2017年7月6日更新

アメリカの素人ポルノビジネスを描く問題作『ホットガールズ・ウォンテッド』

近年良く耳にする、若者達のポルノ業界への進出。2015年にネットフリックスで放送された『ホットガールズ・ウォンテッド』は、アマチュアポルノ女優として働く少女達に真摯に向き合ったドキュメンタリー作品です。

若者ポルノ問題を取り上げたドキュメンタリー作品。セックスビジネスに関わる若者達の生活をリアルに描く

2015年にサンダンス映画祭で公開されたドキュメンタリー作品『ホットガールズ・ウォンテッド』は、物議を醸している問題作です。

『ホットガールズ・ウォンテッド』は世界初になるプロの“アマチュア”ポルノ女優に焦点を当てた作品です。インターネットの普及と共に、若く魅力的なポルノ女優の需要は増え続けていると言います。この作品はそんな業界に手を伸ばした、18才から25才のポルノ女優へのインタビューが元になっています。

増え続けている若者達のポルノ出演

作品の題名である『ホットガールズ・ウォンテッド』は、インターネット広告に乗せられた“イケてる女の子、求む!(Hot Girls Wanted)”という広告から名づけられました。誰でもインターネットにアクセスできる現代、作品の中に登場する少女達の多くは、お金のため、有名になるためにアマチュア・ポルノ女優になって行きます。

インタビューに登場する、19才のテレサと18才のレイチェルはインターネット上で“テレビ業界・ラジオ関係の仕事”の求人を見て、田舎を飛び出したと答えています。おかしな話だ、と気付いた時は二人とも飛行機に乗った後でした。

ポルノ業界では、大半の新人がもって3ヶ月だと言われています。短いスパンで辞めていく少女達ですが、その数以上の少女達が日々ポルノ業界に入って来るという現実。ほとんどの若きポルノ女優達が、自身の状況を良くは思っていません。しかし、数時間で大金が手に入るポルノ・ビジネスは、少女達を負の連鎖から解放してはくれないのです。

少女達を商品として扱う“製作者”達

『ホットガールズ・ウォンテッド』の劇中には、実際にポルノ作品を撮る製作者や、少女達に仕事を提供する仲介者が現れます。

フロリダ州タンパ湾近郊に拠点を置く、23才のポルノ女優仲介業者・ライリーは「需要と供給が溢れている今の時代、ポルノ女優不足になる事はない。辞めても代わりが現れる」とインタビューで答えています。作品の中では、アマチュア・ポルノ女優として活躍できない少女たちに、売春婦まがいの仕事を提供する者も出てきます。

ベテランのポルノ男優はこう語りました。「大ヒットを生み出し、大金を稼ぎ続けられる“プロ”になれる少女は一握りだ」と。ほとんどの場合、数か月後にはポルノ業界から足を洗うか、働くための仕事に手を出すかの2択になるそうです。働く為の仕事、といのは暴力や陵虐的な作品への出演を意味します。

劇中では、少女達の境遇をさも当たり前の事の様に話す人物達が登場します。彼らにとって少女達は使い捨て、代わりの効く商品でしかないのです。

元記者である監督が、ポルノ業界の問題に真摯に向き合う

『ホットガールズ・ウォンテッド』の監督は二人の女性、ジル・バウアー(写真左)とロナ・グラドゥス(写真右)です。

ジル・バウアーは、バーバラ・ウォルターズ(アメリカのジャーナリスト/作家)に憧れジャーナリストになる事を決意しました。マイアミ・ヘラルド社(マイアミを拠点とする新聞社)に就業した後、数々の賞を受賞した経験を持つ優秀なジャーナリストです。

ロナ・グラドゥスはニューヨーク大学を卒業後、カメラマンとしてのキャリアを築きあげました。彼女もまた、マイアミ・ヘラルド社で働き、キューバでの駐在、ハリケーン・カトリーナの取材を経て今に至ります。

バウアーとグラディスは、『ホットガールズ・ウォンテッド』の公開以前、2012年に児童ポルノを題材にした『セクシーベイビー/Sexy Baby』というドキュメンタリー映画を制作しました。映画制作のために行ったポルノ業界に関する膨大なリサーチから、若くしてポルノ作品に出演する少女達への関心が『ホットガールズ・ウォンテッド』の製作に繋がったそうです。

バウアーとグラディスはインタビューの中で、「若者達とポルノ業界との繋がりは問題視されるべき現代の闇なのに、世間はそれを定義したがらない」と語っています。この作品で、二人の監督はポルノ業界で働く少女達と真摯に向き合い、視聴者に真実を伝えようとしています。

世間からの評価

アメリカの産業専門雑誌、バラエティの編集者ジェフ・バクシャーは、『ホットガールズ・ウォンテッド』はアマチュア・ポルノ業界の闇を深く描いた最初の作品であり、観た者を震撼させるだろう、とこの作品を評価しました。

ニューヨーク・タイムズのマイク・へーレは、とても挑戦的な問題とタイトルだ、とコメントしました。へーレは、この作品の視聴者の感情は、ウンザリする様な怒りと慈悲の心の間で揺れ動くだろうとも言っています。

もちろん、全ての評価が良いものとは限りません。イギリスの新聞社ガーディアンは『ホットガールズ・ウォンテッド』に低評価を付けました。それと同時に、この作品は若者たちに、ポルノ業界の闇と危険を知らせる良い教材になるだろう、とも発言しています。

若者達のポルノ出演が問題になっている昨今、『ホットガールズ・ウォンテッド』は目を背けてはいけない問題を世間に訴えかけています。

2015年現在、『ホットガールズ・ウォンテッド』はネットフリックスで観ることができます。アメリカの素人ポルノビジネスのリアルがここにあります。