『フルーツバスケット』本田透(ほんだとおる)が愛され続ける理由とは?最後は誰と結ばれたのかまで解説
本田透のプロフィール【ネタバレ注意】
高屋奈月の泣けて心温まる少女漫画『フルーツバスケット』。その主人公・本田透(ほんだとおる)のプロフィールを見ていきましょう。
身長 | 156.7cm |
---|---|
体重 | 46kg |
星座 | 牡牛座 |
血液型 | O型 |
声優 | 小西寛子(ドラマCD版) 堀江由衣(アニメ第1作) 石見舞菜香(アニメ第2作) |
透はバカがつくほどお人好しで真っ直ぐな人物。やや天然ボケで世間とズレているところもありますが、いつも自分より周りを優先し、周りの人たちを惜しみない優しさで包み込みます。 彼女は父を早くに亡くし、母・今日子の愛情を一身に受けて育ちますが、母も透の高校進学後に事故死。高校を無事卒業するという母との約束を果たすため、透は草摩家に居候しながらバイトで生計を立てています。 ※この記事は『フルーツバスケット』のネタバレを含みますので、読み進める際は注意してください。またciatr以外の外部サイトでこの記事を開くと、画像や表などが表示されないことがあります。
透の過去に隠された「闇」と変な敬語を話す理由
いつもニコニコと笑顔を絶やさず、周りの人々の苦悩や悲しみを受け入れてあげる透。しかし彼女にも、蓋をしてきた心の闇があります。 幼い頃、父親が病死。以降、母の愛をたくさん受け取って、2人は幸せな時間を過ごしてきました。透にとって母は誰よりも大切な存在であり、母の死後もそれは変わることがなく、透にとっては変えてはならないものだったのです。 母親が自分の中で1番ではなくなってしまったら、それは母を忘れることに繋がってしまう。母を忘れたくない、変わりたくないという気持ちは、透の誰かを好きになるという気持ちを阻むものになっていきます。 それほどまでに母の存在は透の心の支えであり、同時に自身の中に芽生え始めた、心から大切にしたい人への気持ちに蓋をする要因となってしまったのです。
透の変な敬語は父譲りだった
透は少しおかしな敬語を使います。これは幼い頃、透の父・勝也(かつや)の真似をしたことがきっかけでした。 勝也は出張先で帰らぬ人となってしまいます。彼を深く愛していた今日子は、愛する人の突然の死、さらに親戚からの透が勝也に似ていないという暴言をきっかけに自暴自棄になってしまいました。今日子は死に場所を求め、幼い透を家に置いたまま出ていってしまったのです。 母に置いていかれた恐怖が透のトラウマとなります。勝也のマネをすれば、母を元気づけられるのではないか、傍にいてもらえるのではないか。顔が似ていないなら、せめて話し方だけでも父に似せよう。幼い透はそう考えて、一生懸命に拙い敬語を使うようになったのです。
透が結ばれたのは由希?夾?
自分のことを「幻滅しない」と言ってくれた夾に惹かれていく
草摩夾(そうまきょう)の不器用だけれど優しいところを知っていき、彼の猫憑きの「本来の姿」も含めて一緒にいたいと透は思うようになります。同時に、1番大切だった母親よりも夾が大きな存在となっていくことに葛藤するように。 母親が1番ではなくなっていく事実、さらに父親のことを、母親を連れて行ってしまう悪者のように扱ってきたこと。それらを夾にさらけ出すと、透は自身のことを「最悪」だと評します。 透が蓋をしてきた弱音を聞いた夾は、洗濯物を干す透をシーツ越しに抱きしめ、「いくらでも言え幻滅なんかしない」と抱きしめました。それはきっと透がずっと欲しかった言葉だったのでしょう。 改めて透は十二支の呪いを解いて、夾を救いたいと決意することになります。
卒業式後は夾と共に生きることを決意
夾は透の好意を確信すると同時に、今日子の事故現場に居合わせながらも彼女を助けられなかったという罪の意識に押しつぶされていきます。透が告白する前に、夾が罪の意識を告白したことで2人はケンカ別れのような形に。その上、透は振られたと勘違いしてしまいます。 その後、透の怪我や入院を経て、夾は「おまえと一緒にいたい」と告白。ようやく想いが通じ合った2人が抱きしめあうと、夾は猫に変身せずに済み、呪いが解けたことが分かります。 卒業後、透は就職する夾についていくことに。エピローグではおじいさんとおばあさんになった2人が、仲良く手をつないでいる姿が描かれました。 ちなみに草摩由希(ゆき)にとって透は母性愛の対象。由希は後輩の真知(まち)と交際をはじめました。
本田透が愛され続ける理由とは
透は様々な理由から自分を好きになれない、自分を認められない草摩一族と向き合っていくことになります。呪いという設定自体はファンタジーですが、草摩家が抱える苦悩は誰しも心当たりがあったり共感できたりするものばかり。 だからこそ心の弱い部分をまるごと抱きしめてくれる透の言葉に、読者も救われるのでしょう。 一方で透自身も弱さを抱えています。周りを幸せにする笑顔の下で、彼女が抱える過去や脆さを思うと、透に幸せになってほしいという気持ちが湧き出てくるのです。 透は特別な能力がある少女ではありません。ただ人よりも、真っ直ぐで優しくて、周りの人々を愛することができるのです。それは平凡だけれど、簡単ではないことでしょう。 人を目一杯の愛情で幸せにする透のことを、読者も愛したくなってしまうのは自然なことかもしれません。
本田透の温かい名言
「守りたい 守りたいです 皆さんが歩んでいく道を できる限りの力で」
コミックス11巻、別荘編のラストに登場するセリフです。十二支の魂を統べる草摩慊人(あきと)と初めて向き合うことになった透は、改めて部外者だと釘を刺されます。 翌日浜辺で花火をしながら、みんなの楽しげな笑顔に透は呪いを解くことを強く決意。部外者だとしても関わっていこうと心に決めた透の逞しさが感じられるシーンです。
「自分がまだ「子ども」だと自分自身で認めるのは とても怖くて避けてしまう人も多いって だから ちゃんと認めることができる人は とても 勇気を持っているって……」
7巻で登場した羊の物の怪憑き・燈路(ひろ)は、口が達者で毒舌な小学生の男の子です。大好きな杞紗(さき)を自分で救うことができず、自分は子供だから王子様にはなれないと卑下する燈路に対し、透は今日子の言葉を伝えました。 透の言葉には今日子が遺した言葉も多く、2人がいかに良い母娘だったのかが伝わってきます。
「生きてほしい 間違ったって 遠回りしたっていいんです でもどうか どうか生きて 歩いていくことは諦めないで どうか それだけはやめないで」
21巻で透は夾から罪の意識を懺悔され、その後透は崖から転落してしまいます。薄れゆく意識の中で夾に語りかけた際の言葉の一部がこのセリフです。 この前には夾と出会えて、好きになって幸せだったことが語られ、この後には「となりに私はいなくたっていいから」と続きます。透の彼への深い愛を感じられる号泣必至のセリフといえるでしょう。
『フルーツバスケット』本田透は心に救う“呪い”を解く天使
人は周りからの評価や自分自身の思い込みなど、様々な“呪い”で自分の心を縛ってしまうことがあります。その姿は十二支の呪いに苦悩する草摩家の人々と重なる部分があるのではないでしょうか。 『フルーツバスケット』の主人公・本田透の言葉や生き方には、そんな呪いを解くヒントが隠されています。人生に躓いたとき、疲れたとき、天使に会いたいとき、本田透に癒やされてみませんか。