漫画『はめつのおうこく』全話ネタバレあらすじ＆感想！すべてを奪われた少年の復讐物語

2023年にアニメが放送されることが決定している『はめつのおうこく』。魔女の弟子・アドニスによる復讐劇を描くダークファンタジー漫画です。 本記事ではそんな『はめつのおうこく』のあらすじを最新巻まで紹介。ネタバレや感想を交えつつざっくりとストーリーを解説しているので、作品の予習や復習に役立ててみてくださいね。

魔法を使える魔女と非力な人間が助け合って生きていたはずの世界。科学が発展したリディア帝国では、魔女はもはや不要とされ身の毛もよだつ「魔女狩り」がおこなわれていました。 人間でありながら魔女に育てられた少年・アドニスは、最愛の師である魔女・クロエを惨殺された挙句、自身も永年幽閉指定人物として囚われの身となってしまいます。 その10年後、奴隷の少女・ドロカが起こした騒動のおかげで彼は脱獄に成功。クロエから教わった記述式召喚魔法を使って、人間を次々と虐殺していくのでした。グロテスクなシーンが続き、アドニスの怒りや絶望が痛いほどに伝わってきます。 そんな中、ドロカが実は魔女であり、クロエを生き返らせるためアドニスを救いに来たということが判明します。しかし彼女はアドニスに手を差し伸べたそのとき、兵士に撃たれて絶命してしまうのでした。第1巻から衝撃の展開が続き、ページをめくる手が止まりません。

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アドニスが首を切り落とされるシーンがありびっくりしましたが、それはすべて魔女たちの作戦。兵士のなかにまぎれた魔女が死を偽装し、彼を魔女の国へと連れてきたのです。 魔女はアドニスをあたたかく迎え、クロエのことを懐かしそうに語るものの、それには裏があります。魔女たちは帝国と戦争をするため、高い能力を持つクロエを利用しようとしていました。 魔女たちの真意に気付いたうえで、クロエの復活に協力しようとしたアドニス。しかし彼はクロエが生前ずっと苦しんでいたことを思い出し、愛ゆえに彼女を生き返らせないことを決めます。ここのシーンが切なくも美しくてぐっときました……。 そしてクロエの代わりにアドニスが蘇らせたのはドロカでした。

アドニスがクロエ復活を取りやめたことに対し、魔女の長オフィーリアは当然怒りを爆発させます。本性を反映したかのような歪みきった表情には、思わずぞっとしてしまいました。 しかしそこに帝国の兵士たちが到着。アドニスは自身に埋め込まれたGPSを利用し、彼らをおびき寄せていました。魔女も人間も次々と死んでいき、血の海と死体だらけの地獄絵図が生み出されます……。 そんな中、ドロカが人間の男に好意を抱かせ操る「愛の魔法」の使い手だと発覚しました。一方、リディア帝国の王妃・ドロテーアもドロカと同じ魔法を使う魔女だということが明かされ、何が何だかわからない状態です！

アドニスの真の目的は、呼び寄せた兵士のひとりになりすまし、魔女の国を脱出することでした。彼は無事に目的を達成し、使えそうだと判断したドロカも一緒に連れていきます。「今のあなたを、クロエが見たらどう思うかしら」とドロカに怒られたとき、一瞬悲しそうな顔をしたアドニスが切ないです。 ふたりは砂漠に転送されますが、アドニスは怪我の影響で気を失ってしまいます。そこを「汚染民」と呼ばれる者たちに助けられ、しばらく彼らのもとで過ごすことに。久々にコミカルなシーンも描かれ、束の間の癒しを得られました。 アドニスとドロカの関係性も徐々に変化しつつあり、その描写にもほっこりします。しかしこれまで壮絶な展開を見てきたので、この時間は長く続かないんだろうなと疑う気持ちがどうしても……。

自身の夫を殺して女王となったドロテーアは、自身の目的を達成するためアドニスの首を手に入れたいようです。それゆえ彼らのもとにはあちこちから刺客が差し向けられることになります。 そんなことはつゆほども知らないアドニスとドロカは、あちこちを放浪中。天真爛漫なドロカが可愛らしく、アドニスも鬱陶しそうにしつつ少しずつ心を開いているようです。雑な扱いもなんだか照れ隠しのように見えてきます。 しばらく平和な時間が続いたものの、ラストではリディア帝国諜報局の局長・シロウサギが登場しました。雰囲気も言動も何もかもがヤバそうで、先行きが不安でしかありません。

シロウサギの強さは異常で、アドニスとドロカはあっという間に追い詰められてしまいます。さらにドロカは戦闘中に捕まり、両目をえぐり取られることに。想像するだけで痛そうなのに、アドニスのため強がるドロカに胸が締め付けられました。 そんな中、アドニスがドロカに「愛の魔法を俺にかけろ」という場面が。ドロカがそれに応じると、アドニスのケガが完治し、身体能力が強化され、魔力が底上げされます。こうして彼らはシロウサギに無事勝利をおさめるのでした。 それにしても、作中でたびたび登場する「多重奏宇宙(アンサンブルバース)」という言葉が気になりますね。パラレルワールドのようなものなのでしょうか。ドロカとドロテーアがよく似ているのも、このあたりが関係しているのかもしれません。

ドロテーアの要請により、四大国(クラウンズ)がアドニスの討伐に本格的に乗り出します。どの国のトップにも濃い面々が集結していて、キャラが大渋滞していました……。 一方、アドニスはドロカを気遣いながら旅を続けていました。落ち込む彼女にやさしい言葉をかけたり、あれこれ世話を焼いたりする姿は、以前の彼とまるで別人です。 ふたりの次なる目的地はマークポイント医療国。もちろんその目的はドロカの目を治すためです。この国は四大国のうちのひとつでもあるので、一波乱ありそうで心配になってきました。 アドニスの表情がずいぶん柔らかくなってきましたが、彼自身はその事実を受け入れがたいようす。復讐はまだまだ続くようで、ハラハラさせられます。

マークポイント医療国に辿り着いたアドニスたち。ここでドロカも治療を受けられる……かと思いきや、2人は催眠ガスを使われて捕縛されてしまいます。窮地に見える場面ですが、ここで1枚上手だったのはアドニスの方でした。 彼は自身が乗って来た船に魔法を忍ばせ爆発を起こしたうえ、自力で昏睡から目を覚ますことにも成功。そしてここでも戦いは避けられず、アドニスとマークポイント医療国は敵対することに。 ドロカの治療を巡る戦いは激化の一途をたどっていきますが、果たしてアドニスはその目的を達成することができるのでしょうか……。

悪意を持って出迎えて来たマークポイント医療国に対し、それ以上の悪意で反撃をしていくアドニス。その圧倒的な力で場を支配し、アドニスは天才医師であるハイドラと対話を開始します。当然平和的に話が進むはずもなく、アドニスからは恐ろしい提案が。 なんと彼は「ドロカの目を10分以内に治せ」と要求。しかもアドニスはマークポイント医療国で生きる人々を人質にとり、その治療を強要してきたのです。手段を選ばないアドニスに対し、ドロカの想いを持ち出すなど、なんとか説得を試みるハイドラ。 しかしアドニスはその話を聞かず、自らの意見を曲げようとしません。そんな窮地のなかハイドラは誰もが予期せぬ行動に出て……！？

ページをひらいたとき、真っ先に目を奪われるのがそのハイレベルな画力。美しさと迫力を両立した筆致で描かれる世界は非常に魅力的で、激しいバトル描写も読者の心を掴んで離しません。 そして何より、本作最大の魅力は「人間への復讐」という壮大なテーマにあります。ダークな目的を中心にすえた本作は、他のファンタジー作品にはない「エグい」描写が盛り沢山。一般的なファンタジーじゃ物足りない、刺激のある作品を楽しみたい！そんなあなたに是非ともオススメしたい作品です。