『アバウトアス ・バット・ノット・アバウトアス 』あらすじ・キャスト解説!「生」と「性」、現代の痛点へ鋭く切り込む
フィリピン発の都会派ミニマル室内劇『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』が、ついに2026年1月17日日本初公開を迎えます。 舞台はコロナ禍に沈む大都会マニラの老舗レストランで、登場人物はほぼふたり、セットは“一卓のテーブルのみ”という超ミニマルな構成です。それでも会話だけで観客を90分間惹きつけ続ける、ワンシチュエーション・ノンストップの会話劇となっています。 監督・脚本は『ダイ・ビューティフル』(2016)で東京国際映画祭の観客賞と最優秀男優賞をダブル受賞したジュン・ロブレス・ラナです。発表直後から国内外の映画祭で20冠近くに輝き、フィリピンでは舞台化も決定している話題作です。 この記事では本作のあらすじや見どころを紹介していきます。
『アバウトアス ・バット・ノット・アバウトアス 』作品概要・あらすじ
『アバウトアス ・バット・ノット・アバウトアス 』あらすじ
「先生、本当の僕を知りたいですか?」 コロナ禍に沈む大都会マニラの老舗レストランで、フィリピン文学教授エリックは教え子のランスと再会の約束をしています。エリックは、著名な小説家で恋人だったマルコスを亡くしたばかりで、喪失感を抱えながらも、自分を慕うランスとの時間を楽しみにしていました。 ふたりはアップルパイやダフトパンクの話題で距離を縮めていきますが、マルコスの話をきっかけに空気が一変。ランスはまるで“別人”のような瞳でエリックを見つめ、エリックはその奥に、亡き恋人マルコスにまつわる驚くべき真実を見出していきます──。
監督ジュン・ロブレス・ラナ

ジュン・ロブレス・ラナは、劇作家、脚本家、プロデューサー、映画監督として知られる稀代のストーリーテラーです。 脚本デビュー作『SA PUSOD NG DAGAT』(1998)では、フィリピンで最も権威ある文学賞「パランカ賞」の殿堂入りを最年少で果たしています。また同作はベルリン国際映画祭パノラマ部門でワールドプレミア上映も行われました。 その後は脚本家として多くの作品に携わり、フィリピン最大のテレビ局GMAネットワークでドラマ担当クリエイティブ・ディレクターにも就任しています。2012年には『ブワカウ』を製作・監督し、国際映画祭で高い評価を受け、米国アカデミー賞フィリピン代表作品にも選ばれました。 さらに『ダイ・ビューティフル』(2016)は東京国際映画祭2016で観客賞と最優秀男優賞を受賞し、日本でも劇場公開されています。本作『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』はタリン・ブラックナイツ映画祭で批評家賞(Critics Picks Best Film)を受賞し、シドニーのファンタスポルト映画祭でも上映されています。最新作ではフィリピピン初のAmazonオリジナル映画『TEN LITTLE MISTRESSES』を監督しています。
『アバウトアス ・バット・ノット・アバウトアス 』見どころ解説

“一卓のテーブル”だけで走り切る、都会派ミニマル会話劇
本作は1卓のテーブルのみという超ミニマルなセットで、孤独な文学教授と若き作家志望の青年が繰り広げる90分間の会話劇が、ワンシチュエーション・ノンストップで展開します。アップルパイとダフトパンクの話題で距離を縮めていくふたりの空気が、マルコスの話をきっかけに一変し、会話だけで緊張と転調を描き出していきます。
死をトリガーに「生」と「性」、現代の痛点へ鋭く切り込む
死をトリガーに「生」と「性」に鋭くメスを入れ、現代フィリピンの病巣と愛憎を描き出します。愛する人との別れ、LGBTQ+、性加害、SNS世代の危うさなど、多様なテーマがウィットたっぷりに盛り込まれ、洗練されたプロットは良質の短編小説のようなカタルシスへと導きます。
『アバウトアス ・バット・ノット・アバウトアス 』は2026年1月17日公開

『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』は、ミニマルな舞台設定と洗練されたプロットで、90分間の会話だけで観客を圧倒する都会派の新感覚会話劇です。亡き恋人の“秘密”を巡るやり取りが、静かに、しかし確実に感情の深部へ踏み込んでいきます。 ウィットに富んだ脚本、ふたりの俳優が生み出す緊張感、そして「死」から「生」と「性」へ切り込むテーマ性が重なり、良質な短編小説を読み終えたようなカタルシスと余韻を味わえる作品です。