漫画『ドールハウス』のネタバレあらすじ解説＆ラストシーンの謎を考察！【2025年映画化決定】

人形を本当の子どものように可愛がっていた夫婦が、娘を授かったことをきっかけに恐ろしい体験をするストーリーの青年漫画『ドールハウス』。 この記事ではコミカライズ『ドールハウス』と映画版のあらすじをネタバレありで紹介！映画の見どころやキャスト陣も解説します。* ※本記事は漫画・映画『ドールハウス』をネタバレありで結末まで紹介しています。未読・未鑑賞の方はご注意ください。

「捨てても、お祓いしても帰って来る」。 ５歳の愛娘・芽衣を不慮の事故で失った鈴木佳恵(長澤まさみ)と夫・忠彦(瀬戸康史)。佳恵は、骨董市で見つけた人形を娘のように可愛がり、傷ついた心を癒やしていました。 しかし、次女・真衣が誕生すると人形への愛情は薄れていきます。成長した真衣は勝手に人形を持ち出し、その頃から恐ろしい出来事が立て続けに起こり始めました。 そして人形を手放そうとするも、なぜか必ず返ってくるのです。人形に隠された秘密とは？そして、待ち受ける衝撃の真実とは一体ーー！？

5歳の娘・芽衣がかくれんぼで洗濯機の中に入り込み、窒息して亡くなるという痛ましい事故を経験した佳恵。それ以来夫の忠彦にも笑顔を見せなくなり、セラピーに通う日々を過ごしていました。そんな時、骨董市で芽衣に似た人形を見つけ、替わりに可愛がるようになります。 忠彦はそんな妻の様子を心配していましたが、人形が傷ついた心を癒すドールセラピーがあると聞き、少しずつ受け入れていきました。そうして次第に心の健康を取り戻していった佳恵に、新たな命が宿ります。生まれてきた次女は真衣と名付けられ、5年の月日が経ちました。

5歳になったある日、クローゼットの奥に眠っていた日本人形を見つけ、一緒に遊ぶようになった真衣。佳恵に人形と話ができると言い、名前は「アヤ」だと告げます。しかしアヤと遊ぶようになってから、真衣の様子に異変が。 友だちに噛みついたり、幼稚園で人が首を吊っているような恐ろしい絵を描くようになったり、明らかにアヤから悪影響を受けているよう。そのうちに、佳恵の方もアヤがまるで生きて動いているかのような錯覚を感じるようになります。 夜中に布団に潜りこんできたのがアヤだったり、真衣とアヤが入れ替わっている幻覚にも囚われるようになっていました。

また心が不安定になってしまった佳恵は入院し、近くの寺で人形のお焚き上げ供養をしてもらうことに。アヤが焼かれるのを確認した忠彦でしたが、寺の僧侶が金目当てに人形をすり替えており、アヤは再び鈴木家に戻ってきました。 しかもアヤの口から子どもの歯が出てきたためCTスキャンを撮ると、なんと本物の子どもの骨格が映し出されたのです。忠彦は呪禁師の神田と連絡を取り、安本浩吉の研究家に会いに行きます。 アヤの正体が昭和初期に行方不明になった礼という少女の骨格から作られたものだと知った忠彦と佳恵。しかもそれを作ったのは、礼の父親である人形作家・安本浩吉でした。

病弱だった礼は母親に無理心中させられ、彼女だけ死亡。妻の罪を隠蔽するために浩吉が礼を人形に作り替え、生き残った母親が亡くなった時に一緒に棺に入れて埋葬されていました。ところが盗掘目的で掘り起こされ、骨董市に流れ着いた模様。 アヤの怨念は母親への憎しみであり、佳恵への執着は強く、実は真衣に成り代わろうとしていたのです。そうとも知らず、佳恵は母親と引き離されたアヤを一緒の棺に戻そうと、忠彦と2人で神無島へ。何とか棺を見つけ出してアヤを一緒に入れますが、そこで2人は“無事にアヤを戻した”という幻覚を見ることに。 アヤの供養ができ、元の生活に戻ったと思っていた佳恵と忠彦。しかし実際は、アヤを真衣と思い込んでいたのでした……。

佳恵と忠彦は神無島で、アヤを棺に返したと思っていました。確かに蓋を閉じ、引っ張られた佳恵の髪の毛も、大切に持っていた芽衣の写真立てのガラスで切った……そう思っていました。無事に家に帰ってきた2人は、真衣との平穏な生活に戻れたはず。 ところが、マンションから出てきた2人が連れているのはアヤで、祖母と一緒にいた真衣を見もせずに横を通り過ぎていきました。アヤは優しい両親である佳恵と忠彦を手中に入れ、完全に真衣と入れ替わってしまったのです。それこそが、アヤの目的だったのでした。

子どもの多い住宅街に住んでいた佳恵は、家に遊びに来た芽衣の友だちのために買い出しに出かけていました。近所のスーパーとはいえ、家の中は小さな子どもたちだけ。その間にかくれんぼをしていた芽衣は洗濯機の中に隠れてしまい、友だちは彼女を探し出せず放置してそれぞれの家に帰ってしまったのです。 誰も芽衣の行方を知らず、佳恵は警察と忠彦に連絡しますが、お茶をこぼしたテーブルクロスを洗濯機に入れようとした時に芽衣が中で亡くなっているのを発見したのでした。佳恵の洗濯機のトラウマが、後々伏線としての恐怖として描かれています。

真衣にかくれんぼをしようと言われ、慄きながら洗濯機の中に隠れた真衣をのぞき込む佳恵。その瞬間に飛び出してきたのがアヤだと錯覚した佳恵は、思わず叩き落してしまいます。 病院に運び込まれた真衣の背中にはおびただしいひっかき傷が。ストレスでかきむしっていた佳恵の腕が映し出され、まるで彼女が真衣を虐待していたかのように思えますが、おそらく実際は真衣の背中をひっかいたのはアヤではないでしょうか。真衣は以前、佳恵に「アヤちゃんが痛いことする」と訴えていました。

チャッキーやミーガンなどの洋画の名作ドールホラーに引けを取らない、日本ならではのドールホラー。とにかく人形のアヤの無表情が逆に空恐ろしい。ホラー初挑戦の長澤まさみも本作にピッタリで、これは新境地かも。

本作の主人公・鈴木佳恵は、亡くなった娘の代わりに人形を愛するようになる女性。しかし新たな子どもが生まれたことで、人形への執着が薄れていきます。 演じたのは「怖い映画」初主演の長澤まさみ。明るいキャラや恋愛もののイメージが強い長澤まさみの、叫び顔や狂喜する演技に注目です。

鈴木忠彦は主人公・佳恵の夫であり、看護師として病院に勤務する男性。妻が人形を可愛がる様子に驚くも「ドールセラピー」という言葉を知り、忠彦も人形を受け入れ始めますがーー。 演じるのは瀬戸康史。『スオミの話をしよう』(2024年)でも、本作の主演・長澤まさみと共演しています。

映画『ドールハウス』の監督を務めるのは、コメディの名作を数多く生み出してきた矢口史靖です。 これまで『ウォーターボーイズ』(2001年)や『スウィングガールズ』(2004年)、そして長澤まさみ主演の『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』(2014年)などを手掛けてきました。本作は矢口監督初のオリジナル・ミステリー作品です。

映画『ドールハウス』には、原作の小説や漫画はありません。 しかし映画公開に先立ち、監督・脚本・原案を務める矢口史靖によるストーリーがノベライズとコミカライズ化されています。 小説版の著者は、第7回『幽』怪談実話コンテスト優秀賞や怪談最恐戦2020優勝の経歴を持つ怪談師であり小説家の夜馬裕。漫画版は、少年ジャンプで『アリスと太陽』を手掛けた凸ノ高秀が担当しており、実力のある制作陣とタッグを組みました。

「お母さんおやつ買ってくるから、外には出ないでね」 1年前、自宅で遊ぶ娘の芽衣を置いて買い出しに出かけた佳恵が帰宅すると、芽衣の姿が見当たらなくなっていました。 一緒に遊んでいた子の家を訪ねると「かくれんぼしてたけど見つからなかったの」と言われ、佳恵と夫の忠彦は警察に捜索願を出します。 忠彦が佳恵をなだめてから芽衣を探しに行き、その間に芽衣の服を洗濯機へ入れようとしたとき違和感を感じた佳恵。佳恵が洗濯機の中をのぞくと、そこにはすでに息をしていない芽衣がいました。 この事件をきっかけに忠彦が勤める病院で治療を受けることになった佳恵は、病院の近くで骨董市が行われているのを発見します。 吸い寄せられるように骨董市に向かった佳恵が見つけたのは……。

鼻歌を歌いながらキッチンに立つ佳恵の姿を見て一安心したものの、食卓に見慣れない日本人形が鎮座しているのを見てぎょっとする忠彦。 「その子、骨董市で見つけたの」 新しい食器の紹介でもするようにさらりととんでもないことを言う佳恵と、彼女が人形の前にシチューを置くのを見た忠彦は戸惑いを隠せません。 病院で相談すると、佳恵の行動は「ドールセラピー」と呼ばれるものであることが分かりました。海外では割とポピュラーな治療法であることから、忠彦は佳恵を見守ることにします。 その後2人の間に新たな命が誕生し、娘の真衣と新しい日々をスタートした佳恵と忠彦。しかし、ある日泣いている真衣のもとに駆け付けた佳恵は、真衣の首に絡まった人形の髪の毛を見て……。

「アヤちゃんと遊んでもいい？」 幼稚園児になった真衣は、ある日佳恵がかわいがっていた人形を発見します。人形の顔を見て一瞬驚いてしまう佳恵でしたが、真衣に「大事にしてあげてね」と言って人形を託すのでした。 実は、真衣の首に髪の毛が絡まっていた事故をうけて佳恵と忠彦は人形を封印していたのです。なぜ真衣が人形を見つけたのかについて深く考えなかった佳恵でしたが、この日から奇妙なことが頻発するように。 まず真衣が人形と話すようなそぶりを見せるようになり、真衣の友達が人形の腕を強く引っ張った際には腕に噛み跡をつけてしまうという事故も起きてしまいます。 さらに、「いまお姉ちゃんの写真を整理してるの」と言う佳恵に「おねえちゃんなんかいない！」と言い放った真衣は……。

真衣の様子が日に日におかしくなっていくことに困惑した佳恵は、幼稚園で真衣の不明瞭な行動について相談してみることに。 「空想のものを信じてしまうのは、この年頃の子にはよくあることです」 保育士は真衣の奇行を肯定しながらも、真衣が描いたという絵を佳恵に見せます。画用紙に描かれていたのは、何者かが奇怪な方法で殺害されている様子でした。 真衣はこれらの絵を人形に頼まれて描いたと言ったそうで、本格的に不気味さを感じた佳恵は人形を処分しようと考えます。 人形をごみ収集の作業員に手渡した佳恵は、これで安心だと胸をなでおろします。しかし、人形を預けた作業員は事故で亡くなり、真衣が人形を持ち帰って来たのを見た佳恵は……。

忠彦に「人形が動いている」と訴えた佳恵は、監視カメラの映像を忠彦に見せながら焦点のあっていない目で独り言を話すようになっていました。 腕を爪でひっかくようなしぐさも見られたため、頓服薬を服用するようになった佳恵。そんなある日、「アヤちゃんがしたいんだって！」と真衣に誘われた佳恵はかくれんぼをすることにします。 洗濯機のところに佳恵が行ったとき、中からバケモノが出てきたと思って思い切りバケモノを押しのけた佳恵。 しかし倒れたのは真衣で、錯乱状態にあると判断された佳恵は入院することになってしまいます。真衣の背中に無数のひっかき傷があったことから、「人形をお焚き上げに出してほしい」と忠彦にお願いした佳恵。 寺に連絡した忠彦は、お焚き上げができるのは1か月後だと佳恵に伝え……。

人形の箱に「娘人形・礼」の文字を見つけ、昭和7年に安本浩吉という人形作家によって作られたものだと知った忠彦。寺から連絡があり、「この人形の供養は急いだほうがいい」と言われます。 不安に思い、詳しくこの人形のことをネットで調べると、人形にまつわる都市伝説が。浩吉の娘・礼は行方不明になっており、ショックを受けた母親は礼が大事にしていた人形を娘代わりにしていたそう。母親の墓に一緒に埋葬されていましたが、墓を抜け出して持ち主を探して彷徨っている……というもの。 そこに真衣を預けていた忠彦の母から「人形が生きてるみたいで気持ちが悪い」と電話があり、急いで駆けつけると警察が来ていました。忠彦は刑事から、母が“生きている人形に襲われた”ような防犯カメラの映像を見せられ……。

お焚き上げで人形が燃えていくのを確認した忠彦と佳恵。しかし寺の僧侶が金に換えようと秘かに人形をすり替えており、住職が「私たちには手に余る」と忠彦たちに返してきたのです。住職からの紹介で連絡してきたのは人形供養の専門家・神田でした。 人形の口から子どもの歯が出てきたため体をスキャンしてみると、中に子どもの骨格が！驚愕の事実に慄いていると、刑事から人形を調べるため預かると言われます。そこに神田が到着し、「この件は警察では解決できない」と口をはさみました。 神田の言葉を信じない刑事は取り合わず、そのまま科捜研へ。「無事に研究所まで着けるか確認したい」と言う神田を乗せ、忠彦は車を走らせました。

しばらく行くとその先に、刑事が車を停め人形を抱いて号泣している姿が。神田は呪禁師であり、すぐにまじないの詞を唱えて刑事を祓って人形を厳重な箱に閉じ込めました。そして安本浩吉の研究家と会う約束をしていると言い、忠彦に運転を依頼します。 研究家はこれは間違いなく浩吉の作品だと答え、人形にまつわる恐ろしい事実を教えてくれました。生まれつき病弱だった礼(アヤ)を不憫に思った母親が無理心中を図り、アヤだけが亡くなってしまったそう。母親の罪を隠蔽するため、浩吉はあやの骨格を元に人形を作ったのだといいます。 つまりこの人形こそが、アヤ本人だったのです。 アヤを母親のところへ帰したいと佳恵が言い出し、3人は墓がある神無島へ向かいますが……。

神無島に着くと、早速神田は島の地図から墓のある場所を探ります。しかし突然地震が起こり、暗闇の中で醜い姿になった人形が走り回り、現場は大混乱。神田がどうにか人形を捕獲しますが、片足に大ケガを負ってしまいました。 病院に搬送される神田を見送り、忠彦たちは2人だけで墓へ向かいます。神無島へ歩いて渡る道は2時間しか現れません。何とか制限時間ギリギリでアヤの母親・妙子の墓を発見した2人は、人形を墓の中へ入れますが、人形をくるんだ布に貼ってあるまじないの御札が線香の火で焼けてしまい……。

真衣と入れ替わったアヤが佳恵に取りつき、瀕死の状態に陥った時、現れたのは芽衣。芽衣はアヤの手を取って、2人で去って行きます……気が付けば忠彦と佳恵はまだ墓の前に居て、芽衣のおかげでアヤの魔の手から逃れたのでした。 無事に家に帰った2人は、真衣との平穏な日常に戻っていました。ところが、そこへ忠彦の母が「2人ともう1週間も連絡が取れない」と、神田とともに現れます。ベビーモニターの映像を見て、神田はアヤが母親を憎んでいたこと、人形を島に連れて行ってはいけなかったことに気付きました。 車で待っている真衣のすぐ横を、アヤ人形を連れた忠彦と佳恵が通り過ぎていくのでした。

映画『ドールハウス』は、2025年6月13日公開です！ 矢口史靖監督の本格長編ホラー、そして長澤まさみのホラー演技、どちらも大きな注目を集める本作。一足早くストーリーを知りたい方は、コミカライズ版やノベライズ版をチェックしてみてください。