2020年9月19日更新

【黒沢清 銀獅子賞受賞】ヴェネツィア国際映画祭で金・銀獅子賞を獲得した日本人監督とその受賞作

黒沢清
©︎WENN.com/Zeta Image

2020年、第77回ヴェネツィア国際映画祭で黒沢清監督の『スパイの妻』が銀獅子賞を受賞しました。これを記念して、これまで同映画祭で金獅子賞や銀獅子賞を受賞した日本の監督、そしてその受賞作を紹介します。

目次

ヴェネツィア国際映画祭で金・銀獅子賞を受賞した監督と受賞作を紹介!

スパイの妻
©2020 NHK, NEP, Incline, C&I

今年で第77回目の開催となった世界三大映画祭のひとつであるヴェネツィア国際映画祭。そこで、黒沢清監督の『スパイの妻』が監督賞にあたる銀獅子賞を受賞しました。 日本の監督が銀獅子賞を受賞するのは2003年の北野武以来17年ぶり。そこで今回は、これまでヴェネツィア国際映画祭で最高賞である金獅子賞、または銀獅子賞を受賞した日本の監督、そしてその受賞作を紹介します。

黒沢清

銀獅子賞『スパイの妻』(2020年)

黒沢清
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兵庫県出身の黒沢清は1997年、役所広司主演の『CURE』で注目を集めました。その後、2001年に『回路』がカンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞したほか、「もう1人のクロサワ」として世界から注目を集めています。 今回、監督賞にあたる銀獅子賞を受賞した『スパイの妻』は、太平洋戦争直前に国家機密を偶然知ってしまった男と、その妻の物語です。

宮崎駿

栄誉金獅子賞(2005年)

宮崎駿
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「スタジオ・ジブリ」による数々の名作で知られる宮崎駿は、2005年に栄誉金獅子賞を受賞しました。 栄誉金獅子賞は多くの優れた作品を生み出した映画人に与えられる栄誉賞で、受賞者には監督や俳優など超一流の映画人が名を連ねています。 宮崎がこの賞を受賞した年には、授賞式につづいて『風の谷のナウシカ』などが特別上映されました。

北野武

金獅子賞『HANA-BI』(1997年)

北野武
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お笑い芸人として人気を博し、1989年に『その男、凶暴につき』で映画監督デビューを果たした北野武。その後、『あの夏、いちばん静かな海。』(1991年)や『ソナチネ』(1993年)などで高い評価を受けました。 1997年には、『HANA-BI』でヴェネツィア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を獲得。孤独な刑事と余命いくばくもないその妻の逃走劇のなかで、人間の生と死を描いた人間ドラマです。

銀獅子賞『座頭市』(2003年)

盲目の剣客・座頭市を主人公とするアクション時代劇。現代的解釈で、北野自ら演じる座頭市は、金髪にジーンズ姿、下駄タップなどの斬新な演出も高い評価を受けました。

熊井啓

銀獅子賞『千利休 本覚坊遺文』(1989年)

『黒部の太陽』(1968年)や『海と毒薬』(1986年)などで知られ、監督作の多くが国内外で高く評価されている熊井啓は、1989年に『千利休 本覺坊遺文』で銀獅子賞を受賞しています。 本作は安土桃山時代の茶人・千利休の謎に包まれた晩年を、彼の愛弟子である本覺坊(ほんかくぼう)が解き明かしていく物語です。

黒澤明

金獅子賞『羅生門』(1951年)

黒澤明
©︎AGENCE / BESTIMAGE/Zeta Image

今や日本を代表する巨匠として世界に知られる黒澤明。ヒューマニズムを強く訴える作風や、ダイナミックな映像表現で、今なお多くの映画ファンに愛されています。 彼が監督した『羅生門』は芥川龍之介の同名小説と『藪の中』が原作。ある武士の殺害事件に関して目撃者たちがそれぞれ異なった証言をする姿から、人間のエゴイズムを鋭く描いた作品です。 本作での金獅子賞を受賞をきっかけに、日本映画の存在感を世界に知らしめることになりました。

銀獅子賞『七人の侍』(1954年)

『羅生門』での金獅子賞受賞から3年後、黒澤は名作『七人の侍』で銀獅子賞を獲得します。 戦国時代を舞台に、百姓に雇われた七人の侍が身分の差を乗り越えながら、協力して野武士から村を守るというストーリー。それまでの時代劇にはなかった緻密な脚本と時代考証によるリアリティと、大迫力の戦闘シーンで高い評価を受けました。

栄誉金獅子賞(1982年)

黒澤明は、同映画祭で『羅生門』と『七人の侍』での金・銀獅子賞以外に、『赤ひげ』(1965年)でサン・ジョルジョ賞と国際カトリック映画事務局賞も獲得しています。 1982年には日本人で初めて栄誉金獅子賞を手にしました。

稲垣浩

金獅子賞『無法松の一生』(1958年)

戦前から多くの時代劇の傑作を生み出し、日本映画の基礎を作った名監督の1人である稲垣浩。 金獅子賞を受賞した『無法松の一生』は、北九州を舞台にケンカっ早い人力車夫・松五郎の生涯を描く作品です。1943年に制作した同名映画のセルフリメイクで、前作では検閲でカットされてしまったシーンを追加しています。

溝口健二

銀獅子賞『雨月物語』(1953年)

「女性映画の巨匠」と呼ばれる溝口健二は、一貫して虐げられた女性の姿を描くリアリズムの作風で知られています。また、長回しを用いた撮影方法も特徴。 彼が1953年に銀獅子賞を受賞した『雨月物語』は、上田秋成による同名の怪奇短編集のうち2編をベースに、風情のある美しい映像で戦乱や欲望に翻弄される人々を描いた作品。世界的にも映画史に残る最高傑作の1つと評価されています。

銀獅子賞『山椒大夫』(1954年)

森鴎外の同名小説を原作を原作とした本作は、山椒大夫の奴隷として暮らしていた安寿と厨子王の姉弟が、意を決して脱走する様子を描いた作品です。その優れた美術と撮影で、高い評価を獲得しました。