漫画『君がいない世界』最終回まで全話ネタバレあらすじ＆感想！韓国発の時空を跨ぐ青春SFファンタジー

1人の女子高生がとある事件をきっかけに、繰り返される時間の渦に巻き込まれていくSF漫画『君がいない世界』。 この記事では本作のストーリーをネタバレ込みで最終回まで一挙解説。実際に読んでみた感想や、物語の見どころなども解説していきます。 配信状況の紹介もしているので、購入を考えている人も参考に読んでみてください！

平凡な女子高生の陽子は、ある日ラッパのような音で目を覚まします。その日は弟・陽太の誕生日。弟を祝う両親の姿を横目に、陽子はいつも通り親友の美穂と共に学校へと向かうのでした。 その日の放課後、陽子は陽太が帰ってこないという知らせを受けます。家に帰るまでの道のりで、陽太は忽然と姿を消してしまったのです。 陽子たちの必死の捜索も虚しく、何の手掛かりもないまま6ヶ月がすぎ、夏だった季節は冬へと移り変わっていました。

行方不明から6ヶ月後、失踪したときの姿のまま突然陽太が帰ってきました。どうやら本人には半年間の記憶が全くなく、今日はまだ自分の誕生日だと思っているようです。しかし半年の間に家族は崩壊。酒におぼれた父親は帰らぬ人となっていました。 陽太は帰ってきたけどもう元の人生には戻れない……。そんな虚しさを抱えながら眠りについた陽子は、再びあのラッパの音を耳にします。そして目覚めると、陽太が失踪した半年前に時間が戻っていたのです。

自分だけが失われた6ヶ月間の記憶を持っていることに困惑する陽子。辛い記憶と折り合いを付けられずにいた彼女は、以前接触してきた時間管理局の人間を探そうと決意します。 しかし有力な手掛かりは掴めず、このまま今の幸せが続くのを祈るしかないと思い始めていた矢先。陽太が失踪したときに良くしてくれていた同級生・優の母親が交通事故で亡くなったことを知るのでした。

消えた6ヶ月では起こらなかった優の母親の死に、責任を感じてしまう陽子。葬儀の喪主を務める優の姿を見て、「違う時間」が存在していたことを伝えなければと思います。 しかし話を切り出そうとした瞬間、時空に渦のようなものができ、中から時間管理局の人間が姿を現しました。そして彼らは優を渦の中に引きずり込み、跡形もなく姿を消してしまったのです。

優の失踪から半年がたった頃、彼が別の時間にいると気が付いていた陽子は時間管理局の元を訪れます。彼らは陽子の顔を見るなりどの時間に何があったかを事細かに聞いてきました。そして優を拉致した日時を聞くと、時空の渦を作り出し葬儀の日から優を連れてきたのです。 しかし優を捉えられたのは束の間。実は時間能力者だった優は時を巻き戻し、管理局の手から逃げ出してしまうのでした。

再び6ヶ月前まで時間が巻き戻り、陽太の誕生日当日。優が陽太に会いに行ったと知った陽子は、急いで2人のもとに駆け付けると、優を厳しく問い詰めます。 しかし陽太失踪は優の仕業ではないこと、そして母親のため時間を巻き戻していると知り何も言えなくなってしまいました。 優の時間の中に閉じ込められ、成すすべがなくなった陽子は、今は外国に住んでいる彼の父親にコンタクトをとります。

優の父親に連絡した陽子は、優には子どもの頃から時を戻す力があり、母親だけがその全てを覚えていたと知ります。そして当時、管理局といざこざがあり母親は優を彼らに渡してはならないと考えたのです。その後父親は2人の問題を抱えきれず、1人で家を出てしまいました。 メールを読み終えた陽子は、詳しい話を聞くため優の母親の元を尋ねることにします。

優が帰宅してしまったせいで、母親からは結局何も聞けずじまいに。その代わりに、優が何度時間を戻しても母親の死を避けられずにいたことに悩んでいると知ります。 しかし何度も死を体験することで母親の精神状態は不安定に。ある日、やっと母親の死を回避できたと思ったら、今度は同級生の弟、つまり陽太の失踪事件が起こってしまったのです。

優の苦しみを知り、完璧な時間を作る協力をしようと考えた陽子は、時間を戻すことなく彼の母親を救うため美穂の力を借りることに。決して彼を時間管理局に引き渡したりしないと決意します。 そして運命の日。日付が変わるのを確認してから眠りについた陽子は、深い眠りの中、けたたましいラッパの音が鳴り響く夢を見るのでした。

時間は巻き戻っていなかったものの、妙な胸騒ぎがして事故が起こる現場へと駆け付けた陽子は、そこで何も知らないはずの優に出会います。しかし彼の話から自分が記憶していない時間の巻き戻しがあったと気が付きました。 さらに今回の巻き戻しにはどうやら美穂が大きくかかわっているらしく、彼女は優を引き渡すため管理局を呼んだと告げるのでした。

優が時間管理局に出頭したことで、彼が能力を使い巻き戻した全ての時間が消え始めました。時間が崩れていく中で、陽子は美穂から全ての真実を聞かされます。 実は陽子のお願いのせいで美穂は交通事故で死に、そのたび優が時間を巻き戻していたのです。そして完璧な時間を作るのは不可能だと悟り、優は管理局に身を任せることに。さらに全てのきっかけを作るため、美穂が陽太の失踪を引き起こしたことも明らかになります。 こうして全ての時間は正され、世界はまた未来へ向かって動き出したのでした。

弟の失踪、家族の崩壊、そして時間を操る能力……。物語冒頭から怒涛の展開が続き、一気に物語の世界に引き込まれる没入感がなんとも魅力的な本作。時間を何度も繰り返す中で次々と真実が明らかになっていく展開に手に汗握ります！ ほんわかとしたイラストの雰囲気からは想像もできない骨太ストーリーに圧倒されること間違いなし。そして最後には切なさと温かさが胸に残る読後感に暫く浸ってしまいますよ！