漫画『異世界女王と転生デザイナー』最終回まで全話ネタバレあらすじ＆感想！服装から世界を変える！転生ヒロインの成り上り譚

ある日前世の記憶を思い出した少女・ユーリは、ファッションデザイナーになりたかった前世の夢を叶えるべく動き出します。 そして大商団・カーレの団長であるレスタに才覚を見出され、男装を条件にビジネスパートナーとして契約。機能的かつ斬新なデザインと大量生産を可能にするパターンを武器に、20歳で貴族たちが足しげく通う名店・アタラクシアの店主にまで登り詰めました。 そんなある日のこと、王都バレンシアからとある人物のため服を探しにやってきた男性・エナンと出会ったユーリ。依頼主はかなりの富豪だと踏み、気合いを入れてドレスを仕立てます。 そして見事に依頼主から気に入られ、専属契約を結ぶ流れに。それと同時に依頼主の正体が29歳にして99の国を統一した女傑、バレンシア女王のセシアだと知るのでした。

女王に謁見するため王宮に出向いたユーリでしたが、途中で案内役の宮女が倒れるという事件が発生。気道確保のためコルセットを脱がせたことであらぬの嫌疑をかけられてしまいます。 宮女の証言によって厳罰は免れたものの、女王に仕える条件として王宮で働く人々、500人が気に入る服を1ヶ月で作らなければならなくなってしまいました。 無理難題を投げつけられ途方に暮れるユーリ。しかし自分のために商団を畳んでも構わないと言ってくれたレスタのため、女王の挑戦を受けて立つと決意しました。 そして事件の噂のせいで冷遇されながらも、誠意を見せ続けることで何とか女王付きの裁縫職人たちに協力してもらえることになります。

女王の要求に応えるべく、ファスナーの開発に着手したユーリ。優秀な鍛冶職人と何度も打ち合わせを重ね、着脱の手間を大幅に削減できる服の制作に成功します。その機能性が女王にも認められ、剥奪された全ての名誉の回復、そしてクロードという性と準男爵位を与えられるのでした。 さらには内政諮問官としての職務も与えられ、服を作るだけではなく内政に関わる雑務もこなすことに。休む間もなく働く中、ずっと自分のことを気にかけ続けてくれた公爵・エナンと打ち解け始めます。 ある日、体形の採寸をするため家にエナンを招いたユーリは、思いがけず同行してきた女王と共に休日を過ごすはめになるのでした。

王宮で女王からも他の使用人たちからも信頼されるようになったユーリは、王国の領主たちが一堂に会する大行事・春の大宴会に向けた女王のドレス作りに奔走していました。 しかし女性はコルセットを着用するものという根強い風習を前に思うような服作りができず、頭を抱えるばかり。 そんな折、南の大国・アスワンから領主のアルシノエがバレンシアへやってきます。大陸を統一する遠征の最中に縁があり、アルシノエとエナンは恋仲を噂されていました。 実際にアルシノエはエナンに想いを寄せているようで、周囲から結婚を進められるエナンでしたが、彼の脳裏にはなぜかユーリの姿が浮かんでいました。

ユーリと打ち解けていくうちに、エナンは彼に対する感情が単なる友情とは違うと自覚し始めていました。 ユーリ自身もいつからかエナンを男性として見ていたことに気付いていたものの、来たる大宴会やバレンシアの過酷すぎる夏への備え、支店のオープンなどやることは山積み。やっと芽生えた恋心も早々に蓋をしてしまいます。 そして迎えた大宴会初日。王女は従来のドレスとは全く違った、コルセットを付けず体のラインを出すという斬新なドレス姿で領主たちの前に現れました。その美しさに領主たちは圧倒され、ユーリの仕事はまたしても大成功をおさめます。 しかし翌日の大宴会2日目、ユーリは森で熊に襲われてしまい寸前のところでエナンに助けられるも、浅はかな行為を叱られてしまうのでした。

ユーリの危機に直面し、改めて自分の感情が恋だと自覚したエナン。女王が手がける事業のためユーリがアスワンに出向くと知り、自らも同行を志願します。 そして迎えた大宴会の最終日、ユーリが女王のために仕立てた最後のドレスはなんとパンツスーツ。これまで男性が履くものとされてきたズボンを女王に着せることで、女王が作る新しい世界を示したのです。 その後、アスワンに行くことをレスタに伝えたユーリは、同行するという彼の申し出を断ります。そしてレスタの気持ちに気が付いていることを伝え、これまでの感謝と気持ちには答えられないことを告げるのでした。

ユーリとレスタが話し合う姿を見て、2人が恋仲だと勘違いしたエナン。アスワンへ向かう馬車の中、1人悶々と考え込んでしまいます。その一方でユーリは今まで知らなかったエナンの過去や、意外な一面を知り親近感を抱くようになっていました。 そんな折、不運にも生理が来てしまったユーリ。なんとか宿泊場所まで辿り着いたものの、お風呂上がりの姿を同行していた文官のアイビー嬢に見られてしまいます。当然女であることもバレ、絶体絶命のピンチに。 しかし男社会の中で生きていく辛さを知っているアイビー嬢はユーリの苦悩を理解し、今後のサポートを約束してくれたのでした。

アスワンへ渡るため、陸路から海路へと切り替えた一行は、そこで北アスワンの元王子・ニーゲルと出会います。そしてユーリはいとも簡単に女であることを見抜かれてしまい、口外しないという約束は取り付けたものの、男装を続けるのも限界があると悟ります。 そして自分が女性に戻ったあと、周囲の人間がどう反応するのかと同時に、エナンに対する自分の気持ちを改めて考えるのでした。 それから数日後、一行は無事アスワンに到着。アルシノエとエナンを熱烈に支持する国民たちの姿を見て、2人がお似合いのカップルであることを嫌でも実感してしまいます。

アスワンに到着して2ヶ月。各々の奮闘によりリネン事業は順調に進んでいたものの、ユーリはハードすぎるスケジュールに辟易していました。 連勤、残業は当たり前、誰も休みを取らない状況を変えるべく、ユーリはエナンに休暇を申請します。そして勝ち取った休暇を使い、かねてから生理用品の材料にと考えていた海綿を集めるためアスワンの海を訪れるのでした。 そして海綿集めに夢中になっているうちに高波にさらわれそうになってしまったユーリ。危ない所をエナンに救われた際、彼の美しい瞳に吸い込まれるように、ユーリは思わずエナンにキスしそうになってしまいます。 その日を境にエナンはぱったりユーリの前に姿を現さなくなってしまいました。

海での一件以降、きちんと話せないまま数日が経過したユーリとエナン。きちんと話し合おうと思いエナンの元を訪れたユーリは、ニーゲルが自分の正体をエナンにバラしている場面を目撃してしまいます。 そしてどうしていいか分からずその場を逃げ出したユーリは、夜のジャングルで迷子に。さらに足を滑らせて川へ落ちてしまいます。するとそこへユーリを探しにやってきたエナンがあらわれ、ユーリは一命をとりとめました。 その後紆余曲折ありつつも、互いの気持ちを知ったユーリとエナン。少し恥ずかしそうに抱き合いながらキスをするのでした。 しかしその矢先、バレンシアで事件が発生。ユーリにも親切にしてくれていた元王室裁縫師のベロニカがユーリの名前と技術を盗み、店を出したという知らせが入ったのです。

バレンシアへと戻ったユーリは直接ベロニカの元を訪れ、借金に苦しむ彼女の事情を察します。そして借金を肩代わりする代わりに自分の元で働いてもらうこと、そしてゆくゆくは裁縫学校の講師になって欲しいと伝えるのでした。 さらにベロニカとの交流がきっかけになり、ユーリはアスワン産のゴムを使ったコルセットを開発。コルセットは瞬く間に人気商品となり、ユーリの評判はさらに大きくなっていきました。 自分の領地へ顔を出していたエナンもバレンシアへと戻ってきて、ユーリは久しぶりに会った彼に今の夢を打ち明けます。それは女性が胸を張って働ける世の中を作るというものでした。

アスワンで進めていたある事業が失敗し、多額の負債を背負ってしまったユーリ。そんな折、ユーリの事情を知った女王から結婚の申し出を受けます。 もともとユーリの人柄を痛く気に入っていた女王は、自分と結婚すれば負債も返せるうえに学校を作るという夢の援助もできると言ってきました。 するとそこへプロポーズの話を聞きつけたエナンが乱入。ユーリは今にも暴走しそうな彼を制止し、自らの口で結婚はできないこと、自分が女性であることを女王に告げます。女王はユーリの懺悔を笑って許してくれ、その寛大な対応に、ユーリは涙を流して喜ぶのでした。

処罰を受けない代わりに、服飾の学校を作り、既製服の制作を国営事業にするという使命を与えられたユーリ。周囲に女性であることを隠す必要もなくなり、エナンと結婚をすることも可能になりました。 エナンもその事はわかっていましたが、夢に向かって全力を尽くす彼女を前に、「今はその時ではない」と見守ることを決意。一方のユーリは貴族も平民も平等に教育を受けられる服飾学校の計画を、必ず成功させると意気込んでいました。 場面はかわり、それから3年後。とある貧しい平民の少女が、意にそぐわない縁談を機に家を飛び出しました。少女が向かった先は「クロード女学校」。ユーリの努力によって、少女たちが人生を選択できる世界がやってきたのです。

※2024年2月15日現在、121話から最終話の130話まではコミックシーモアではまだ未配信で、連載元のcomicoでしか読むことはできません。

前世の記憶を活かして異世界で成り上がっていく王道サクセスストーリーでありながら、現代にも通ずるような社会問題に切り込んだ本作。女性が胸を張って働ける社会を「服装」の視点から実現していくストーリーに引き込まれました！ また女の身で頂点まで登り詰めた女王と、男装して男社会の中を生きていく主人公の対比も面白いポイント。ファンタジー作品ながら共感できる部分も多く、自分らしく生きるとはどういうことなのか考えさせられます。