漫画『Piece』最終回までネタバレあらすじ＆感想！元同級生が遺した軌跡をたどる切なくも温かいラブストーリー

亡くなった元同級生の過去を紐解きながら、当時は見えなかったそれぞれのドラマに迫っていくラブストーリー作品『Piece』。 この記事では人気漫画家・芦原妃名子の代表作でもある『Piece』のストーリーをネタバレ込みで最終回まで解説していきます。徐々に明らかになっていく真実と、思いがけない物語の結末に大注目です！

高校時代の同級生・折口はるかの訃報を受け、葬儀に参列した主人公の水帆。そこで久しぶりに会う高校の面々の中に、当時少しだけ関係を持っていた成海の姿を見つけます。 成海は人気者だけど何を考えているか分からないようなヤツで、クラスの中で浮いていたはるかに唯一話しかけていた人物でもありました。 その後始まった告別式の最中、水帆ははるかの母から「生前娘と仲良くしてくれてありがとう」と呼び止められます。水帆は全く身に覚えがなかったものの、娘に友達が居なかったとは言い出せず話を聞くことに。 はるかの母は水帆に、高校時代に娘が交際していた相手を探してほしいと言ってきました。さらに当時はるかはその男の子どもを身ごもり、堕胎したというのです。

水帆は人付き合いが苦手で他人に壁を作ってしまう自分を変えるため、はるかの母親の頼みを引き受けることに。少ない手がかりの中、手始めにはるかと交流していた成海に話を聞きに行きました。 そして成海をきっかけに、当時はるかのことを好きだった矢内先輩や、セクハラ教師と噂されていた宮本先生の元に辿り着きます。どちらもはるかの相手ではなかったものの、宮本の証言により当時彼女が誰かと交際していたことが明らかになるのでした。 はるかの過去をたどっていく一方で、水帆は図らずしも自身や周りの記憶も振り返ることになっていきます。そして当時水帆が唯一心を動かされた人物・成海の過去も明らかになっていくのです。

実は成海には比呂という兄がいました。2人は心療内科医である母親の実験体として、別々の環境で育てられていたのです。 その結果2人は全く正反対の性格に。成海が無感情かつ怖いもの知らずな一方で、比呂は非常に内向的で臆病な性格をしていました。つまり成海の無気力で時に非情な人格は、母親の実験によるものだったのです。 さらに過去を掘っていくうちに、母親に隠れて比呂と交流していた成海は兄をいじめていた男子に怪我をさせたことがあると判明。後日はるかがその男に彼氏が怪我をさせたと謝罪していたと明らかになります。こうして水帆ははるかの相手が成海だと確信するのでした。

いじめっ子に怪我をさせたのは成海ではなく兄の比呂でした。つまりはるかの彼氏は比呂だったのです。しかし比呂がはるかを妊娠させることは物理的に難しく、子どもの父親は分からずじまいに。 そんな折、実は妊娠していたのがはるかではなく、水帆たちの同級生である礼美だったということが判明します。はるかは1人で悩む礼美のため、協力していただけだったのです。そして成海は、はるかが生前に残した手紙を比呂へ届けに来ます。 真相が分かり、成人式を迎えた水帆たち。20歳になったら家を出るという決まりになっていた成海は、水帆に惹かれながらも何も言わず姿を消してしまいます。 既に自分の気持ちを再確認していた水帆は成海が消えたことに落ち込みつつも、様々な人たちとの関わりを通して自分が変わったと実感していました。そして過去を捨て、前を向いていくと決意します。

亡くなった同級生・はるかの過去を紐解いていく中で、はるかやその周辺の人々の当時のドラマが浮き彫りになっていくというストーリー展開の本作。一見普通の高校生に見えた彼らはそれぞれ誰にも言えない秘密や葛藤を抱えていました。 人々の記憶に残ってすらいなかったはるかが、どれだけ魅力的で愛に溢れた人物だったのかも水帆は時を経て知ることになります。彼女の知られざるドラマが今を生きる人たちにも大きな影響を与えているのだと繋がった瞬間、切なくて温かい感情が胸に広がりますよ。

本作の主人公。昔から感情表現が苦手で、そのために周囲から冷めた人間だと思われがちです。自分では大切にしているつもりだった彼氏に浮気されたことをきっかけに、自分を変えるため亡くなった同級生の過去を調べ始めます。

水帆の高校時代の同級生。ルックスもよく他人との距離感が近いため女子からモテるものの、誰とも深い関係にはならず周囲から何を考えているか分からないヤツと思われています。当時は水帆とも少し体の関係を持っていました。

水帆の元同級生。19歳という若さで乳がんが原因で亡くなりました。学校では地味で目立たない印象を持たれていた彼女ですが、家族の前では明るく元気な子だったようです。母親に心配かけまいと水帆と仲が良いと嘘をついていました。

本作を手がけているのはドラマ化・映画化作品を数多く輩出してきた人気漫画家の芦原妃名子です。代表作は小学館漫画賞を受賞して映像作品にもなった『砂時計』や、2023年のドラマ化で話題になった『セクシー田中さん』など。 1組のカップルの長年に渡る一途な恋の奇跡を描いた『砂時計』は、単行本の累計発行部数が700万部を突破するほどの大ヒットを記録しました。 続く『Piece』では『砂時計』の爽やかかつピュアな恋物語から一転、ミステリーちっくなストーリー展開が読者の心を惹きつける無慈悲で切ない物語が描かれていきます。2012年には中山優馬、本田翼のW主演でTVドラマ化も果たしました。