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「妖怪ウォッチ」って何?
ゲームから生まれた人気シリーズ
ブームの始まりは2013年7月11日に発売されたニンテンドー3DS専用のゲームソフト。その内容はというと、よく言われている言葉を借りれば「ポケモンの妖怪版」。
小学生のケータはある日昆虫採集を始め、珍しい昆虫を捕まえたい一心で立入禁止の神社の奥へと進んでいく。そこにあった古びたガシャガシャマシンを見つけ回してみると「ウィスパー」という妖怪執事と出会い、妖怪を見つけることができる「妖怪ウォッチ」を手に入れる。町の人らの悩み事などを解決していくうちにより大きな謎に迫っていく..というストーリー。
マンガやゲーム、グッズから映画まで!
まずゲームが発売される半年前の少年雑誌コロコロコミック2013年1月号からマンガ連載を開始。そして前述のように7/11ゲームソフトが発売し、なんと最終的に122万本以上も売り上げたようです。同年12月に少女雑誌「ちゃお」でもマンガ連載がスタート。
その後アニメが2014年1月8日から放送開始。1/11にはゲームと連動する「妖怪メダル」の販売、すぐに品薄になり話題に。3月にキャラクターショップまで展開し(あまりの人気に2日で営業停止に)、7月に待望のゲーム続編「妖怪ウォッチ2 元祖/本家」が発売。売上は200万本にも及びました。
今年12/20にはいよいよ映画も公開。メダル付きの前売り券が50万本即日完売するほどの人気っぷりが話題に。ちなみに転売屋によって子供が買えなかったとの批判を受け、入場者特典は中学生以下限定になったようです。
「妖怪ウォッチ」を分析!
ポケモンと何が違うの?
妖怪とバトルして勝利すると友達になりメダルを獲得できる。そのメダルによって妖怪を呼び出し、新たな友達妖怪を増やしていくというシステム。マスコットとして愛くるしい猫の妖怪「ジバニャン」。ポケモンやピカチュウをまず連想してしまいますね。
ポケモンと違うのは日本人に身近な「妖怪」をモチーフにし、また従来の妖怪がもつ恐ろしく不気味なイメージを廃し、あくまで可愛くポップなキャラに仕立てたこと。またポケモンが「ペット」であったのに対し、妖怪ウォッチは「友達」であるということ、などが現在ネット上や各メディアで指摘されているようです。
ドラえもんのような世界観も人気の鍵?
同級生の可愛らしいフミちゃん、お金持ちで理屈好きなカンチ、ガキ大将のクマなどという登場人物はポケモンよりドラえもんに近い雰囲気がありますよね。またあちこち旅するのではなく、主人公たちが住むさくらニュータウンを基本的な舞台においていることも同様です。
ドラえもんの雰囲気は開発チームがかなり意識していたようですが、現代においてドラえもんをただ真似るのではなく、どのようにアレンジするべきかというところがポイントです。
例えばのび太くんは運動もダメ勉強もダメという設定でしたが、今の社会は落ちこぼれが出にくい仕組みになっていることを踏まえ、何事も平均的という主人公が共感を呼ぶのではということで普通の少年ケータが設定されたそう。
それぞれのキャラクターたちをリアルにいそうな感じにして、「あ、こういうクラスメートや、こういったグループあるよね」と今の子供たちが共感できる世界観や設定をつくることが第一だった。
小学生に共感を
小学生の悩みをリサーチしてエピソードもつくられたそうです。たとえなアニメ2話のテーマは小学生ならではの「学校のトイレで個室にいけない」という悩みを扱っています。
また男子だけではなく女子のファンも獲得するための工夫も。「コロコロコミック」だけではなく「ちゃお」にも連載し、かわいいジバニャンなどのキャラクターぬいぐるみによって興味を持たせるというゲーム以外からファンの獲得を、ということも人気の鍵なようです。
親世代も熱中!
ヒットの理由として子供だけでなく親世代の熱中という要因もあります。なぜかという理由についてまとめると、
・子どもとのコミュニケーションのため
・昭和世代に受ける絶妙なネーミング
・パロディだらけのアニメ版
・父親世代がかつてはまった妖怪がモチーフ
・面白い妖怪が250種類以上登場、そのコンプリート性
・明確な『悪』が出てこなく勝ち負けにこだわらない
などの指摘が見つかりました。
「妖怪ウォッチ」にみる"戦略"とは
クロスメディアを前提
このゲームを手がけたのはレベルファイブという開発会社。大ヒットの理由に『イナズマイレブン』や『ダンボール戦機』で培ったクロスメディア戦略のノウハウが本作で発揮されたこと、が一つ理由になっているようです。
クロスメディアとはあるコンテンツを一つの領域だけにとどまらず、あらゆる領域へ発信すること。「妖怪ウォッチ」の場合は、ゲームシリーズだけ発信していくのではなく、マンガやアニメ、玩具、そして映画などあらゆるメディアを通じて発信していくという戦略です。
レベルファイブの日野社長はこう語っています。
正直なところ、結果は予想以上です。僕が企画して原作を作った『イナズマイレブン』(2008年8月にニンテンドーDS用ソフト発売)や『ダンボール戦機』(11年6月にPSP用ソフト発売)もほぼ同じチームでやっており、アニメ制作のスタッフも含めてだんだんと慣れて、やり方が分かってきたところはあります。
日野社長によるポイント
東洋経済オンラインに掲載されている日野社長へのインタビュー『
』によると、クロスメディア戦略のポイントとして、子供が敏感な"偽物"感をなくしてすべて"本物"にすること、と語っています。
自分の幼少時代にもいろんなものが派生した”クロスメディア的”なものはあったと思うんですけど、子供の感覚で本物と偽物を嗅ぎ分けていたんですね。「あっ、この仮面ライダーのやつ(おもちゃなど)は、すっごい本物の雰囲気があるな」とか、「このガムのパッケージについているやつは偽物感が漂っているな」とか。 そういうふうになったらクロスメディアで展開している意味がないので、僕が最初に考えたのは、すべてを本物にするということです。
みなさんも子供の頃にこういう経験を体感したことがあるはず。日野社長はきちんとそこを見抜き、戦略のポイントにしていたんですね。