「ストレンジャー・シングス4」ヴェクナの正体は001(ワン)？演じた俳優やイレブンとの関係に迫る

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のシーズン4で姿を現した、最強のヴィラン「ヴェクナ」。ホーキンスの若者を惨殺する殺人鬼であり、シーズン4の後半にはヴェクナの正体も描かれました。 本記事では、ヴェクナの正体や撮影の裏側などを紹介し、イレブンとの関係についても考察していきます。 ※この記事は「ストレンジャー・シングス」シーズン4までのネタバレを含みます。読み進める際は注意してください。

ヴェクナの正体は、エルのいた研究施設の被験者001(ワン)で、本名はヘンリー・クリール。ヴェクナはトラウマを持つ者にとりついて悪夢を見せ、その後、宙に浮かせ身体を捻じ曲げて殺します。死亡した被害者は、手足や顎の関節があり得ない方向に曲がり、目玉は潰れています。 シーズン4のホーキンスでは、マックスを含む4人の被害者が出ました。ちなみに「ヴェクナ」という呼び方は、マイクやダスティンたちがプレイするトークRPGゲーム「D&D」に登場する闇の魔術師から取ったもの。過去の「デモゴルゴン」や「マインド・フレイヤー」も同様です。

クリール家に生まれたヘンリーは、幼い頃から邪悪な思想を持っていました。周囲となじめず、周りの大人から「異常」と言われて育ちます。 両親が「環境が変われば治るだろう」と考え、1950年代に家族でホーキンスの館へ引っ越してきました。しかしその後、ヘンリーはクモからインスピレーションを得て、他者の意識や記憶に入り込むという不思議な能力を手に入れます。 その力で両親が以前ひどい行いをしたことを知り、家族に悪夢を見せるように。それが彼の仕業だと気付いた母親によって専門家の元に隔離されそうになったヘンリーは、自由を得るために能力を使って家族を殺害しました。 計画通りに父ヴィクターが犯人として逮捕されるものの、大きなパワーを使ったヘンリーは昏睡状態に陥ります。そして彼が目が覚めた時に目の前にいたのが、母親が連絡を取っていた専門家で、イレブンがいた研究施設の「パパ」である、ブレンナー博士だったのでした。

シーズン4でイレブンは、忘れていた過去を思い出していきます。 その記憶に浮かんできたのが、親切にしてくれた1人の優しい職員。イレブンは彼のアドバイスによって、他の子どもたちを圧倒する大きな能力を引き出しました。やがて、研究施設から脱出するという彼の計画を手伝い、その正体が「001(ワン)」であることを知ったのでした。 その後、ワンはブレンナー博士によって連れてこられたヘンリーであることがわかります。その腕には、ブレンナー博士に刻まれた「001」のタトゥーがありました。 脱出を試みるワンは、施設内の子どもたちを虐殺します。そのワンに対してイレブンがパワーを使ったことで、ワンは裏側の世界へ送り込まれました。その世界で彼は恐ろしい怪物ヴェクナへと変貌したのです。 さらに、少年時代のヘンリーがマインド・フレイヤーの絵を描いていたことから、シーズン2から登場したマインド・フレイヤーを生み出したのが彼であることも示唆されました。

ヴェクナを演じたのは、1988年11月22日生まれのイギリス人俳優ジェイミー・キャンベル・バウアーです。 2007年に映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』で本格的に俳優デビュー。2010年の『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』と2018年の『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』では、若年期のゲラート・グリンデルバルドを演じました。 映画「トワイライト」シリーズでは冷酷な吸血鬼のカイウス役を演じ、主演を務めた映画『シャドウハンター』では天使と人間の血を持つジェイス役を好演。神秘的な美青年役を演じることの多い俳優です。 ジェイミー・キャンベル・バウアーが「ストレンジャー・シングス」に出演すると発表された際には、正体を隠すために「用務係のピーター・バラード役」とされていました。

ヴェクナの正体である001(ワン)は、シーズン4の第7話で「パパ(ブレンナー博士)は僕を操ろうとしたが、無理だとわかると、別の僕を作ろうとした」と明かしました。そのプログラムで生まれたのが、研究施設にいた別の子どもたちです。 つまり、002以降の子供たちはワンの遺伝子を使って作られたのではないかと推測できます。 イレブンの母親も、政府の別のプログラムへ参加しているうちに自分でも気づかないうちに妊娠し、流産したと偽って娘のイレブン(ジェーン)を奪われました。このことから、ワンはイレブンの父親である可能性があると考えられます。 もし本当に親子関係だとしたら、シーズン5でイレブンがマイクたちの敵となる展開もありえるかも……？

「D&D」に登場するキャラクターである「ヴェクナ」にそっくりなヴェクナですが、見た目や性質が完全に一致している訳ではありません。 様々な作品へのオマージュがちりばめられている「ストレンジャー・シングス」。このヴェクナというキャラクターも、明らかに名作ホラー映画『エルム街の悪夢』(1984年)のフレディ・クルーガーをモチーフとしています。 フレディは人に悪夢を見せ、夢の中で長い鉄の鉤爪で襲いかかる殺人鬼。悪夢を見せる性質や、ただれた皮膚、長い指先など、様々な要素がヴェクナに似ています。 「ストレンジャー・シングス」シーズン4に、『エルム街の悪夢』でフレディ・クルーガー役を演じた俳優ロバート・イングランドがゲスト出演しているのは、製作陣の遊び心でしょう。 また、ヴェクナを演じたジェイミー・キャンベル・バウアーも、フレディ・クルーガーと映画『ヘルレイザー』から少しずつ要素をもらって役作りをしたと明かしています。

ジェイミー・キャンベル・バウアーは米VARIETYのインタビューで、ヴェクナの役作りについて詳しく言及しました。そこでは、ヴェクナが非常に深い恨みを燃料にしていると考え、自分の内側の恨みを掘り下げることにしたことを明かしています。 そのために人に話しかけるのをやめ「少なくとも撮影の4日前になると、ストレンジャー・シングスの世界以外の人とは話しませんでした」「ヴェクナには多くの怒りを注入しました」とのこと。 さらに、『エルム街の悪夢』や『ヘルレイザー』のホラー作品のポスターをオフィスの壁に貼るなど、独自の方法で精神的な準備を進めました。 するとなんと、彼の演技を見たイレブン役のミリー・ボリー・ブラウンは泣き出してしまったそう。「ヴェクナを見たとき、彼女は突然涙を流し、そして言いました。 “それは私の友達じゃない。この人が誰なのかもうわからない。彼はどこへ行ったの？”と」。

視聴者の多くは、ヴェクナはCG処理で作られていると思ったのではないでしょうか？しかし実際は、身体から出るつるの動きのみがCGで作られ、それ以外は本物なのです。 シリーズを生んだダファー兄弟は、CG処理で再現されたデモゴルゴンなどと違い「より形を帯び、人間らしい存在感」を表現すべく、CGではなく特殊メイクにこだわりました。 その結果、スーツでもなく全身の特殊メイクとなり、多数のパーツが医療用接着剤で皮膚に接着されています。メイクは毎回4人がかりで約7時間半かかり、午前2時や3時からスタートしたのだそう。とはいえ、トイレにはいけるように必要な部分は着脱可能となっていました。 ジェイミー・キャンベル・バウアーは、メイク中ももちろん役作りのために必要以上に人と話さず、じっと座って音楽を聞いていたそうです。

イレブンたちとの対決で弱ったものの、ウィル曰く「まだ生きている」「あらゆる命を奪い尽くすまで終わらない」というヴェクナ。さらに、ホーキンスのゲートも開いてしまいました。 シーズン5ではイレブンや仲間たち、そして人類にどのような攻撃を仕掛けてくるのでしょうか？そして、イレブンたちは、ヴェクナを殺すことができるのでしょうか？今からシーズン5への期待が高まります！