漫画『生活保護特区を出よ。』最新巻まで全話ネタバレあらすじ＆感想！格差をめぐる人間ドラマ

『生活保護特区を出よ。』は「このマンガがすごい！2023」のオトコ編で11位にランクインした話題作。貧困や格差をテーマに社会的弱者の姿を描く意欲的な作品です。 本記事ではそんな『生活保護特区を出よ。』のあらすじを最新巻までネタバレしていきます！作品の見どころもあわせて紹介しているので、気になる人はぜひチェックしてみてくださいね。

戦争を機に荒れ果てた日本で政府は、福祉と治安維持という名目で東京を「新都トーキョー」として生まれ変わらせ、それと同時にさまざまな理由で自立できない者を住まわせる「生活保護特区」を作りました。生活保護……というと聞こえはいいですが、実質隔離政策のようなものです。 「マントラアーヤ」の俗称で知られる生活保護特区は、最低限の生活保護を受けられる一方で治安は悪いという噂。平凡な女子高校生・フーカが突如特区への移住を強いられたことから、この物語は動き始めます。 勉強が苦手で不器用、かつ周りの皆ができることができない自分に自己嫌悪を抱いていたフーカ。しかしマントラアーヤの人たちはそれぞれの事情を抱えながらも、そんな彼女を切り捨てることは決してありませんでした。 人と接するのがあまり得意でないらしいサダカ、腕に無数の傷跡があるサイブク、頭に大きな傷のあるトウタをはじめとした仲間との日々に、フーカは少しずつ慣れていきます。

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「読み聞かせ」という自分の特技に気付いたフーカは、マントラアーヤ唯一の放送局「ウラミ放送局」で本を朗読する仕事を始めました。一方で住人との交流も深まり、特にサダカとは気心の知れた友人同士といえる関係になっていきます。 そんな中、フーカはマントラアーヤの一大イベントである「日の出祭り」で、この地の神・ウルの物語を読んで聞かせる「話し手」という大役を担うことに。人間関係のすれ違いやちょっとした歪みなども描かれつつ、フーカは皆と過ごす日常のなかに救いを見出していきます。

祭りでの話し手という大仕事にプレッシャーを感じるフーカですが、そんな彼女をよそに準備は着々と進んでいきます。そしてついに迎えた当日、周りの支えもあってフーカは立派に役目を果たすのでした。 その間トウタが買ってきてくれた屋台の食べ物を楽しんだり、皆で歌ったりサダカと踊ったりしつつ、「人生の中で最高」と思えるほどの充実した時間を過ごします。 一方で1巻から存在が匂わされていたフーカの祖父・古田開花についての情報が少しずつ明かされてきました。どうやら彼はウラミ放送局の局長とも付き合いが長かったようですが……？

本作でおもに描かれるのは、国から「自立できる力がない」と判断され特区に隔離されてしまった人々の姿。彼らが置かれている環境は決して恵まれているとはいえず、それぞれが抱える事情は非常に複雑です。しかしそれを踏まえたうえで、単に悲惨なだけでない彼らの生活が生き生きと描かれています。 役立たずの烙印を押されながらも懸命に生き、支え合おうとする登場人物たちを見ていると、人生について改めて深く考えさせられます。

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主人公のフーカを中心に「特区」で暮らす人々の生活を描く『生活保護特区を出よ。』。まだ2巻までしか発売されていない作品ですが、すでに読める部分だけでも密度が濃くあれこれ考えさせられます。今後物語がどう展開していくのか楽しみですね。