ドイツ映画おすすめ10選 知っておきたいドイツ人俳優・女優も紹介!【良作多し】
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本当に面白いドイツ映画を知っていますか?
ドイツ映画の歴史は19世紀後半ごろから始まり、映画史の中でもかなり初期で世界でも有名な俳優や監督を数多く輩出してきました。 代表作には戦争映画や歴史映画が多く、どれも名作ですが最近ではそれ以外のジャンルでも数多くの良作が生み出されています。 今回はそんなドイツ映画の中から、ciatr独自の視点でおすすめ作品を選出しました。また、知っておきたいドイツの名優たちも紹介しましょう。
1.『帰ってきたヒトラー』(2015年)
タイムスリップしてきたヒトラーがモノマネ芸人として大ブレイク!?
リストラされたテレビプロデューサーのファビアンは、ある日ヒトラーにそっくりの男と出会います。自らヒトラーと名乗る徹底したモノマネを見たファビアンは、芸人として彼を売り込むことに。しかし実は、彼は“ホンモノの”ヒトラーだったのです。 本国ドイツをはじめとする、世界41カ国でベストセラーとなった小説を映画化した本作。 現代のテクノロジーや価値観に戸惑うヒトラーの様子に笑いながら、終盤の展開にはぞっとするでしょう。劇中でのヒトラーと通行人とのやりとりは実際に一般人を相手にゲリラ撮影されたもので、現在のドイツ国民のヒトラーに対するさまざまな考え方を垣間見ることができます。
2.『善き人のためのソナタ』(2006年)
数々の賞を総なめにしたドイツ映画史上最高傑作と呼び声高き名作
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『善き人のためのソナタ』は、東ドイツの監視社会の実態を克明に描いています。 1984年の東ベルリン。ある日、国家に忠誠を誓うシュタージ(国家保安省)の局員ヴィースラー大尉は、反体制の疑いのある劇作家とその恋人を監視するよう命じられます。さっそく彼らのアパートには盗聴器を仕掛け、彼は監視を開始。しかしヴィースラーは、次第に盗聴器から聞こえてくる彼らの自由な芸術の世界に惹かれるようになり……。 監視と密告によって体制を保っていた東ドイツの実態を暴く歴史映画であると同時に、体制側だった主人公が、芸術に触れることで人間性を取り戻していくヒューマンドラマ。全体的に暗い色調と雰囲気からなだれ込む、終盤の怒涛の展開には驚かされます。
3.『ヒトラー 〜最期の12日間〜』(2004年)
ナチスドイツ指導者ヒトラーの人間的側面を描き、大きな波紋を呼ぶ
ドイツの歴史家ヨアヒム・フェストの研究書と、ヒトラーの個人秘書官だったトラウドゥル・ユンゲの回顧録をもとに製作された本作。敗戦間近のドイツで、正気を失っていくヒトラーの悲劇的な最期を描いています。 1945年4月20日のベルリン。ソ連軍の参戦により絶体絶命のピンチに立たされたナチス党総統アドルフ・ヒトラーは、愛人やわずかな側近たちとともに首相官邸の地下要塞に退避していました。すでに正常な感覚を失っていた彼は、逃亡や降伏を拒否して徹底抗戦を主張。しかし、そんななか側近の裏切りが発覚します。 1人の人間としてのヒトラーにフォーカスした本作は、公開当時注目とともに批判も集めました。ヒトラーを演じたスイスの名優ブルーノ・ガンツの熱演に注目です。
4.『es[エス]』(2001年)
実際に行われた心理実験を題材にした衝撃作
タクシー運転手兼記者のタレクは、あるとき模擬実験の被験者を募集する広告を目にします。それは、模擬刑務所で20人の被験者を「看守」と「囚人」に分け、2週間生活するという実験。タレクは、高額な報酬と記事のネタになりそうな特殊な実験内容に引かれ、メガネに超小型カメラを仕込み実験に参加します。 1971年にアメリカのスタンフォード大学で実際に行われた実験を題材とした本作は、与えられた役割によって人間の心理が変化していく様子を描いたシチュエーション・サイコ・ムービーです。環境や肩書きが人々に与える影響、そしてその恐ろしさを描いています。
5.『ラン・ローラ・ラン』(1998年)
テクノポップと斬新な映像・ストーリー構成で世界的に注目を集めた作品
恋人マニの窮地を救うため、20分で10万マルクを工面しなければいけなくなったローラ。ベルリンの街を疾走する彼女は、無事にマニを救うことはできるのでしょうか。 フランカ・ポテンテが真っ赤な髪のローラを演じ、世界的に知名度を上げた本作。カラーやモノクロ、写真、アニメーション、画面の分割など、さまざまな映像技術を使ったスピーディーで斬新な映像や、予想外のストーリー展開が話題となりました。 おしゃれで遊び心にあふれる映像とジャーマンテクノが一体化し、多くのファンを獲得。20年以上経った現在でも高い人気を保っています。
6.『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(1997年)
本国ドイツで大ヒットとなった、ほろりと泣けるロードムービー
たまたま同じ末期病棟に入院したマーティンとルディ。死期が迫ったふたりは、死ぬ前に海を見ようと病院を抜け出し、駐車場にあったベンツを拝借して旅に出ます。しかし、彼らが盗んだ車は実はギャングのもので、なかには大金が積まれていました。余命いくばくもない彼らに怖いものはなく、道中犯罪をくり返し、ギャングのみならず警察からも追われるようになり……。 コメディあり、カーチェイスあり、銃撃戦ありのド派手でクールな最期の旅を描いた本作は、主演・脚本を務めたティル・シュヴァイガーの出世作。男同士の友情が熱いロードムービーは、なんでもありの展開から泣けるラストまで目が離せません。
7.『モモ』(1987年)
日本でも人気のミヒャエル・エンデによる児童文学作品を映画化
『モモ』は、世界的ベストセラー小説を実写化した西ドイツとイタリアの合作映画です。人々を勇気づける不思議な力を持った少女モモ。彼女と村の人々は、貧しいながらも心豊かな生活を送っていました。しかしあるとき、「時間貯蓄銀行」の行員を名乗る灰色の男たちが現れたことから、人々の生活は一変してしまいます。 盗まれた時間を取り戻すために奮闘するモモの冒険を描く本作。時間の大切さや、なにが人の心を豊かにしてくれるのか、といったテーマを扱い、時間に追われる生活をしている現代人に気づきを与えてくれる作品です。
8.『グッバイ、レーニン!』(2003年)
東西統一後の旧東ドイツ。激動の時代の中で描かれる家族の優しい嘘
1989年。社会主義に傾倒している母クリスティアーネと東ベルリンで暮らすアレックスは、ある日家族に内緒で反体制デモに参加します。その姿を目撃した母は、ショックで心臓発作を起こし昏睡状態に。8ヶ月後、奇跡的に彼女が目覚めたときには、すでにベルリンの壁は崩壊していました。アレックスたち家族は母にショックを与えないため、さまざまな隠蔽工作をします。 東西ドイツ統合時に庶民に起こった変化を描いた本作は、ドイツアカデミー賞で9部門を受賞。母を守るためについた嘘が次第に大きくなっていくなかで、アレックスは歴史や現実を見つめ直します。最後に迎える意外な結末には、心が暖かくなること間違いなし。
9.『ハンナ・アーレント』(2012年)
ナチス戦犯のレポートを通してユダヤ人哲学者アーレントが伝えたかった真実とは
多くの人々から尊敬を集めた哲学者から一転、ナチス戦犯アイヒマンの裁判傍聴記録を発表したことによって、世界中から激しいバッシングを浴びることになったハンナ・アーレントの不屈の闘いを描いた伝記映画。 哲学者という立場から、アイヒマンの冷酷な行動の数々を「悪の凡庸さ」と主張しつづけた彼女が本当に伝えたかったこととはなんだったのでしょうか? ドイツを代表する女性監督マルガレーテ・フォン・トロッタが、10年の構想を経て完成させた本作は、アーレントの主張の本質とともに、愛情溢れる女性としてのアーレントの姿を描いています。
10.『コッホ先生と僕らの革命』(2011年)
ドイツ「サッカーの父」が伝えたフェアプレイの精神
1874年、コンラード・コッホはイギリス留学を終えてドイツに帰国します。その後、ある名門学校へ英語教師として赴任した彼は、授業の一環として生徒たちにサッカーを教えることに。サッカーを通して生徒たちはフェアプレーやスポーツマンシップの精神を学び、それまで彼らを支配していた階級意識や偏見は少しずつ薄れていきますが……。 いまやサッカーの強豪国となったドイツで、「サッカーの父」として敬愛されるコンラード・コッホの実話をもとにしたヒューマンドラマ。型破りな授業で生徒たちの心を開き、精神面でも彼らの成長を促した彼の人生には、現代のわたしたちも学ぶことが多くあります。
まずはこの俳優・女優からチェック!【ドイツ出身の名優たち】
マレーネ・ディートリッヒ
ドイツの女優といえば、歴史的に外せない存在であるマレーネ・ディートリッヒ。1920年代にドイツでスターとなり、1930年代からはハリウッドで活躍しました。 代表作には、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた『モロッコ』(1930年)や、アガサ・クリスティの戯曲『検察側の証人』を映画化した『情婦』(1957年)などがあります。
モーリッツ・ブライプトロイ
本記事で紹介した『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』や『ラン・ローラ・ラン』、『es[エス]』などに出演しているモーリッツ・プライプトロイ。上記以外にも、スティーヴン・スピルバーグによる『ミュンヘン』(2005年)や『ソウル・キッチン』(2009年)などへの出演で知られています。 2008年以降はアメリカ映画でも活躍するようになり、『ワールド・ウォーZ』(2013年)や『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015年)などに出演しています。
ティル・シュヴァイガー
ティル・シュヴァイガーは、俳優、映画監督、脚本家、映画プロデューサーなど、多岐にわたって活躍しています。『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』では主演のほかに共同脚本と製作も務めました。 1992年には『リプレイスメント・キラー』でハリウッドデビューを果たし、以降は『トゥームレイダー2』(2003年)、『イングロリアス・バスターズ』(2009年)、『アトミック・ブロンド』(2017年)など、多くの話題作に出演しています。
ダイアン・クルーガー
ダイアン・クルーガーは、デニス・ホッパー主演の『ザ・ターゲット』で映画デビュー。以降ハリウッドとドイツの両方で活躍をつづけています。 代表作は『トロイ』(2004年)や「ナショナル・トレジャー」シリーズ、『イングロリアス・バスターズ』など。2017年の『女は二度決断する』では、カンヌ国際映画祭女優賞を受賞しました。
ダニエル・ブリュール
ダニエル・ブリュールは、『グッバイ、レーニン!』の世界的ヒットの後、ヨーロッパ各国の映画に出演し、2007年の『ボーン・アルティメイタム』でハリウッド進出を果たしました。 その後も各国の作品に精力的に出演しており、『ラッシュ/プライドと友情』(2013年)や『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)、テレビシリーズ『エイリアニスト』などでその実力を発揮しています。また、2020年公開予定の『キングスマン:ファースト・エージェント』にも出演していますので、チェックしたいですね!
重厚な歴史ドラマからポップなコメディまで!ドイツ映画を楽しもう
歴史ドラマからコメディまで、さまざまなジャンルのおすすめドイツ映画を紹介しました。気になる作品はありましたか? かつては戦争ものや歴史もの、陰鬱とした色彩の作品が多いイメージのあったドイツ映画ですが、現在では幅広いジャンルで良作が作られています。この記事で紹介した作品でまだ観ていないものがあれば、ぜひ鑑賞してみてください。