2021年5月13日更新

『フルーツバスケット』十二支の呪いの正体とは?神様と動物たちの絆はなぜ枷になってしまったのか

このページにはプロモーションが含まれています
十二支の呪い

AD

心にこびりついた「十二支の呪い」とは?【ネタバレ注意】

高屋奈月による漫画『フルーツバスケット』は、心に染みる優しさに溢れた作品。2019年からはファン待望の原作全編アニメ化がスタートし、新たなファンも獲得しています。 物語の核となるのが、草摩(そうま)家に代々伝わる十二支の呪い。この記事ではこの呪いにスポットを当てて、呪いの成り立ちや解き方、十二支の物の怪憑きたちの結末などを紹介します。 ※この記事は『フルーツバスケット』のネタバレを含みますので、読み進める際は注意してください。またciatr以外の外部サイトでこの記事を開くと、画像や表などが表示されないことがあります。

十二支と神様の絆(呪い)とは?

十二支の呪いとは、数百年前の神と十二支の契約に端を発する絆であり呪いです。一族の中に稀に物の怪憑きが生まれるというもので、彼らは異性に抱きつかれると特定の十二支の動物に変身してしまいます。 十二支に猫を加えた全部で13人の物の怪憑きが存在しますが、13人が同じ時代に現れることは稀です。さらに十二支の魂を統べる「神」という存在がいます。神は生まれた瞬間から、魂の次元で物の怪憑きを支配しており、物の怪憑きは本能的に逆らうことができません。 十二支の中で最も神に近いのが「子(鼠)」。一方で十二支の仲間外れである猫憑きは猫の姿以外におぞましい異形の姿を持っており、一族の中でも忌み嫌われてきた存在です。

AD

神様と十二支の物の怪憑きたちを紹介

神/草摩慊人(あきと)

草摩家当主でもある慊人(あきと)が神です。母親に男性として育てられた男装の麗人。神であることが彼女の存在意義となっているため、十二支との絆に誰よりも固執し、病的に依存しているところがあります。

子(鼠)/草摩由希(ゆき)

鼠の物の怪憑き・由希(ゆき)は主人公・透(とおる)の同級生。中性的な美しい容姿と文武両道なため、校内に「プリンス・ユキ」というファンクラブが存在するほど人気があります。柔和な表情ながらも、人を寄せ付けない雰囲気の持ち主です。

丑(牛)/草摩潑春(はつはる)

潑春(はつはる)は牛の物の怪憑きで、由希の1つ下の学年。髪の毛は白と黒のツートンカラーで、ロックテイストな服装が特徴的。普段はマイペースですが、キレると「ブラック」と呼ばれる凶暴な性格に豹変します。

寅(虎)/草摩杞紗(きさ)

杞紗(きさ)は虎の物の怪憑きの女の子。虎に由来する派手な髪色と瞳の色が原因でいじめに遭い、失声症に。透との出会いを経て少しずつ声を取り戻していきます。女性の物の怪憑きでは最年少で、由希の4学年下です。

卯(兎)/草摩紅葉(もみじ)

兎の物の怪憑きの紅葉(もみじ)は、日本人の父とドイツ人の母を持つ元気いっぱいな愛らしい男の子。透が小学生に見間違えたほど幼い見た目をしていますが、実際は1つ年下。精神面は大人びており、呪いに対しても大人な考え方を持っています。

AD

辰(タツノオトシゴ)/草摩はとり

はとりは草摩家専属の主治医で、代々伝わる「記憶の隠蔽術」を使うことができる人物。秘密を知った人物や、物の怪憑きに関わって精神を病んだ人物の記憶隠蔽を担当してきました。変身すると龍ではなくタツノオトシゴになります。

巳(蛇)/草摩綾女(あやめ)

蛇の物の怪憑きの綾女(あやめ)は、由希の10歳年上の兄。常にハイテンションで、由希とはまた違ったカリスマ性の持ち主です。仕事は服飾店の店長。同級生のはとり・紫呉とは親友で、隔離されて育った由希に対しては兄バカなところがあります。

午(馬)/草摩依鈴(いすず)

依鈴(いすず)は馬の物の怪憑きで、ロングの黒髪が印象的なスタイル抜群の美人。由希の1学年上で、潑春とは恋人関係です。親に虐待された過去があり、精神的に不安定な部分も。潑春のために呪いを解く方法を探しています。

未(羊)/草摩燈路(ひろ)

十二支で最年少の燈路(ひろ)は羊の物の怪憑きの男の子。大人顔負けの毒舌家で生意気な性格をしています。彼は杞紗の1つ年下で、彼女に片想い中。物の怪憑きが産まれた家にしては珍しく、平穏な家庭で暮らしています。

申(猿)/草摩利津(りつ)

猿の物の怪憑きの利津(りつ)は大学生の青年。いつも振袖を着ている、一見すると男性だと気付かない和装美人です。彼は自己評価が著しく低く、いつも絶叫しながら周りに謝り倒しています。

AD

酉(鳥)/草摩紅野(くれの)

紅野(くれの)は鳥の物の怪憑きで、慊人のお気に入り。彼女の補佐役として終始つきっきりで、彼女の許可がなければ敷地の外に出ることもありません。慊人が彼の行動基準になっているため、外の世界の一般常識に疎いところがあります。

戌(犬)/草摩紫呉(しぐれ)

犬の物の怪憑きである紫呉(しぐれ)は透たちが居候する家の主で、本職は小説家。透たちにとって保護者代わりの存在です。大人として透たちを諭すこともありますが、普段は本心が読めない言動ばかりで掴みどころがありません。

亥(猪)/草摩楽羅(かぐら)

楽羅(かぐら)は猪の物の怪憑きで、透の2学年上の女の子。幼い頃に出会った夾に想いを寄せています。普段は大人しい性格ですが、夾を前にすると猪突猛進な性格へ豹変。彼女は武術の心得もあるため、周りも手を付けられなくなります。

猫(猫)/草摩夾(きょう)

一族に疎まれる猫の物の怪憑きが夾(きょう)です。由希とは犬猿の仲。猫の姿以外に「本来の姿」と呼ばれる異形の姿を持ちます。母は自殺、父には育児放棄されたため、養父となった師匠の藉真(かずま)に育てられました。

なぜ猫だけ仲間外れなのか?呪いの正体に迫る

数百年前、人間と関わり傷つくことを恐れて孤独だった神様の元に、1匹の猫が現れます。猫との宴が楽しかった神様は招待状を送り、さらに12の動物がやってきました。 猫の命の終わりが近づいたことで、別れを憂いた神様は、みんなとの永遠の絆を約束する呪いの盃を13匹に舐めさせることに。神様と12匹は不変の絆を喜びます。 ところが猫だけは不変を望みませんでした。猫は永遠に13匹と過ごす神様ではなく、人間の輪の中で笑う神様に会いたいと願ったのです。もっと神様に幸せになってほしいと変化を望んだ猫は、裏切り者として仲間外れになってしまいます。 不変の絆は独りで死んでいく神様の心の支えとなりましたが、同時に変化を拒む呪いにもなってしまったのです。

AD

十二支の呪いはどうやって解けた?

呪いが解けた順番

1人目/草摩紅野:物語開始の10年以上前、中学生の頃に本家の庭で。空を見上げて涙を流す。 2人目/草摩紅葉:庭を見ているとき。手のひらを見つめ涙を流す。 3人目/草摩燈路:妹の日向と過ごしているとき。妹を抱っこしたまま母親に抱きしめられる。 4人目/草摩夾:透と想いが通じて抱きしめあったとき。直後に封印の数珠を引きちぎる。 5人目/草摩綾女:ソファで不意に。解けた直後に想いを寄せる美音(みね)を抱きしめる。 6人目/草摩利津:突然のことに驚いて花瓶を落として割る。静かに涙をこぼす。 7人目/草摩杞紗:燈路と日向と一緒に過ごしているとき。涙を流す。 8人目/草摩楽羅:街を歩いているときに気付き、泣きながら歩く。 9人目/草摩依鈴:潑春と一緒にいるとき。解けてすぐ彼の頬に触れる。 10人目/草摩潑春:依鈴とほぼ同時に。抱きしめ合いながら寂しそうな表情を浮かべる。 11人目/草摩はとり:縁側で不意に。手で顔を覆う。 12人目/草摩紫呉:外出中に。胸に手を当て目を伏せる。 13人目/草摩由希:後輩と待ち合わせ中、鼠から別れの言葉を聞く。

呪いが解けた理由は?

呪いを解く明確な手順というのは存在していません。いずれの場合も突然解けたような描写になっています。 呪いの成り立ちには、不変でありたいという想いが大きく関わっています。このことから、その人の中で十二支の絆を上回る想いや自我といった強い感情が芽生えた場合、“変わりたい”という想いが呪いを解くきっかけに繋がったとも考えられます。 紫呉の推測によると、数百年の中で呪いそのものの効力が薄れていたとのこと。滅多に揃うことのない14人が一堂に会したのも、お別れを前にした最後の宴会だと考えると、この説も納得ができます。 もともと呪いが弱まっていたところに、透という変化をもたらす存在が現れたことで、宴の終わりが訪れたのではないでしょうか。

AD

『フルーツバスケット』に変わる勇気をもらおう

『フルーツバスケット』に登場する十二支の呪いについて紹介しました。十二支と神様の絆は、次第に呪いとして人々の重荷になってしまいましたが、最後は全員が前を向いて歩き始めています。 言葉や想いといった「呪い」に囚われていると感じたとき、「フルバ」は呪いを解くヒントをくれるはず。何かを変える勇気が欲しい人におすすめの作品です。