天守は五重の塔を持ち、信長らしいそれまでにない独創的で豪華絢爛な城だったといいます。 安土城以前の山城には総石垣を使用することはなく、ここで培われた技術が全国に広がっていきました。また天守閣を持つ城は大名の権威の象徴にもなり、安土城は現在の日本に残る近世城郭の模範となった革命的な城だったのです。

『男たちの大和/YAMATO』(2005年)

世界最強最大の戦艦「大和」に乗り込んだ男たちの命運

辺見じゅんのノンフィクション「決定版 男たちの大和」を原作に、世界最強最大を誇った戦艦「大和」の最期を描いた戦争映画。監督・脚本を『空海』や『敦煌』など歴史大作を得意とする佐藤純彌が務め、反町隆史や中村獅童、松山ケンイチなど豪華キャストが集結しました。 戦艦大和が最後の作戦「菊水作戦」のため沖縄近海へ出航したのは1945年4月6日。連合軍による沖縄攻撃を阻止する特攻作戦に、戦艦大和が使われたのです。出撃した大和は沖縄へ向かう途中、坊ノ岬沖でアメリカ艦隊に撃沈され、3000人以上の乗組員とともに海の底に沈んでいきました。 戦艦大和は今も海底に眠っていますが、2016年までに4回の海底探査が行われました。大和の母港だった広島県呉市の大和ミュージアムには、調査で引き揚げられた設計図や装備品などが常設展示され、当時の姿を偲ぶことができます。

『硫黄島からの手紙』(2006年)

太平洋戦争最大の激戦地「硫黄島の戦い」を日本側の視点で描く

クリント・イーストウッド監督による戦争映画で、太平洋戦争における「硫黄島の戦い」を日米両方の視点から描いた二部作。アメリカ側の視点に立ってこの戦いを描いた作品は『父親たちの星条旗』です。 太平洋戦争末期の1945年2月から3月にかけて行われた「硫黄島の戦い」。硫黄島は小笠原諸島にあり、アメリカ軍は日本本土への戦略爆撃の起点として奪取するため強襲を行い、硫黄島守備隊と死闘を繰り広げました。 硫黄島守備隊の指揮をとった陸軍大将・栗林忠道を渡辺謙、守備隊の一兵士・西郷昇を二宮和也が演じています。栗林大将の手紙をまとめた「「玉砕総指揮官」の絵手紙」や、実際に硫黄島戦跡に残された数百通もの手紙をもとに、硫黄島で戦った日本兵たちの心情を描き出しました。

『天地明察』(2012年)

江戸時代に日本独自の「太陰暦」を作った天文暦学者・渋川春海

冲方丁の同名歴史小説を、『おくりびと』で知られる滝田洋二郎監督が映画化した伝記映画。江戸時代前期に「太陰暦」を作り上げた天文暦学者・渋川春海の生涯を描いています。 渋川春海は元の名を安井算哲といい、1639年(寛永16年)に囲碁家元の安井家に生まれた囲碁棋士。数学や天文暦学も学び、当時使われていた唐から伝わる宣明暦の誤差に気づいて、自ら天体観測を行って日本独自の「貞享暦」を作り出しました。 20年以上の歳月をかけて改暦に心血を注いだ安井算哲を演じたのは岡田准一。また本作には、江戸時代の天才和算家(数学者)・関孝和や、囲碁界最強の棋士といわれた本因坊道策も登場。それぞれを市川猿之助と横山裕が演じています。

『影武者』(1980年)

戦国時代に武田信玄の影武者となった男の悲喜劇

黒澤明監督による大作時代劇で、戦国時代に武田信玄の影武者となった盗人の数奇な運命を描いています。外国版プロデューサーにフランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカスが名を連ね、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞しました。 1573年(元亀4年)の「野田城の戦い」で死した武田信玄に代わって、信玄に瓜二つの盗人が影武者となります。武田信玄は甲斐(現在の山梨県)を治めた戦国大名で、最大のライバルだった上杉謙信との「川中島の戦い」でも有名ですね。 多くの傑作時代劇を撮った黒澤明ですが、実は本作が実在の戦国武将を扱った初めての作品。クロサワ作品ならではの独特な様式美や壮麗な合戦シーンが海外でも高評価を得ました。

『この世界の片隅に』(2016年)

太平洋戦争末期の広島・呉に生きた女性すずが見た戦時下の暮らし

こうの史代による同名漫画を『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督が映画化したアニメ作品。太平洋戦争末期の広島を舞台に、呉に嫁いだ女性すずが体験した戦時下の暮らしを描いています。 18歳で嫁いだすずが暮らした広島・呉は、戦艦大和が造られた母港としても有名な軍港でした。そのため、太平洋戦争下では激しい空襲にも見舞われ、劇中でもその空襲ですずは大切なものと人を失ってしまいます。 次第に食料や物資が不足していく戦争末期の暮らしを、時に明るくコミカルに描いています。大切なものを失い悩みながらも前を向いて歩いていくすずの姿に、時代を超えて多くの人が共感しました。

『日本のいちばん長い日』(2015年)

ポツダム宣言受諾に揺れる為政者たちが終戦を決めた長い一日を描く

半藤一利のノンフィクション「日本のいちばん長い日 決定版」の映画化作品で、『関ヶ原』の原田眞人が監督を務めました。太平洋戦争終結を決めた終戦の日の激動の一日を描いています。 太平洋戦争末期の1945年7月26日、連合国軍は日本に無条件降伏を要求する「ポツダム宣言」を発行。宣言の受諾を巡って降伏か本土決戦かで民官軍部は大いに揺れ、ついに8月14日、昭和天皇と鈴木貫太郎内閣の閣僚たちは御前会議で日本の降伏を決定しました。 本作は降伏を決定した8月14日の正午から、軍部による終戦反対のクーデター未遂事件「宮城事件」、そして15日正午の玉音放送までの丸一日を追っています。本木雅弘が終戦の決断に苦悩する昭和天皇を演じ、強い印象を残しました。

『永遠の0』(2013年)

太平洋戦争で空に散った「特攻隊」とは何だったのかを問う

百田尚樹の同名小説を「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズで知られる山崎貴監督が岡田准一主演で映画化。太平洋戦争で特攻によって戦死した祖父の本当の姿を、現代に生きる若者が再発見していくフィクションの物語です。 主人公は空母「赤城」の戦闘機パイロットとして真珠湾攻撃にも参戦し、筑波海軍航空隊で教官を務めたという宮部久蔵。もう一人の主人公である宮部の孫・佐伯健太郎が、誰よりも生に執着していた彼がなぜ最期に特攻することを選んだのかを探っていきます。 宮部は架空のキャラクターですが、太平洋戦争末期には彼と同じように「特別攻撃隊」として多くの若者たちがそれぞれの想いを胸に、空に海に散っていきました。「特攻」とは何だったのかを、今一度考えてみる機会になる作品です。

『終戦のエンペラー』(2013年)

昭和天皇が戦犯として裁かれることを回避したアメリカ人

岡本嗣郎のノンフィクション「陛下をお救いなさいまし 河井道とボナー・フェラーズ」をもとに、太平洋戦争終結後のGHQによる日本統治を描いた歴史映画。GHQ最高司令官ダグラス・マッカーサーをトミー・リー・ジョーンズが演じています。 GHQとは太平洋戦争終結後に日本に進駐し、占領政策を行った連合国軍の最高司令官総司令部のこと。GHQが日本統治でまず行ったのが戦争犯罪人の一斉検挙であり、昭和天皇も戦争責任を追求される立場にありました。 マッカーサーは天皇を戦犯とすることは日本国民の反発を招くと考え、本国の天皇訴追の声も考慮しながら、知日家で軍事秘書官のボナー・フェラーズ准将に調査を命じました。天皇の免責を巡って知られざるドラマがあったことを本作で知ることができます。

『杉原千畝 スギハラチウネ』(2015年)

「日本のシンドラー」と呼ばれた外交官・杉原千畝の激動の半生

第二次世界大戦下のリトアニアでナチスによる迫害から逃げてきたユダヤ人難民たちを救った外交官・杉原千畝の半生を描いた伝記映画。主演は唐沢寿明、日米双方での映画製作に携わってきたチェリン・グラッグが監督を務めています。 杉原千畝はロシア語が堪能なロシア通として満州国外交部の書記官を務めましたが、満州を闊歩する関東軍の横暴さに辟易して外交部を退官。満州を去った後は、ヘルシンキ日本公使館を経てリトアニアのカウナス日本領事館で領事代理を務めることになります。 そこで、ドイツ占領下のポーランドから逃れてきたユダヤ系難民たちの困窮する姿を見て、外務省の訓令に背いてまでも人道的な感情からビザを発給し続けました。退去命令が出ても、ホテルや列車に乗るまでの構内で書き続けた「命のビザ」は2,139通にものぼったといいます。

過去の戦争から何を学ぶ?作品層の厚い戦国時代と太平洋戦争下の日本

こうして見てみると、歴史を題材にした映画に、いかに戦国時代の乱世と太平洋戦争下の激動の時代を舞台にした作品が多いかがわかりますね。世の中が乱れる時にはたくさんのドラマが生まれ、多くの悲劇も生まれます。 『永遠の0』の主人公のように、今まで知らなかった過去の戦争を知ることによって、必ず何か心に響くものがあるはず。そうした歴史を描いた作品から何を学ぶかは、観る側に託されているのではないでしょうか。