「BL作品の魅力は何ですか」アンケート結果を発表。“自分の性”と切り離せることがポイント?【腐女子の実態調査#2】
「BL作品の魅力とは?」隠れ腐女子たちの本音を調査
2018年に連続テレビドラマ『おっさんずラブ』が放送されたり、タイでBLドラマが流行ったりしたことで一般層にも広く認知されつつあるBLというジャンル。しかし中には「BL作品の魅力がわからない」「なぜ流行っているのか分からない」と言った声もあります。 そこで今回はBL作品を愛してやまない腐女子・腐男子500名に対し、BL作品の魅力や実態を探るべくアンケートを行いましたのでその結果を紹介いたします。 ※本調査は弊社サービス「ワンスクリーン」主導で行ったWebアンケートとなります。
腐女子・腐男子とは?
腐女子・腐男子とは、ボーイズラブ(BL)などの男性同士の恋愛を扱ったアニメや漫画作品、または二次創作作品などを好む男女の事を指します。 元は「婦女子」という言葉をもじったもので、1990年後半から2005年にかけて一般層にも広く認知されるようになりました。またBL作品を「腐」や「腐向け」と呼称することもあります。
質問1:「BL作品が好きな理由を教えてください」
1位:自分の性と切り離して楽しむことができるから 24.3%(207票)
回答理由: 「女性が出てくると生々しい感じがする」(20代) 「性別、生物的本能、社会的な暗黙のルール、固定概念に囚われていない、精神的な真の恋愛かなと思っているから。」(20代) 「女性らしさや男性らしさなどの押し付け感がないため、気軽に楽しめるからです。」(20代)
2位:イケメンがたくさん登場するから 23.4%(200票)
回答理由: 「イケメンをたくさん見ていたい」(30代) 「好きなキャラクター同士がイチャイチャしているのを見るのが楽しいから。」(10代) 「美少年と年上男性の組み合わせが好きだから目の保養になる」(20代)
3位:世界観がユニークだから・ファンタジー性が強いから 21.0%(179票)
回答理由: 「実際にはあり得ないような異世界設定やご都合設定でも突っ込まずに見ていられるし、単純にイケメンが好き。」(20代) 「男女の恋愛だとゴールが結婚とか子どもを持つことになってしまいがちだけど、男同士の恋愛は永遠のバディ感を味わえるからかなと思います。」(50代) 「男が妊娠したり、登場人物イケメンばかりでありえない設定が多く、読んでいる間は現実を忘れていられるので好きです。」(30代)
4位:男同士だと少女漫画のように女々しくない・ドロドロしている率が低い 16.5%(141票)
回答理由: 「少女漫画よりピュアだから」(20代) 「男女だと照れくさくなるようなベタな展開も、BLだと自然に見れるし、寧ろキュンとするから」(30代)
5位:その他 7.6%(65票)
回答理由: 「アニメ、漫画の女性キャラがあまり得意じゃないから。」(30代) 「簡単には幸せになれない等、困難が多く発生するので飽きない。ストーリーが深い気がする。」(30代) 「そもそもその二人の関係性が好きだから。あまり性別には拘ったことがない。そんな経緯があれば性別関係なく男性同士でも恋愛するよね、という感じです」(20代) 「恋愛が好きだからTLでもBLでもGLでもなんでも好きって言うだけで、正確な理由はないかもしれません」(10代)
6位:男性同士だと嫉妬しないから 7.2%(61票)
回答理由: 「少女漫画や女がいると、その女キャラが泣くのが嫌でした。しかしそれを、自分が見染めた美男子がやるとむしろ大好物ですからエネルゲンになります。」(30代) 「(自分ではなく)好きなキャラクター同士がくっついているのが好きなので」(30代)
【分析】現代社会のしがらみを気にせず楽しめるBL作品
この質問に対して最も多く票を獲得した回答は「自分の性と切り離して楽しむことができるから」という意見で、全体の24.3%を占める結果となりました。BLというジャンルは現状女性のファンが多いため、自分とは違う性別同士の恋愛だからこそ純粋な創作物として楽しむことができるという人が多い様です。 また性別に対する固定観念やルールが多く残る現代の日本社会において、「女らしさ」「男らしさ」を押し付けられない事を魅力に感じるという意見も挙がりました。3番目に多かった「世界観がユニークだから・ファンタジー性が強いから」の回答理由でも、男性が妊娠できる「オメガバース」などの“男女による性的な役割の差”がない事に着目した意見が多く寄せられました。 女性の社会進出が進んだことで、結婚や妊娠などがある種のゴールとなっている男女の恋愛漫画に疑問を感じる人が増えているのかもしれません。
質問2:「周囲の人に自分が腐女子であると公言していますか?」
1位:親しい友人にのみ公言している 48.8%(244票)
回答理由: 「友人に引かれてしまいそうで言いたくない」(20代) 「腐女子というワードだけで偏ったイメージを持たれていたり、偏見の目で見られたりするのが嫌で、公言はしていません。腐女子だと知っているごく僅かな友人もみんな隠れオタクで、お互いに探り合いながら時間をかけてカミングアウトしました。」(30代) 「腐男子だから。以前、BL好きは同性愛者だろと言われた事があり、公言しなくなった。」(30代) 「あくまで公式の設定をねじ曲げている物なので、隠すべき趣味かなと思います。」(20代) 「隠してはいないが、特に異性から向けられる視線が気になるので、あえて公言はしていません」(30代)
2位:全く公言していない/隠している 39.0%(195票)
回答理由: 「リアルな知り合いと共有したいわけではないから。」(30代) 「恥ずかしいから」(20代) 「周りから変な子だと思われたりとか陰口とかを言われたりするのがいやだから」(10代) 「学生の頃、電車男が流行ったのがきっかけでオタクいじめが流行り、バレたら迫害されたので隠れていたのでその名残です。」(30代) 「周囲の人が皆、理解できるとは限らないため。嫌悪感を示す人もいる。」(30代)
3位:公言している/隠していない 12.2%(61票)
回答理由: 「周りも腐女子ばかりであるため」(20代) 「戦友を少しでも増やすため」(10代) 「会話の中で絶対にバレてしまうし、BL以外も読むので、『何でも読めます!楽しめます』といった形で公言しています。」(30代) 「以前は隠していたが、今は市民権をある程度獲得しているのもあり、特に隠しておく必要性が感じないと思ったため。」(20代)
【分析】オンラインの普及で腐女子の棲み分けが進んでいる?
BLが好きな理由では、BL作品の魅力を存分に伝えてくれた腐女子の面々。しかし実際に自分が腐女子であることを周囲に公言していない人が多いことが分かりました。1位と2位の結果を合わせると、実に87.8%の腐女子が完全に、もしくは部分的に腐女子であることを隠しているという結果に。 回答理由を見てみると、特に10代からの意見では「周りに引かれたくない」「学校で変な目で見られるのが怖い」など、周囲の反応を心配している意見が多く寄せられています。 また30代、40代の意見では「ネットで知り合った人と語り合うからリアルで公言する必要がない」という意見が挙がりました。インターネットやSNSが普及したことにより、日常生活とオタク活動の場を切り離している人も多いことが分かります。
【総評】「自由な恋愛」と「固定観念」の狭間で葛藤する腐女子
腐女子が感じるBL作品の魅力の多くは「固定観念や偏見」に囚われない自由さにあることが分かりました。セクシャルハラスメントや女性らしさ・男性らしさの押し付けが問題視されている現代社会において、純粋な愛情を描いた作品に安らぎを感じる人は少なくないのでしょう。 しかし自分が腐女子であること公言している腐女子は全体の12.2%とごく僅か。共通の趣味をもった友人を増やしたいという気持ちと、周囲からの評価の間で葛藤している人が多いことが分かります。 実際に腐女子であると公言したことによって周囲から心ない言葉をかけられたり、差別をされたという意見も見受けられました。以前より同性愛に対する理解は深まったとはいえ、いまだに偏見を持っている人は少なくない様です。