映画『渇水』原作結末ネタバレあらすじ解説と考察感想！ラストから読み取れる生の哀しみとは

芥川賞の候補作にもなった『渇水』。30年の時を経て生田斗真主演で2023年6月2日公開されました。さらにプロデュースは「孤狼の血」の白石和彌が担当、重厚な人間ドラマが描かれます。 この記事では映画のあらすじやキャスト、そして原作結末のネタバレまで徹底的に解説します！

本作の主人公は水道局員の岩切俊作(生田斗真)です。水道代金を滞納する世帯の「停水執行」で日々滞納者からは嫌われ、プライベートでは妻・和美(尾野真千子)と子供が出ていき、心の「渇き」を感じていた岩切。 猛暑が続く夏、次の仕事場は育児放棄されている姉妹の家でした。葛藤もありながら停水作業に入る岩切は「停めるんですか、水道」と姉妹に問われ……。生きるために不可欠な水を停める「停水執行」を通して、生の哀しみが描かれます。

原作・河林満の『渇水』は、表題作「渇水」を含む4編からなる短編集。すべて「死」がテーマとなっています。 1990年に発売され、その年の文學界新人賞を受賞しました。さらに第103回芥川賞の候補に入るほど高い評価を得た名作です。

水道局員の岩切は同僚の木田と3年間水道代を滞納している小出秀作宅に向かいます。停水作業中、5年生の恵子と3年生の久美子の姉妹が帰宅し、水が止まるのかと質問してきました。岩切は家の風呂やボウルなどに水を貯めさせてから停水し別れます。 岩切には妻と子供がいましたが2週間前から別居中。仕事も滞納者から逆ギレされる毎日で心の「渇き」を感じながら生活していました。 猛暑日、停水作業をしながら岩切は彼女たちの安否が気になります。夜、姉妹の家を通るとテレビの明かりがあり安堵し帰宅しました。

岩切俊作は水道局に務める男性。「停水執行」の仕事や家族との別居などで心が空虚になっていました。ある夏の日、子育て放棄された姉妹の家の水を停止してから姉妹の安否や家族について気にかけるようになります。 演じるのは生田斗真。『人間失格』(2010)の映画デビューから長年第一線で活躍しており、本作は『湯道』(2023)に続く主演を務めます。

小出有希は双子の姉妹の母。岩切に育児放棄の疑いを指摘され苛立ちを隠しません。 演じるのは門脇麦です。『愛の渦』(2014)のハードな役柄から『チワワちゃん』(2019)の明るいキャラまで何でもこなせる演技派女優です。

木田拓次は岩切とともに「停水執行」を行う同僚。原作では岩切が姉妹への思いや停水業務の愚痴などを木田に話します。 演じるのは磯村勇斗です。『ビリーバーズ』(2022)で映画初主演をかざるなど注目度が益々上がっています。

小出恵子は小出家の長女。岩切がたまたま見かけたスーパーで、精算前の商品を手にして……。 演じるのは山崎七海です。Official髭男dism『I LOVE...』(2020)のMVが話題となり映画やドラマに進出しました。

小出久美子は小出家の次女。特報のラストでは着衣のまま姉に手を引かれプールへ向かいますが果たして……。 演じるのは柚穂です。2014年生まれの子役で、本作が映画デビュー作となります。

伏見は水道料金を滞納する男性。 演じるのは宮藤官九郎です。「木更津キャッツアイ」などの名脚本を手掛けながら、俳優としても大活躍しています。

佐々木課長は水道料金課の課長。 演じるのは池田成志です。舞台を中心にドラマや映画、さらに『天元突破グレンラガン』(2007)では声優も務めました。

岩切和美は俊作の妻。夫とは折り合いがつかず息子と出ていってしまいます。 演じるのは尾野真千子です。高い演技力が評価され『ハケンアニメ』(2022)で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞しています。

本作の監督を務めるのは高橋正弥。長年、主に助監督として活躍しており『少年メリケンサック』(2008)や『TOO YOUNG TO DIE！若くして死ぬ』(2016)では宮藤官九郎監督のもと仕事をしています。

本作のプロデュースは白石和彌。「孤狼の血」シリーズや『死刑に至る病』(2022)など人間の生々しさを描いた名作を多数手掛ける名監督です。 本作を「社会の厳しさを描く反面、それでも強く生きていこうと思わせてくれる作品」と表現しています。

原作は予想外なラストを迎える『渇水』。特報では原作にない描写もあり、どのような展開をみせるのでしょうか。映画『渇水』は2023年6月2日公開です。