2025年11月12日更新

【ネタバレ考察】『爆弾』スズキタゴサクの正体や結末「最後の爆弾は見つかっていない」の意味を解説!長谷部の不祥事とは

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2023年度の『このミステリーがすごい!』と『ミステリが読みたい!』で2冠を達成した小説『爆弾』が2025年10月31日、ついに劇場公開! 山田裕貴や伊藤沙莉、佐藤二朗など大人気の俳優陣が集結し、2025年の邦画シーンを代表するミステリー映画となっています。 この記事では映画『爆弾』のあらすじから結末やスズキの言葉の意味の考察まで解説、さらには原作小説のネタバレあらすじを紹介します。そして、ややこしい長谷部有功の家族関係や犯人を相関図でキャスト解説! 【ネタバレ考察】ラスト「最後の爆弾は見つかっていない」意味とは? 【相関図】家族関係から犯人までわかりやすく登場人物を解説 【一覧】登場人物・キャストを解説!スズキタゴサク役は誰?

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映画『爆弾』作品概要・あらすじ【ネタバレなし】

『爆弾』
呉勝浩/講談社 2025映画『爆弾』製作委員会
タイトル 『爆弾』
公開日 2025年
上映時間 136分
監督 永井聡
キャスト 山田裕貴 , 伊藤沙莉 , 染谷将太 , 渡部篤郎,佐藤二朗
主題歌 宮本浩次「I AM HERO」

映画『爆弾』あらすじ【ネタバレなし】

酔っ払いへの暴力事件で警察に連行された、正体不明の中年男「スズキタゴサク(佐藤二朗)」の予告から物語の幕は開けます。彼は霊感を理由に、都内各地に仕掛けられた爆弾の存在を言い当てたのです。スズキは秋葉原での爆破を起点に、1時間ごとに3回の爆発が都内で起こると告げました。 さらにスズキは、爆弾に関する「クイズ」を次々と出題します。警察は謎解きに挑みながら、東京中を奔走し、爆弾探しを進めますがーー。 スズキの正体、そして爆弾の目的とは?極上のミステリーと、手に汗握るアクションが融合した、究極のエンターテイメント作品です。

【結末までネタバレ】映画『爆弾』をラストまであらすじ解説!

原作小説である呉勝浩の『爆弾』から本映画のネタバレを記載しております。

秋葉原での爆発!スズキタゴサクと警察の戦いが始まる

映画『爆弾』
(c)呉勝浩/講談社 (c)2025映画『爆弾』製作委員会

沼袋交番の巡査長・矢吹(坂東龍汰)と巡査・倖田(伊藤沙莉)は、酔った勢いで暴力行為を行う「スズキタゴサク」という人物を逮捕、野方署に連行します。 スズキは「午後10時に秋葉原で、何か事件が起きる」と予言。その予言は的中し、秋葉原で爆破事件が発生しました。さらに、刑事の1人・等々力(染谷将太)を気に入ったスズキは「あと3回、1時間ごとに爆発が起こる」と明かしたのです。すると、言葉どおり東京ドームシティでさらなる爆破事件が発生しました。 取り調べのため、警視庁捜査一課の清宮(渡部篤郎)が野方警察署に到着。謎の男・スズキタゴサクの本格的な取調べが始まります。

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類家の推理と矢吹のファインプレー!九段下での爆発

映画『爆弾』
(c)呉勝浩/講談社 (c)2025映画『爆弾』製作委員会

スズキは、9つの質問の回答をもとに心の形を当てる「9つの尻尾」という奇妙なゲームを清宮に持ちかけ、会話の中に爆弾事件のヒントを織り交ぜていきます。 スズキはゲームの中で、「長谷部有孔」という名前を挙げたのです。長谷部はかつて、この野方警察署に勤務していた元警察官。しかし、事件現場で自慰行為をしたことが週刊誌に載せられ、自殺していました。 等々力は長谷部の妻・石川明日香を訪ねます。長谷部の自殺から家庭は崩壊。娘・美海は社会復帰したものの、研究職だった息子・辰馬は音信不通になっています。一方で、捜査を行う等々力もまた、長谷部に精神クリニックを紹介したことが報道につながったと、事件を悔やむ1人でした。 警察署に戻り、清宮は4つ目の質問でスズキが語った支離滅裂な文章から「午前4時に九段下・新聞配達所」で爆発が起こると推理。矢吹たちの迅速な対応もあり、大きな被害を免れます。

清宮の命の選別?代々木公園でのホームレスを巻き込む爆発

映画『爆弾』
(c)呉勝浩/講談社 (c)2025映画『爆弾』製作委員会

スズキからの8つ目の質問で「代々木の保育園」での爆発を予言していると読んだ清宮。学校や幼稚園の子供たちを避難させ、爆破を回避……、かと思われましたが、清宮の推理は不十分でした。 8つ目の質問前に「命は平等って本当でしょうか?」と尋ねていたスズキは、もう1つの爆弾を用意しており、南口にいたホームレスを犠牲にしたのです。 スズキのゲームは人々の心をえぐり、罪悪感を煽る巧妙な罠でした。激昂した清宮は、スズキの指を折ってしまい、スズキから「これがあなたの心の形」と屈辱的な言葉をかけられます。清宮はゲームから脱落し、部下の類家(山田裕貴)がゲームをの2回戦を引き継ぎました。

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事件の背景は長谷部有孔?伊勢がスズキタゴサクに取り込まれる

映画『爆弾』
(c)呉勝浩/講談社 (c)2025映画『爆弾』製作委員会

一方、この混乱の最中、スズキは見張り役の伊勢(寛一郎)だけに核心に迫る情報を与えていました。「ホームレス時代に"ある人物"から一緒に暮らさないか」と相談を受けていたこと、そして紛失したスマホが喫茶店にあること。出世欲に駆られる伊勢ですが、同僚の矢吹に回収を任せます。 携帯に記された住所を頼りに、矢吹がシェアハウスに突入。そこには亡くなった長谷部の息子・辰馬の姿と爆弾を製造した跡、そして住人の梶と山脇の遺体がありました。その後、辰馬に駆け寄った矢吹が爆発に巻き込まれ、左足を失います。 さらに、12時にスズキの爆破予告の動画が配信され、激怒した倖田が取調室に突入。伊勢に抑えられたものの、スズキは「他者から強く欲望されることへの幸福」で絶頂に達したのです。

スズキのクイズ「丸ごと駅」とは?類家は爆発を止めることができるのか

倖田への感謝として、スズキは次の爆発を「丸ごとの駅」と予告。 さらに、シェアハウスにいた山脇が、自動販売機の補充員であり、爆弾がペンケースサイズだったことから、駅の自販機が爆弾であると判明します。しかし時すでに遅く、午後4時に山手線内の駅が次々と爆破され、大きな被害を生み出してしまいます。 残り1個となった爆弾のありかを探す類家は、スズキが石川啄木の詩を口にしたことから、長谷部の元妻・"石川"明日香に仕組まれていると推理しました。

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【結末】最後の爆弾とは?事件の真相が明らかに

この爆破を計画していたのは、息子・辰馬だと判明します。一緒に暮らしていたホームレスとは、スズキではなく母・明日香のことでした。シェアハウスで息子のテロ計画を知った明日香は、息子に手をかけます。そして、ホームレス時代の知り合いであった、スズキに全貌を告白。 スズキは自分が首謀者と見せかけるため、辰馬が設置した爆弾に加えて、秋葉原・東京ドーム・代々木の爆発を仕組みました。スズキは無関係の事件の「首謀者」になったのです。 しかし、最後の1つと見られる明日香のリュックは爆破しません。「スズキなら最後の1つを爆破させない」と見抜いていた類家。爆破させないことで「いつまでゲームが続くかわからない」という恐怖を生み出そうとしていました。 取調べが終わり、類家が「明日香が山脇たちに罪を被せず、スズキを頼ったのは自首を勧めてほしかったのでは」と問いかけるも、スズキは「全て綺麗事です」と返します。 事件後、石川明日香は自分の罪も息子の罪も認めていません。最後の爆弾も行方不明のままです。

【時系列整理】事件の背景を解説!長谷部一家の離散からスズキの逮捕まで

①警察官・長谷部有孔の事件 事件現場で自慰をしてしまい、週刊誌にリークされる。長谷部有孔はのちに自殺。
②明日香とスズキタゴサクの出会い 一家離散となり、明日香は一時ホームレスとして生活するように。同じくホームレスだったスズキと出会い、心を許す。
③シェアハウスで辰馬が犯行計画 社会への復讐として、ルームシェアしている山脇、梶と「無差別爆破テロ」を計画。完成後に、辰馬が山脇、梶を毒殺。
④明日香が辰馬を殺害 シェアハウスで辰馬の計画を知り、毒殺。
⑤明日香がスズキタゴサクに相談 明日香が「辰馬の計画」をスズキに告白。スズキが「真犯人」になりすます。
⑥スズキタゴサクの工作 辰馬の爆弾に加えて、爆破予告するために「秋葉原・東京ドーム・代々木」に爆弾を設置(辰馬たちの爆弾を流用?)。
⑦野方警察署の取調べ 暴行事件により、スズキタゴサクが野方警察署にて取調べを受ける。犯行予告が始まる。

【ネタバレ考察】ラスト「最後の爆弾は見つかっていない」意味とは?

ラストは「最後の爆弾は見つかっていない」という文言で終わりました。現場の薬品等を見て「作成上限は20個」と推測されていましたが、作中に登場する爆弾は合計19個、1つ足らないのです。 映画ラストでは、類家の背中が映し出される意味深な演出が追加されました。スズキタゴサクとの対峙で植え付けられた心の闇こそが最後の爆弾であり、いずれ今回の事件のような"爆発"が起こることを示唆しているのかもしれません。 一方で、スズキの裁判が描かれる続編小説『法廷占拠 爆弾2』(2024)では、最後にはスズキが逃げ出しており、「最後の爆弾」の意味も第3作で明らかになる可能性があります。

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【結末ネタバレ】スズキタゴサクの目的・正体とは?明日香との関係解説

スズキタゴサクの本当の目的は、「犯人になること」でした。明日香から呼び出された彼は、彼女の息子の罪を被ってほしいと頼まれたと考えていたのです。 明日香がこのときなんと言ったのかはわかりません。息子の罪を知り、殺してしまった。類家の言っていたとおり、素直に考えれば「どうしたらいいのか?」とスズキを頼ったと思うのが一般的ではないでしょうか。 しかし彼は辰馬の犯行をごまかすために、自ら秋葉原と東京ドーム付近に爆弾を仕掛けました。なぜこのようなねじ曲がった行動に出てしまったのか、それは彼の性格によるものとしか言いようがないのかもしれません。 またスズキタゴサクは最後まで正体不明です。一時期ホームレスをしていたのは事実のようですが、それ以前、そしてそれ以降の事件まではどのように生活していたのか、なにもわかっていません。

長谷部の「お恥ずかしい不祥事」とは?等々力の言葉の意味まで考察

類家の上司であった長谷部有孔の起こした「お恥ずかしい不祥事」とは、「事件現場での自慰」です。その事実を知った等々力が受診させた、精神科医のリークによって世間に明らかになってしまいました。 長谷部を尊敬していた等々力は「気持ちは分からなくない」と擁護しましたが、世間はその「マイノリティな性癖」を許さず、長谷部は自死を選んだのです。その後、長谷部の遺族である妻・明日香と2人の子どもは一家離散することに。 スズキの事件をとおして、類家は長谷部が「ルールを踏み越えるに値する、ひとりの仲間」だったと認識。社会から仲間外れにされた者という意味では、長谷部もスズキも同じです。その「仲間」の線引きが、いかに曖昧であるかを痛感させられます。

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【ネタバレ考察】スズキタゴサクと類家は表裏一体?2人の共通点とは

映画『爆弾』
(c)呉勝浩/講談社 (c)2025映画『爆弾』製作委員会

類家を名前で呼ばないスズキタゴサク

小説には類家のほか4名の刑事が登場します。しかし、類家だけがタゴサクから名前ではなく「刑事さん」と呼ばれていました。 タゴサクが類家を「刑事さん」と呼んだ理由は「敬意の表れ」だと考察します。タゴサクは言葉巧みに相手の内面を揺さぶることを得意としていました。しかし、類家だけはタゴサクの知能戦に食らいつき、最後の思惑まで見抜いたのです。 類家なら自分の行動を解き明かしてくれると感じ取り、他の人間とは違う「刑事さん」と区別していたのではないでしょうか。

スズキタゴサクと類家の共通点

一番わかり易いのは、サイコパスじみた知性でしょう。類家は推理として、タゴサクは話術として一般人とは異なる知能を披露しています。 また、2023年のダ・ヴィンチWebのインタビューにて、著者の呉勝浩はスズキタゴサクと類家の似ている部分について「(スズキと同じように)類家は相手の価値観で対峙している」と語っていました。ほかの刑事たちは一線を超えるのに対して、類家はボーダーを超えない人間味のなさがあるのです。 そして、呉氏は類家を「非常に危うさをはらんでいる人物」とも表現しています。職業や置かれた立場、環境によって全く違うように見える2人ですが、もっと根本にある「人との向き合い方」は、よく似ていました。

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【ネタバレ考察】スズキタゴサクは等々力に一目おいていた?

映画『爆弾』
(c)呉勝浩/講談社 (c)2025映画『爆弾』製作委員会

スズキは最初に彼の取り調べをした等々力を気に入ったと言い、彼以外とは話さないと主張しました。しかし取り調べが清宮たちに交代すると、等々力以外と話す代わりに、今の取調室は変えないよう要求します。 スズキの狙いは、最初からこの交換条件で取調室を動かないことだったと類家は言いましたが、本当にそれだけなのでしょうか。等々力は重い過去を抱えた人物であり、それがスズキにはわかったのかもしれません。 事件が一応の解決を迎え、逮捕され取調室から出たスズキはそこで鉢合わせた等々力に声をかけました。どこか人生を諦めたような雰囲気のある等々力に、スズキは親近感を持っていたのではないでしょうか。 強い後悔の念を持ちながらも、なんとか警察官として生きている等々力に一目置いていたのかもしれません。

スズキタゴサクはサラダ(倖田)の恨みに快感を覚えた?

映画『爆弾』
(c)呉勝浩/講談社 (c)2025映画『爆弾』製作委員会

スズキは終始、刑事たちの神経を逆撫でするような言動をくり返していました。その理由が明らかになったのは、倖田が彼の取調室に殴り込んでいったときです。 相棒の矢吹が重症を負い、激昂した彼女はスズキに殺意に近い憎悪を向けます。スズキはそれに興奮して射精したと告白。彼は他人から憎しみを向けられることで「求められている」と感じ、性的興奮を覚える性癖を持っていたのです。 倖田の激しい憎悪だけでなく、それまで取り調べをしていた刑事たちが彼に向けた憎しみにも、興奮していたのでしょう。

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『爆弾』のテーマ!現代社会の病理や人間の欠陥に迫る

映画『爆弾』
(c)呉勝浩/講談社 (c)2025映画『爆弾』製作委員会

現代社会に蔓延る病理

『爆弾』はさまざまな社会の病理を鋭くえぐる作品です。 例えばスズキタゴサクは、格差社会の現代に増え続ける「社会から孤立している」「生きる価値が見出だせない」など失うものがない「無敵の人」、ひいてはその無敵の人が起こす犯罪とリンクしていました。 また、昨今のSNS問題にも切り込んでいます。安全地帯から、知らない誰かの不幸をエンタメとして楽しみ、野次馬のように情報を眺める人々。SNSの情報は瞬時に広がり、ウイルスのように伝染していくのです。

人間とは?私たちもスズキタゴサクかもしれない

タゴサクの心理戦によって暴かれる人間の「悪」の部分。「目の前で苦しむ他人がいたら助ける」という清宮に対して、タゴサクはホームレスと子どもたちのどちらか一方しか救えない「命の選別」を求めます。とっさに命の順番を考えてしまう「悪」です。 そして、絶望した清宮はタゴサクに加害してしまうのです。仲間のために芽生えた殺意に、清宮は充足を感じてしまいます。自分の中のボーダーを正当化していった心の底には、「家族や仲間が大丈夫ならいい」という、感情が潜んでいるのかもしれません。

【9つの尻尾】スズキタゴサクのクイズの意味を考察!4問目まで解説

スズキタゴサクは取り調べのなかで、「9つ尻尾」というゲームを清宮に持ちかけます。 スズキが9つの質問をして、その答えから清宮の心の形を当てるというもの。スズキは謎解きと心理テストを装い、相手の倫理観を徐々に侵食していきます。「自分は裁く側」と信じる者の正義の裏に隠された欲望を認識させ、内面から壊していきました。 そして、この9つの質問をめぐる会話は、次の爆破場所と時刻のヒントを示すものでもありました。

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第1問

スズキは清宮に答えたくない質問があればノーカウントにすると言いながら、「1問目」として次のように問いかけます。 「刑事さんは明るくゆるやかな坂道を歩いています。今よりもずっと若返っています。小学校低学年か、せいぜい高学年です。てくてくと坂道をのぼっていきます。ところで刑事さんは子どものころ、犬に噛まれたことはありますか?」 坂道の話はなんだったのかと呆気にとられなから、清宮はイエスと答えます。

第2問

2問目は「坂道を歩いていくと、刑事さんは中学生くらいになっています。道の先に大きな、美しい建物があります。立派な建物で、つい中を覗きたくなってしまいます。建物は体育館かもしれないし、レストランかもしれない。刑事さんはそこでなにをしますか?」というもの。 清宮は間髪を容れず「射撃です」と答えます。猟銃で野生動物を狙っているのだと。スズキは「建物の中は森になっているということですね。面白い」と言って笑います。

第3問

3問目。「刑事さんは美しい壁の建物を出て、またゆるやかな坂道をのぼります。刑事さんは中学生じゃなく高校生でもなく、立派な大学に通う学生で、ほとんどもう大人です。おしゃれな恰好をしています。すると前から、笑顔の人が歩いてきます。彼女はいったい何者でしょうか」 清宮は女性なのか、と確認し「では母親にしておきます」と答え、それ以上の説明がほしければ次の質問にカウントすると釘を刺しました。

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第4問

映画『爆弾』
(c)呉勝浩/講談社 (c)2025映画『爆弾』製作委員会

4問目。「刑事さんはもういい大人で、警察官になっています。けれどゆるやかな坂道はまだまだずっとつづきます。刑事さんは誰かの手を握っています。その人と一緒に坂を歩いています。その人は――」と、スズキは清宮が早まって答えを口にするのを促しますが、彼はきちんと質問されるまで答えない、と引っかかりません。 するとスズキは「その人は、ハセベユウコウさんですか?」と質問します。 言葉を失う清宮をよそに、スズキはとりとめのない話をつづけます。野球のタイガース、半獣半人の妖怪、焼肉のタン、そして「神の言葉は母と子のみか」という謎の言葉。 類家はスズキがこれらを話すときに指を立てているのを見て、次の爆破場所のヒントを出しているのだと気がつきます。捜査本部は次の爆発を防ぐため、このクイズの答えを必死に考えることになります。

【相関図】家族関係から犯人までわかりやすく登場人物を解説

『爆弾』相関図
© ciatr

【一覧】登場人物・キャストを解説!スズキタゴサク役は誰?

類家役/山田裕貴 スズキタゴサクと真っ向から対峙する交渉人
スズキタゴサク役/佐藤二朗 爆破予告とクイズを繰り出しながら、刑事たちを翻弄していく謎の中年男
倖田役/伊藤沙莉 猪突猛進な行動派で、爆弾捜索に奔走する巡査
等々力役/染谷将太 スズキタゴサクを最初に聴取する、野方署の刑事
清宮役/渡部篤郎 スズキタゴサクと交渉する、警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事
矢吹役/坂東龍汰 刑事になるチャンスと野心的に爆弾捜索に打ち込む、倖田とコンビを組む巡査長
伊勢役/寛一郎 取調室でスズキタゴサクの事情聴取につきそい、見張り役を務める
鶴久役/正名僕蔵 刑事課長。等々力の上司。
長谷部有孔役/加藤雅也 刑事だったが、不祥事をきっかけに自殺。
石川明日香役/夏川結衣 長谷部の元妻。
石川辰馬役/片岡千之助 明日香の息子。
石川美海役/中田青渚 明日香の娘。

類家役/山田裕貴

『爆弾』、山田裕貴
呉勝浩/講談社 2025映画『爆弾』製作委員会

類家はスズキタゴサクと対峙する警視庁捜査一課の1人で、清宮の部下にあたります。 演じるのは山田裕貴。『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011)でデビューし、現在では『ゴジラ-1.0』(2023)や「キングダム」シリーズに出演する、売れっ子俳優です。

スズキタゴサク役/佐藤二朗

『爆弾』、佐藤二朗
呉勝浩/講談社 2025映画『爆弾』製作委員会

スズキの演技力次第で映画の評価が分かれる、と言っても過言ではないほどインパクト大な役柄。 そんな*スズキタゴサク役は、佐藤二朗に決定**しました。佐藤二朗は、幅広い役をこなす個性派俳優です。映画『あんのこと』(2024)では日本アカデミー賞最優秀助演男優賞にノミネート。大河ドラマがにも多く出演し、実写「銀魂」シリーズなどで特徴的な脇役に定評があります。

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倖田役/伊藤沙莉

『爆弾』、伊藤沙莉
呉勝浩/講談社 2025映画『爆弾』製作委員会

倖田は交番巡査で、小説では居酒屋で問題を起こしたスズキを最初に連行する人物です。 演じるのは伊藤沙莉。子役時代からドラマに数多く出演し、『ちょっと思い出しただけ』(2022)や『月の満ち欠け』(2022)など、現在では恋愛映画でも活躍する演技派女優です。

等々力役/染谷将太

『爆弾』、染谷将太
呉勝浩/講談社 2025映画『爆弾』製作委員会

等々力は、野方警察署の刑事。長谷部とコンビを組んでいた過去があります。長谷部の不祥事に対し、「気持ちはわからなくもない」とコメントし、週刊誌に書かれたことで、署内で孤立しました。 演じるのは染谷将太。『ヒミズ』(2011)では、ヴェネチア国際映画祭で日本人初となる新人俳優賞を受賞しました。代表作には『寄生獣』(2014)や『WOOD JOB!神去なあなあ日常』(2014)などがあります。

清宮役/渡部篤郎

『爆弾』、渡部篤郎
呉勝浩/講談社 2025映画『爆弾』製作委員会

清宮は、警視庁捜査一課の特殊捜査班係の男です。スズキのゲームに参加し、爆破事件解決へと動きます。 演じるのは渡部篤郎。ドラマ「ケイゾク」シリーズや「外事警察」シリーズなど、警察官役には定評があります。

矢吹役/坂東龍汰

『爆弾』、坂東龍汰
呉勝浩/講談社 2025映画『爆弾』製作委員会

矢吹は、沼袋交番の巡査長。倖田とバディを組んでいます。 刑事になるために、爆弾事件の捜査に野心的になる矢吹を演じるのは、坂東龍汰。2017年にドラマ『セトウツミ』でデビューした彼は、「次世代のカメレオン俳優」との呼び声高い若手の1人であり、『真犯人フラグ』(2021年)などの話題作に次々と出演。『王様に捧ぐ薬指』(2023年)、『ライオンの隠れ家』(2024年)などに出演し、高い演技力で注目されています。

伊勢役/寛一郎

『爆弾』、寛一郎
呉勝浩/講談社 2025映画『爆弾』製作委員会

スズキタゴサクの取り調べに際し、見張り役を務める伊勢。矢吹の手柄を取ったことで、交番勤務を卒業し、刑事になりました。 そんな伊勢を演じるのは、寛一郎。寛は、俳優の佐藤浩市を父に、故・三國連太郎を祖父に持つ、俳優一家に生まれました。2017年に俳優デビューし、同年の映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」で第27回日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞。「グランメゾン東京」(2019年)や「鎌倉殿の13人」(2022年)などテレビドラマでの活躍も目覚ましく、「月の満ち欠け」(2022年)、「首」(2023年)な映画にも出演しています。

監督は永井聡監督!

本作は永井聡が監督を務めます。監督の名前が発表されると映画ファンから「期待大」の声が上がりました。それもそのはず永井監督は『帝一の國』(2017)、『恋は雨上がりのように』(2018)、さらには『キャラクター』(2021)など、良作を続々と生み出している監督です。 本作について「心の中に、誰しもが抱えている爆弾。人間の闇を映した映画にしたいと思いました」とコメントしており、小説同様「正義とは」「命とは」といった、人間の深い闇の部分をさらけ出す重たい作品になりそうです。

主題歌は宮本浩次の新曲「I AM HERO」

映画『爆弾』の主題歌に、日本を代表するロックバンド、エレファントカシマシのヴォーカルであり、ソロでも大活躍中の宮本浩次が作詞、作曲した楽曲「I AM HERO」が決定! 宮本は、「『爆弾』で描こうとしている大きなテーマの一つは「本当の自分の声」だと私は思います。これこそ私たちが生きていく上で絶対に避けて通ることのできない恐ろしいテーマであり、永遠に未解決の問題でもある。そういう私なりの解釈を全力でこの曲「I AM HERO」に私は込めました」とコメントを寄せています。

原作『爆弾』には続編がある!『法廷占拠 爆弾2』

小説『爆弾』の続編として『法廷占拠 爆弾2』が2024年7月に発売されています。 時系列は『爆弾』からしばらく後、スズキタゴサクが関与した爆破事件の法廷も第5回目を迎えていました。事件に関わった倖田沙良が初めて出廷する日です。 すると傍聴席から突如として銃声が鳴り響きました。銃を撃ったのは工場勤務の柴咲奏多です。柴咲は「ただちに死刑執行せよ。死刑執行につき人質1人開放」というとんでもない要求を突きつけーー。 今作もスズキらしさ全開!籠城犯に対して、警察とスズキタゴサクが共闘(?)する展開も見どころです。

映画『爆弾』スズキタゴサクの迫力に注目!謎の残るラストを考察

映画『爆弾』は2025年10月31日に公開です! 本作は、スズキタゴサクが出題する謎「9つの尻尾」をとおして、登場人物それぞれの「心の形」を浮き彫りにしていく社会派サスペンスです。 世の中の不条理、私たちが無意識に行ってしまう「線引(選別)」、そして誰もが心に抱えうる「爆弾」とは何なのか――。物語の核心であるスズキタゴサクの思惑を知った上で、原作小説や映画をもう一度味わってみてはいかがでしょうか。