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『すべてがFになる』のあらすじ
森博嗣の『すべてがFになる』は20年以上前に書かれたミステリー小説。真賀田四季という”最も神に近い人間”と称された頭脳を持つ少女が14歳の時に両親を殺し、紆余曲折の後に真賀田四季の叔父が所長をしている研究所の地下室で生活していました。
そこで起こった真賀田四季が殺害された事件は一見完全犯罪の代物。一分ごとにフォルダで記録する監視カメラが出口を見張る中、世界最高の頭脳を持った真賀田四季を殺害した犯人が映った映像は一つもありませんでした。
完全犯罪の真相(ネタバレ)
殺人事件の犯人は真賀田四季。トリックはというとコンピュータに一般的にはトロイの木馬と呼ばれるウィルスを仕掛け、監視カメラの映像記録システムを狂わせたというものです。
自動的に記録される監視カメラの映像は一分毎にフォルダ別に分けられ保存されます。しかし、真賀田四季によるウィルスプログラムが作動すると同じ日時のフォルダが二つ作られ、前のフォルダは新たに上書きされるのです。
これによって生じた一分間の空白の間に、真賀田四季は堂々と事件の現場から脱出。死体は人知れず生まれていた真賀田四季と所長である叔父の娘だったのです。
『すべてがFになる』のFって?
この作品の題名『すべてがFになる』のF。これはどういう意味かというと16進数で最も大きい値のことです。普段よく使われている数字の数え方は0~9で表す10進法。真賀田四季が設置した時限プログラムは一時間ごとに数字が増えていき、16=Fが4つ並ぶと、コンピューターを改竄するプログラムが作動するようになっていたのです。16進法とは0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, A, B, C, D, E, Fで数字を記述するもの。A~Fは10~15を表しています。
一時間ごとに1進む時限プログラム、16進法によるとFが4つ並ぶ数字は"FFFF"=65,535(16の4乗-1)時間目に作動するようになっています。一日は24時間、一年は24x365=8,760時間。Fが4つ並ぶのはおよそ7年半後になります。真賀田四季はこのプログラムを7年半前から計画していたのです。彼女の計画の目的は自分がしたように子供に親を殺させること。ですが彼女の娘は親のような天才ではなく、真賀田四季の思想が理解できなかったため、死にました。
『すべてがFになる』というタイトルの意味は親が子供に仕掛けたプログラムが作動する瞬間ということでもあったのです。