2020年5月13日更新

身も心もぽかぽか?温泉・銭湯を舞台にしたおすすめ映画を紹介【あの印象的なお風呂シーンも】

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温泉/銭湯映画サムネ

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身も心もあったかくなる!?温泉や銭湯を舞台にしたおすすめの映画を紹介

日本人の体と心に根付いている温泉や銭湯の文化。毎日の習慣としても休みの日のレジャーとしても、慣れ親しんできた場所です。そのためか、温泉や銭湯を舞台にした映画も意外と少なくありません。 古代ローマと日本の風呂文化を比較して一大ブームを巻き起こした『テルマエ・ロマエ』や、銭湯を切り盛りする末期がんの母親の闘病と家族愛を描いた『湯を沸かすほどの熱い愛』、さらには深夜の銭湯で殺人が行われているという衝撃的なサスペンス『メランコリック』まで、ジャンルも多岐に渡っています。 この記事では、温泉や銭湯が重要な舞台として登場する映画を紹介。忙しい毎日の中、たとえ実際に温泉に入ることができなくても、身も心も温かく豊かになるような作品をおすすめできればと思います! また記事後半では、一場面ながら印象的なお風呂シーンが登場する映画を厳選しました。

『リアリズムの宿』(2004年)

つげ義春の漫画を原作に可笑しく切ない温泉旅を描いたコメディ

つげ義春の漫画「会津の釣り宿」と「リアリズムの宿」の2篇をもとに、山下敦弘が監督、向井康介と山下監督が共同脚色を務めた温泉旅行コメディ。長塚圭史と山本浩司が主演し、尾野真千子が共演しています。 顔見知りではあるものの友だちでもない微妙な間柄の脚本家・坪井と映画監督・木下。旅行を企画した共通の友人が現れず、仕方なく二人で温泉街を旅することになってしまいます。しかし宿泊するつもりだった旅館は潰れており、見つけた宿では主人に散々ふんだくられ……。 急に顔見知り程度の知り合い同士で温泉旅する羽目になった様子を、可笑しくも切なく描く本作。しかもいく先々の温泉がまた最悪!なのになぜかほっこりとした笑いを与えてくれる作品です。ロケ地には鳥取県の三朝温泉が選ばれました。

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『テルマエ・ロマエ』(2012年)

古代ローマ時代の浴場と日本の風呂文化を徹底比較したタイムスリップ・コメディ

ヤマザキマリの話題の同名漫画を、武内英樹監督が阿部寛主演で映画化。興行収入60億に迫る大ヒットを記録し、古代ローマ人を演じた阿部寛が日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞しました。 生真面目すぎて仕事を失った古代ローマ帝国の浴場設計師ルシウスは、公衆浴場で湯船に身を沈めた時、奇妙な排水口に吸い込まれて現代の日本にタイムスリップしていまいます。そこで現代日本の洗練された風呂文化に衝撃を受けたルシウスは、古代ローマに戻って斬新な浴場作りに着手するのでした。 タイトルの『テルマエ・ロマエ』とはラテン語で「ローマの浴場」という意味。古代ローマ時代には日本の銭湯と同じような公衆浴場の文化が根付いていました。本作の面白味はなんといっても、その二つを結び付けて比較したこと。さらにそこに可笑しみも加えた傑作銭湯コメディとなっています。

『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年)

止めどなくあふれる母の熱い愛が銭湯の湯を沸かす

日本アカデミー賞をはじめ数々の国内映画賞を受賞したヒューマンドラマで、中野量太監督の商業映画デビュー作。末期がんに侵された主人公・双葉役を務めた宮沢りえの演技も絶賛されました。 夫婦で営んでいた銭湯を夫の失踪で閉め、パン屋のバイトで生活費を工面していた双葉。突然職場で倒れ、余命3ヶ月の末期がんを宣告されます。しかし双葉には落ち込む暇もなく、夫を探して銭湯を再開し、いじめを受けている娘を一人立ちさせることなど「絶対にやっておくべきこと」を着々と実行に移していきました。 家族だけでなく、会う人すべてに熱い愛を注ぐ双葉の人生を『湯を沸かすほどの熱い愛』というタイトルが物語っています。

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『わたしは光をにぎっている』(2019年)

都会で見つけた大切な場所、銭湯と商店街の灯が消える時

注目の若手監督・中川龍太郎が「翔べない時代の魔女の宅急便」として、20歳の女性が都会で自分の居場所を見つけていく様子を描いたドラマ。主人公の宮川澪役を松本穂香が務めました。 祖母と二人で湖畔の民宿を営んでいた宮川澪は、祖母の入院で民宿をたたみ、父の親友・涼介を頼って上京しました。人との関わりが苦手な澪は仕事探しも進まず、そのうち涼介が経営する銭湯を手伝うように。都会に馴染めない澪が見つけた自分の居場所、昔ながらの銭湯と商店街。その場所が区画整理のためなくなってしまうことを知り、澪はある決断をします。 舞台となった銭湯は、本作が公開される1ヶ月前に廃業となった東京・清瀬市に実在した「伸光湯」。ロケ地には実際に再開発で立ち退きが決定している葛飾区立石の商店街が選ばれました。

『メランコリック』(2019年)

深夜の銭湯が「人を殺す場所」に!?巻き込まれ型サスペンス・コメディ

本作が長編映画デビューとなる田中征爾監督によるサスペンス・コメディで、東京国際映画祭で監督賞を受賞した注目作。主人公の和彦を演じた皆川暢二、殺し屋・松本役を務めた磯崎義知と田中監督の3人による映画製作チーム「One Goose (ワングース)」が製作した1作目の作品です。 和彦は名門大学を卒業したものの、バイトを転々とする生活を送っていました。高校の同級生・百合と偶然銭湯で再会した和彦は、そこで一緒に働くことに。しかしそこは閉店後、深夜に「人を殺す場所」として貸し出されていて……。 まさか銭湯が殺人にはうってつけの場所だったとは!という驚きはもちろん、サプライズが満載の変幻自在なストーリー展開にも圧倒されます。サスペンス・ホラーとも恋愛コメディ・ドラマともいえるジャンルレスな作風が特徴。この作品を観たら、なんだか深夜の銭湯が気になってしまうかも?

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印象的なお風呂シーンがある映画

ここでは、印象的な入浴シーンがある映画を紹介していきます。家族3人で仲良く狭い五右衛門風呂に入るシーンが微笑ましい『となりのトトロ』や、まさかの混浴シーンがある「ハリー・ポッター」といったファンタジー作品もあれば、大人の事情が見え隠れするシリアスなドラマ作品も。テーマに関わりある小道具として「風呂」が使われています。

『となりのトトロ』(1988年)

となりのトトロ
©Walt Disney Pictures

草壁一家が田舎に引越ししてきた晩、お父さんとサツキとメイの3人で、一緒に狭い五右衛門風呂に入るシーンがあります。実はよく見ると大きな湯船の横に小さな湯船が。昭和30年代の風呂には、湯が冷めた頃に足す「上がり湯」という熱湯を入れて蓋をしておく別の浴槽がありました。狭い風呂に家族で仲良くギュウギュウに入るのも、古き良き昭和のノスタルジーを感じます。

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(2005年)

ハリーポッター 炎のゴブレット
© Warner Bros. Pictures

「ハリー・ポッター」シリーズ4作目の「炎のゴブレット」には、「嘆きのマートル」とハリーとの混浴シーンが!厳密に言えばマートルは幽霊なので一緒に入浴しているわけではないのですが、マートルはハリーを気に入っているようで、全裸の彼にすり寄っていました。とはいえ、彼女のおかげで三大魔法学校対抗試合の課題のヒントを得ていましたね。

『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2018年)

6歳の子どもムーニーの視点から、フロリダのディズニー・ワールド近くのモーテルで暮らす貧困層の母娘を描いた本作では、ムーニーの入浴シーンが印象的に挿入されます。部屋代が払えなくなった母ヘイリーはついに売春に手を染めてしまい、部屋で客を取ることに。その間ムーニーは風呂に入るように言われ、男性がトイレに入ってきた時、静かにカーテンを閉めていました。 彼女を取り巻く厳しい現実を、実に効果的に描いています。

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『アメリカン・ビューティー』

『アメリカン・ビューティー』ミーナ・スヴァーリ
©DREAMWORKS SKG/zetaimage

主人公レスターの「中年の危機」を描いたブラック・コメディ『アメリカン・ビューティー』には、レスターが一目惚れしてしまう娘の同級生アンジェラが薔薇風呂に入って彼を誘う妄想シーンが登場。タイトルの「アメリカン・ビューティー」は薔薇の品種であるとともに、本作のテーマ「アメリカの美」を表しています。 この妄想をきっかけにレスターは中年の危機を脱して、自分のやりたいことを追求し始めるのです。

映画でわかる、人と人とが触れ合う温泉・銭湯文化の魅力

日本のように、見知らぬ他人同士が裸で一緒に入浴するという温泉や銭湯といった文化がある国は、世界でも珍しいのではないでしょうか。温泉がある国はもちろんたくさんありますが、大体は水着を着て入りますよね。 そんな日本独特の風呂文化を、巧みに主題と絡めて作品に登場させた映画を紹介してきました。銭湯はいわば町の社交場であり、温泉はとっておきのレジャーの一つ。観た後で何だかほっこり温かい気持ちになるような、そんな作品にまた出会いたいものです。