2025年6月21日更新

【相関図】映画『国宝』のキャスト&登場人物一覧!喜久雄や俊介たちの複雑な関係を解説

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『国宝』
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

2025年度の日本アカデミー賞最有力とまで言われる映画『国宝』。吉沢亮と横浜流星をはじめ、人気・実力ともにトップクラスの俳優が集結し、魅力的あふれる登場人物を演じきりました。 この記事では、そんな映画『国宝』の登場人物・キャスト一覧を相関図付きで解説します! ※この記事は『国宝』のネタバレを含みます。

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映画『国宝』の登場人物一覧

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名前 概要
大垣俊介(横浜流星) 喜久雄とともに一流の歌舞伎役者を目指す
夜遊びが好きで、公演当日の朝まで飲み歩くことも
少年・俊介(越山敬達) 歌舞伎界の名優・花井半二郎の息子
最初は喜久雄を毛嫌いしていたが、良きライバルに
花井半二郎(渡辺謙) 上方歌舞伎・丹波屋の当主であり、俊介の父
ヤクザの息子である喜久雄を引き取った
大垣幸子(寺島しのぶ) 半二郎の妻
喜久雄の引き取りには懐疑的であった
小野川万菊(田中泯) 女形として右に出る者はいない国宝の歌舞伎役者
女形を務める俊介・喜久雄に鋭い目を向ける
吾妻千五郎(中村鴈治郎) 上方歌舞伎の当主
ある事件をきっかけに喜久雄と対立する
彰子(森七菜) 千五郎の娘
楽屋をよく出入りしており、喜久雄を兄のように慕う
名前 概要
立花喜久雄(吉沢亮) 俊介とともに一流の歌舞伎役者を目指す
一方で血縁や出自に悩まされる役者人生に
少年・喜久雄(黒川想矢) ヤクザの家系に生まれた少年
女形の才能がある。父の死後、半二郎に引き取られた
立花権五郎(永瀬正敏) 立花組の組長
半二郎を招いた宴会中、敵組織に襲撃されて死亡する
立花マツ(宮澤エマ) 立花組の女将
血の繋がりはないものの、喜久雄を大切に育てる
福田春江(高畑充希) 喜久雄と恋仲だった幼馴染
喜久雄を追って、大阪でホステスとして働く
名前 概要
藤駒(見上愛) 京都の芸鼓
喜久雄が初めて参加した宴会で出会う
梅木(嶋田久作) 半二郎らの興行を手掛ける三友の社長
喜久雄と俊介の才能を見出し、2人の女形を世に知らしめる
竹野(三浦貴大) 梅木とともに行動する三友社員
「歌舞伎は血筋」と喜久雄に伝え、取っ組み合いに

映画『国宝』の相関図を解説

映画『国宝』相関図

ここからは映画『国宝』の登場人物について、プロフィールや主要な活躍、さらにラストはどうなったか、まで、1人ずつ詳しく解説していきます!

立花喜久雄(花井東一郎):任侠から歌舞伎の世界へ

『国宝』 吉沢亮
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
名前 立花喜久雄(芸名:花井東一郎)
所属 上方歌舞伎・丹波屋
キャスト名 吉沢亮

主人公の1人・立花喜久雄は、任侠の血を引きながらも歌舞伎の世界に飛び込み、養子として女形の花を咲かせた異色の存在です。二代目半二郎の代役で演じた「曾根崎心中」で脚光を浴び、後継者だった俊介の失踪により三代目半二郎を襲名。血縁を超えた才能で頂点を極めました。 しかし、ヤクザの息子である過去が週刊誌に報じられ、さらには吾妻千五郎の娘・彰子との恋が明るみになったことで、上方歌舞伎界からの離脱を余儀なくされます。 しかし、病に伏していた小野川万菊の温かい助けと、かつての跡取り・俊介(花井半弥)との再会が彼を奮い立たせます。そして、再び女形として歌舞伎の舞台に返り咲き、ついには「人間国宝」へと上り詰めるのです。

少年・喜久雄:抗争で父を亡くした任侠の少年

『国宝』 黒川想矢 越山敬達
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
名前 立花喜久雄
所属 長崎・立花組
キャスト名 黒川想矢(写真上)

喜久雄は、長崎を拠点とするヤクザ「立花組」の組長・立花権五郎の息子として生を受けました。ある宴席で、喜久雄が余興として女形を披露した後、組同士の抗争が勃発。彼の目の前で、父・権五郎は凶弾に倒れ、命を落とします。 父の死に打ちひしがれた喜久雄は、その背に和彫りを入れ、短刀を手に仇討ちを決行しますが、失敗に終わりました。その1年後、父が亡くなったその宴席に偶然居合わせ、喜久雄の女形姿に目を奪われた花井半二郎が、彼を養子として歌舞伎の世界へと迎え入れたのです。 喜久雄は、半二郎の実の息子である俊介と共に兄弟のように育ち、切磋琢磨しながら芸の道を究めていきます。

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大垣俊介(花井半弥):名門の血に翻弄される跡取り候補

『国宝』 横浜流星
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
名前 大垣俊介(芸名:花井半弥)
所属 上方歌舞伎・丹波屋
キャスト名 横浜流星

大垣俊介は、花井半二郎の息子として歌舞伎界の次代を担うべく生まれました。しかし、父・半二郎が休演した「曾根崎心中」の代役に、実の息子である自分ではなく、養子である喜久雄を父が指名したことから人生が狂いだします。 喜久雄の鬼気迫る演技を目の当たりにした俊介は、その場から逃げ出し歌舞伎界から姿を消したのです。しかし父の死後、喜久雄の前に俊介が姿を現します。再び表舞台へと帰ってきた俊介とは対照的に、喜久雄はスキャンダルで失墜。今度は喜久雄が地方の営業へと周り、俊介がきらびやかな歌舞伎界で活躍しました。 晩年、糖尿病による足の切断がありながら、かつて俊介を打ちのめした演目「曾根崎心中」を命懸けで披露します。その相棒には、歌舞伎界に戻ってきた喜久雄の姿がありました。

少年・俊介:父のシゴキに耐えた幼少期

名前 大垣俊介
所属 上方歌舞伎・丹波屋
キャスト名 越山敬達

俊介は、養子として迎え入れられた喜久雄に対し、当然のように反感を抱きます。しかし、同じ熱量で歌舞伎の稽古に打ち込む喜久雄と過ごすうちに、俊介の心境にも変化が生まれました。二人は次第に兄弟のような関係を築き上げ、やがて期待の新星として、共に女形の舞台に立つまでに成長します。 しかし表舞台での活躍も増えた頃、公演直前まで飲み明かす俊介と、真面目に歌舞伎と向き合う喜久雄という、意識の差が顕著になっていきます。その「差」を見逃さなかった父・半二郎は、休演に伴う「曾根崎心中」の代役に、喜久雄を指名したのでした。

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福田春江:2人の歌舞伎役者の間で揺れ動く恋模様

『国宝』 高畑充希
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
名前 福田春江
所属 -
キャスト名 高畑充希

福田春江は、喜久雄が長崎にいた頃からの恋人です。喜久雄が大阪へ移ると、春江も彼を追いかけるように上阪し、ホステスとして働き始めます。喜久雄からプロポーズされた春江でしたが、役者として大成しようとする喜久雄の将来を思い、求婚を拒みます。 春江は働く店で俊介とも出会いました。そして、喜久雄が代役を務めた「曾根崎心中」を観ていた春江の心は、舞台上の喜久雄ではなく、その演技に打ちひしがれる俊介の痛みに寄り添っていたのです。劇場を飛び出した俊介の後を追いかけた春江は、彼の震える手を取り、そのまま二人で歌舞伎界から姿を消しました。 春江は、俊介との未来を選び、二人の間には息子・一豊が誕生します。

花井半二郎:喜久雄の才能を見出した丹波屋の当主

『国宝』 渡辺謙
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名前 花井半二郎
所属 上方歌舞伎・丹波屋
キャスト名 渡辺謙

花井半二郎は、上方歌舞伎の名門・丹波屋の当主です。血筋で差をつけず、実の息子である俊介と養子の喜久雄、二人に対し等しく厳しい指導を施します。一方で妻・幸子からは俊介を後継者にと強く説得されながらも、半二郎は頑なに喜久雄を選びました。 晩年、視力を失いながらも「花井白虎」を襲名し、再び舞台に立つことを目標とした半二郎。しかし「花井白虎襲名披露興行」の舞台上で半二郎は口から血を流し、倒れ込みます。 意識が薄れる中、かすれた声で「俊ぼん…俊ぼん…!」と、繰り返し息子の名を呼び続けました。歌舞伎界から、そして家族の前から姿を消した息子・俊介の存在を最後まで諦めきれなかった、父親としての愛情がそこにはありました。

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大垣幸子:息子・俊介を第一に考える大垣家の母

『国宝』 渡辺謙 寺島しのぶ
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
名前 大垣幸子
所属 -
キャスト名 寺島しのぶ

大垣幸子は、花井半二郎の妻であり、俊介の母です。夫が突然連れてきた養子の喜久雄に対し、当初は戸惑いを隠せませんでしたが、やがて家族として迎え入れます。 普段は喜久雄にとっても優しい母親である幸子ですが、歌舞伎、そして家名の継承となると話は別でした。三代目半二郎の名を俊介ではなく喜久雄に譲ると知った際、幸子は喜久雄本人に「泥棒」と言い放ちます。 しかも三代目半二郎を襲名した喜久雄は、スキャンダルと駆け落ちで歌舞伎界から姿を消すことに。丹波家に泥を塗ったことを謝罪する喜久雄に対して、幸子は何も言わずその場を去り、当てつけのように俊介の息子・一豊の世話に向かったのでした。

小野川万菊:俊介・喜久雄のピンチを救った稀代の女形

『国宝』 田中泯
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
名前 小野川万菊
所属 上方歌舞伎
キャスト名 田中泯

小野川万菊は、二代目半二郎からも一目置かれる稀代の女形であり「人間国宝」です。初めて万菊の公演を観た喜久雄は「化け物や、そやけど美しい化け物やで」と、感嘆の声を漏らしました。 歌舞伎界から逃げ出した俊介に再び稽古をつけ、舞台へと引き戻したのは万菊にほかなりません。その俊介への稽古中、万菊は「歌舞伎が大嫌いだろう。だけどそれで良い」と俊介だけでなく、半二郎を襲名するも上手くいかず落ちぶれる喜久雄にも届くよう言い放ちます。 その後、流浪の旅に出てすべてがうまくいかなくなった喜久雄に、再び手を差し伸べたのも万菊でした。病床に伏しながらも、喜久雄に稽古をつけたのです。その万菊の導きがあったからこそ、喜久雄は再び歌舞伎界へと戻ることができました。

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吾妻千五郎:絶大な影響力を持つ上方歌舞伎の当主

『国宝』 中村鴈治郎
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
名前 吾妻千五郎
所属 上方歌舞伎
キャスト名 中村鴈治郎

吾妻千五郎は、上方歌舞伎の当主であり、その影響力は絶大です。二代目半二郎という後ろ盾を失い、目立つ役が減少した喜久雄が彼に相談を持ちかけた際、喜久雄のスキャンダルを報じた週刊誌を手に「今は静かにしておくほうが良い」とニヤリと笑いました。 その後、喜久雄が自身の娘である彰子と関係を持ったことを知るや、千五郎は激しく激昂します。喜久雄が複数人で稽古をしているところに押し入り、手を出してしまいました。血を流しながらも「覚悟の上」と答える喜久雄。さらに間に入った娘・彰子も、まさかの父との縁切りを宣言したのです。

彰子:父の反対を押し切り、喜久雄との人生を選んだ女性

『国宝』
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
名前 彰子
所属 -
キャスト名 森七菜

彰子は、吾妻千五郎の娘であり、喜久雄のパートナーとなる女性です。丹波屋を離れる喜久雄が俊介と殴り合いの喧嘩をする姿を、彼女はただじっと辛抱強く見つめていました。その眼差しには、彼が選んだ道の苦難を共に背負う覚悟が感じられます。 喜久雄と共に、車一つで巡業の旅に出た彰子。これまで喜久雄たちが生きてきた華やかな歌舞伎の世界とは異なり、営業先は歌舞伎に興味のない食事や飲み会中の客ばかりでした。一生懸命に喜久雄のため、裏方として頑張ってきたものの、ある時自暴自棄になる喜久雄に愛想を尽かし、離れていってしまいます。 劇中ではその後、喜久雄が歌舞伎界に戻り「人間国宝」へと成り上がりました。しかし、彰子は観客席にもいなかったため、よりを戻すことはなかったのかもしれません。

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立花権五郎:息子の前で亡くなった立花組の組長

『国宝』 宮澤エマ 永瀬正敏
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
名前 立花権五郎
所属 長崎・立花組
キャスト名 永瀬正敏

立花権五郎は、長崎・立花組の組長です。劇中で詳しくは語られていませんが、二代目花井半二郎と旧知の仲のようで、組の宴会にも半二郎が顔を出しています。宴会で息子・喜久雄が披露する女形を満足そうに眺めていましたが、その際に敵対組織から急襲を喰らいました。 自分を狙う相手を庭に突き飛ばしとどめを刺す直前、息子・喜久雄と目が合います。そして見ておけ、と息子に伝えて刀を振りかぶりますがーー。後ろから銃弾を発射され、あえなく権五郎は死亡しました。その数年後に立花組は消滅した、と劇中で語られています。

立花マツ:喜久雄の育ての親となった組長の後妻

名前 立花マツ
所属 長崎・立花組
キャスト名 宮澤エマ

立花マツは、立花権五郎の後妻です。喜久雄とは血の繋がりはありません。喜久雄が女形の芸を披露し、マツが手厚く褒める様子はまるで本当の親子のよう。原作によると、喜久雄の実母である千代子は彼が2歳の時に亡くなっており、それ以来マツが育ての親として喜久雄を愛情深く見守っていたといいます。 しかし、宴会で起こった組同士の抗争後、マツは一度も登場することなくその後の消息は不明です。もしかしたら、この抗争で命を落としてしまったのかもしれません。喜久雄が幸子に養子として迎え入れられた最後の一押しには、マツ(あるいは実母・千代子)の「喜久雄をヤクザにしない」という強い願いがありました。

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藤駒:喜久雄の才能を予見した芸鼓

『国宝』 見上愛
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
名前 藤駒
所属 -
キャスト名 見上愛

藤駒は、京都の花街で働く芸鼓です。芸鼓遊びに慣れている俊介たちを静かに見守っていた、初々しい喜久雄を見つけて話しかけます。 さらに酔い冷ましに廊下へと出ていった喜久雄に近づいた藤駒は、その少年が立派な歌舞伎役者になると予見。2番でも3番でも良いから私を選んでほしい、と大胆な告白をしました。 数年後、喜久雄と藤駒は結ばれ、二人の間には娘の綾乃が誕生します。三代目花井半二郎襲名のお練(ねり)では、綾乃が無邪気に「お父さん」と喜久雄に駆け寄りますが、藤駒が急いで引き離しました。それは、公にできない「隠し子」という、哀しい宿命ゆえの行動だったのです。

梅木:上方歌舞伎界を裏から支える仕掛け人

『国宝』 三浦貴大 嶋田久作
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
名前 梅木
所属 三友
キャスト名 嶋田久作

梅木は、歌舞伎の興行を取り仕切る「三友」の社長。客席で役者の演技や演出を鋭い眼差しで見定め、次の興行内容を決定する、まさに上方歌舞伎の命運を握る1人です。 思い切りの良い決断力が持ち味で、まだ新進気鋭だった俊介と喜久雄の女形に可能性を見出すと、二代目半二郎の反対を押し切って興行をスタートさせました。見事に成功を収め、二人は人気役者へと成長していきます。 半二郎の事故により代役が必要となった「曾根崎心中」では、半二郎が喜久雄を代役に抜てき。この異例の事態に、梅木は口出ししません。それどころか、舞台で披露された喜久雄の鬼気迫る演技を目の当たりにし、喜びの表情を浮かべていました。

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竹野:喜久雄とぶつかり合い、認め合う関係となった三友社員

名前 竹野
所属 三友
キャスト名 三浦貴大

竹野は、梅木とともに行動する「三友」の社員です。原作では、映画をやりたくて三友に入ったと記されています。 初対面の喜久雄に「歌舞伎は血筋」と冷たく伝え、いきなりつかみ合いの喧嘩に。しかし、何十年も関係を続けていく内に、竹野は喜久雄を深く理解する1人になっていきます。三代目半二郎就任後、喜久雄を腫れ物扱いする周囲とは異なり、竹野だけは気軽に話しかける姿もありました。 さらに歌舞伎界を追われ、巡業もやめてしまった喜久雄のもとを尋ねます。竹野は喜久雄と人間国宝・万菊を引き合わせました。喜久雄が歌舞伎に界復帰できたのは、竹野の存在も大きかったのです。

映画『国宝』の魅力的な登場人物を紹介しました!

『国宝』
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

映画『国宝』の登場人物一覧を相関図やプロフィールとともに紹介しました! 吉沢亮と横浜流星による、息遣い、流れる汗、そしてほとばしる涙まで、すべてが鮮明に映し出される歌舞伎シーンは、日本映画界に残る名場面となるのではないでしょうか。 この記事で人物の繋がりを整理して、映画『国宝』をもう一度観てみてはいかがでしょうか。